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大学数学基礎解説
文献あり

同次座標とホップファイブレーション

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実四次元座標から複素数のペアの比(同次座標)を求めることで、ホップファイブレーションhopf1931を計算します。

シリーズ: ホップファイブレーション

概要

三次元球面S3上の点(x1,x2,x3,x4)R4は条件x12+x22+x32+x42=1を満たします。

この成分で表される複素数のペアの比z=x1+ix2x3+ix4Cから二次元球面S2上へ射影した座標(ξ1,ξ2,ξ3)R3を求めます。

複素平面への射影

実四次元上の座標を複素二次元に写像します。

R4(x1,x2,x3,x4)(x1+ix2,x3+ix4)C2

これを同次座標(比として表した座標)に射影します。7shi-mobius

(x1+ix2,x3+ix4)[x1+ix2:x3+ix4]

x3+ix40の場合、同次座標の代表点は成分の商zとして表せます。

z=x1+ix2x3+ix4

zの分母を実数化して、実部と虚部に分離します。

z=(x1+ix2)(x3ix4)(x3+ix4)(x3ix4)=(x1x3+x2x4)+i(x2x3x1x4)x32+x42=x1x3+x2x4x32+x42+ix2x3x1x4x32+x42

実部と虚部の係数を u,vR とおきます。

u=x1x3+x2x4x32+x42,v=x2x3x1x4x32+x42
z=u+iv

二次元球面への射影

zを実三次元空間のxy平面に埋め込みます。

Cz=u+iv(u,v,0)R3

(u,v,0)を二次元球面S2上に射影するため、S2の北極点(0,0,1)(u,v,0)を結ぶ直線を媒介変数tで表します。

(x,y,z)=(ut,vt,1t){(0,0,1)(t=0)(u,v,0)(t=1)
これを単位球面 x2+y2+z2=1 の式に代入して交点を求めます。
(ut)2+(vt)2+(1t)2=1(u2+v2+1)t22t=0t{(u2+v2+1)t2}=0
t=0, 2u2+v2+1

t=2u2+v2+1 のときの座標を(ξ1,ξ2,ξ3)R3とします。

(ξ1,ξ2,ξ3)=(2uu2+v2+1,2vu2+v2+1,12u2+v2+1)

分母に現れるu2+v2+1を計算します。zの複素共役をzとします。

u2+v2+1=(u+iv)(uiv)+1=zz+1=(x1+ix2x3+ix4)(x1ix2x3ix4)+1=x12+x22x32+x42+1=x12+x22+x32+x42x32+x42=1x32+x42

ξ1,ξ2,ξ3x1,x2,x3,x4で表現します。

ξ1=2uu2+v2+1=2(x1x3+x2x4x32+x42)(x32+x42)=2(x1x3+x2x4)ξ2=2vu2+v2+1=2(x2x3x1x4x32+x42)(x32+x42)=2(x2x3x1x4)ξ3=12u2+v2+1=12(x32+x42)=x12+x22x32x42

この結果はHopfの原論文§5.(1)と一致します。hopf1931

x3+ix40の極限で(ξ1,ξ2,ξ3)(0,0,1)となることから、x3+ix4=0は北極点に対応付けます。

まとめ

R4S3(x1x2x3x4)(ξ1ξ2ξ3)=(2(x1x3+x2x4)2(x2x3x1x4)x12+x22x32x42)S2R3

複素数のペアでの計算

(x1,x2,x3,x4)から構成される複素数のペアをα=x1+ix2, β=x3+ix4 として計算します。

z=αβ=αβββ,u=Re(z),v=Im(z)
(ξ1ξ2ξ3)=(2Re(αβ)2Im(αβ)ααββ)=(αβ+βαi(αββα)ααββ)

四元数

この結果は四元数による導出とほぼ同じですが、第2成分の符号が異なります。7shi-qhopf1

ωkω=(αβ+βα)ii(αββα)j+(ααββ)k

四元数と同じ結果を得るには、xy平面への埋め込み方を変更します。
Cz=u+iv(u,v,0)R3

複素ベクトルの変換として表記すれば、実部と虚部に分離する必要がなくなります。

(αβ)(ξ1+iξ2ξ3)=(2αβααββ)

αβの形は、分母を実数化したz=αβββの分子に表れています。

参考文献

投稿日:121
更新日:121
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  1. 概要
  2. 複素平面への射影
  3. 二次元球面への射影
  4. まとめ
  5. 複素数のペアでの計算
  6. 参考文献