長くなったので分割する。
ACC/DCCについて:
https://mathlog.info/articles/PeSr2Lte3hK3nF9hVlgF
有限長モジュラー束について:
https://mathlog.info/articles/22kDz0KDtWkeVCNkk6kA
$R$加群$M$がNoether加群である:⇔任意の部分加群の上昇列が有限で停滞する。
$R$加群$M$がArtin加群である:⇔任意の部分加群の下降列が有限で停滞する。
これはそれぞれ$K(M)$がACC/DCCを満たすことを意味している。
そこで、順序集合の議論によって$M$に関する命題を証明していこう。
自身を左加群としてみた時にNoether加群であるような環を左Noether環という。
(即ち、任意の左イデアルの上昇列が有限で停滞する環。)
右とArtinに関しても同様に定義する。
環$\mathbb{Z}$の全てのイデアルは$(n)$という形で表せる。$(n) \subset (m)$となるのは$m\ |\ n$の時だから、無限狭義上昇列は存在しない。従って、$\mathbb{Z}$は右Noether環かつ左Noether環である。
一方、素数$p$に対して、$(p) \supsetneq (p^2) \supsetneq (p^3) \supsetneq ...$という無限狭義下降列が取れるから、$\mathbb{Z}$は左Artin環でも右Artin環でもない。
加群の同型でNoether性とArtin性は引き継がれる。
$M \simeq N$とすると、$K(M) \simeq_{\mathrm{CMSLat}} K(N)$
よって、$K(M) \simeq_{\mathrm{Ord}} K(N)$
順序同型でACC/DCCは引き継がれる。
よって、$M$がNoetherなら、$K(M)$がACCとなり、$K(N)$がACCとなり、$N$がNoetherとなる。
Artinも同様。
$M$:$R$加群
$N \le M$
この時、
$M$がNoether ⇔ $N$と$M/N$がNoether
$M$がArtin ⇔ $N$と$M/N$がArtin
$K(M)$はモジュラー束であるから、
$K(M)$がACCを満たす ⇔ $↑^{K(M)}N$と$↓^{K(M)}N$がACCを満たす
$K(M)$がDCCを満たす ⇔ $↑^{K(M)}N$と$↓^{K(M)}N$がDCCを満たす
[1]の57ページとか
$(M_i)_{i=1}^n$:$R$加群の族
$\bigoplus_{i=1}^nM_i$がNoether ⇔ 各$M_i$がNoether
$M = M_1 \oplus \bigoplus_{i=2}^n \{0_{M_i}\}$と置く。
$M \simeq M_1$である。
$(\bigoplus_{i=1}^nM_i)/M \simeq \bigoplus_{i=2}^nM_i$であるから、
$\bigoplus_{i=1}^nM_i$がNoether ⇔ $M_1$と$\bigoplus_{i=2}^nM_i$がNoether
これを繰り返し使うと、
$\bigoplus_{i=1}^nM_i$がNoether ⇔ 各$M_i$がNoether
加群の直和と束を結びつける方法ってあるんですかね?
あった。
$$h:\prod_{i\in I} K\left(M_i\right)\rightarrow K\left(\bigoplus_{i\in I} M_i\right)$$
$$\left(N_i\right)_{i\in I}\mapsto\bigoplus_{i\in I} N_i$$
と置くと、これは順序埋め込み。
[順序を保つ]
$(N_i)_{i\in I} \le (L_i)_{i\in I}$とする。
$\bigoplus_{i\in I} N_i \le \bigoplus_{i\in I} L_i$である。
[順序を反映する]
$\bigoplus_{i\in I} N_i \le \bigoplus_{i\in I} L_i$とする。
$j \in I$を取る。
$a \in N_j$を取る。
$\iota_j(a) \in \bigoplus_{i\in I} N_i \le \bigoplus_{i\in I} L_i$である。
よって、$a \in L_j$
ゆえに、$N_j \le L_j$
従って、$(N_i)_{i\in I} \le (L_i)_{i\in I}$
必ずしも全射にはならない。
$R = \R,\ M_1 = M_2 = \R$と置く。
$L = \set{(r,r) \in \R^2 \mid r \in \R} \le \R^2$と置く。
この時、$K(M_1 \oplus M_2) = K(\R^2) \ni L$であるが、$L = N_1 \oplus N_2$となる$N_1 \le \R,\ N_2 \le \R$は存在しない。
何故なら、$L = N_1 \oplus N_2$と表せたと仮定すると、
$(1,1) \in L$であり、$L = N_1 \times N_2$であるから、$1 \in N_1,\ 1 \in N_2$が成り立つ。
従って、$N_1 = N_2 = \R$となるが、明らかに$L \not = \R^2$であり、これは矛盾。
$M$:$R$加群
$N \le M$
このとき、
$N$が有限生成 ⇔ $N$が$K(M)$の中で有限生成
[⇒]
$N = \sum_{i \in I}N_i$と表せたとする。($N_i \le N$)
$N$の有限生成系を$X$とする。
この時、各$x \in X$に対し、$x \in \sum_{i \in I}N_i$だから、
$x = \sum_{j=1}^nn_j$と表せる。($n_j \in \bigcup_{i \in I}N_i$)
各$j$に対し、$n_j \in N_i$なる$i \in I$を取り、$i_j$と表す。
$I_x = \{i_j\ |\ 1\le j \le n \}$と置く。
この時、$x \in \sum_{i \in I_x}N_i$
$J = \bigcup_{x \in X} I_x$と置くと、$J$は有限集合で、$X \subset \sum_{i \in J}N_i$
$\sum_{i \in J}N_i$は加群であり、$N$の生成系$X$を含むから、$\sum_{i \in J}N_i=N$
[⇐]
$N = \sum_{x \in N}Rx$である。
$N$は有限生成だから、ある$X \underset{fin}{\subset}N$があって、$N = \sum_{x \in X}Rx$
$M$がNoether加群 ⇔ $M$の任意の部分加群が有限生成
$M$がNoether ⇔ $K(M)$がACC ⇔ $K(M)$の任意の元が有限生成 ⇔ $M$の任意の部分加群が有限生成
$\{0\}$でないNoether加群は極大部分加群を持つ。
$\{0\}$でないArtin加群は極小部分加群を持つ。
$M\not=\{0\}$がNoether加群の時、$K(M)$はACCを満たすから、任意の空でない部分集合が極大元を持つ。よって、$K(M)\setminus\{M\}$が極大元を持つ。
Artinも同様。
$R$加群$M$の部分加群の有限列$M=M_0 \gt M_1 \gt \cdots M_n = \{0\}$について、全ての$0 \le i \le n-1$に対し、$M_i/M_{i+1}$が単純加群になっているとき、この列を組成列という。
この$M_i/M_{i+1}$を組成因子といい、
この$n$を組成列の長さという。($n+1$ではないことに注意)
$M$:$R$加群
$S < M$
$M/S$が単純加群 ⇔ $S \prec M$
従って、組成列とは$M = M_0 \succ M_1 \succ \cdots \succ M_n = \{0\}$の形をした列、即ち有限極大鎖と言ってよい。
[⇒]
$S \le T \le M$なる$T$を取ると、$\{0\} \le T/S \le M/S$
$M/S$は単純加群だから、$T/S = \{0\}$または$T/S=M/S$
従って、$T=S$または$T=M$
[⇐]
$M/S$の部分加群と$M$の$S$を含む部分加群は一対一に対応する。
$S \prec M$であるから、$M$の$S$を含む部分加群は$S$と$M$だけである。
従って、$M/S$の部分加群は$\{0\}$と$M/S$だけである。
$R$加群$M$が組成列を持つ ⇔ $M$がNoetherかつArtin
$K(M)$はモジュラー束であるから、
$M$が組成列を持つ ⇔ $K(M)$が有限極大鎖を持つ ⇔ $K(M)$がACCとDCCを満たす ⇔ $M$がNoetherかつArtin
$R$加群$M$が組成列を持てば、$M$のすべての組成列の長さは等しい
組成列を持つ加群$M$は有限長モジュラー束であるから、全ての有限極大鎖(組成列)の濃度は等しい。
$M$:$R$加群
$N_0,N_1 \le M$
この時、
$N_0/(N_0 \cap N_1) \simeq (N_0 + N_1)/N_1$
$f: N_0 → (N_0 + N_1)/N_1$
$n ↦ n + N_1$
と定める。
$f$は全射準同型で、$\ker(f) = N_0 \cap N_1$
よって、準同型定理より、$N_0/(N_0 \cap N_1) \simeq (N_0 + N_1)/N_1$
透視関係$\sim^*$について、(ページトップの有限長モジュラー束についてを参照)
$(M_1,M_0) \sim ^* (N_1,N_0) ⇒ M_0/M_1 \simeq N_0/N_1$
[$(M_1,M_0) \sim (N_1,N_0) ⇒ M_0/M_1 \simeq N_0/N_1$]
ダイヤモンド同型定理より、$M_0/(M_0 \cap N_1) \simeq (M_0+N_1)/N_1$
$(M_1,M_0) \sim (N_1,N_0)$より、
$M_1 = M_0 \wedge N_1$かつ$N_0 = M_0 \vee N_1$であるから、
$M_0/M_1 \simeq N_0/N_1$
[$(N_1,N_0) \sim (M_1,M_0) ⇒ M_0/M_1 \simeq N_0/N_1$]
同様に、$N_0/N_1 \simeq M_0/M_1$
従って、$(N_1,N_0) \sim' (M_1,M_0) ⇒ M_0/M_1 \simeq N_0/N_1$
$(M_1,M_0) \sim^* (N_1,N_0)$ということは、有限個の$\sim'$を乗り継いで関係を持つということであり、$\simeq$は推移律を満たすから、
$(N_1,N_0) \sim^* (M_1,M_0) ⇒ M_0/M_1 \simeq N_0/N_1$
NeotherかつArtinな$R$加群$M$から組成列を2つ取る。
$C:M=M_0 \succ M_1 \succ \cdots \succ M_n = \{0\}$
$D:M=N_0 \succ N_1 \succ \cdots \succ N_n = \{0\}$
このとき、ある置換$\sigma \in \mathfrak{S}_n$が存在して、$M_i/M_{i+1} \simeq N_{\sigma(i)}/N_{\sigma(i)+1}$
$K(M)$は有限長モジュラー束であるから、Jordan-Hölderの定理より、ある置換$\sigma$が存在して、
$(M_{i+1},M_i) \sim^* (N_{\sigma(i)+1},N_{\sigma(i)})$
従って、$M_i/M_{i+1} \simeq N_{\sigma(i)}/N_{\sigma(i)+1}$
NeotherかつArtinな$R$加群$M$に対して、$M$の高さを以下で定義する。
$c(M) = \rho(K(M))$
ただし、$\rho$は有限長モジュラー束の高さ関数。
NeotherかつArtinな$R$加群$M$と$N \le M$に対し、
$c(M) = c(N) + c(M/N)$
$c(M) = \rho(K(M))$
$c(N) = \rho(K(N)) = \rho(↓^{K(M)}N)$
$c(M/N) = \rho(K(M/N)) = \rho(↑^{K(M)}N)$
よって、$c(M) = c(N) + c(M/N)$
NeotherかつArtinな$R$加群の族$(M_i)_{i = 1}^{n}$に対し、
$c(\bigoplus_{i=1}^{n}M_i) = \sum_{i=1}^{n}c(M_i)$
$M = M_1 \oplus \bigoplus_{i=2}^{n}\{0\}$と置く。
$M \simeq M_1$である。
$\bigoplus_{i=1}^{n}M_i/M \simeq \bigoplus_{i=2}^{n}M_i$だから、
$c(\bigoplus_{i=1}^{n}M_i) = c(M_1) + c(\bigoplus_{i=2}^{n}M_i)$
これを繰り返し使って、
$c(\bigoplus_{i=1}^{n}M_i) = \sum_{i=1}^{n}c(M_i)$