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この記事に厳密性はありません。超微分というのはこの記事を参照してください
7777777: 超微分
ラグ / Lagu: 超微分で微分っぽいことをする
vunu: 超微分の小ネタ、(モニックな、実係数)n次関数の超微分と解のm乗和
超微分の定理
さて、超微分には重要な定理があります超微分の変換公式
\begin{eqnarray}
f^`(x)=\frac{xf'(x)}{f(x)}
\end{eqnarray}
これをふんだんに使っていきます。
今回、$\lim_{x\rightarrow0}$の極限を考えていきたいのですが、超微分を適用する関数として、$f(x)=a_nx^n+a_{n-1}x^{n-1}+ \cdots +a_0$つまり\begin{eqnarray}
f(x) = \sum_{k=0}^n a_kx^k
\end{eqnarray}という多項式に対して考えていきたいと思います。やってみる
じゃぁ実際に超微分してみましょう\begin{eqnarray}
f^`(x) &=& \frac{xf'(x)}{f(x)} \\
&=& \frac{x {\Large\frac{d}{dx}}\qty(\overset{n}{\underset{k=0}{\sum}} a_kx^k)}{\overset{n}{\underset{k=0}{\sum}} a_kx^k} \\
&=& \frac{ \overset{n}{\underset{k=1}{\sum}} ka_kx^{k}}{\overset{n}{\underset{k=0}{\sum}} a_kx^k} \\
&=& \frac{na_nx^{n}+(n-1)a_{n-1}x^{n-1}+\cdots+a_1x}{a_nx^n+a_{n-1}x^{n-1}+\cdots+a_1x+a_0}
\end{eqnarray}ここで$x\rightarrow0$を考えます。ただし場合分けがいっぱいいりますね。
$a_0\neq0$の時
普通に$x=0$を代入しましょう\begin{eqnarray}
f^`(0)&=&\frac{na_n0^{n}+(n-1)a_{n-1}0^{n-1}+\cdots+a_10}{a_n0^n+a_{n-1}0^{n-1}+\cdots+a_10+a_0}
\\&=&\frac{0}{a_0}
\\&=& 0
\end{eqnarray}
$a_0=0$かつ$a_1\ne0$の時
不定形になっていますが1度$x$で割ることができます。割ってから$x=0$を代入しましょう\begin{eqnarray}
\lim_{x\rightarrow0}f^`(x)
&=& \lim_{x\rightarrow0}\frac{na_nx^{n}+(n-1)a_{n-1}x^{n-1}+\cdots+2a_2x^2+a_1x}{a_nx^n+a_{n-1}x^{n-1}+\cdots+a_2x^2+a_1x+a_0}
\\&=& \lim_{x\rightarrow0}\frac{na_nx^{n}+(n-1)a_{n-1}x^{n-1}+\cdots+2a_2x^2+a_1x}{a_nx^n+a_{n-1}x^{n-1}+\cdots+a_2x^2+a_1x+0} \quad(\text{不定形になっている})
\\&=& \lim_{x\rightarrow0}\frac{na_nx^{n-1}+(n-1)a_{n-1}x^{n-2}+\cdots+2a_2x+a_1}{a_nx^{n-1}+a_{n-1}x^{n-2}+\cdots+a_2x+a_1}
\\&=& \frac{a_1}{a_1}
\\&=& 1
\end{eqnarray}何か見えてきましたか?
$a_0=0$かつ$a_1 =0$かつ$a_2\ne0$の時
不定形になっていますが一度$x^2$で割ることができます。割ってから$x=0$を代入しましょう\begin{eqnarray}
\lim_{x\rightarrow0}f^`(x)
&=& \lim_{x\rightarrow0}\frac{na_nx^{n}+\cdots+2a_2x^2+a_1x}{a_nx^n+\cdots+a_2x^2+a_1x+a_0}
\\&=& \lim_{x\rightarrow0}\frac{na_nx^{n}+\cdots+2a_2x^2+0}{a_nx^n+\cdots+a_2x^2+0+0} \quad(\text{不定形になっている})
\\&=& \lim_{x\rightarrow0}\frac{na_nx^{n-2}+\cdots+2a_2}{a_nx^{n-2}+\cdots+a_2}
\\&=& \frac{2a_2}{a_2}
\\&=& 2
\end{eqnarray}もう分かってきましたね。
$a_0=0$かつ$a_1 =0$かつ$a_2 =0$かつ$a_3\ne0$の時
不定形になっていますが一度$x^3$で割ることができます。割ってから$x=0$を代入しましょう\begin{eqnarray}
\lim_{x\rightarrow0}f^`(x)
&=& \lim_{x\rightarrow0}\frac{na_nx^{n}+\cdots+3a_3x^3+2a_2x^2+a_1x}{a_nx^n+\cdots+a_3x^3+a_2x^2+a_1x+a_0}
\\&=& \lim_{x\rightarrow0}\frac{na_nx^{n}+\cdots+3a_3x^3+0+0}{a_nx^n+\cdots+a_3x^3+0+0+0} \quad(\text{不定形になっている})
\\&=& \lim_{x\rightarrow0}\frac{na_nx^{n-2}+\cdots+3a_3}{a_nx^{n-2}+\cdots+a_3}
\\&=& \frac{3a_3}{a_3}
\\&=& 3
\end{eqnarray}
一般化
一般化して書いてみましょう$a_0\sim a_{i-1}$がすべて$0$かつ$a_i\ne0$の時
\begin{eqnarray}
\lim_{x\rightarrow0}f^`(x)
&=& \lim_{x\rightarrow0}\frac{ \overset{n}{\underset{k=1}{\sum}} ka_kx^{k}}{\overset{n}{\underset{k=0}{\sum}} a_kx^k}
\\&=& \lim_{x\rightarrow0}\frac{ \overset{n}{\underset{k=i}{\sum}} ka_kx^{k}}{\overset{n}{\underset{k=i}{\sum}} a_kx^k} \quad(\text{不定形になっている})
\\&=& \lim_{x\rightarrow0}\frac{ \overset{n}{\underset{k=i}{\sum}} ka_kx^{k-i}}{\overset{n}{\underset{k=i}{\sum}} a_kx^{k-i}}
\\&=& \lim_{x\rightarrow0}\frac{ia_i + x\overset{n}{\underset{k=i+1}{\sum}} ka_kx^{k-i-1}}{a_i + x\overset{n}{\underset{k=i+1}{\sum}} a_kx^{k-i-1} } \quad(\text{$k=i$の時を取り出して、残ったシグマを$x$でくくった})
\\&=& \frac{ia_i}{a_i}
\\&=& i
\\\\
\end{eqnarray}そういうことで、次の定理が言えるでしょう。
\begin{eqnarray}
f(x) = \sum_{k=0}^n a_kx^k
\end{eqnarray}
とするとき、
\begin{eqnarray}
\lim_{x\rightarrow0}f^`(x)
\end{eqnarray}
の値は自然数であり、それは係数が$0$でない最小の$x$の次数を表す。
なるほどおもしろい結果ですね。
なぜなら、こちらの記事
7777777: 超微分の意味の考察
の定理3の証明の後にこう書かれています。
よって、以上の定理より、ある$x$の多項式$f(x)$において、$c=\lim_{x\to\infty}f^`(x)$とした時にその関数のオーダーは$O(x^c)$となるということがわかりました。
そう、$\lim_{x\to\infty}$つまり$x$を無限大に飛ばした時の値はその多項式のオーダー、いいかえると最大次数(つまり次数)を与えるのでした。
しかし、そのあとにこういうことが書かれています。
ここまでで、難点の一つ目は解決したのですが、解決できていない二つ目があります。
それは、多項式ではなくなった時のことです。
例を挙げるとすると$f(x)=e^x$の時。
$f^`(x)=x$より$c=\infty$となりますが、$O(x^\infty)$というオーダーはありません。
(確かに、$x^n$の指数部分がいくら大きくても、$e^x$の発散速度はそれより早いという意味では的を得ていますが。)
これに対する解決策はいくつかあると思いますが、ここでは自分の思いついたものを提示しておきます。
まず、$c=\lim_{x\to\infty}f^`(x)$が収束するときは、$O(x^c)$はオーダーと一致する。
しかし、$c$が収束しない場合はオーダーと一致しない、別の指標と考えます。
これについて、今回の定理で$x\to0$としたときに、それは係数が$0$でない最小の$x$の次数(最小次数と呼ぶことにします。)を与えることが分かりました。しかし、多項式でない関数に対してはどうなるのかわかっていないので、実際にやってみることにしました。じゃぁまずは$f(x)=e^x$から\begin{eqnarray}
\lim_{x\to0}(e^x)^`&=& \lim_{x\to0}\frac{xe^x}{e^x}
\\&=&\lim_{x\to0}x
\\&=& 0
\end{eqnarray}0になりました。これは何を意味するのでしょうか。私はひょっとしてと思い、今度は$f(x)=e^x-1$でやってみました。\begin{eqnarray}
\lim_{x\to0}(e^x-1)^`
&=& \lim_{x\to0}\frac{xe^x}{e^x-1}
\\&=& \lim_{x\to0}\qty(x+\frac{x}{e^x-1})
\\&=& \lim_{x\to0}\qty(x+\frac{1}{\frac{e^x-e^0}{x-0}})
\\&=& 0+\frac{1}{\left. \frac{d}{dx}\qty(e^x)\right|_{x=0}}
\\&=& 1
\end{eqnarray}ビンゴ。1になりました。ここから、こういう予想が立ちます。(不連続とか微分不可能とかややこしい関数は無しで)
マクローリン展開可能な関数$f(x)$に対して、
\begin{eqnarray}
\lim_{x\to0}f^`(x)
\end{eqnarray}は$f(x)$をマクローリン展開した時の最低次数を表し、
\begin{eqnarray}
\lim_{x\to\infty}f^`(x)
\end{eqnarray}は$f(x)$をマクローリン展開した時の最大次数を表す。
ただし最低次数とは係数が$0$でない最小の$x$の次数を表し、最大次数とは係数が$0$でない最大の$x$の次数を表す。ただし、いくらでも大きな係数が$0$でない$x$の次数を持ってくることができる場合、最大次数は$\infty$とする。
これでどうでしょう。
いい感じに意味を見出せていますね。
つまり、
$x\to0$で一番下の次数、$x\to\infty$で一番上の次数を出してくれるのですね。