スピン幾何における解析学
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Dirac作用素のElliptic regularity 1
convention
$M:$コンパクトリーマンスピン多様体
$S:$スピノル束
$\langle\cdot,\cdot\rangle:S$のSpin不変内積
$\Gamma(S):S$の滑らかな切断
$C^s(S):S$の$C^s$級の切断
$D_k(S):\Gamma(S)$から$\Gamma(S)$への$k$階の微分作用素
$L^2(S):S$の切断が作るHilbert空間
$H_k(S):S$の切断が作る$k$次のSobolev空間
Dirac作用素を$H_k$上で拡張して議論したい場合に$H_k$の元は微分できるか分からないため滑らかになるようになめしておきたいことがあります。さらになめしたものを適当な意味で極限を取ると元に戻るようにしておくと使いやすいです。またなめしたものに対する色々な不等式評価もしたいのでノルムについての評価もあれば便利です。このようなものとしてFriedrich's mollifier(軟化作用素)があります。
$\epsilon\in(0,1]$に対して、$J_\epsilon:L^2(S)\to L^2(S)$で以下の条件を満たす作用素が存在する。
(i) $Im(J_\epsilon)\subset\Gamma(S)$
(ii) $J_\epsilon$は自己随伴作用素である。
(iii) $u\in L^2(S)$に対して、$L^2(S)$において$\epsilon\to0$のとき$J_\epsilon u\to u$である。
(iv) $J_\epsilon$は有界作用素である。
(v) $P\in D_k(S)$に対して、$[P,J_\epsilon]$は有界作用素$H_{k-1}\to L^2(S)$に拡張される。