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現代数学解説
文献あり

mod 20のRogers-Ramanujan型恒等式

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前の記事 の定理1から定理4を以下の両側Bailey対の形で表しておく

kZ(q6k2k(q;q)n+3k(q;q)n3kq6k2+5k+1(q;q)n+3k+1(q;q)n3k1)=1(q;q)2nkZ(q6k2+k(q2;q)n+3k(q;q)n3kq6k2+7k+2(q2;q)n+3k+1(q;q)n3k1)=1(q2;q)2nkZ(q6k2+2k(q;q)n+3k(q;q)n3kq6k2+2k(q;q)n+3k+1(q;q)n3k1)=qn(q;q)2nkZ(q6k2+4k(q2;q)n+3k(q;q)n3kq6k2+4k(q2;q)n+3k+1(q;q)n3k1)=qn(q2;q)2n

両側Bailey対 に関しては, 前の記事 の系と全く同様に以下の命題が成り立つ.

(αn,βn)aに関する両側Bailey対のとき,
1(aq;q)nZanqn2αn=nZanqn2βn
が成り立つ.

Slater(1952)

n=0qn2+n(q;q)2n=(q,q9,q10;q10)(q8,q12;q20)(q;q)n=0qn2(q;q)2n=(q2,q8,q10;q10)(q6,q14;q20)(q;q)n=0qn2+n(q;q)2n+1=(q3,q7,q10;q10)(q4,q16;q20)(q;q)n=0qn2+2n(q;q)2n+1=(q4,q6,q10;q10)(q2,q18;q20)(q;q)

以下の定理の証明において, Watsonの五重積
nZqn(3n+1)2(x3nx3n+1)=(q,x,q/x;q)(x2q,q/x2;q2)
を用いる.

定理1の3つ目の両側Bailey対に命題2を適用して, Watsonの五重積を用いると,
0nqn2+n(q;q)2n=1(q;q)(nZq15n2+2nnZq15n2+8n+1)=1(q;q)nZq15n2+2n(1q6n+1)=(q,q9,q10;q10)(q8,q12;q20)(q;q)
を得る. 定理1の1つ目の両側Bailey対に命題2を適用して, Watsonの五重積を用いると,
0nqn2(q;q)2n=1(q;q)(nZq15n2nnZq15n2+11n+2)=1(q;q)nZq15n2n(1q12n+2)=(q2,q8,q10;q10)(q6,q14;q20)(q;q)
定理1の2つ目の両側Bailey対に命題2を適用して, Watsonの五重積を用いると,
0nqn2+n(q;q)2n+1=1(q;q)(nZq15n2+4nnZq15n2+16n+4)=1(q;q)(nZq15n24nnZq15n2+14n+3)=1(q;q)nZq15n24n(1q18n+3)=(q3,q7,q10;q10)(q4,q16;q20)(q;q)
定理1の4つ目の両側Bailey対に命題2を適用して, Watsonの五重積を用いると,
0nqn2+2n(q;q)2n+1=1(q;q)(nZq15n2+7nnZq15n2+13n+2)=1(q;q)(nZq15n27nnZq15n2+17n+4)=1(q;q)nZq15n27n(1q24n+4)=(q4,q6,q10;q10)(q2,q18;q20)(q;q)
が得られる.

このようにWatsonの五重積を用いることによって無限積で表されるRogers-Ramanujan型の恒等式もあるというのは興味深い.

参考文献

[1]
L. J. Slater, A new proof of Rogers's transformations of infinite series, Proc. London Math. Soc. (2), 1951, 460-475
[2]
L. J. Slater, Further identities of the Rogers-Ramanujan type., Proc. London Math. Soc. (2), 1952, 147-167
投稿日:611
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Wataru
Wataru
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超幾何関数, 直交関数, 多重ゼータ値などに興味があります

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