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応用数学解説
文献あり

単位八元数による7次元三重回転

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単位八元数とその共役で純虚八元数を挟むと、3面での7次元回転になることを説明します。

以前は八元数についての基本事項を記事内で説明していましたが、別記事として分離しました。7shi-oct1

概要

四元数では、単位四元数とその共役で純虚四元数を挟む共役作用$qxq^*$によって、3次元空間の任意の回転が記述できました。では、虚数単位を7つ持つ八元数で同様に$rxr^*$という挟み込みを行うと、どのような変換が得られるでしょうか。

八元数は8次元の代数ですが、四元数とは異なり結合法則を満たしません。また、単一の単位八元数による挟み込みでは、7次元の任意の回転を表すことはできません。7次元空間の回転群$\operatorname{SO}(7)$の自由度は21ですが、単位八元数の自由度は7しかないためです。

本記事では、単位八元数による挟み込みが7次元空間で引き起こす幾何学的変換を具体的に計算します。純虚八元数の積から7次元の内積と外積(ベクトル積)を定義し、単位八元数の指数関数表示からロドリゲスの回転公式の八元数版を導出します。その結果、この変換が回転軸となる1次元を固定したまま、互いに直交する3つの2次元平面で等しい角度だけ同時に回る等傾三重回転となることを、一般の回転軸について明らかにします。

本記事では単位八元数の1つの元による共役作用の幾何学的意味の解明を扱い、これらを合成して得られる群構造や行列表現については扱いません。八元数の基本事項(共役、三つ組による乗法規則、交代性)は、先行記事の内容を前提とします。7shi-oct1

純虚八元数の積と7次元空間

実部が$0$で虚部のみからなる八元数を純虚八元数と呼びます。7つの虚数単位$e_1, \dots, e_7$の実係数線形結合として定義します。

純虚八元数

$$ x = x_1e_1 + x_2e_2 + x_3e_3 + x_4e_4 + x_5e_5 + x_6e_6 + x_7e_7 $$

純虚八元数は、基底の係数を並べることで実7次元ベクトル空間$\mathbb R^7$の元と自然に対応します。

$$ \vec{x} = (x_1, x_2, x_3, x_4, x_5, x_6, x_7)^T $$

この対応により、純虚八元数の代数的操作を7次元空間の幾何学的操作として解釈することができます。

純虚八元数の積

純虚八元数$v,w$の積を計算します。

$$ \begin{aligned} v&=v_1e_1 + v_2e_2 + v_3e_3 + v_4e_4 + v_5e_5 + v_6e_6 + v_7e_7 \\ w&=w_1e_1 + w_2e_2 + w_3e_3 + w_4e_4 + w_5e_5 + w_6e_6 + w_7e_7 \\ vw&=-(v_1w_1+v_2w_2+v_3w_3+v_4w_4+v_5w_5+v_6w_6+v_7w_7) \\ &+\{(v_2w_3-v_3w_2)+(v_4w_5-v_5w_4)+(v_7w_6-v_6w_7)\}e_1 \\ &+\{(v_3w_1-v_1w_3)+(v_4w_6-v_6w_4)+(v_5w_7-v_7w_5)\}e_2 \\ &+\{(v_1w_2-v_2w_1)+(v_4w_7-v_7w_4)+(v_6w_5-v_5w_6)\}e_3 \\ &+\{(v_5w_1-v_1w_5)+(v_6w_2-v_2w_6)+(v_7w_3-v_3w_7)\}e_4 \\ &+\{(v_1w_4-v_4w_1)+(v_7w_2-v_2w_7)+(v_3w_6-v_6w_3)\}e_5 \\ &+\{(v_1w_7-v_7w_1)+(v_2w_4-v_4w_2)+(v_5w_3-v_3w_5)\}e_6 \\ &+\{(v_6w_1-v_1w_6)+(v_2w_5-v_5w_2)+(v_3w_4-v_4w_3)\}e_7 \end{aligned} $$

純虚八元数の積の実部を内積の符号反転、虚部を外積と定義します。

純虚八元数の内積と外積

\begin{aligned} v \cdot w :=& -\mathrm{Re}(vw) \\ v \times w :=&\, \mathrm{Im}(vw) \\ vw =& -v \cdot w + v \times w \end{aligned}

虚部の取得

複素数の虚部を取得する$\mathrm{Im}$は、虚数単位$i$を含まない実数を返します。それに対し本記事では、八元数$o$の虚部を$\mathrm{Im}(o)=(o-o^*)/2$とし、虚数単位を含む純虚八元数として扱います。

例:$\mathrm{Im}(1+2e_1+3e_2)=2e_1+3e_2$

内積と外積の性質について見ていきます。

内積の定義と性質

純虚八元数の積の実部$-\mathrm{Re}(vw)$と一致するように、7次元ベクトル$\vec v,\vec w$の内積を定義します。

7次元ベクトルの内積

$$ \vec v \cdot \vec w = v_1w_1+v_2w_2+v_3w_3+v_4w_4+v_5w_5+v_6w_6+v_7w_7 $$

この定義は純虚八元数の内積と一致し、次の性質を持ちます。

  1. 対称性:$\vec v \cdot \vec w = \vec w \cdot \vec v$
  2. 線形性:$(a\vec v + b\vec w) \cdot \vec u = a(\vec v \cdot \vec u) + b(\vec w \cdot \vec u)$
  3. 正定値性:$\vec v \cdot \vec v \geq 0$、かつ $\vec v \cdot \vec v = 0 \iff \vec v = \vec 0$

3次元空間の特殊性と外積

7次元外積の成分は3次元外積の組み合わせで表されるため、まず3次元外積について説明します。

3次元空間では、任意の平面に対して法線方向が一意に定まります。この特殊性が、3次元空間での外積(ベクトル積)の定義を可能にします。

3次元ベクトル$\vec{a} = (a_1, a_2, a_3)^T$と$\vec{b} = (b_1, b_2, b_3)^T$の外積(ベクトル積)は次のように定義されます。

3次元ベクトルの外積

$$ \vec{a} \times \vec{b} = \begin{pmatrix}   a_2b_3 - a_3b_2 \\   a_3b_1 - a_1b_3 \\   a_1b_2 - a_2b_1 \end{pmatrix} $$

外積は$\vec{a}$と$\vec{b}$の両方に垂直なベクトルを生成します。これは$\vec{a}$と$\vec{b}$が張る平行四辺形に対する法線ベクトルとなり、長さはその平行四辺形の面積となります。

外積(右手系) 外積(右手系)

ウェッジ積による面積の表現

法線ではなく、直接的に平面上の面積を扱う方法もあり、ウェッジ積と呼ばれます。ウェッジ積は3次元の特殊性には依存しません。7shi-oct

八元数による7次元外積の実現

7次元空間では、2次元平面に直交する方向が5次元あるため、3次元と同じ法線の選び方では外積を定められません。ここでは、八元数の乗法構造を用いて7次元外積を定義します。

八元数は7つの三つ組を内包しています。これら三つ組は3次元部分空間を形成します。純虚八元数の積の虚部から定義される7次元外積は、この基底では、7つの三つ組に対応する3次元外積を組み合わせた形で成分表示できます。7shi-oct

7次元ベクトルの外積

$$ \vec v\times\vec w= \begin{pmatrix} (v_2w_3-v_3w_2)+(v_4w_5-v_5w_4)+(v_7w_6-v_6w_7) \\ (v_3w_1-v_1w_3)+(v_4w_6-v_6w_4)+(v_5w_7-v_7w_5) \\ (v_1w_2-v_2w_1)+(v_4w_7-v_7w_4)+(v_6w_5-v_5w_6) \\ (v_5w_1-v_1w_5)+(v_6w_2-v_2w_6)+(v_7w_3-v_3w_7) \\ (v_1w_4-v_4w_1)+(v_7w_2-v_2w_7)+(v_3w_6-v_6w_3) \\ (v_1w_7-v_7w_1)+(v_2w_4-v_4w_2)+(v_5w_3-v_3w_5) \\ (v_6w_1-v_1w_6)+(v_2w_5-v_5w_2)+(v_3w_4-v_4w_3) \end{pmatrix} $$

成分ごとに見ると、3つの3次元外積が組み合わされた形をしています。これは、1つの虚数単位が3つの三つ組に含まれる構造を反映しています。

この外積は、3次元外積と同じ基本的な性質を持ちます。

7次元外積の性質

純虚八元数$v,w$について、次が成り立つ。
$$ \begin{aligned} v\times w&=-w\times v \\ (v\times w)\cdot v&=(v\times w)\cdot w=0 \\ |v\times w|^2&=|v|^2|w|^2-(v\cdot w)^2 \end{aligned} $$

外積の各成分は$v_iw_j-v_jw_i$の形の項の和なので、$v$と$w$を入れ替えると符号が反転する。

交代性より$v(vw)=(vv)w=-|v|^2w$であり、右辺の実部は$0$である。左辺は$v(vw)=v(-v\cdot w+v\times w)=-(v\cdot w)v+v(v\times w)$であり、純虚八元数どうしの積の実部は内積の符号反転なので、その実部は$-v\cdot(v\times w)$である。したがって$(v\times w)\cdot v=0$である。同様に$(vw)w=v(ww)=-|w|^2v$の実部を比べると$(v\times w)\cdot w=0$が得られる。

$vw=-v\cdot w+v\times w$の実部と虚部はそれぞれ$-v\cdot w$と$v\times w$なので、$|vw|^2=(v\cdot w)^2+|v\times w|^2$である。ノルムの乗法性$|vw|=|v||w|$と合わせて、3番目の式が得られる。7shi-oct1

八元数による7次元三重回転

一般に$n$次元空間における回転は、2次元部分空間を回転面とする回転の組み合わせとして考えることができます。7shi-clrt

7次元の回転の無限小生成子は$7\times7$の反対称行列で表されます。その独立成分の数は次のように計算されます。

$$ \binom{7}{2} = 7×6÷2 = 21 $$

したがって、7次元空間の回転群$\operatorname{SO}(7)$の自由度は21です。

八元数による7次元回転は単位八元数によって指定されます。八元数は8つのパラメーターを持ちますが、単位八元数はノルムが$1$という制約があるため自由度は7となります。そのため自由度が21である一般的な7次元回転を完全には表現できず、特定の種類の回転しか表現できません。nakajima-oct-rot

具体的には、回転軸に直交する3つの2次元平面で同期した回転となります。これは、7次元空間を3つの2次元平面と1つの1次元軸(回転軸)に分解していると解釈できます。

等傾三重回転

3つの平面の回転角の大きさが等しいことを明示して等傾三重回転と呼ぶ方が正確です。一般の7次元回転も標準形では3つの平面の回転として表せるため、「三重」という語だけでは平面ごとの回転角が等しいことまでは限定されません。ただし、回転角の大きさが等しいすべての7次元回転を、単位八元数の挟み込みで表せるわけではありません。本記事の回転では、3つの平面の組が八元数の乗法によって定まります。

自由度

単位八元数$r$による変換は、回転軸を与える単位純虚八元数$n$の自由度6と、回転角$θ$の自由度1で指定されます。合わせた自由度は7で、単位八元数の自由度7と一致します。

ただし、この表示は一意ではありません。$r$と$-r$、$(n,θ)$と$(-n,-θ)$は同じ変換を与え、$θ$が$2\pi$の整数倍のときは恒等変換となって軸が定まりません。7という自由度は、こうした重複と退化を除いた一般の場合の数です。

単位八元数による回転の表現

単位八元数$r$は、単位純虚八元数$n$を用いてオイラーの公式と同様の指数関数で表現できます。

単位八元数の指数関数表示

\begin{aligned} r&=\exp{\left(\frac{θ}2\,n\right)}=\cos\fracθ2 + \sin\fracθ2\,n \\ n&=n_1e_1+\cdots+n_7e_7\quad(n^2=-1,\ n_1^2+\dots+n_7^2=1) \end{aligned}

ここで、$θ$は回転角、$n$は単位純虚八元数で回転軸を表します。単位球面上の点を実部と単位純虚部に分けたこのパラメーター表示は、四元数の場合と同様です。7shi-coord

オイラーの公式

$1,n$が張る部分代数は、$n^2=-1$により複素数と同型です。この部分代数の中で指数関数を計算できるため、オイラーの公式と同じ表示が得られます。

具体的な回転操作は、単位八元数とその共役とで両側から挟むことで表現できます。

八元数による7次元回転

$$ (rx)r^* = r(xr^*) = \left(\cos\fracθ2 + \sin\fracθ2\,n\right) x \left(\cos\fracθ2 - \sin\fracθ2\,n\right) $$

この操作は、$n$に直交する3つの2次元平面のそれぞれで$θ$の回転を引き起こします。

交代性と括弧

この挟み込みでは、括弧の位置によらず$(rx)r^*=r(xr^*)$となります。交代性の帰結である$(rx)r=r(xr)$と、$r^*=2\operatorname{Re}(r)-r$から次のように示せます。wiki-alt

$$ (rx)r^*=2\operatorname{Re}(r)\,rx-(rx)r=2\operatorname{Re}(r)\,rx-r(xr)=r(xr^*) $$

詳細は参考資料の(1.19)式を参照してください。nakajima-oct-rot

これを計算すると、八元数版のロドリゲスの回転公式が得られます。

八元数版ロドリゲスの回転公式

$$ \exp\left(\fracθ2n\right)x\exp\left(-\fracθ2n\right) =\cosθ\,x+\sinθ(n×x)+(1-\cosθ)n(n \cdot x) $$

$c=\cos\fracθ2,\ s=\sin\fracθ2,\ a=n\cdot x$とおくと、$r^*=c-sn$である。純虚八元数の積$nx=-a+n\times x,\ xn=-a-n\times x$より、次が成り立つ。
$$ nx+xn=-2a,\qquad nx-xn=2(n\times x) $$
交代性の帰結$(nx)n=n(xn)$と$n(nx)=(nn)x=-x$を用いると、次が得られる。
$$ (nx)n=n(xn)=n(-2a-nx)=-2an-n(nx)=x-2an $$
したがって、次のようになる。
$$ \begin{aligned} (rx)r^*&=((c+sn)x)(c-sn) \\ &=c^2x+cs(nx-xn)-s^2(nx)n \\ &=c^2x+2cs(n\times x)-s^2(x-2an) \\ &=(c^2-s^2)x+2cs(n\times x)+2s^2an \\ &=\cosθ\,x+\sinθ(n\times x)+(1-\cosθ)n(n\cdot x) \end{aligned} $$

これは四元数による表式と同じ形をしています。7shi-rod

成分で表すと次のようになります。

$$ \begin{pmatrix} \cosθ\,x_1+\sinθ\{(n_2x_3-n_3x_2)+(n_4x_5-n_5x_4)+(n_7x_6-n_6x_7)\}+(1-\cosθ)n_1(n \cdot x) \\ \cosθ\,x_2+\sinθ\{(n_3x_1-n_1x_3)+(n_4x_6-n_6x_4)+(n_5x_7-n_7x_5)\}+(1-\cosθ)n_2(n \cdot x) \\ \cosθ\,x_3+\sinθ\{(n_1x_2-n_2x_1)+(n_4x_7-n_7x_4)+(n_6x_5-n_5x_6)\}+(1-\cosθ)n_3(n \cdot x) \\ \cosθ\,x_4+\sinθ\{(n_5x_1-n_1x_5)+(n_6x_2-n_2x_6)+(n_7x_3-n_3x_7)\}+(1-\cosθ)n_4(n \cdot x) \\ \cosθ\,x_5+\sinθ\{(n_1x_4-n_4x_1)+(n_7x_2-n_2x_7)+(n_3x_6-n_6x_3)\}+(1-\cosθ)n_5(n \cdot x) \\ \cosθ\,x_6+\sinθ\{(n_1x_7-n_7x_1)+(n_2x_4-n_4x_2)+(n_5x_3-n_3x_5)\}+(1-\cosθ)n_6(n \cdot x) \\ \cosθ\,x_7+\sinθ\{(n_6x_1-n_1x_6)+(n_2x_5-n_5x_2)+(n_3x_4-n_4x_3)\}+(1-\cosθ)n_7(n \cdot x) \end{pmatrix} $$

回転操作の幾何学的意味

回転操作$rxr^*$において、$x$の$n$方向の成分は変化しません。つまり、回転軸方向は保存されます。$n$に直交する空間は6次元で、これが3つの2次元平面に分解されます。各平面ではそれぞれ$θ$回転が起こります。このことを一般の$n$について示します。

3つの平面への分解

$n$に直交する純虚八元数全体がなす6次元空間を$V$とする。$V$は互いに直交する3つの2次元平面に分解でき、$rxr^*$は$n$を固定して、各平面で角度$θ$の回転を引き起こす。

$x=(n\cdot x)n+y\ (y\in V)$と分解する。$n\times n=0$なので、ロドリゲスの回転公式から$n$方向の成分は$\cosθ\,(n\cdot x)n+(1-\cosθ)(n\cdot x)n=(n\cdot x)n$となり、変化しない。

$y\in V$に対しては$n\cdot y=0$より、ロドリゲスの回転公式は次の形になる。
$$ y\mapsto\cosθ\,y+\sinθ\,J_ny,\qquad J_ny=n\times y $$
$n\cdot y=0$より$ny=-n\cdot y+n\times y=n\times y$なので、$J_ny=ny$である。prop-crossより$J_ny$は$n$に直交するので、$J_n$は$V$を$V$に移す。交代性より$J_n^2y=n(ny)=(nn)y=-y$であり、prop-crossのノルムの式より$|J_ny|^2=|n|^2|y|^2-(n\cdot y)^2=|y|^2$である。ノルムを保つ線形写像は内積も保つので、$(J_ny)\cdot(J_nz)=y\cdot z$である。

$V$の単位ベクトル$u_1$を1つ選ぶ。prop-crossより$u_1\cdot J_nu_1=0$であり、$|J_nu_1|=1$なので、$(u_1,J_nu_1)$は正規直交対である。これが張る平面$P_1$は、$J_n(J_nu_1)=-u_1$より$J_n$で不変である。$z\in V$が$P_1$に直交するとき、$u_1=J_n(-J_nu_1)$を用いると
$$ (J_nz)\cdot u_1=(J_nz)\cdot J_n(-J_nu_1)=-z\cdot J_nu_1=0,\qquad (J_nz)\cdot J_nu_1=z\cdot u_1=0 $$
なので、$P_1$の$V$における直交補空間も$J_n$で不変である。この4次元空間で同じ操作を繰り返すと、互いに直交する3つの平面$P_j=\operatorname{span}\{u_j,J_nu_j\}\ (j=1,2,3)$が得られる。

$P_j$の元$y=\alpha u_j+\beta J_nu_j$は、$J_n^2=-1$より次のように移る。
$$ \cosθ\,y+\sinθ\,J_ny=(\alpha\cosθ-\beta\sinθ)u_j+(\alpha\sinθ+\beta\cosθ)J_nu_j $$
これは基底$(u_j,J_nu_j)$に関する角度$θ$の回転である。なお、$u_1$などの選び方は任意なので、この分解は一意ではない。

具体例として、回転軸が基底の虚数単位の場合を計算します。

回転軸 $n=e_1$ の場合

\begin{alignedat}{3} \exp\left(\fracθ2e_1\right)x\exp\left(-\fracθ2e_1\right) &=x_1e_1 \\ &+(\cosθ\,&&x_2-\sinθ\,&&x_3)e_2 \\ &+(\sinθ\,&&x_2+\cosθ\,&&x_3)e_3 \\ &+(\cosθ\,&&x_4-\sinθ\,&&x_5)e_4 \\ &+(\sinθ\,&&x_4+\cosθ\,&&x_5)e_5 \\ &+(\sinθ\,&&x_7+\cosθ\,&&x_6)e_6 \\ &+(\cosθ\,&&x_7-\sinθ\,&&x_6)e_7 \end{alignedat}

$e_1$の成分である$x_1$が不変で、$(e_2,e_3),(e_4,e_5),(e_7,e_6)$の3つの平面上で回転が起きています。この平面は$e_1$を含む三つ組$(e_1,e_2,e_3),(e_1,e_4,e_5),(e_1,e_7,e_6)$に由来します。

回転行列

個々の平面での回転は、2次元の回転行列に対応します。

$$ \begin{pmatrix}\cosθ & -\sinθ \\ \sinθ & \cosθ\end{pmatrix} \begin{pmatrix}x_2 \\ x_3\end{pmatrix} =\begin{pmatrix}\cosθ\,x_2-\sinθ\,x_3 \\ \sinθ\,x_2+\cosθ\,x_3\end{pmatrix} $$

この構造により、7次元空間のうち1次元の回転軸を保持しながら、3つの2次元平面での同期した回転が起こります。この回転は21パラメーターの完全な7次元回転$\operatorname{SO}(7)$の部分集合となります。

まとめ

本記事では、純虚八元数の積を内積と7次元外積に分解し、単位八元数による挟み込み$rxr^*$から八元数版ロドリゲスの回転公式を導きました。この変換は軸$n$を固定し、$n$に直交する6次元空間を互いに直交する3つの平面に分けて、各平面で同じ角度$θ$だけ回転させる等傾三重回転です。ただし、この挟み込みで得られる族は7自由度であり、21自由度を持つ$\operatorname{SO}(7)$全体は尽くしません。

関連する話題として、鏡映の合成を用いれば、$\mathrm{SO}(7)$および$\mathrm{SO}(8)$の任意の回転を表せます。nakajima-oct-rot また、八元数に関係する群として$G_2$がありますが、$G_2$は八元数の積を保つ自己同型群であり、本記事の挟み込みによる回転の族とは異なります。

参考文献

投稿日:2024年6月26日
更新日:9時間前
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