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Dirac作用素のElliptic regularity 1

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スピン幾何における解析学
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convention
$M:$コンパクトリーマンスピン多様体
$S:$スピノル束
$\langle\cdot,\cdot\rangle:S$のSpin不変内積
$\Gamma(S):S$の滑らかな切断
$D=\sum_ie_i\nabla_i:\Gamma(S)\to\Gamma(S)$Dirac作用素
$C^s(S):S$$C^s$級の切断
$D_k(S):\Gamma(S)$から$\Gamma(S)$への$k$階の微分作用素
$L^2(S):S$の切断が作るHilbert空間
$H_k(S):S$の切断が作る$k$次のSobolev空間

 regularityという言葉はたぶん未定義用語なのですが、簡単に言うと微分作用素$D$に対して微分方程式$Du=f$の解$u$の存在や滑らかさについての言明のことです(たぶん)。従って微分作用素に対して非常に重要な考察対象となります。スピン幾何ではDirac作用素のregularityに強い関心があります。

弱い意味での成立

$D\in D_1(S)$$u,f\in L^2(S)$に対して、弱い意味で$Du=f$が成り立つとは、任意の$\phi\in\Gamma(S)$に対して
$$ (u,D^\dagger\phi)_{L^2}=(f,\phi)_{L^2} $$
が成り立つことである。

Dirac作用素のElliptic regularity 1

$D$をDirac作用素とし、$\bar D:H_1(S)\to L^2(S)$をその拡張とする。$u,f\in L^2(S)$に対して、弱い意味で$Du=f$が成り立つとすると、$u\in H_1(S)$である。さらにこのとき、$\bar Du=f$が成り立つ。

Friedrichのmollifierを$J_\epsilon$とし、命題の条件を満たす$u$に対して、$u_\epsilon:=J_\epsilon u$とする。
もし$||u_\epsilon||^2_{H^1}\le C(||Du_\epsilon||^2_{L^2}+||u_\epsilon||^2_{L^2})< \infty$が言えれば、$u_\epsilon$はある$v\in H_1(S)$に弱収束する。mollifierの性質(iii)より$u_\epsilon\to u\in L^2(S)$であるから、$L^2(S)$における弱収束の一意性より$u=v\in H_1(S)$が従う。

$||u_\epsilon||^2_{H^1}$の評価)
\begin{align} (Du_\epsilon,\phi)_{L^2}&=(J_\epsilon u,D^\dagger\phi)_{L^2}=( u,J_\epsilon D^\dagger\phi)_{L^2}\\ &=( u,J_\epsilon D^\dagger\phi)_{L^2} =( u, D^\dagger J_\epsilon\phi)_{L^2}+( u, [J_\epsilon,D^\dagger ]\phi)_{L^2}\\ &=( f, J_\epsilon\phi)_{L^2}+( u, [J_\epsilon,D^\dagger ]\phi)_{L^2} \end{align}
より、$J_\epsilon,[J_\epsilon,D^\dagger]$の有界性を使うと
\begin{align} |(Du_\epsilon,\phi)_{L^2}| \le C_1||f||_{L^2}\cdot||\phi||_{L^2}+C_2 ||u||_{L^2}\cdot||\phi||_{L^2} \le C(u,f)||\phi||_{L^2} \end{align}
となり、$\phi=Du_\epsilon$とおくと
\begin{align} ||Du_\epsilon||_{L^2}\le C \end{align}
となる。$J_\epsilon$の有界性から$||u_\epsilon||^2_{L^2}<\infty$は明らかである。

$\bar Du=f$の証明)
$\bar D:H_1(S)\to L^2(S)$は有界作用素であるから、弱極限の性質を使うと、$\phi\in\Gamma(S)$に対して、
\begin{align} (\bar D u,\phi)_{L^2}&=\lim_{\epsilon_i\to0}(\bar D u_{\epsilon_i},\phi)_{L^2} =\lim_{\epsilon_i\to0}( u_{\epsilon_i},\bar D^\dagger\phi)_{L^2}\\ &=( u,\bar D^\dagger\phi)_{L^2}=( f,\phi)_{L^2} \end{align}
となる。よって$\bar Du=f$である。

命題1の

$f\in L^2(S)$に対して、ある$ u\in H_1(S)$があり、$\bar Du=f$が成り立つことと$Du=f$が弱い意味で成り立つことは同値である。

投稿日:212
更新日:214
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Submersion
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専門は相対論やLorentz幾何です。Einstein系の厳密解の構成や接触幾何の応用などの研究をしています。Ph.D保有者の中ではクソ雑魚の部類です。

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