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現代数学解説
文献あり

6ψ6和公式の系として得られるLambert級数の等式

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Baileyの6ψ6和公式
6ψ6[aq,aq,b,c,d,ea,a,aq/b,aq/c,aq/d,aq/e;a2qbcde]=(aq,aq/bc,aq/bd,aq/be,aq/cd,aq/ce,aq/de,q,q/a;q)(aq/b,aq/c,aq/d,aq/e,q/b,q/c,q/d,q/e,a2q/bcde;q)
の応用として, Andrews-Lewis-Liuの恒等式 や, その特別な場合として Baileyによる等式
nZ(aqn(1aqn)2bqn(1bqn)2)=a(ab,q/ab,b/a,aq/b;q)(q;q)4(a,q/a,b,q/b;q)2
などが得られるが, 他にも様々なLambert級数(の一般化)を得ることができる.

nZ(q)n(1xqn)(1yqn)=(q;q)2(xq2/y,xq2/x,xyq,q/xy;q2)(x,q/x,y,q/y;q)

Baileyの6ψ6和公式において, d=a,e=aとすると,
2ψ2[b,caq/b,aq/c;aqbc]=(aq,aq/bc,aq/b,aq/b,aq/c,aq/c,q,q,q/a;q)(aq/b,aq/c,aq,aq,q/b,q/c,q/a,q/a,aq/bc;q)=(aq,q/a,aq/bc;q)(aq2/b2,aq2/c,q2;q2)(aq/b,aq/c,q/b,q/c,aq/bc;q)(aq2,q2/a;q2)=(aq/bc;q)(aq,q/a,aq2/b2,aq2/c,q2;q2)(aq/b,aq/c,q/b,q/c,aq/bc;q)
が得られる. 特にa=xy,b=x,c=yとすると,
nZ(q)n(1xqn)(1yqn)=(q;q)2(xyq,q/xy,xq/y,yq/x;q2)(x,q/x,y,q/y;q)
を得る.

特にx=yとして以下を得る.

nZ(q)n(1xqn)2=(q;q)2(x2q,q/x2,q,q;q2)(x,q/x;q)2

Askey(1981)

nZ(1+xyq2n)qn(1x2q2n)(1y2q2n)=(xq/y,yq/x,xy,q/xy;q)(q2;q2)2(x2,q2/x2,y2,q2/y2;q2)

Baileyの6ψ6和公式において, a=xy,b=x,c=x,d=y,e=yとすると,
(1x2)(1y2)1+xynZ(1+xyq2n)qn(1x2q2n)(1y2q2n)=(xyq,yq/x,q,q,q,q,xq/y,q/xy;q)(yq,yq,xq,xq,q/x,q/x,q/y,q/y;q)=(xyq,yq/x,xq/y,q/xy;q)(q2;q2)2(x2q2,y2q2,q2/x2,q2/y2;q2)
より, 定理を得る.

特にx=yとしてからx2xとして以下を得る.

nZ(1+xq2n)qn(1xq2n)2=(x,q/x;q)(q;q)2(q2;q2)2(x,q2/x;q2)2

以下のように, 分母が3乗のものもある.

Watson(1933)

nZ(1+xqn)qn(1xqn)3=(x2,q/x2;q)(q;q)6(x,q/x;q)4

a=x2,b=c=d=e=xとして,
(1x)41x2nZ(1+xqn)qn(1xqn)3=(x2q,q,q,q,q,q,q,q/x2;q)(xq,xq,xq,xq,q/x,q/x,q/x,q/x;q)=(x2q,q/x2;q)(q;q)6(xq,q/x;q)4
より定理を得る.

このような等式を楕円関数論の観点から考えてみるというのも面白そうである.

参考文献

[1]
G. N. Watson, Proof of certain identities in combinatory analysis., J. Ind. Math. Soc, 1933, 57-69
[2]
Richard Askey, A q-extension of Cauchy's form of the beta integral., The Quarterly Journal of Mathematics, 1981, 255-266
投稿日:37
更新日:310
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Wataru
Wataru
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超幾何関数, 直交関数, 多重ゼータ値などに興味があります

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