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三角形演算子を整理する(修正版)

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この記事は以前書いた記事『 三角形演算子を整理する 』の修正版です。
修正部分は以下です。

  • 定理2 展開定理 ◀ 定理の誤りを修正・追加
  • 定理4 解と係数の関係 ◀ 誤りの訂正・書き方がわかりづらかったので修正
  • 定理5 拡張展開定理 ◀ 削除

ご指摘ありがとうございました。

はじめに

こんにちは。Nappleです。
三角形演算子って?という方は前回の記事「 三角形演算子について 」を参照ください。

前回の記事では思いついたことをとりあえず並べただけなので、この記事ではいくつかの観点から三角形演算子を整理してまとめていきたいと思います。

目次

・定義の整理
・公式
・総和・総乗演算子との比較
・基本対称式との比較
・解と係数の関係

なお、今回は三角形演算子及び超三角形演算子kについてのみ扱います。
逆三角形演算子は一旦しまいます。 常温保存

定義の整理

定義

まずは復習を兼ねて、三角形演算子と超三角形演算子を以下のように再定義します。

三角形演算子

数列{an}に対して、三角形演算子を以下のように定義する。
ni=1ai:=a1a2an1+a2an1an++a1a2an2an=ni=1jiaj

超三角形演算子

数列{an}に対して、超三角形演算子kを以下のように定義する。
kni=1ai:=a1a2ak+a2akak+1++a1a2ak1an=ni=1i+kj=ia(j1)%n+1

ただし、x%yxyで割った余りを意味する。
なお、0ni=1ai=nとする。

定理

重要そうな定理だけをまとめておきます。

超三角形演算子の基本定理

(1)0ni=1ai=n(2)1ni=1ai=i=1nai(3)n1ni=1ai=ni=1ai(4)nni=1ai=ni=1nai

定理1を見ると、超三角形演算子は総和・総乗の一般化であるとも考えられそうですね。

展開定理

k0i,ai0である数列{an}について
n+kni=1ai=i=1naikni=1ai
nkni=1ai=i=1naikni=11ai

逆数和定理

i,ai0である数列{an}に関して、以下を満たす。
ni=11ai=ni=1aini=1ai

総和・総乗演算子との比較

総和三角形演算子総乗
ni=1c=nckni=1c=nckni=1c=cn
ni=1i=12n(n1)ni=1i=n!ni=11ini=1i=n!
ni=1(ai+bi+)=ni=1ai+ni=1bi+???
ni=1λai=λni=1aikni=1λai=λkkni=1aini=1λai=λnni=1ai
ni=11ai=ni=1ai/ni=1aikni=11ai=nkni=1ai/ni=1aini=11ai=1/ni=1ai

基本対称式との比較

対称式とは任意の2変数を入れ替えても変化しない多項式のことです。
例えばx2+y2とか、1x+1y+1zのようなものがあります。

それに対して、基本対称式とはx+yxy+yx+zxのような、各変数の積とその和によって表される対称式のことを言います。詳しくは こちら などを参照してください。

すべての対称式は基本対称式を用いて表せることが知られています。

x2+y2=(x+y)22xy
1x+1y+1z=xy+yz+zxxyz

これは!三角形演算子と基本対称式はすごく似ている気がしますね。
もしや基本対象式は三角形演算子で表せるのでは?
早速4変数の場合の基本対象式でも確かめましょう。

4変数の基本対称式

(1)a+b+c+d=14i=1(a,b,c,d)
(2)ab+ac+ad+bc+bd+cd
(3)abc+bcd+cda+dab=34i=1(a,b,c,d)
(4)abcd=1444i=1(a,b,c,d)

???
残念ながら式(2)は三角形演算子で表せないですね。

そもそも、基本対称式を得る方法はいくつかありますが、簡単なのが組み合わせを考える方法です。

4変数の式であれば、
a,b,c,dから
1つ選ぶ方法はa,b,c,d4C1=4通り
2つ選ぶ方法はab,bc,cd,da,ac,bd4C2=6通り
3つ選ぶ方法はabc,bcd,cda,dab4C3=4通り
2つ選ぶ方法はabcd4C4=1通り
として、各要素の和を取れば基本対称式になります。
三角形演算子は隣り合う要素同士を選ぶのでk4では明らかに基本対象式と異なりますね。

一応まとめておきましょう。

n3 のとき n変数の基本対称式に関して、k次の式はkni=1xで表せる。

いろいろすれば三角形演算子だけで対称式を表す方法も見つかりそうですが今回は置いておきます。

解と係数の関係

高校数学でよく使う解と係数の関係(根と係数の関係)ですが、これにもまた三角形演算子が現れます。

解と係数の関係

n3のときn次方程式anxn+an1xn1++a1x+a0=0n個の解α1,,αnを持つとき、係数ak(kn)と解の間には以下の関係が成り立つ。
k0:akan=(1)nknkni=0αik=0:akan=(1)nknnkni=0αi

まあ定理4から当たり前なんですけどね。

まとめ

三角形演算子についての整理は以上です。
応用とか、また思いついたときに記事にするかもしれないです。

投稿日:2024513
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投稿者

🤔 数学の専門ではないです。 思いついたことを書きます。

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