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応用数学解説
文献あり

一般次元における球座標系のバリエーション

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一般次元ユークリッド空間における単位超球面の球座標系について、三角関数の2乗和のネスト構造による成分分割パターンを整理し、量子情報の2準位系・3準位系の状態ベクトルとの対応関係を明らかにします。

シリーズ: ホップファイブレーション

改訂履歴
  • 2026.10.04 4次元の逐次ネスト型の最後の成分の誤り($\sinϕ_4$を$\sinϕ_3$に)を修正、長さを$r\ge0$とし角度の範囲と座標の非一意性を明記、第1成分の実数化を全体位相を除いた代表元の選択として説明し天頂角$2ϕ_1$との関係を明記、相対位相を$δ$で定義、3準位系で得られる空間が$\mathbb{CP}^2$であることを補足、6次元の例を等分割型から区別、公式のボックスをfmlに

概要

3次元空間の極座標系(球座標系)は天頂角や方位角といった直観的な幾何学的角度として理解されますが、4次元以上の一般次元ユークリッド空間における超球面では、幾何学的直観に頼った座標の把握が難しくなります。また、角度の選び方や成分のまとめ方には複数のバリエーションが存在し、目的の代数構造に応じた適切な座標系を選ぶことが重要になります。

本記事では、超球面の単位ベクトルを直交座標の2乗和が1になる関係式として捉え、三角関数の恒等式$\cos^2ϕ+\sin^2ϕ=1$を繰り返しネスト(入れ子)させる代数的パターンによって球座標系を体系化します。標準的な1成分ずつの逐次ネスト型に加えて、最終的に2成分の組に分けるパターン(4次元の2:2型、6次元の2:(2:2)型)を考察し、これが四元数の回転子や量子力学の2準位系(量子ビット)・3準位系(キュートリット)の状態ベクトル表現と自然に一致することを示します。

三角関数の基本性質および初等的な線形代数を前提とします。本記事では球座標系の代数的パターンと量子状態ベクトルの対応関係に集中し、一般次元球面の測度や積分公式、リーマン多様体としての計量テンソルなどの微分幾何学的性質は扱いません。

超球面の標準球座標

実ユークリッド空間のベクトルは長さ$r$と方向を表す単位ベクトル$\vec u$の積として表せます。

実ユークリッド空間のベクトル

$$\vec x=r\vec u\quad(n\in\mathbb N,\ \vec x\in\mathbb R^n,\ r=\norm{\vec x}\ge0,\ \vec u\in\mathbb R^n,\ \norm{\vec u}=1)$$

$r<0$を許すと$(r,\vec u)$と$(-r,-\vec u)$が同じベクトルを表すため、長さは$r\ge0$とします。$r=0$では方向$\vec u$は定まりません。

一般次元($n\ge2$)において、単位ベクトル$\vec{u}$は単位超球面上の一点を指します。通常の標準的な球座標系では、次のように三角関数で表現されます。wiki-nsphere

球座標系から直交座標系への変換

$$\begin{aligned} x_{1}&=r\cos(ϕ _{1})\\x_{2}&=r\sin(ϕ _{1})\cos(ϕ _{2})\\x_{3}&=r\sin(ϕ _{1})\sin(ϕ _{2})\cos(ϕ _{3})\\&\vdots \\x_{n-1}&=r\sin(ϕ _{1})\cdots \sin(ϕ _{n-2})\cos(ϕ _{n-1})\\x_{n}&=r\sin(ϕ _{1})\cdots \sin(ϕ _{n-2})\sin(ϕ _{n-1}) \end{aligned}$$
角度の範囲は$0\leϕ_j\leπ\ (1\le j\le n-2),\ 0\leϕ_{n-1}<2π$である。

3次元であれば角度は天頂角や方位角として図形的に理解できますが、4次元以上では図形的な理解は困難です。また、角度の取り方には任意性があり、別の表し方も可能です。

座標の非一意性

角度の範囲を定めても、境界では座標は1対1になりません。例えば$\sinϕ_1=0$となる点では、それより後の角度$ϕ_2,\dots,ϕ_{n-1}$が任意になります。これは3次元の極座標で、北極・南極の経度が定まらないのと同じです。以下のネストした表示でも、係数が0になるブロックの中の単位ベクトル(角度)は定まりません。各表示は球面全体を覆うパラメーター表示ですが、すべての点で一意に分解できるわけではありません。

幾何学的な直観だけでなく、三角関数の性質から成分を代数的にパターン分けして、そのバリエーションを考えます。長さ$r$は外して、単位ベクトル($r=1$)に絞って議論を進めます。

2次元

まず2次元について考えます。単位ベクトルは直交座標系の成分の2乗和が1になります。

2次元の単位ベクトル

$$\vec{u}_2=\pmatrix{x_1\\x_2}\quad(x_1^2+x_2^2=1)$$

2乗和が1になることから、三角関数が使えます。

三角関数の2乗和

$$\sin^2ϕ+\cos^2ϕ=1$$

$x_1,x_2$のどちらを$\cosϕ,\sinϕ$に割り当てるかは任意性があります。また、2乗和の条件だけでは各成分の符号は決まりません。円を三角関数でパラメーター表示するときの慣習に従って$(\cosϕ,\sinϕ)$と置き、$ϕ$を$0\leϕ<2π$で1周させることで、すべての符号の組み合わせを含めます。

単位円のパラメーター表示

$$\pmatrix{x_1\\x_2}=\pmatrix{\cosϕ\\\sinϕ}$$

このように座標を取れば、複素平面で$ϕ=0$のとき単位元$1$になります。また、オイラーの公式によって指数関数で表せます。

単位複素数の表示

$$x_1+ix_2=\cosϕ+i\sinϕ=e^{iϕ}$$

3次元

単位ベクトルは直交座標系の成分の2乗和が1になります。次元の数だけ成分があるため、2次元より増えます。

3次元の単位ベクトル

$$\vec{u}_3=\pmatrix{x_1\\x_2\\x_3}\quad(x_1^2+x_2^2+x_3^2=1)$$

これを三角関数の2乗和に当てはめると、3成分を2つに分けることになります。cosに対応する成分の数でパターン分けします。

成分のパターン分け

$$ (1)\left\{\begin{aligned}x_1^2&=\cos^2ϕ\\x_2^2+x_3^2&=\sin^2ϕ\end{aligned}\right. \qquad (2)\left\{\begin{aligned}x_1^2+x_2^2&=\cos^2ϕ\\x_3^2&=\sin^2ϕ\end{aligned}\right. $$

通常は(1)を使うことがほとんどです。sinで括った中に2乗和の関係が現れるため、そこにネストして三角関数の関係が入ります。

三角関数のネスト

$$\begin{aligned} \pmatrix{x_1\\x_2\\x_3} &=\pmatrix{\cosϕ \\ \sinϕ\pmatrix{x_2'\\x_3'}}&&(x_2'^2+x_3'^2=1) \\ &=\pmatrix{\cosϕ \\ \sinϕ\pmatrix{\cosϕ' \\ \sinϕ'}} \\ &=\pmatrix{\cosϕ \\ \sinϕ\cosϕ' \\ \sinϕ\sinϕ'} \end{aligned}$$

このようにcosに対応する成分を1つ取って、残りをsinで括ってネストさせることを一般次元に拡張したのが標準的な球座標系です。

4次元

2通りのパターンを示します。これらは3次元球面の座標系として扱われます。wiki-s3

逐次ネスト型(1:(1:2))

標準的な球座標の方式です。2段階にネストします。

4次元の単位ベクトル(逐次ネスト型)

$$\begin{aligned} \vec{u}_4 &=\pmatrix{x_1\\x_2\\x_3\\x_4}&&(x_1^2+x_2^2+x_3^2+x_4^2=1) \\ &=\pmatrix{\cosϕ_1 \\ \sinϕ_1\pmatrix{x_2'\\x_3'\\x_4'}}&&(x_2'^2+x_3'^2+x_4'^2=1) \\ &=\pmatrix{\cosϕ_1 \\ \sinϕ_1\pmatrix{\cosϕ_2 \\ \sinϕ_2 \pmatrix{x_3''\\x_4''}}}&&(x_3''^2+x_4''^2=1) \\ &=\pmatrix{\cosϕ_1 \\ \sinϕ_1\pmatrix{\cosϕ_2 \\ \sinϕ_2 \pmatrix{\cosϕ_3 \\ \sinϕ_3}}} \\ &=\pmatrix{\cosϕ_1 \\ \sinϕ_1\cosϕ_2 \\ \sinϕ_1\sinϕ_2\cosϕ_3 \\ \sinϕ_1\sinϕ_2\sinϕ_3} \end{aligned}$$

2行目は、単位四元数によって回転角度と回転軸を指定する方式に相当します。$x_1$を四元数の実部とし、$ϕ_1=θ/2$、$(x_2',x_3',x_4')=(x,y,z)$と置くと、回転角$θ$、単位回転軸$(x,y,z)$を指定する回転子になります。7shi-h

単位四元数による回転子

$$\begin{aligned} q&=\cos\fracθ2+\sin\fracθ2(x\,\mathbf{i}+y\,\mathbf{j}+z\,\mathbf{k})&&(x^2+y^2+z^2=1) \end{aligned}$$

等分割型(2:2)

2成分ごとに分割するパターンを考えます。

4次元の単位ベクトル(等分割型)

$$\begin{aligned} \vec{u}_4 &=\pmatrix{x_1\\x_2\\x_3\\x_4}&&(x_1^2+x_2^2+x_3^2+x_4^2=1) \\ &=\pmatrix{\cosϕ_1\pmatrix{x_1'\\x_2'} \\ \sinϕ_1\pmatrix{x_3'\\x_4'}}&&(x_1'^2+x_2'^2=x_3'^2+x_4'^2=1) \\ &=\pmatrix{\cosϕ_1\pmatrix{\cosϕ_2 \\ \sinϕ_2} \\ \sinϕ_1\pmatrix{\cosϕ_3 \\ \sinϕ_3}} \\ &=\pmatrix{\cosϕ_1\cosϕ_2 \\ \cosϕ_1\sinϕ_2 \\ \sinϕ_1\cosϕ_3 \\ \sinϕ_1\sinϕ_3} \end{aligned}$$

各ブロックの長さ$\cosϕ_1,\sinϕ_1$は非負なので、角度の範囲は$0\leϕ_1\leπ/2,\ 0\leϕ_2,ϕ_3<2π$とします。

実成分を2つずつ組にして複素数で表すと、量子情報などで使われる2準位系の状態ベクトルになります。

2準位系の状態ベクトル

$$\begin{aligned} \pmatrix{\cosϕ_1\pmatrix{\cosϕ_2 \\ \sinϕ_2} \\ \sinϕ_1\pmatrix{\cosϕ_3 \\ \sinϕ_3}} &\mapsto\pmatrix{\cosϕ_1(\cosϕ_2+i\sinϕ_2) \\ \sinϕ_1(\cosϕ_3+i\sinϕ_3)} \\ &=\pmatrix{\cosϕ_1\,e^{iϕ_2} \\ \sinϕ_1\,e^{iϕ_3}} \end{aligned}$$

状態ベクトル$\Psi$全体に絶対値1の複素数$e^{iω}$を掛けても、エルミート共役とのテンソル積は変わりません。

$$ (e^{iω}\Psi)(e^{iω}\Psi)^\dagger=\Psi\Psi^\dagger $$

このため量子力学では、全体に掛かる位相(全体位相)は測定結果の確率分布に影響しません。全体位相だけ異なる状態ベクトルを同一視すると実自由度が1つ減り、正規化された状態ベクトルの空間$S^3$から、ブロッホ球面$S^2$へのホップ写像が得られます。7shi-s

第1成分を正の実数にすることは、この同値類の代表元を選ぶ操作に当たります。相対位相を$δ=ϕ_3-ϕ_2$とおくと、次のようになります。

全体位相を除いた代表元

$$\begin{aligned} \pmatrix{\cosϕ_1\,e^{iϕ_2} \\ \sinϕ_1\,e^{iϕ_3}} &=e^{iϕ_2}\pmatrix{\cosϕ_1 \\ \sinϕ_1\,e^{iδ}} \sim\pmatrix{\cosϕ_1 \\ \sinϕ_1\,e^{iδ}} \end{aligned}$$

位相差$δ$は$2π$を法として扱います。第1成分が0($ϕ_1=π/2$)のときはこの選び方ができませんが、このときの状態ベクトルはすべて$(0,1)^T$と同値です。この代表元をホップ写像で写すと、ブロッホ球面上の天頂角は$2ϕ_1$、方位角は$δ$になります。角度$ϕ_1$は、天頂角の半分の役割を果たしています。7shi-c2s2

アダマール積(成分ごとの積)によって、非負の振幅からなる実単位ベクトルと、各成分の位相に分解できます。振幅のベクトルは、単位円の第1象限の部分にあります。

アダマール積による分解

$$\begin{aligned} \pmatrix{\cosϕ_1\,e^{iϕ_2} \\ \sinϕ_1\,e^{iϕ_3}} &=\pmatrix{\cosϕ_1 \\ \sinϕ_1}∘\pmatrix{e^{iϕ_2} \\ e^{iϕ_3}} \end{aligned}$$

振幅が0の成分では、位相は定まりません。

6次元

5次元は飛ばして、6次元の量子情報に関連する例を挙げます。(中嶋慧氏よりご教示)

6次元の単位ベクトル(2:(2:2))

$$\begin{aligned} \vec{u}_6 &=\pmatrix{x_1\\x_2\\x_3\\x_4\\x_5\\x_6}&&(x_1^2+x_2^2+x_3^2+x_4^2+x_5^2+x_6^2=1) \\ &=\pmatrix{\cosϕ_1\pmatrix{x_1'\\x_2'} \\ \sinϕ_1\pmatrix{x_3'\\x_4'\\x_5'\\x_6'}}&&(x_1'^2+x_2'^2=x_3'^2+x_4'^2+x_5'^2+x_6'^2=1) \\ &=\pmatrix{\cosϕ_1\pmatrix{\cosϕ_2 \\ \sinϕ_2} \\ \sinϕ_1\pmatrix{\cosϕ_3\pmatrix{x_3''\\x_4''} \\ \sinϕ_3\pmatrix{x_5''\\x_6''}}}&&(x_3''^2+x_4''^2=x_5''^2+x_6''^2=1) \\ &=\pmatrix{\cosϕ_1\pmatrix{\cosϕ_2 \\ \sinϕ_2} \\ \sinϕ_1\pmatrix{\cosϕ_3\pmatrix{\cosϕ_4 \\ \sinϕ_4} \\ \sinϕ_3\pmatrix{\cosϕ_5 \\ \sinϕ_5}}} \\ &=\pmatrix{\cosϕ_1\cosϕ_2 \\ \cosϕ_1\sinϕ_2 \\ \sinϕ_1\cosϕ_3\cosϕ_4 \\ \sinϕ_1\cosϕ_3\sinϕ_4 \\ \sinϕ_1\sinϕ_3\cosϕ_5 \\ \sinϕ_1\sinϕ_3\sinϕ_5} \end{aligned}$$

最初の分割は2:4で、残る4成分をさらに2:2に分けます。等分割ではありませんが、最終的には2成分の組に分かれます。角度の範囲は$0\leϕ_1,ϕ_3\leπ/2,\ 0\leϕ_2,ϕ_4,ϕ_5<2π$とします。

4次元と同様に、実成分を2つずつ組にして複素数で表すと、3準位系の状態ベクトルになります。

3準位系の状態ベクトル

$$\begin{alignedat}{2} &\pmatrix{\cosϕ_1\pmatrix{\cosϕ_2 \\ \sinϕ_2} \\ \sinϕ_1\pmatrix{\cosϕ_3\pmatrix{\cosϕ_4 \\ \sinϕ_4} \\ \sinϕ_3\pmatrix{\cosϕ_5 \\ \sinϕ_5}}} &\mapsto&\pmatrix{\cosϕ_1(\cosϕ_2+i\sinϕ_2) \\ \sinϕ_1\cosϕ_3(\cosϕ_4+i\sinϕ_4) \\ \sinϕ_1\sinϕ_3(\cosϕ_5+i\sinϕ_5)} \\ &&=&\pmatrix{\cosϕ_1\,e^{iϕ_2} \\ \sinϕ_1\cosϕ_3\,e^{iϕ_4} \\ \sinϕ_1\sinϕ_3\,e^{iϕ_5}} \end{alignedat}$$

2準位系と同様に全体位相を同一視すると、実自由度が1つ減ります。ただし、得られる空間は球面ではなく複素射影平面$\mathbb{CP}^2$です。本記事では、その構造には立ち入りません。相対位相を$δ_1=ϕ_4-ϕ_2,\ δ_2=ϕ_5-ϕ_2$とおくと、第1成分を正の実数にする代表元は次のようになります。

全体位相を除いた代表元

$$\begin{aligned} &\pmatrix{\cosϕ_1\,e^{iϕ_2} \\ \sinϕ_1\cosϕ_3\,e^{iϕ_4} \\ \sinϕ_1\sinϕ_3\,e^{iϕ_5}} =e^{iϕ_2}\pmatrix{\cosϕ_1 \\ \sinϕ_1\cosϕ_3\,e^{iδ_1} \\ \sinϕ_1\sinϕ_3\,e^{iδ_2}} \sim\pmatrix{\cosϕ_1 \\ \sinϕ_1\cosϕ_3\,e^{iδ_1} \\ \sinϕ_1\sinϕ_3\,e^{iδ_2}} \\ \end{aligned}$$

第1成分が0のときはこの選び方ができず、残る0でない成分を基準にする必要があります。

アダマール積によって、非負の振幅からなる実単位ベクトルと、各成分の位相に分解できます。振幅のベクトルは、3次元の単位球面の成分が非負の部分にあります。

アダマール積による分解

$$\begin{aligned} &\pmatrix{\cosϕ_1\,e^{iϕ_2} \\ \sinϕ_1\cosϕ_3\,e^{iϕ_4} \\ \sinϕ_1\sinϕ_3\,e^{iϕ_5}} =\pmatrix{\cosϕ_1 \\ \sinϕ_1\cosϕ_3 \\ \sinϕ_1\sinϕ_3} ∘\pmatrix{e^{iϕ_2} \\ e^{iϕ_4} \\ e^{iϕ_5}} \end{aligned}$$

まとめ

本記事では、超球面の単位ベクトルの成分を$\cos^2ϕ+\sin^2ϕ=1$によって2つのグループに分け、それを繰り返すパターンとして球座標系を整理しました。1成分のグループはそこで確定し、多成分のグループをさらに分割して、最後に残った2成分を円の三角関数表示で表します。1成分ずつ分割する逐次ネスト型は標準的な球座標系になります。最終的に2成分の組に分けるパターン(4次元の2:2型、6次元の2:(2:2)型)は、各組を複素数1成分とみなすと、量子情報で使われる2準位系・3準位系の状態ベクトルになります。

成分の分割

$$ \pmatrix{x_1 \\ \vdots \\ x_n} = \pmatrix{\cosϕ_1\,\vec{u}_p \\ \sinϕ_1\,\vec{u}_q} \quad (p+q=n,\ \vec u_p\in\mathbb R^p,\ \vec u_q\in\mathbb R^q,\ \norm{\vec{u}_p}=\norm{\vec{u}_q}=1) $$
ブロックの長さを$\cosϕ_1,\sinϕ_1$とすると、$0\leϕ_1\leπ/2$に取れる。$p=1$では$\vec u_p=\pm1$が符号を担い、標準の球座標系ではこの符号を$\cosϕ_1$に吸収して$0\leϕ_1\leπ$とする。

等分割型と状態ベクトル

4次元の等分割型(2:2)を複素数2成分で表すと、2準位系の状態ベクトルになり、アダマール積によって非負の振幅からなる実単位ベクトルと各成分の位相に分解できる。
$$ \pmatrix{\cosϕ_1\,e^{iϕ_2} \\ \sinϕ_1\,e^{iϕ_3}} = \pmatrix{\cosϕ_1 \\ \sinϕ_1} ∘ \pmatrix{e^{iϕ_2} \\ e^{iϕ_3}} $$

参考文献

投稿日:2024年5月20日
更新日:6時間前
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