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ラグランジュ反転公式の応用(3)

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ラグランジュ反転公式
ラグランジュ反転公式の応用(1)
ラグランジュ反転公式の応用(2)

ラグランジュ反転公式

$n[x^n]f^{-1}(x)^m=m[x^{-m}]f(x)^{-n}$

この記事では$f(x)=x-x^p$($p$は整数)の逆関数を考えます.

$\begin{aligned} m[x^{-m}]f(x)^{-n}&=m[x^{-m}]x^{-n}(1-x^{p-1})^{-n}\\ &=m[x^{n-m}](1-x^{p-1})^{-n}\\ &=m[x^{n-m}]\sum_{k=0}^\infty\binom{k+n-1}{k}x^{k(p-1)}\\ \end{aligned}$

となり,これは$n-m$$p-1$の倍数のとき以外は値が$0$となるので
$f^{-1}(x)^m=\displaystyle\sum_{k=0}^{\infty}\dfrac{m}{k(p-1)+m}\binom{kp+m-1}{k}x^{k(p-1)+m}$
を得る.
特に$m=1$として,
$f^{-1}(x)=\displaystyle\sum_{k=0}^{\infty}\dfrac{1}{k(p-1)+1}\binom{kp}{k}x^{k(p-1)+1}$
である.

ここで,$g(x)=\displaystyle\sum_{k=0}^{\infty}\binom{kp}{k}x^{k(p-1)}$とおくと,$\dfrac{d}{dx}f^{-1}(x)=g(x)$である.
また,$$f^{-1}(x)-f^{-1}(x)^p=x\tag{1}$$の両辺を$x$で微分すると$g(x)-pg(x)f^{-1}(x)^{p-1}=1$となっており,$$f^{-1}(x)^{p-1}=\dfrac{g(x)-1}{pg(x)}\tag{2}$$を得る.
これら$2$式より,$$x^{p-1}=(f^{-1}(x)-f^{-1}(x)^p)^{p-1}=\dfrac{g(x)-1}{pg(x)}\left(1-\dfrac{g(x)-1}{pg(x)}\right)^{p-1}$$がわかり,整理すると$$p^px^{p-1}g(x)^p=(g(x)-1)((p-1)g(x)+1)^{p-1}$$となる.$x^{p-1}$$x$に換えると次の定理が得られる.

$g(x)=\displaystyle\sum_{k=0}^{\infty}\binom{kp}{k}x^{k}$とおいたとき,$$p^pxg(x)^p=(g(x)-1)((p-1)g(x)+1)^{p-1}$$

$t$$1$に十分近いとき,$x=\dfrac{(t-1)((p-1)t+1)^{p-1}}{p^pt^p}$とおくと,$t=\displaystyle\sum_{k=0}^{\infty}\binom{kp}{k}x^{k}$

証明定理2,$g(0)=1$$g$の連続性より従う.

この系を用いると, このツイート のような式が得られます.
$$\sum_{n=0}^\infty\binom{4n}{n}\frac{4^{3n}}{5^{4n}}=5$$
$$\sum_{n=0}^\infty\binom{4n}{n}\frac{5^{3n}}{6^{4n}}=3$$
$$\sum_{n=0}^\infty\binom{4n}{n}\frac{7^{3n}}{8^{4n}}=2$$

投稿日:20231124
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tria_math
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