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集合系 ①

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$$$$

Def.

定義

$U$を全体集合とする。
集合$A,B\subseteq U$について、$B$$A$の部分集合であるとは、$B$の任意の元が$A$の元でもあることをいう。すなわち
$$ B\subseteq A\ :\Leftrightarrow\ \forall x\in U\ (x\in B\ \Rightarrow\ x\in A) $$
で定義する。

定義

$U$を全体集合とする。集合$A\subseteq U$に対し、$A$のべき集合を
$$ \mathcal{P}(A):=\{B\mid B\subseteq A\} $$
で定義する。すなわち$\mathcal{P}(A)$$A$のすべての部分集合を要素に持つ集合である。

全体集合 $U$ を固定しているので、より丁寧に表現すると
$$ \mathcal{P}(A):=\{B\subseteq U\mid B\subseteq A\} $$
である(『定義』では部分集合の記号が紛らわしいと思い 敢えて省いた)。

べき集合とは、ある集合 $A$ に対して、そのすべての部分集合を要素として集めた集合である。
したがって、その定義から『集合を要素に持つ集合』であり、そのような"集合"の集合を『集合系』と言う。
$ $
べき集合は集合系の一例である。

公理的集合論では、任意の集合$x$に対してその部分集合全体が集合として存在することを「べき集合公理」として要請し、
その集合をべき集合と定義する立場をとる。

べき集合の例

以下の例では、いずれも $a,b,c$ が互いに異なるものとする。

  1. $1$つ目の例 $(A=$空集合$)$
    $$ \mathcal{P}(\varnothing)=\{\varnothing\} $$
    空集合の部分集合は $\varnothing$ のみなので、べき集合は $1$元集合(要素を$1$つだけもつ集合)になる。
    $ $
  2. $2$つ目の例 $(A=$要素が$1$個の集合$)$
    $$ \mathcal{P}(\{a\})=\{\varnothing,\{a\}\} $$
    部分集合は $\varnothing,\{a\}$$2$個である。
    ※空集合は全ての集合の部分集合である事に注意する( 証明はこちら )
    $ $
  3. $3$つ目の例 $(A=$要素が$2$個の集合$)$
    $$ \mathcal{P}(\{a,b\})=\{\varnothing,\{a\},\{b\},\{a,b\}\} $$
    部分集合は $4$個である。
    $ $
  4. $4$つ目の例 $(A=$要素が$3$個の集合$)$
    $$ \mathcal{P}(\{a,b,c\})= \{\varnothing,\{a\},\{b\},\{c\},\{a,b\},\{a,c\},\{b,c\},\{a,b,c\}\} $$
    部分集合は $8$個である。
    $ $

文字の集合でも数字の集合でも、考え方は同じである。
$$ \mathcal{P}(\{1,2\})=\{\varnothing,\{1\},\{2\},\{1,2\}\} $$

定義

全体集合 $U$ を固定する。
$\mathcal{P}(U)$ の部分集合 $\mathcal{A}$$U$ 上の集合系という。すなわち
$$ \mathcal{A}\subseteq\mathcal{P}(U) $$
を満たす集合 $\mathcal{A}$$U$ 上の集合系という。

同値に、$\mathcal{A}$$U$ 上の集合系であるとは、任意の $A$ について
$$ A\in\mathcal{A}\ \Rightarrow\ A\subseteq U $$
が成り立つことである。

Prop & Proof

任意の集合 $A\subseteq U$ と任意の集合 $B\subseteq U$ について
$$ B\in\mathcal{P}(A)\ \Leftrightarrow\ B\subseteq A $$
が成り立つ。

べき集合の定義より
$$ \mathcal{P}(A)=\{X\mid X\subseteq A\} $$
である。したがって、任意の集合 $B\subseteq U$ について
$$ B\in\mathcal{P}(A) $$
であることは、$B$ が上の集合 $\{X\mid X\subseteq A\}$ の元であることと同値である。すなわち、その定義により
$$ B\subseteq A $$
であることと同値である。ゆえに
$$ B\in\mathcal{P}(A)\ \Leftrightarrow\ B\subseteq A $$
が成り立つ。
$$ \Box$$

任意の集合 $X\subseteq U$ と任意の集合系 $\mathcal{F}\subseteq \mathcal{P}(U)$ について
$$ \mathcal{F}\subseteq\mathcal{P}(X)\ \Leftrightarrow\ \forall A\ (A\in\mathcal{F}\Rightarrow A\subseteq X) $$
が成り立つ。

  1. $(\Rightarrow)$ を示す。
    $\mathcal{F}\subseteq\mathcal{P}(X)$ と仮定する。示すべきは、
    $$ \forall A\ (A\in\mathcal{F}\Rightarrow A\subseteq X) $$
    である。そこで任意に $A$ をとり、$A\in\mathcal{F}$ と仮定する。
    $\mathcal{F}\subseteq\mathcal{P}(X)$ であるから、仮定と部分集合の定義より
    $$ A\in\mathcal{P}(X) $$
    を得る。ここで、べき集合の定義より
    $$ A\in\mathcal{P}(X)\ \Leftrightarrow\ A\subseteq X $$
    であるから、$A\subseteq X$ が従う。
    $A$ は任意であったから
    $$ \forall A\ (A\in\mathcal{F}\Rightarrow A\subseteq X) $$
    が成り立つ。
    $ $
  2. $(\Leftarrow)$ を示す。
    $\forall A\ (A\in\mathcal{F}\Rightarrow A\subseteq X)$と仮定する。示すべきは
    $$ \mathcal{F}\subseteq\mathcal{P}(X) $$
    である。
    部分集合の定義により、これを示すには任意の $A$ について
    $$ A\in\mathcal{F}\Rightarrow A\in\mathcal{P}(X) $$
    を示せば十分である。
    そこで任意に $A$ をとり、$A\in\mathcal{F}$ と仮定する。
    仮定より $A\subseteq X$ である。
    したがって、べき集合の定義より
    $$ A\in\mathcal{P}(X) $$
    が成り立つ。よって、任意の $A$ について
    $$ A\in\mathcal{F}\Rightarrow A\in\mathcal{P}(X) $$
    が成り立つので、部分集合の定義より
    $$ \mathcal{F}\subseteq\mathcal{P}(X) $$
    を得る。

-以上より
$$ \mathcal{F}\subseteq\mathcal{P}(X)\ \Leftrightarrow\ \forall A\ (A\in\mathcal{F}\Rightarrow A\subseteq X) $$
が成り立つ。
$$ \Box$$

投稿日:10日前
更新日:10日前
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投稿者

分野を問わず数学の証明が好きで、不定期に過去のノートも含めて更新しています。あとで自分が読み返してもきちんと理解できるノートを作ることを心がけています。定義や証明、命題などに誤りがございましたら、ご指摘いただけますと幸いです(2025年12月28日)。

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