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「十分大きい元」と「十分小さい元」に関するメモ

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$$\newcommand{eps}[0]{\epsilon{}} \newcommand{genprodsum}[4]{{}^{#3}\!\!\underset{#1}{\overset{#2}{\Large \triangle{}}}#4} \newcommand{gprod}[3]{\underset{#1}{\overset{#2}{\prod{}}}#3} \newcommand{gsum}[3]{\underset{#1}{\overset{#2}{\sum{}}}#3} \newcommand{prodsum}[3]{\underset{#1}{\overset{#2}{\huge \triangledown{}}}#3} \newcommand{sumprod}[3]{\underset{#1}{\overset{#2}{\huge \triangle{}}}#3} $$

導入

こんにちは~

工学の現場ではその数が十分大きいとき(あるいは十分小さいとき)に、周辺の値を無視することがよくあります。
それをもとに新しい集合を定義してどうなるかを観察します。

無視可能空間

集合$NS$無視可能空間(negligible space)であるとは、$NS$上に以下を満たす二項演算$+$$\cdot $および$\mathbb{R}$の作用$\cdot$が定義されている集合のことである。

$\forall a, b \in \mathbb{R}$, $\forall x, y, z \in NS$

  1. $(x + y) + z = x + (y + z)$
  2. $x + y = y + x$
  3. $(x y) z = x (y z)$
  4. $x y = y x$
  5. $a x = x a$
  6. $1_{NS} \in NS$が存在して、 $x 1_{NS} = 1_{NS} x = x$
    なお、$ a 1_{NS}$$a$と表す
  7. $a + x = x + a$
  8. $\eps \in NS$が存在して、$x + \eps = x$
  9. $E \in NS$が存在して、$a + E = E$
  10. $a(b + x) = a b + a x $
  11. $a(x + y) = a x + a y $
  12. $(a + b)x = a x + b x$
  13. $a \eps = \eps a = \eps$
  14. $a E = E a = \begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} sgn(a)E \space ,(a \neq 0) \\ E \space ,(a = 0) \end{array} \right. \end{eqnarray}$
  15. $0 + x = x$
  16. $\eps E = 1_{NS}$

※いわゆる記号の暴力というもので、$NS$上の二項演算としての$\cdot$$\mathbb{R}$の作用$\cdot$を混同していることに注意

$NS$上の元$E, \epsilon{}$をそれぞれ 大無視可能元小無視可能元と呼ぶことにしましょう。
ここで、$E, \epsilon{}$は実数でないことに注意します。

感想

・定義長すぎて気持ち悪い
・無駄とか矛盾がどっかにないか心配
$\eps, E$はただ一つか?

わかること

定義からすぐにわかることが色々あります。

和と差について
  1. $E + E = E$
  2. $E - E = E$
  3. $\eps + E = E$
  4. $\eps - E = -E$
  5. $\eps+ \epsilon = \epsilon $
  6. $\eps - \eps = \eps $

(1)について、$E + E = (1+1)E = E$
(2)について、$E - E = 0E = E$
(4)について、$\eps - E = -(\eps + E) = -E$
(6)について、$\eps - \eps = \eps + (-1)\eps = \eps + \eps = \eps $

逆元
  1. $-E = E$
  2. $-\eps = \eps$
  3. $E^{-1} = \eps$
  4. $\eps^{-1}=E$

(1)について
$E-E = E$より、
$E-E-E = E-E$
$(1-2)E = E$
$-E = E$

(2)について
$-\eps = (-1)\eps = \eps$

無視可能元の唯一性
  1. $\eps \neq E$
  2. $E^2 \neq E$
  3. $E, \eps \neq 1_{NS}$

(1)について
$\eps = E $と仮定すると、
$a + E = a + \eps = a$となり、定義(9)に矛盾

(2)について
$E^2 = E$と仮定すると、
$E^2 E^{-1} = E E^{-1}$
$E = 1_{NS}$
$\eps E = \eps1_{NS}$
$1_{NS} = \eps$
より$E = \eps = 1_{NS}$となり矛盾

予想

$NS$全体の構造

集合$NS$は「$\eps^{n}, E^{n}$($n$:自然数),$r1_{NS}$($r$:実数)」で全てである。

$NS$上の順序

$\eps, E$の次数をもとに$NS$は全順序集合になる

まとめ

一旦この辺にしておく。なんとなく理想通りの集合が作れた、かも?
ではまた~

投稿日:327
更新日:328
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投稿者

🤔 数学の専門ではないです。 思いついたことを書きます。

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