本記事では
- 位相空間にはハウスドルフ性を仮定する(補遺を除く);
- 左作用を考える:.それに合わせて
- また,の積はで定める.このとき
は連続な群準同型となる.
復習:固有作用
を作用とする.[6, 補題7]より任意のコンパクト集合に対しては閉集合であることに注意する.
( [6, 命題13] )
次は同値である:
- は固有作用である;
- 任意のコンパクト集合に対しては(相対)コンパクトである.
任意のに対して,その開近傍であってが相対コンパクトとなるものが存在するとき,を半完全作用という(ことにする).
( [6, 定理20] )
を局所コンパクト群とする.このとき次は同値である:
- は完全作用である;
- は半完全なハウスドルフ作用である;
- 任意のに対して,それらの開近傍であってが相対コンパクトとなるものが存在する.
等長変換群の位相と作用
等長変換群
を距離空間とする.
- 写像であって
を満たすものを等長埋め込みという. - 全射等長埋め込みを等長同型(写像)(isometry)という.
- 距離空間の自己等長同型全体のなす群をの等長変換群といいで表わす.
- 等長埋め込みは単射連続写像である.
- 以下,距離函数を単にと略記する.
の基本開集合に対して,
と略記する.
- が連続であることを示せばよい.
- とする.
- 各に対して,正数であってとなるものが存在する.
- はの開被覆であるからであってとなるものが存在する.
- 以下,が成り立つことを示す.
- とする.任意のに対して
よりが成り立つ. - よってが成り立つ.
を局所コンパクト距離空間とする.このとき次が成り立つ:
- 等長変換群はハウスドルフ位相群である;
- は連続作用である.
- 距離空間はハウスドルフなのではハウスドルフである.
- 仮定よりは局所コンパクトハウスドルフ空間であるから合成およびは連続である.
- あとはが連続であることを示せばよい.
- とする.
- 正数であってとなるものが存在する.
- このときである.
- また,とすると
よりとなるので,が成り立つ.
固有距離空間についての補足
- Euclid空間は固有距離空間である(Heine-Borel);
- 連結な完備Riemann多様体は固有距離空間である(Hopf-Rinow);
- 固有距離空間の閉部分空間,あるいは有限個の固有距離空間の直積空間はまた固有距離空間である.
を固有距離空間とする.このとき次が成り立つ:
- は局所コンパクト空間である;
- はコンパクト空間である;
- はLindelöf空間である;
- は第2可算空間である.
- 各点に対してはそのコンパクト近傍である.
- を取る.このときとなるので,はコンパクトである.
- をの開被覆とする.各に対してはの開被覆であるから有限部分被覆を持つ.それらを合わせることで可算部分被覆を得る.
- Lindelöf距離空間は第2可算である(cf. [Dugundji,IX.5.6]).
固有距離空間の等長変換群
( [Ratcliffe, p.161, Lemma 6] )
が固有距離空間なのでは第1可算であることに注意する(命題21).
とし,に収束するの点列を取る.となることを示せばよい.
が等長埋め込みであること
とする.いまはに各点収束しているので
が成り立つ.
が全射であること
- を取る.任意のに対してが成り立つことを示せばよい.
- とする.となったとすると,が取れる.
- はハウスドルフ空間のコンパクト集合ゆえ閉集合なので
が定まる.に注意する. - いまであるから,コンパクト集合と正数に対して,であって
となるものが存在する.したがって
よりとなるので,であってとなるものが存在する. - ところが,このとき
となり不合理である.
固有距離空間は局所コンパクトであるから作用が定まるが,より強く次が成り立つ:
( [Kramer, Theorem 2.2] )
[Kramer] の証明がよくわからなかったので,[Ratcliffe, Theorem 5.3.5] の証明を参考にした.
とおく.
をコンパクト集合とする.
- 写像族は同程度連続である:任意のに対してとおくと,これはの開近傍であり
が成り立つ. - 各に対しては相対コンパクトである:を取る.任意のに対して,であってとなるものが存在するので
より,が成り立つ.したがってとなるので結論を得る.
よってArzela-Ascoliの定理よりはコンパクトである.補題6よりは閉集合なので,コンパクト空間の閉集合
はコンパクトである.
距離的固有作用
を距離空間への作用とする.任意のに対してとなるときを等長作用という.
命題1を踏まえて(であろうと思われる),次のように定義する:
を等長作用とする.任意の有界集合に対してが相対コンパクトとなるとき,を距離的固有作用という.
距離空間のコンパクト集合は有界であるから距離的固有作用は固有作用(完全作用)である.
を固有距離空間とする.このときへの固有な等長作用は距離的固有作用である.
を有界集合とする.仮定よりはコンパクトでありとなるのでは相対コンパクトである.
( [Drutu-Kapovich, Exercise 5.41] )
を等長作用とする.このとき次は同値である:
- は距離的固有作用である;
- ;
- .
任意のに対して
は閉集合であることに注意する.
(i)(ii)
より結論を得る.
(ii)(iii)
(より)明らか.
(iii)(i)
- を有界集合とする.
- 正数であってとなるものが存在する.
- とする.
- であってとなるものが存在するので
が成り立つ. - よってが成り立つ.
命題9の
を離散群,を等長作用とする.このとき次は同値である:
- は距離的固有作用である;
- ;
- .
離散群の等長作用と等長変換群の離散部分群
を距離空間,を離散群,を等長作用とする.このとき次は同値である:
- は固有作用である;
- 任意のに対して,その安定化群は有限集合であり軌道は離散(閉)集合である;
- は半完全作用である.
(i)(ii)
とする.仮定よりは完全写像であるから
は完全写像である.よって
- はコンパクト,したがって有限集合である;
- は閉集合である.
また,より,は単射完全写像を誘導する.よっては離散集合である.
(ii)(iii)
とする.が離散集合であることから,であってとなるものが存在する.そこでとおく.とする.このときであってとなるものが存在する.したがって
となるので,,すなわちを得る.よってよりは有限集合である.
(iii)(i)
- をコンパクト集合とする.
- 各に対してであってが有限集合となるものが存在する.はの開被覆であるからであってとなるものが存在する.
- 各に対して,であってとなるものが存在する.したがって写像が定まる.
- ここでであったとすると,であってとなるものが存在する.よりであるから,としてよい.
- とすると,であってとなるものが存在するので
よりを得る. - よって任意のに対して,
よりが成り立つ(ただしとおいた). - これはが有限集合であることに反する.
ハウスドルフ群による位相空間への作用が,ある点において命題10の条件(ii)を満たしたとする.このときは離散群であることがわかる.実際,
は単位元の開近傍であり,は有限集合ゆえ閉集合であるからは開集合となる.
- をハウスドルフ群としをその離散部分群とする.
- 単位元の開近傍であってとなるものが存在する.
- であるから,とおくと,これはの開近傍であってを満たす.
- とする.
- となるからを取る.
- このときであり,よりとなる.
- さて,もしであるとすると,はの開近傍であるから
となり不合理である.
- よってを得る.
を作用とする.となるとき,を効果的(effective)あるいは忠実(faithful)な作用という.
- 作用が効果的であるとは群準同型が単射であるということに他ならない.したがって作用が効果的ならば,群同型によりと見做せる.
- たとえば自由な作用は効果的である.
( [Kramer, Proposition 2.4] )
を局所コンパクト距離空間,を位相群,を固有な等長作用とする.このとき次が成り立つ:
- が効果的作用ならば,となる;
- が開集合ならば,は離散集合である.
ハウスドルフ空間への作用,位相群の準同型,同変完全写像に対して命題17を適用することで,は完全写像であることがわかる.
- このときは単射閉写像であるから,が成り立つ.
- 完全写像は離散群からの単射完全写像を誘導する.よって
は離散集合である.
を固有距離空間,を離散群,を効果的等長作用とする.このとき次は同値である:
- は距離的固有作用である;
- は固有作用である;
- は半完全作用である;
- 任意のに対して,その安定化群は有限集合であり軌道は離散(閉)集合である;
- は離散集合である;
- は離散集合である,すなわち有限個の点および正数であってとなるものが存在する.
- 命題8,命題10より(i)から(iv)は(効果的とは限らない等長作用に関して)同値である.
- 補題3より(v)(vi)である.
- 命題12より(ii)(v)であるから,あとは(v)(ii)を示せばよい.
(v)(ii)
仮定よりは閉集合であるから,固有作用の閉部分群への制限はまた固有作用である.よって
は固有写像である.
として包含写像を考えることで次を得る:
固有距離空間に対する,等長変換群の離散部分群による作用は固有である.
を固有距離空間とする.このとき等長変換群の任意の離散部分群は可算集合である.
を取る.いまの作用は距離的固有なので,各に対してはコンパクト,したがって有限集合である.よって
は可算集合である.
補遺:完全写像の性質
を連続写像とする.このとき次が成り立つ:
- が完全写像ならば,も完全写像である;
- が全射でが完全写像ならば,は完全写像である;
- が単射でが完全写像ならば,は完全写像である.
- 完全写像は固有写像であることと,閉写像の合成が閉写像であることからしたがう.
- 任意のに対してはコンパクトである.また,任意の閉集合に対しては閉集合である.
- 任意のに対してはコンパクトである.また,任意の閉集合に対しては閉集合である.
を完全写像とする.このとき積写像も完全写像である.
がBourbaki固有写像であることを示せばよい.
を位相空間とする.仮定より
及び
は閉写像であるから,それらの合成
も閉写像である.
を連続写像,をハウスドルフ空間とする.このとき合成が完全写像ならばは完全写像である.
連続写像およびをそれぞれで定める.このときがハウスドルフであることから
は閉集合である.したがって閉埋め込みは完全写像である.または完全写像であるから合成は完全写像である.よっての単射性よりが完全写像であることがしたがう.
( [Kramer, Lemma 1.7] )
をハウスドルフ空間への作用,をハウスドルフ群の準同型,を同変完全写像とする.このときが完全作用ならばは完全写像である.
以下の可換図式を考える:
仮定よりはハウスドルフ空間であっては完全写像であるからは完全写像である.よって
は完全写像である.
補遺:写像空間の位相
[Dugundji, Chap. XII] に拠る.
コンパクト開位相
を位相空間とする.
- からへの連続写像全体のなす集合をと書く.
- 部分集合に対して
とおく.またをと略記する. - によって生成される位相をコンパクト開位相という.
- にコンパクト開位相を与えた空間をと書く.
を位相空間とする.このとき次は同値である:
- はハウスドルフ空間である;
- はハウスドルフ空間である.
(i)(ii)
とするとであってとなるものが存在する.仮定よりの開近傍であってとなるものが存在する.このとき
が成り立つ.
(ii)(i)
がの部分空間と同相であることを示せばよい.各に対して連続写像をで定める.このときより
は埋め込みである.
を位相空間とする.写像
を考える.
- 任意のに対しては連続である;
- が局所コンパクトハウスドルフ空間ならばは連続である.
とする.
- であり,任意のに対してが成り立つ.
- はコンパクト集合の開近傍であるから相対コンパクト開集合であって
となるものが存在する.このときでありが成り立つ.
命題19の
を位相空間とする.写像
を考える.
- 任意のに対しては連続である;
- が局所コンパクトハウスドルフ空間ならばは連続である.
を位相空間とする.
- が連続ならばは連続である;
- を局所コンパクトハウスドルフ空間とする.このときが連続ならばは連続である.
- とする.このときはの開近傍なのでの開近傍であってとなるものが存在する.したがってが成り立つ.
- 仮定よりは連続なので
は連続である.
が局所コンパクトハウスドルフ第2可算空間,が第2可算空間ならば,は第2可算空間である.
( [Deo-Varadarajan, Proposition 16] )
- を相対コンパクト開集合からなるの開基,をの開基とする.このときがの準開基となることを示す.
- とする.
- 各に対して,よりであって
となるものが存在する.いまは局所コンパクトハウスドルフなので,の開近傍に対して,の相対コンパクト開近傍であって
となるものが存在する.はの開基であるから,であって
となるものが存在する. - はの開被覆であるからであってとなるものが存在する.
- 各に対して
となるので,が成り立つ.また,任意のに対して
よりが成り立つ. - 以上より
が成り立つ. - 可算集合の有限部分集合全体のなす集合は可算集合なので結論を得る.
コンパクト収束と各点収束
を位相空間,を距離空間とする.
をの点列とし,を写像とする.任意のコンパクト集合と正数に対して正整数であって
が成り立つようなものが存在するとき,はにコンパクト収束するといいで表わす.
とする.このとき任意のコンパクト集合に対しては連続である.とくにがコンパクト生成ハウスドルフ空間ならばは連続である.
とする.仮定よりであって
となるものが存在する.このとき任意のに対して
が成り立つ.
をコンパクトハウスドルフ空間とする.このとき任意の有限開被覆に対して有限開被覆であってとなるものが存在する.
はコンパクト集合の開近傍であるから,開集合であって
となるものが存在する.このときはまたの開被覆であるから,に対しても同様にをで置き換えていけばよい.
をハウスドルフ空間,を距離空間とする.について次は同値である:
- 点列がコンパクト開位相に関してに収束する;
- となる.
(i)(ii)
をコンパクト集合としとする.各に対してその開近傍であってとなるものが存在する.はの開被覆であるからであってとなるものが存在する.コンパクトハウスドルフ空間の有限開被覆に対して補題23を適用することでコンパクト集合であってとなるものを得る.このときであるから,正整数であって
となるものが存在する.とするとより
となる.
(ii)(i)
とする.はコンパクト,は閉集合でありであるから正数が定まる.したがって正整数が存在する.とする.このとき各に対してよりを得る.したがってが成り立つ.
を位相空間とする.
- を直積の部分集合と見做して相対位相を与えたものをと書く.
- 各と開集合に対してであるからの位相はを準開基とする位相である.
- したがっての点列がにこの位相に関して収束することは,任意のに対してすなわちとなることに他ならない.
- そこでこの位相を各点収束位相という.
- とくに各はコンパクトであるから
は連続である.
Arzela-Ascoliの定理
を位相空間,を距離空間とし,とする.任意のとに対して,の開近傍であって
が成り立つものが存在するとき,は同程度連続(equicontinuous)であるという.
(Arzela-Ascoli)
を位相空間,を距離空間とし,とする.
- が同程度連続であり,
- 任意のに対して,が相対コンパクトであるとする.
このときは相対コンパクトである.
( [Munkres, Theorem 47.1] )
とおく.
- よりはコンパクト空間の閉部分集合であるからコンパクトである.
- つぎにを示す.
- とする.
- とする.仮定よりの開近傍であって
となるものが存在する.このときが成り立つことを示す. - とする.
とおくと,これはの開近傍であるからが取れる.したがって
が成り立つ. - よってとなる.
- はに依らずに取れていたことに注意すると,が同程度連続であることがわかる.
- 最後にを示す.
- とする.とおく.
- の同等連続性より,各に対してその開近傍であって
となるものが存在する.はの開被覆であるからであってとなるものが存在する. - このときとなることを示す.
- とする.任意のに対して
よりが成り立つ. - よってが成り立つ.
- 以上より,コンパクト集合の部分集合は相対コンパクトである(がハウスドルフであることに注意する).
を第2可算空間とする.このとき次は同値である:
- はコンパクトである;
- は点列コンパクトである.
(i)(ii)
をの点列とする.各に対して
とおく.これらは空でないの閉集合でありを満たす.したがってが成り立つ.そこでを取る.いまは第1可算空間なのでの可算近傍基が取れる.必要ならをで置き換えることでとしてよい.このとき次のようにしてに収束する部分列が得られる:
(ii)(i)
第2可算空間はLindelöfなので,が可算コンパクトであることを示せばよい.そこでが可算コンパクトでないと仮定する.このときの可算開被覆であって有限部分被覆を持たないものが存在する.したがって各に対して
が取れる.ところで任意のに対して,であってとなるものが存在するので
が成り立つことになり,点列は収束部分列を持ち得ない.
を固有距離空間とする.の点列が
を満たすならば,点列は収束部分列を持つ(写像族に対してArzela-Ascoliの定理を適用すればよい).極限写像をとすると
となる.