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Chebyshev多項式のa類似について

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前に書いた2つの記事( Legendre多項式の変数付きの拡張について , Hermite多項式の変数付きの拡張について )において, Legendre多項式とHermite多項式のa類似というものを導入した. ここではChebyshev多項式のa類似を定義していくことにする. Chebyshev多項式はσn(x):=U2n(x),βn:=(12)nn! とすると, (0,1)区間で重み関数ta1(1t)b1であるようなJacobi多項式
ρn(a,b)(x)=(1)n(a)nn!k=0n(n,a+b+n1)kk!(a)kxk
を用いて,
σn(x)=1βnρn(12,32)(x)=(1)nk=0n(n,1+n)kk!(12)kxk
と表すことができる. よって, [a]n:=(a)nn!として,
σn(a)(x):=(1)nk=0n(n,1+n)kk!(a)kxk=1[a]nρn(a,2a)(x)
と定義すると良さそうに見える. 以下, このように定義されたa-Chebyshev多項式とa-Legendre多項式の関係を調べてみる. a-Legendre多項式をρn(a)(x):=ρn(a,1)(x)とする.

以下の等式が成り立つ.
01xn+a1ρm(a)(x)dx=n!(nm)!(a)n(a)n+m+1

証明手法(任意)

Jacobi多項式を用いて5F4のDougallの和公式を示す における命題1においてx1xと変数変換したものの特別な場合として従う.

以下の等式が成り立つ.
010k(b,c)kk!(a)kxk+a1ρm(a)(x)dx=Γ(a)Γ(1+abc)Γ(1+ab)Γ(1+ac)(b,c)m(1+ab,1+ac)m

前の補題とGaussの超幾何定理より,
010k(b,c)kk!(a)kxk+a1ρm(a)(x)dx=0k(b,c)kk!(a)kk!(km)!(a)k(a)m+k+1=0k(b,c)k+mk!(a)k+2m+1=(b,c)m(a)2m+1Γ(a+2m+1)Γ(1+abc)Γ(1+ab+m)Γ(1+ac+m)=Γ(a)Γ(1+abc)Γ(1+ab)Γ(1+ac)(b,c)m(1+ab,1+ac)m
となって示される.

bn,ca+b+nとすると, 以下を得る.

01(1)n(a+b)nn!0k(n,a+b+n)kk!(a)kxk+a1ρm(a)(x)dx=(b)nm(nm)!(a+b)n+m(a)n+m+1

Jacobi多項式を用いて書き直すと,
(a+b)n(a)n01ρn(a,b+1)(x)ρn(a)(x)dx=[b]nm(a+b)n+m(a)n+m+1
が成り立つことが分かる. よって, 直交性から

(a+b)n(a)nρn(a,b+1)(x)=k=0n[b]nk(a+b)n+k(a)n+k+1(2k+a)ρk(a)(x)
を得る. b=1aとしてa-Chebyshev多項式を用いて書き直すと,
σn(a)(x)=πak=0n[1a]nk[1a]n+k+a(2k+a)ρk(a)(x)
が示される. この関係を見ても, a-Chebyshev多項式はChebyshev多項式のa類似としていい感じに定義できていること分かる. a-Chebyshev多項式はa=1の場合にどうなっているかを考えてみると,
ρn(1)(x)=ρn(1)(x)=Pn(2x1)
となってLegendre多項式に一致する. よって, a=1の場合にはa-Chebyshev多項式とa-Legendre多項式の違いがなくなることが分かる. これは興味深い現象だと思う. これまでで, 基本的な4つ直交多項式(Laguerre多項式,Hermtie多項式,Chebyshev多項式,Legendre多項式)のa類似を構成することができた. それらをさらにq類似へ一般化することは今後の研究課題である.

投稿日:2024321
更新日:2024321
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Wataru
Wataru
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超幾何関数, 直交関数, 多重ゼータ値などに興味があります

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