この記事では, カタラン数の一般化であるRaney数
$$
R_{p, r}(k) = \frac{r}{pk+r}\binom{pk+r}{k}
$$
およびFuss-Catalan数
$$
C_p(k) = \frac{1}{pk+1}\binom{pk+1}{k}
$$
の母関数の諸性質を代数的に証明する.
記法は
前の記事
に従う.
以下, $p, q, r \in \mathbb{C}$ とし, すべての母関数は $\mathbb{C}[[x]]$ における形式的冪級数として扱う.
前の記事 で示したLagrange反転公式の以下の形式を用いる.
$w = x\phi(w)\in x\mathbb{C}[[x]]^{\times}$ のとき, 任意の形式的冪級数 $H(w)$ に対して次が成り立つ.
$$
\begin{align}
[x^n]H(w) &= \frac{1}{n}[w^{n-1}]H'(w)\phi(w)^n \tag{A}\\
[x^n]\frac{H(w)}{1-x\phi'(w)} &= [w^n]H(w)\phi(w)^n \tag{B}
\end{align}
$$
$w\in x\mathbb{C}[[x]]^{\times}$ を方程式 $w=x(1+w)^{p}$ を満たすものとする.
$k \ge 1$ のとき以下の計算が成り立つ.
$$
\begin{align*}
[x^k](1+w)^{r}
&=\frac{r}{k}[w^{k-1}](1+w)^{r-1}(1+w)^{pk}\quad (\because \text{式(A)})\\
&=\frac{r}{k}\binom{pk+r-1}{k-1}\\
&=\frac{r}{pk+r}\binom{pk+r}{k}
\end{align*}
$$
$k=0$ のとき, 両辺はいずれも $1$ となる. したがって, 両辺に $x^k$ をかけて $k\ge 0$ で和をとると, 以下のRaney数の母関数の閉形式を得る.
$$ \sum_{k \ge 0} \frac{r}{pk+r}\binom{pk+r}{k} x^k = (1+w)^r $$
特に $r=1$ とすると, 以下のFuss-Catalan数の母関数の閉形式を得る.
$$ \sum_{k \ge 0} \frac{1}{pk+1}\binom{pk+1}{k} x^k = 1+w $$
二項係数 $\binom{pn+q}{n}$ は次のように変形できる.
$$
\begin{align*}
\binom{pn+q}{n}
&=[w^n](1+w)^{pn+q}\\
&=[x^n]\frac{(1+w)^{q}}{1-px(1+w)^{p-1}} \quad (\because \text{式(B)})\\
&=[x^n]\frac{(1+w)^q}{1-p\frac{w}{1+w}}\quad (\because x(1+w)^{p-1}=\frac{w}{1+w})\\
&=[x^n]\frac{(1+w)^{q+1}}{1-(p-1)w}
\end{align*}
$$
両辺に $x^n$ をかけて $n\ge0$ で和をとると, 以下の一般化された二項係数の母関数の閉形式を得る.
$$ \sum_{n \ge 0} \binom{pn+q}{n} x^n = \frac{(1+w)^{q+1}}{1-(p-1)w} $$
以下, $p\ne 1$とする.
$$
\frac{dx}{dw}=\frac{1-(p-1)w}{(1+w)^{p+1}}
$$
であり, $x'(0)=1 \neq 0$より原点$w=0$のある近傍において$x(w)$は正則単葉となる. また, 導関数が0となる臨界点$w=\frac{1}{p-1}$における$x$の値は$x=\frac{(p-1)^{p-1}}{p^p}$である. したがって, 原点を含み, 境界が$|x|=R=\left|\frac{(p-1)^{p-1}}{p^p}\right|$に移されるような$w$平面上の領域が存在する. この領域内から$w$を選べば, $x(w)$は収束円の内部$|x|< R$と一対一に対応するため, 級数への代入は解析的に正当化される.
例えば, $p=4, w=1/6$ととれば$x=\frac{6^3}{7^4}$となり, これは収束円内にあるため, 以下の和を得る.
$$
\sum_{n \ge 0} \binom{4n+q}{n} \frac{6^{3n}}{7^{4n}} = 2 \left( \frac{7}{6} \right)^{q+1}
$$