自分用のノート
Boole代数について:
https://mathlog.info/articles/D2eYWclDN66J4HYRKzW8
既約元などについて:
https://mathlog.info/articles/hr0oN6skfGM4JGmEFXxo
$P(L)$: 0を持つ上半束$L$の結び既約元全体からなる部分集合。
$L$の順序をそのまま引き継ぐことで半順序集合となる。
$J(P)$: 半順序集合$P$の下方集合全体からなる集合族。
集合の包含関係を順序とし、和集合を結び、共通部分を交わりとすることで0を持つ分配束になる。
有限束$L$の任意の$x \in L$はそれ以下の結び既約元の結びとして書ける。
即ち、$x = \bigvee ↓^{P(L)}x$と表せる。
参考記事の補題16
$x \in L$に対し、$\phi(x) = ↓^{P(L)}x$、$f(x) = \bigvee \phi(x)$と略記する。
ある$x \in L$が存在して$x \not= f(x)$であると仮定する。
$A = \set{x \in L \mid x \not=f(x)}$と置く。
仮定より$A$は空でなく、有限集合だから極小元を取ることができる。
極小元の一つを$m$と置く。
$m \not= 0$である。何故なら、$f(0) = 0$だから。
任意の$x \in \phi(m)$に対し$x \le m$であるから、$\bigvee \phi(m) \le m$、即ち$f(m) \le m$である。
$f(m) \not= m$であるから$f(m) < m$である。
[$m \in P(L)$の場合]
$\i$この時$m$は$\phi(m)$の最大元になる。
$\i$よって、$f(m)=m$となるが、これは$f(m) \not= m$に矛盾。
[$m \not\in P(L)$の場合]
$\i$$m$は結び既約元でも$0$でもないから、
$\i$$m = a \vee b$と表せる。($a,b \in L$かつ$a < m, b < m$)
$\i$($0$でない非結び既約元はそれ未満の元に分解できる。)
$\i$$m$は$A$の極小元だから、$a,b \not\in A$
$\i$即ち、$f(a) = a$かつ$f(b) = b$
$\i$この時、$m = a \vee b = \bigvee\phi(a) \vee \bigvee\phi(b) = \bigvee(\phi(a) \cup \phi(b))$
$\i$また、
$\i$$a \le m$だから、$\phi(a) \subset \phi(m)$
$\i$$b \le m$だから、$\phi(b) \subset \phi(m)$
$\i$従って、$\phi(a)\cup\phi(b) \subset \phi(m)$である。
$\i$よって、$m \le \bigvee\phi(m) = f(m)$
$\i$これは$f(m) < m$に矛盾。
従って、$x \not= f(x)$となる$x \in L$は存在しない。
束$L$の元$a$が、有限個の元の結びとして$a = q_1 \vee q_2 \vee \dots \vee q_n$と表されているとする。
この分解が無長(irredundant / 冗長でない)であるとは、どの$q_i$を取り除いても等式が成り立たなくなる、即ち任意の$1 \le i \le n$について
$q_i \not\le \bigvee_{j \neq i} q_j$
が成り立つことをいう。
有限分配束$L$の任意の元$a \in L$は、結び既約元の無長な結びとして表現でき、その表現は(順番を除いて)一意である。
$a \in L$を取る。
$a = 0$の場合は$0 = \bigvee \varnothing$と一意に表せるからok
そうでない場合を考える。
[存在性]
$L$は有限であるから、任意の元$a$は有限個の結び既約元の結びとして表せる。
得られた分解$a = q_1 \vee \dots \vee q_n$の中に冗長な元(他の元の結び以下になっている元)があれば、それを取り除く。
この除去を繰り返すことで、最終的に無長な結び既約元分解を得る。
[一意性]
$a$が2通りの無長な結び既約元分解を持ったと仮定し、それらを構成する要素の集合をそれぞれ$P = \{p_1, \dots, p_m\}, Q = \{q_1, \dots, q_n\}$とする。
即ち、$a = \bigvee P = \bigvee Q$である。
任意の$p_i \in P$に注目する。$p_i \le a = \bigvee Q$である。
$L$は分配束であるため、結び既約元$p_i$は結び素元でもある。
よって、ある$q_j \in Q$が存在して$p_i \le q_j$となる。
同様に、$q_j \le a = \bigvee P$であり、$q_j$も結び素元であるから、ある$p_k \in P$が存在して$q_j \le p_k$となる。
推移律より、$p_i \le q_j \le p_k$であるから、特に$p_i \le p_k$が成り立つ。
ここで、$i \neq k$であると仮定する。
すると、$p_k$は$\bigvee_{l \neq i} p_l$を構成する項の一つであるため、$p_i \le p_k \le \bigvee_{l \neq i} p_l$となる。
これは$P$による分解が無長であること($p_i \not\le \bigvee_{l \neq i} p_l$)に矛盾する。
従って$i = k$でなければならない。
$i=k$より$p_i \le q_j \le p_i$となるため、反対称律より$p_i = q_j$である。
これは、「任意の$p_i \in P$に対して、$p_i = q_j$となる$q_j \in Q$が存在する」ことを意味する。
即ち、$P \subset Q$である。
全く同じ論法を$Q$側の要素から出発して適用することで、$Q \subset P$も導かれる。
従って、$P = Q$
有限Boole代数$L$の原子元全体を$\atom(L)$とおく。
この時、$L \simeq_{\mathrm{Ord}} 2^{\atom(L)}$
$f: L \to 2^{\atom(L)};\ x \mapsto \downarrow^{\atom(L)}x$と置く。
[$f$は順序を保つ]
$\i$$x \le y$とする。
$\i$$a \in f(x)$を任意に取ると、$a \le x$である。
$\i$推移律より$a \le x \le y$だから$a \le y$
$\i$よって、$a \in f(y)$であり、$f(x) \subset f(y)$である。
[$f$は順序を反映する]
$\i$$f(x) \subset f(y)$とする。
$\i$背理法で示す。$x \not\le y$と仮定する。
$\i$$L$はBoole代数であるから、$x \not\le y$は$x \wedge \neg y \neq 0$と同値である。
$\i$$L$は有限なので稠密でなく、$0$より真に大きい元$x \wedge \neg y$の以下には必ず少なくとも1つの原子元$p$が存在する。
$\i$即ち、$p \in \atom(L)$かつ$p \le x \wedge \neg y$となる$p$が取れる。
$\i$$p \le x \wedge \neg y$であるから$p \le x$かつ$p \le \neg y$である。
$\i$$p \le x$より$p \in f(x)$となる。
$\i$仮定$f(x) \subset f(y)$より、$p \in f(y)$、よって$p \le y$である。
$\i$しかし、$p \le y$かつ$p \le \neg y$ならば、$p \le y \wedge \neg y = 0$となり、$p = 0$となってしまう。
$\i$これは$p$が原子元($p > 0$)であることに矛盾する。
$\i$よって$x \le y$である。
[$f$は全射]
$\i$任意の部分集合$S \subset \atom(L)$を取る。
$\i$$L$における$S$の結びを$x = \bigvee S$と置く。(有限だから取れる)
$\i$このとき$f(x) = S$になることを示す。
$\i$[$\supset$]
$\ii$$s \in S$を取る。
$\ii$$s \le \bigvee S = x$だから、$s \in f(x)$
$\ii$よって$S \subset f(x)$
$\i$[$\subset$]
$\ii$$p \in f(x)$を取る。
$\ii$$p \in \atom(L)$かつ$p \le \bigvee S$である。
$\ii$$L$はBoole代数であるため、原子元$p$は結び素元でもある。
$\ii$素元の定義から、$p \le \bigvee S$ならば、ある$s \in S$が存在して$p \le s$となる。
$\ii$$p$も$s$も原子元であり、原子元の間に真の大小関係はないため、$p = s$となる。
$\ii$よって$p \in S$であり、$f(x) \subset S$
$\i$以上より$f(x) = S$となり、全射性が示された。
以上より、$f$は順序同型写像である。
$L$を有限分配束、$Q$を有限半順序集合とする。このとき以下が成り立つ。
[$L \simeq_{\mathrm{Ord}} J(P(L))$]
$\phi:L → J(P(L));\ x ↦ ↓^{P(L)}x$と定める。
任意の$x \in L$に対し、$↓^{P(L)}x$は下方集合であるから、これはwell-definedである。
[$\phi$は順序を保つ]
$\i$$x \le y$なる$x,y\in L$を取る。
$\i$[$\phi(x) \subset \phi(y)$]
$\ii$$p \in \phi(x) = ↓^{P(L)}x$を取る。
$\ii$定義より$p \in P(L)$かつ$p \le x$である。
$\ii$推移律より、$p \le y$となる。
$\ii$これは$p \in ↓^{P(L)}y = \phi(y)$であることを意味する。
$\ii$従って、$\phi(x) \subset \phi(y)$
[$\phi$は順序を反映する]
$\i$$\phi(x) \subset \phi(y)$なる$x,y \in L$を取る。
$\i$[$x \le y$]
$\ii$補題1より、$x = \bigvee ↓^{P(L)}x$が成り立つ。
$\ii$ここで仮定の包含関係を用いると、
$\ii$$x = \bigvee ↓^{P(L)}x \le \bigvee ↓^{P(L)}y$
$\ii$再び補題1より$\bigvee ↓^{P(L)}y = y$であるから、$x \le y$となる。
[$\phi$は全射である]
$\i$$I \in J(P(L))$を取る。
$\i$$x = \bigvee I$と置く。
$\i$[$I \subset ↓^{P(L)}x$]
$\ii$$p \in I$を取る。
$\ii$$I \subset P(L)$より$p$は結び既約元である。
$\ii$また、$x = \bigvee I$だから、$p \le x$である。
$\ii$従って、$p \in ↓^{P(L)}x$
$\i$[$I \supset ↓^{P(L)}x$]
$\ii$$q \in ↓^{P(L)}x$を取る。
$\ii$定義より$q \in P(L)$であり、かつ$q \le x = \bigvee I$である。
$\ii$ここで、$L$が有界分配束であることから$q$は結び素元でもある。
$\ii$従って、ある$p \in I$が存在して$q \le p$となる。
$\ii$いま、$I$は$P(L)$の下方集合であるため、$q \in I$が従う。
$\ii$従って、$↓^{P(L)}x \subset I$
$\i$以上から$\phi(x) = I$となり、$\phi$は全射である。
[$P(J(Q)) \simeq_{\mathrm{Ord}} Q$]
$\psi: Q \to P(J(Q)); \ q \mapsto ↓^Q q$と定める。
[$\psi$はwell-defined]
$\i$任意の$q \in Q$に対し、$↓^Q q$は下方集合であるから、$↓^Q q \in J(Q)$
$\i$[$↓^Qq$は$J(Q)$の結び既約元]
$\ii$$↓^Q q = I \cup J$と書けるとする。(ただし$I, J \in J(Q)$)
$\ii$結び既約元であることを示すには、$↓^Q q = I$または$↓^Q q = J$となることを言えばよい。
$\ii$ここで、$↓^Q q$の最大の元である$q$自身に注目する。
$\ii$当然$q \in ↓^Q q$であるから、仮定より$q \in I \cup J$である。
$\ii$[$q \in I$の場合]
$\iii$$I$は下方集合であるため、$q$以下の元はすべて$I$に含まれる。
$\iii$即ち$↓^Q q \subset I$となる。
$\iii$もともと$I \subset ↓^Q q$であるから、結果として$↓^Q q = I$である。
$\ii$[$q \in J$の場合]
$\iii$同様の理由で、$↓^Q q \subset J$となり、結果として$↓^Q q = J$である。
[$\psi$は順序を保つ]
$\i$$x \le y$なる$x,y \in Q$を取る。
$\i$$q \in ↓^Q x$を取ると、$q \le x \le y$であるから、$q \in ↓^Q y$である。
$\i$即ち、$↓^Qx \subset ↓^Qy$
[$\psi$は順序を反映する]
$\i$$↓^Q x \subset ↓^Q y$なる$x,y \in Q$を取る。
$\i$この時、$x \in ↓^Q y$であるから、$x \le y$である。
[$\psi$は全射である]
$\i$$I \in P(J(Q))$を取る。
$\i$[$I = \bigcup_{x \in I} ↓^Q x$]
$\ii$[$\subset$]
$\iii$明らか。
$\ii$[$\supset$]
$\iii$$y \in \bigcup_{x \in I}↓^Qx$を取る。
$\iii$ある$x \in I$があって$y \in ↓^Qx$、即ち$y \le x$である。
$\iii$$I$は下方集合であるから、$y \in I$
$\i$$Q$は有限集合であるため、これは有限個の和集合である。
$\i$$I$は$J(Q)$における結び既約元であるから、ある$q \in I$が存在して、$I = ↓^Q q$となる。
$\i$これは$\psi(q) = I$となる$q \in Q$が存在することを示しており、ゆえに$\psi$は全射である。
有限Boole代数の表現定理はBirkhoffの表現定理の系として得られるらしい。
$J:\ord → \clat$
$(f:P → Q) ↦ (J(f): J(Q) → J(P);\ I → f^{-1}(I))$
は反変関手
[$J(f)$はwell-defined]
$\i$$f:P→Q$:順序を保つ写像 を取る。
$\i$$I \in J(Q)$を取る。
$\i$[$f^{-1}(I) \in J(P)$]
$\ii$$x \in f^{-1}(I)$を取る。
$\ii$$r \in ↓^Px$を取る。
$\ii$$f$は順序を保つから、$f(r) \le f(x)$
$\ii$$f(x) \in I$であり、$I$は下方集合だから、$f(r) \in I$
$\ii$即ち$r \in f^{-1}(I)$
$\ii$よって、$f^{-1}(I)$は下方集合であった。
[射を射に送る]
$\i$$f:P→Q$:順序を保つ写像 を取る。
$\i$[$J(f)$は完備束準同型]
$\ii$$(I_\lambda)_{\lambda \in \Lambda} \subset J(Q)$を取る。
$\ii$$J(f)(\bigcap_{\lambda \in \Lambda}I_\lambda) = f^{-1}(\bigcap_{\lambda \in \Lambda}I_\lambda) = \bigcap_{\lambda \in \Lambda}f^{-1}(I_\lambda) = \bigcap_{\lambda \in \Lambda}J(f)(I_\lambda)$
$\ii$$J(f)(\bigcup_{\lambda \in \Lambda}I_\lambda) = f^{-1}(\bigcup_{\lambda \in \Lambda}I_\lambda) = \bigcup_{\lambda \in \Lambda}f^{-1}(I_\lambda) = \bigcup_{\lambda \in \Lambda}J(f)(I_\lambda)$
[$\id$と合成]
$\i$$I \in J(P)$を取る。
$\i$$J(\id_P)(I) = \id_P^{-1}(I) = I = \id_{J(P)}(I)$
$\i$$P \xrightarrow{f} Q \xrightarrow{g} R$とする。
$\i$$I \in J(R)$を取る。
$\i$$J(g \circ f)(I) = (g \circ f)^{-1}(I) = f^{-1}(g^{-1}(I)) = J(f)(J(g)(I)) = (J(f) \circ J(g))(I)$
$P$は素直には関手にならなそう。