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大学数学基礎解説
文献あり

等長変換群の離散部分群と固有作用

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$$\newcommand{ev}[0]{\mathrm{ev}} \newcommand{id}[0]{\mathrm{id}} \newcommand{Isom}[0]{\mathrm{Isom}} \newcommand{supp}[1]{\mathrm{supp}(#1)} $$

本記事では

  • 位相空間はハウスドルフ性を仮定する(補遺を除く);
  • 左作用を考える:$\alpha \colon G \times X \to X$.それに合わせて
    • $\tilde{\alpha} \colon G \times X \to X \times X;\ (g,x) \mapsto (g \cdot x,x)$と定め,
    • $A,B \subset X$に対して$G_{A,B} = \{g \in G\ |\ g(A) \cap B \neq \varnothing\}$とおく.
  • また,$\mathrm{Homeo}(X)$の積は$(f,g) \mapsto f \circ g$で定める.このとき
    $$ \hat{\alpha} \colon G \to \mathrm{Homeo}_{co}(X);\ g \mapsto \alpha_{g} := \alpha(g,\cdot)$$
    は連続な群準同型となる.

復習:固有作用

$\alpha \colon G \times X \to X$を作用とする.[6, 補題7]より任意のコンパクト集合$K \subset X$に対して$G_{K} \subset G$は閉集合であることに注意する.

( [6, 命題13] )

次は同値である:

  1. $\alpha$は固有作用である;
  2. 任意のコンパクト集合$K \subset X$に対して$G_{K} \subset G$は(相対)コンパクトである.

任意の$x \in X$に対して,その開近傍$U \subset X$であって$G_{U} \subset G$が相対コンパクトとなるものが存在するとき,$\alpha$半完全作用という(ことにする).

( [6, 定理20] )

$G$を局所コンパクト群とする.このとき次は同値である:

  1. $\alpha$は完全作用である;
  2. $\alpha$は半完全なハウスドルフ作用である;
  3. 任意の$x,y \in X$に対して,それらの開近傍$U,V \subset X$であって$G_{U,V} \subset G$が相対コンパクトとなるものが存在する.

https://math.stackexchange.com/questions/1082834/properly-discontinuous-action-equivalent-definitions の例によると「半完全$\Rightarrow$固有」は一般には成り立たない.一方,$X \times X$がコンパクト生成ハウスドルフ空間となるような$X$への局所コンパクト群による作用については「固有$\Leftrightarrow$完全$\Rightarrow$半完全」が成り立つ(cf. 命題10).

等長変換群の位相と作用

等長変換群

$(X,d_{X}),(Y,d_{Y})$を距離空間とする.

  • 写像$f \colon X \to Y$であって
    $$ \forall x,x' \in X, d_{Y}(f(x),f(x')) = d_{X}(x,x')$$
    を満たすものを等長埋め込みという.
  • 全射等長埋め込みを等長同型(写像)(isometry)という.
  • 距離空間$X$の自己等長同型全体のなす群を$X$等長変換群といい$\Isom(X)$で表わす.
  • 等長埋め込みは単射連続写像である.
  • 以下,距離函数$d_{X}$を単に$d$と略記する.

距離空間$X$の等長変換群について,$\Isom_{co}(X) \approx \Isom_{p}(X)$が成り立つ.

$C_{co}(X) := C_{co}(X,X)$の基本開集合$[K,V]$に対して,
$$ [K,V]' = [K,V] \cap \Isom(X)$$
と略記する.

  • $\id \colon \Isom_{p}(X) \to \Isom_{co}(X)$が連続であることを示せばよい.
  • $f \in [K,V]'$とする.
    • $x \in K$に対して,正数$r(x) > 0$であって$B(x;r(x)) \subset f^{-1}(V)$となるものが存在する.
    • $(B(x;r(x)/2))_{x \in K}$$K$の開被覆であるから$x_{1},\ldots,x_{n} \in K$であって$K \subset \bigcup B(x_{i};r(x_{i})/2)$となるものが存在する.
  • 以下,$\bigcap [x_{i},B(f(x_{i});r(x_{i})/2)]' \subset [K,V]'$が成り立つことを示す.
    • $g \in \mathrm{LHS}$とする.任意の$x \in B(x_{i};r(x_{i})/2) \cap K$に対して
      \begin{align} d(g(x),f(x_{i})) &\leq d(g(x),g(x_{i})) + d(g(x_{i}),f(x_{i}))\\ &= d(x,x_{i}) + d(g(x_{i}),f(x_{i}))\\ &< \frac{r(x_{i})}{2} + \frac{r(x_{i})}{2} = r(x_{i}) \end{align}
      より$g(x) \in B(f(x_{i});r(x_{i})) = f(B(x_{i};r(x_{i}))) \subset V$が成り立つ.
    • よって$g(K) \subset V$が成り立つ.

$X$を局所コンパクト距離空間とする.このとき次が成り立つ:

  • 等長変換群$\Isom_{co}(X)$はハウスドルフ位相群である;
  • $\ev \colon \Isom_{co}(X) \times X \to X;\ (f,x) \mapsto f(x)$は連続作用である.
  • 距離空間はハウスドルフなので$\Isom_{co}(X)$はハウスドルフである.
  • 仮定より$X$は局所コンパクトハウスドルフ空間であるから合成$(f,g) \mapsto f \circ g$および$\ev$は連続である.
  • あとは$\iota \colon \Isom_{p}(X) \to \Isom_{p}(X);\ f \mapsto f^{-1}$が連続であることを示せばよい.
  • $f^{-1} \in [x,V]'$とする.
    • 正数$r > 0$であって$B(f^{-1}(x);r) \subset V$となるものが存在する.
    • このとき$f \in [f^{-1}(x),B(x;r)]'$である.
    • また,$g \in [f^{-1}(x),B(x;r)]'$とすると
      $$ d(g^{-1}(x),f^{-1}(x)) = d(x,g(f^{-1}(x))) < r$$
      より$g^{-1}(x) \in B(f^{-1}(x);r) \subset V$となるので,$\iota([f^{-1}(x),B(x;r)]') \subset [x,V]'$が成り立つ.

固有距離空間についての補足

  • Euclid空間は固有距離空間である(Heine-Borel);
  • 連結な完備Riemann多様体は固有距離空間である(Hopf-Rinow);
  • 固有距離空間の閉部分空間,あるいは有限個の固有距離空間の直積空間はまた固有距離空間である.

$X$を固有距離空間とする.このとき次が成り立つ:

  1. $X$は局所コンパクト空間である;
  2. $X$$\sigma$コンパクト空間である;
  3. $X$はLindelöf空間である;
  4. $X$は第2可算空間である.
  1. 各点$x \in X$に対して$\overline{B}(x;1)$はそのコンパクト近傍である.
  2. $x_{0} \in X$を取る.このとき$X = \bigcup_{n \in \mathbb{N}} \overline{B}(x_{0};n)$となるので,$X$$\sigma$コンパクトである.
  3. $\mathcal{U}$$X$の開被覆とする.各$n \in \mathbb{N}$に対して$\mathcal{U}$$\overline{B}(x_{0};n)$の開被覆であるから有限部分被覆を持つ.それらを合わせることで可算部分被覆を得る.
  4. Lindelöf距離空間は第2可算である(cf. [Dugundji,IX.5.6]).

固有距離空間の等長変換群

$X$を固有距離空間とする.このとき$\Isom_{co}(X) \subset C_{co}(X)$は閉集合である.

( [Ratcliffe, p.161, Lemma 6] )

$X$が固有距離空間なので$C_{co}(X)$は第1可算であることに注意する(命題21).
$f \in \overline{\Isom_{co}(X)}$とし,$f$に収束する$\Isom_{co}(X)$の点列$(f_{n})_{n}$を取る.$f \in \Isom_{co}(X)$となることを示せばよい.

$f$が等長埋め込みであること

$x,y \in X$とする.いま$(f_{n})_{n}$$f$に各点収束しているので
$$ d(f(x),f(y)) = \lim_{n \to \infty} d(f_{n}(x),f_{n}(y)) = \lim_{n \to \infty} d(x,y) = d(x,y)$$
が成り立つ.

$f$が全射であること

  • $x_{0} \in X$を取る.任意の$r > 0$に対して$\overline{B}(f(x_{0});r) \subset f(\overline{B}(x_{0};2r))$が成り立つことを示せばよい.
  • $r > 0$とする.$\overline{B}(f(x_{0});r) \not\subset f(\overline{B}(x_{0};2r))$となったとすると,$y \in \overline{B}(f(x_{0});r) \smallsetminus f(\overline{B}(x_{0};2r))$が取れる.
  • $f(\overline{B}(x_{0};2r)) \subset X$はハウスドルフ空間のコンパクト集合ゆえ閉集合なので
    $$ s := \mathrm{dist}(y,f(\overline{B}(x_{0};2r))) > 0$$
    が定まる.$s \leq d(y,f(x_{0})) \leq r$に注意する.
  • いま$f_{n} \xrightarrow[cpt]{} f$であるから,コンパクト集合$\overline{B}(x_{0};2r)$と正数$s > 0$に対して,$n_{0} \in \mathbb{N}$であって
    $$ \forall x \in \overline{B}(x_{0};2r),\ d(f_{n_{0}}(x),f(x)) < s$$
    となるものが存在する.したがって
    $$ d(y,f_{n_{0}}(x_{0})) \leq d(y,f(x_{0})) + d(f(x_{0}),f_{n_{0}}(x_{0})) \leq r + s \leq 2r$$
    より$y \in \overline{B}(f_{n_{0}}(x_{0});2r) = f_{n_{0}}(\overline{B}(x_{0};2r))$となるので,$x \in \overline{B}(x_{0};2r)$であって$y = f_{n_{0}}(x)$となるものが存在する.
  • ところが,このとき
    $$ s \leq d(y,f(x)) = d(f_{n_{0}}(x),f(x)) < s$$
    となり不合理である.

固有距離空間は局所コンパクトであるから作用$\ev$が定まるが,より強く次が成り立つ:

( [Kramer, Theorem 2.2] )

$X$を固有距離空間とする.このとき$\ev \colon \Isom_{co}(X) \times X \to X$は固有作用である.

[Kramer] の証明がよくわからなかったので,[Ratcliffe, Theorem 5.3.5] の証明を参考にした.

$G = \Isom_{co}(X)$とおく.
$K \subset X$をコンパクト集合とする.

  • 写像族$G_{K}$は同程度連続である:任意の$x \in X, \varepsilon > 0$に対して$U = B(x;\varepsilon)$とおくと,これは$x$の開近傍であり
    $$ \forall g \in G_{K},\ g(U) = B(g(x);\varepsilon)$$
    が成り立つ.
  • $x \in X$に対して$\ev_{x}(G_{K}) \subset X$は相対コンパクトである:$a \in K$を取る.任意の$g \in G_{K}$に対して,$b \in K$であって$g(b) \in K$となるものが存在するので
    \begin{align} d(a,g(x)) &\leq d(a,g(b)) + d(g(b),g(a)) + d(g(a),g(x))\\ &= d(a,g(b)) + d(a,b) + d(a,x)\\ &\leq 2 \mathrm{diam}(K) + d(a,x) =: r \end{align}
    より,$g(x) \in \overline{B}(a;r)$が成り立つ.したがって$\ev_{x}(G_{K}) \subset \overline{B}(a;r)$となるので結論を得る.

よってArzela-Ascoliの定理より$\overline{G_{K}} \subset C_{co}(X)$はコンパクトである.補題6より$G \subset C_{co}(X)$は閉集合なので,コンパクト空間$\overline{G_{K}}$の閉集合
$$ G_{K} = \mathrm{cl}_{G}(G_{K}) = \overline{G_{K}} \cap G$$
はコンパクトである.

距離的固有作用

$\alpha \colon G \times X \to X$を距離空間への作用とする.任意の$g \in G$に対して$\alpha_{g} \in \Isom(X)$となるとき$\alpha$等長作用という.

命題1を踏まえて(であろうと思われる),次のように定義する:

$\alpha \colon G \times X \to X$を等長作用とする.任意の有界集合$B \subset X$に対して$G_{B} \subset G$が相対コンパクトとなるとき,$\alpha$距離的固有作用という.

距離空間のコンパクト集合は有界であるから距離的固有作用は固有作用($\Leftrightarrow$完全作用)である.

$X$を固有距離空間とする.このとき$X$への固有な等長作用は距離的固有作用である.

$B \subset X$を有界集合とする.仮定より$\overline{B} \subset X$はコンパクトであり$G_{B} \subset G_{\overline{B}}$となるので$G_{B} \subset G$は相対コンパクトである.

( [Drutu-Kapovich, Exercise 5.41] )

$\alpha \colon G \times X \to X$を等長作用とする.このとき次は同値である:

  1. $\alpha$は距離的固有作用である;
  2. $\forall x \in X, \forall r \in \mathbb{R}_{\geq 0},\ \{g \in G\ |\ d(g(x),x) \leq r\} \subset G:\text{compact}$;
  3. $\exists x \in X, \forall r \in \mathbb{R}_{\geq 0},\ \{g \in G\ |\ d(g(x),x) \leq r\} \subset G:\text{compact}$.

任意の$x \in X, r \geq 0$に対して
$$ \{g \in G\ |\ d(g(x),x) \leq r\} = (d_{x} \circ \ev_{x} \circ \hat{\alpha})^{-1}([0,r]) \subset G $$
は閉集合であることに注意する.

(i)$\Rightarrow$(ii)

$\{g \in G\ |\ d(g(x),x) \leq r\} = \{g \in G\ |\ g(x) \in B(x;r)\} \subset G_{B(x;r)}$より結論を得る.

(ii)$\Rightarrow$(iii)

$X \neq \varnothing$より)明らか.

(iii)$\Rightarrow$(i)

  • $B \subset X$を有界集合とする.
  • 正数$r > 0$であって$B \subset B(x;r/2)$となるものが存在する.
  • $g \in G_{B}$とする.
  • $y \in B(x;r/2)$であって$g(y) \in B(x;r/2)$となるものが存在するので
    \begin{align} d(g(x),x) &\leq d(g(x),g(y)) + d(g(y),x)\\ &= d(x,y) + d(g(y),x)\\ &< \frac{r}{2} + \frac{r}{2} = r \end{align}
    が成り立つ.
  • よって$G_{B} \subset \{g \in G\ |\ d(g(x),x) \leq r\}$が成り立つ.
命題9の

$G$を離散群,$\alpha \colon G \times X \to X$を等長作用とする.このとき次は同値である:

  1. $\alpha$は距離的固有作用である;
  2. $\forall x \in X, \forall (g_{n})_{n}:\text{injective sequence in}\ G,\ \lim_{n \to \infty} d(g_{n}(x),x) = \infty$;
  3. $\exists x \in X, \forall (g_{n})_{n}:\text{injective sequence in}\ G,\ \lim_{n \to \infty} d(g_{n}(x),x) = \infty$.

離散群の等長作用と等長変換群の離散部分群

$X$を距離空間,$G$を離散群,$\alpha \colon G \times X \to X$を等長作用とする.このとき次は同値である:

  1. $\alpha$は固有作用である;
  2. 任意の$x \in X$に対して,その安定化群$G_{x} \subset G$は有限集合であり軌道$G(x) \subset X$は離散(閉)集合である;
  3. $\alpha$は半完全作用である.

(i)$\Rightarrow$(ii)

$x \in X$とする.仮定より$\tilde{\alpha} \colon G \times X \to X \times X$は完全写像であるから
$$ \alpha_{x} \colon G \approx G \times \{x\} \xrightarrow{\tilde{\alpha}^{X \times \{x\}}} X \times \{x\} \approx X$$
は完全写像である.よって

  • $G_{x} =\alpha_{x}^{-1}(x) \subset G$はコンパクト,したがって有限集合である;
  • $G(x) = \alpha_{x}(G) \subset X$は閉集合である.

また,$\alpha_{x}(g) = \alpha_{x}(h) \Leftrightarrow h^{-1}g \in G_{x}$より,$\alpha_{x}$は単射完全写像$\overline{\alpha_{x}} \colon G/G_{x} \to X$を誘導する.よって$\overline{\alpha_{x}} \colon G/G_{x} \approx G(x) \subset X$は離散集合である.

(ii)$\Rightarrow$(iii)

$x \in X$とする.$G(x) \subset X$が離散集合であることから,$r > 0$であって$G(x) \cap B(x;r) = \{x\}$となるものが存在する.そこで$U = B(x;r/2)$とおく.$g \in G_{U}$とする.このとき$y \in U$であって$g(y) \in U$となるものが存在する.したがって
\begin{align} d(g(x),x) &\leq d(g(x),g(y)) + d(g(y),x)\\ &= d(x,y) + d(g(y),x)\\ &< \frac{r}{2} + \frac{r}{2} = r \end{align}
となるので,$g(x) \in G(x) \cap B(x;r) = \{x\}$,すなわち$g \in G_{x}$を得る.よって$G_{U} \subset G_{x}$より$G_ {U} \subset G$は有限集合である.

(iii)$\Rightarrow$(i)

  • $K \subset X$をコンパクト集合とする.
  • $x \in K$に対して$r(x) > 0$であって$G_{B(x;r(x))} \subset G$が有限集合となるものが存在する.$(B(x;r(x)/2))_{x \in K}$$K$の開被覆であるから$x_{1},\ldots,x_{n} \in K$であって$K \subset \bigcup B(x_{i};r(x_{i})/2)$となるものが存在する.
  • $g \in G_{K}$に対して,$i = i(g), j = j(g) \in [n]$であって$g(B(x_{i};r(x_{i})/2)) \cap B(x_{j};r(x_{j})/2) \neq \varnothing$となるものが存在する.したがって写像$\beta \colon G_{K} \to [n] \times [n]$が定まる.
  • ここで$\# G_{K} = \infty$であったとすると,$(i,j) \in [n] \times [n]$であって$\# \beta^{-1}(i,j) = \infty$となるものが存在する.$g \in \beta^{-1}(i,j) \Leftrightarrow g^{-1} \in \beta^{-1}(j,i)$より$\# \beta^{-1}(i,j) = \# \beta^{-1}(j,i)$であるから,$r(x_{j}) \leq r(x_{i})$としてよい.
  • $g \in \beta^{-1}(i,j)$とすると,$x \in B(x_{i};r(x_{i})/2)$であって$g(x) \in B(x_{j};r(x_{j})/2)$となるものが存在するので
    \begin{align} d(g(x_{i}),x_{j}) &\leq d(g(x_{i}),g(x)) + d(g(x),x_{j})\\ &= d(x_{i},x) + d(g(x),x_{j})\\ &< \frac{r(x_{i})}{2} + \frac{r(x_{j})}{2}\\ &\leq r(x_{i}) \end{align}
    より$x_{j} \in B(g(x_{i});r(x_{i})) = g(B(x_{i};r(x_{i})))$を得る.
  • よって任意の$f,g \in \beta^{-1}(i,j)$に対して,
    $$ f^{-1}(x_{j}) \in f^{-1}(g(B_{i}) \cap f(B_{i})) = f^{-1}g(B_{i}) \cap B_{i} \neq \varnothing$$
    より$f^{-1} g \in G_{B_{i}}$が成り立つ(ただし$B_{i} = B(x_{i};r(x_{i}))$とおいた).
  • これは$G_{B_{i}} \subset G$が有限集合であることに反する.

ハウスドルフ群$G$による位相空間$X$への作用$\alpha$が,ある点$x \in X$において命題10の条件(ii)を満たしたとする.このとき$G$は離散群であることがわかる.実際,
$$ G_{x} = \alpha_{x}^{-1}(x) = \alpha_{x}^{-1}(G(x) \cap B(x;r)) = \alpha_{x}^{-1}(B(x;r)) \subset G$$
は単位元の開近傍であり,$G_{x} \smallsetminus \{e\} \subset G$は有限集合ゆえ閉集合であるから$\{e\} = G_{x} \smallsetminus (G_{x} \smallsetminus \{e\}) \subset G$は開集合となる.

ハウスドルフ群の離散部分群は閉集合である.

  • $G$をハウスドルフ群とし$H < G$をその離散部分群とする.
  • 単位元の開近傍$V \subset G$であって$V \cap H = \{e\}$となるものが存在する.
  • $V^{-1} \cap H = (V \cap H)^{-1} = \{e\}$であるから,$U = V \cap V^{-1}$とおくと,これは$e$の開近傍であって$U \cap H = \{e\}, U = U^{-1}$を満たす.
  • $g \in \overline{H}$とする.
    • $gU \cap H \neq \varnothing$となるから$h \in gU \cap H$を取る.
    • このとき$g \in hU^{-1} = hU$であり,$h \in H$より$hU \cap H = h(U \cap H) = \{h\}$となる.
    • さて,もし$g \neq h$であるとすると,$hU \smallsetminus \{h\}$$g$の開近傍であるから
      $$ \varnothing \neq (hU \smallsetminus \{h\}) \cap H = (hU \cap H) \smallsetminus \{h\} = \varnothing$$
      となり不合理である.
  • よって$g = h \in H$を得る.

$\alpha \colon G \times X \to X$を作用とする.$\bigcap_{x \in X} G_{x} = \{e\}$となるとき,$\alpha$効果的(effective)あるいは忠実(faithful)な作用という.

  • 作用$\alpha$が効果的であるとは群準同型$\hat{\alpha} \colon G \to \mathrm{Homeo}(X)$が単射であるということに他ならない.したがって作用が効果的ならば,群同型$\hat{\alpha} \colon G \cong \hat{\alpha}(G)$により$G < \mathrm{Homeo}(X)$と見做せる.
  • たとえば自由な作用は効果的である.
( [Kramer, Proposition 2.4] )

$X$を局所コンパクト距離空間,$G$を位相群,$\alpha \colon G \times X \to X$を固有な等長作用とする.このとき次が成り立つ:

  1. $\alpha$が効果的作用ならば,$G \approx \hat{\alpha}(G) \subset \Isom_{co}(X)$となる;
  2. $\ker(\hat{\alpha}) \subset G$が開集合ならば,$\hat{\alpha}(G) \subset \Isom_{co}(X)$は離散集合である.

ハウスドルフ空間への作用$\alpha \colon G \times X \to X, \ev \colon \Isom_{co}(X) \times X \to X$,位相群の準同型$\hat{\alpha} \colon G \to \Isom_{co}(X)$$\hat{\alpha}$同変完全写像$\id_{X} \colon X \to X$に対して命題17を適用することで,$\hat{\alpha}$は完全写像であることがわかる.

  1. このとき$\hat{\alpha}$は単射閉写像であるから,$\hat{\alpha} \colon G \approx \hat{\alpha}(G) \subset \Isom_{co}(X)$が成り立つ.
  2. 完全写像$\hat{\alpha} \colon G \to \Isom_{co}(X)$は離散群からの単射完全写像$\overline{\hat{\alpha}} \colon G/\ker(\hat{\alpha}) \to \Isom_{co}(X)$を誘導する.よって
    $$ G/\ker(\hat{\alpha}) \approx \overline{\hat{\alpha}}(G/\ker(\hat{\alpha})) = \hat{\alpha}(G) \subset \Isom_{co}(X)$$
    は離散集合である.

$X$を固有距離空間,$G$を離散群,$\alpha \colon G \times X \to X$を効果的等長作用とする.このとき次は同値である:

  1. $\alpha$は距離的固有作用である;
  2. $\alpha$は固有作用である;
  3. $\alpha$は半完全作用である;
  4. 任意の$x \in X$に対して,その安定化群$G_{x} \subset G$は有限集合であり軌道$G(x) \subset X$は離散(閉)集合である;
  5. $\hat{\alpha}(G) \subset \Isom_{co}(X)$は離散集合である;
  6. $\hat{\alpha}(G) \subset \Isom_{p}(X)$は離散集合である,すなわち有限個の点$x_{1},\ldots,x_{n} \in X$および正数$r > 0$であって$\hat{\alpha}(G) \cap \bigcap [x_{i},B(x_{i};r)] = \{\id_{X}\}$となるものが存在する.
  • 命題8,命題10より(i)から(iv)は(効果的とは限らない等長作用に関して)同値である.
  • 補題3より(v)$\Leftrightarrow$(vi)である.
  • 命題12より(ii)$\Rightarrow$(v)であるから,あとは(v)$\Rightarrow$(ii)を示せばよい.

(v)$\Rightarrow$(ii)

仮定より$\hat{\alpha}(G) \subset \Isom_{co}(X)$は閉集合であるから,固有作用$\ev$の閉部分群への制限$\ev \colon \hat{\alpha}(G) \times X \to X$はまた固有作用である.よって
$$ \tilde{\alpha} \colon G \times X \approx \hat{\alpha}(G) \times X \xrightarrow{\widetilde{\ev}} X \times X$$
は固有写像である.

$\hat{\alpha}$として包含写像を考えることで次を得る:

固有距離空間に対する,等長変換群の離散部分群による作用は固有である.

$X$を固有距離空間とする.このとき等長変換群の任意の離散部分群$G < \Isom_{co}(X)$は可算集合である.

$x \in X$を取る.いま$G$の作用は距離的固有なので,各$n \in \mathbb{N}$に対して$\{g \in G\ |\ d(g(x),x) \leq n\} \subset G$はコンパクト,したがって有限集合である.よって
$$ G = \bigcup_{n} \{g \in G\ |\ d(g(x),x) \leq n\}$$
は可算集合である.

補遺:完全写像の性質

$f \colon X \to Y,\ g \colon Y \to Z$を連続写像とする.このとき次が成り立つ:

  1. $f,g$が完全写像ならば,$g \circ f$も完全写像である;
  2. $f$が全射で$g \circ f$が完全写像ならば,$g$は完全写像である;
  3. $g$が単射で$g \circ f$が完全写像ならば,$f$は完全写像である.
  1. 完全写像は固有写像であることと,閉写像の合成が閉写像であることからしたがう.
  2. 任意の$z \in Z$に対して$g^{-1}(z) = f((g \circ f)^{-1}(z)) \subset Y$はコンパクトである.また,任意の閉集合$C \subset Y$に対して$g(C) = (g \circ f)(f^{-1}(C)) \subset Z$は閉集合である.
  3. 任意の$y \in Y$に対して$f^{-1}(y) = (g \circ f)^{-1}(g(y)) \subset X$はコンパクトである.また,任意の閉集合$C \subset X$に対して$f(C) = g^{-1}((g \circ f)(C)) \subset Y$は閉集合である.

$f \colon X \to Y,\ g \colon S \to T$を完全写像とする.このとき積写像$f \times g \colon X \times S \to Y \times T$も完全写像である.

$f \times g$がBourbaki固有写像であることを示せばよい.
$Z$を位相空間とする.仮定より
$$ f \times \id_{T \times Z} \colon X \times T \times Z \to Y \times T \times Z$$
及び
$$ \id_{X} \times g \times \id_{Z} \colon X \times S \times Z \approx S \times X \times Z \xrightarrow{g \times \id_{X \times Z}} T \times X \times Z \approx X \times T \times Z $$
は閉写像であるから,それらの合成
$$ (f \times g) \times \id_{Z} = (f \times \id_{T \times Z}) \circ (\id_{X} \times g \times \id_{Z})$$
も閉写像である.

$f \colon X \to Y,\ g \colon Y \to Z$を連続写像,$Y$をハウスドルフ空間とする.このとき合成$g \circ f$が完全写像ならば$f$は完全写像である.

連続写像$\varphi \colon X \to X \times Y$および$\psi \colon Y \to Z \times Y$をそれぞれ$\varphi(x) = (x,f(x)),\ \psi(y) = (g(y),y)$で定める.このとき$Y$がハウスドルフであることから
$$ \varphi(X) = \{(x,y) \in X \times Y\ |\ p_{Y}(x,y) = f \circ p_{X}(x,y)\} \subset X \times Y$$
は閉集合である.したがって閉埋め込み$\varphi$は完全写像である.また$(g \circ f) \times \id_{Y}$は完全写像であるから合成$\psi \circ f = ((g\circ f) \times \id_{Y}) \circ \varphi$は完全写像である.よって$\psi$の単射性より$f$が完全写像であることがしたがう.

( [Kramer, Lemma 1.7] )

$\alpha \colon G \times X \to X,\ \alpha' \colon G' \times X' \to X'$をハウスドルフ空間への作用,$\rho \colon G \to G'$をハウスドルフ群の準同型,$f \colon X \to X'$$\rho$同変完全写像とする.このとき$\alpha$が完全作用ならば$\rho$は完全写像である.

以下の可換図式を考える:
$$ \xymatrix{ {G \times X} \ar[r]^{\tilde{\alpha}} \ar[d]_{\rho \times f} & {X \times X} \ar[d]^{f \times f}\\ {G' \times X'} \ar[r]_{\tilde{\alpha'}} & {X' \times X'} }$$
仮定より$G' \times X'$はハウスドルフ空間であって$\tilde{\alpha'} \circ (\rho \times f) = (f \times f) \circ \tilde{\alpha}$は完全写像であるから$\rho \times f$は完全写像である.よって
$$ \rho \colon G \approx G \times \{x\} \xrightarrow{(\rho \times f)^{G' \times \{f(x)\}}|G \times \{x\}} G' \times \{f(x)\} \approx G' $$
は完全写像である.

補遺:写像空間の位相

[Dugundji, Chap. XII] に拠る.

コンパクト開位相

$X,Y$を位相空間とする.

  • $X$から$Y$への連続写像全体のなす集合を$C(X,Y)$と書く.
  • 部分集合$A \subset X,\ B \subset Y$に対して
    $$ [A,B] = \{f \in C(X,Y)\ |\ f(A) \subset B\}$$
    とおく.また$[\{x\},B]$$[x,B]$と略記する.
  • $\{[K,V] \ |\ K \subset X:\text{compact},\ V \subset Y:\text{open}\}$によって生成される位相をコンパクト開位相という.
  • $C(X,Y)$にコンパクト開位相を与えた空間を$C_{co}(X,Y)$と書く.

$X,Y$を位相空間とする.このとき次は同値である:

  1. $Y$はハウスドルフ空間である;
  2. $C_{co}(X,Y)$はハウスドルフ空間である.

(i)$\Rightarrow$(ii)

$f \neq g$とすると$x \in X$であって$f(x) \neq g(x)$となるものが存在する.仮定より$f(x),g(x)$の開近傍$U,V \subset Y$であって$U \cap V = \varnothing$となるものが存在する.このとき
$$ f \in [x,U],\ g \in [x,V],\ [x,U] \cap [x,V] = \varnothing$$
が成り立つ.

(ii)$\Rightarrow$(i)

$Y$$C_{co}(X,Y)$の部分空間と同相であることを示せばよい.各$y \in Y$に対して連続写像$c_{y} \colon X \to Y$$c_{y}(x) = y$で定める.このとき$y \in V \Leftrightarrow c_{y} \in [K,V]$より
$$ Y \to C_{co}(X,Y);\ y \mapsto c_{y}$$
は埋め込みである.

$X,Y,Z$を位相空間とする.写像
$$ T = T_{X, Y, Z} \colon C_{co}(Y,Z) \times C_{co}(X,Y) \to C_{co}(X,Z);\ (f,g) \mapsto f \circ g$$
を考える.

  1. 任意の$g \in C_{co}(X,Y)$に対して$T_{g} \colon f \mapsto f \circ g$は連続である;
  2. $Y$が局所コンパクトハウスドルフ空間ならば$T_{X,Y,Z}$は連続である.

$f \circ g \in [K,W]$とする.

  1. $f \in [g(K),W]$であり,任意の$h \in [g(K),W]$に対して$h \circ g \in [K,W]$が成り立つ.
  2. $f^{-1}(W) \subset Y$はコンパクト集合$g(K) \subset Y$の開近傍であるから相対コンパクト開集合$V \subset Y$であって
    $$ g(K) \subset V \subset \overline{V} \subset f^{-1}(W)$$
    となるものが存在する.このとき$(f,g) \in [\overline{V},W] \times [K,V]$であり$T([\overline{V},W] \times [K,V]) \subset [K,W]$が成り立つ.
命題19の

$X,Y$を位相空間とする.写像
$$ \ev \colon C_{co}(X,Y) \times X \to Y;\ (f,x) \mapsto f(x)$$
を考える.

  1. 任意の$x \in X$に対して$\ev_{x} \colon f \mapsto f(x)$は連続である;
  2. $X$が局所コンパクトハウスドルフ空間ならば$\ev$は連続である.

$X \approx C_{co}(\{\ast\},X),\ Y \approx C_{co}(\{\ast\},Y)$,および$\ev = T_{\{\ast\},X,Y}$よりしたがう.

$X,Y,Z$を位相空間とする.

  1. $\alpha \colon X \times Y \to Z$が連続ならば$\hat{\alpha} \colon X \to C_{co}(Y,Z);\ x \mapsto \alpha_{x}$は連続である;
  2. $Y$を局所コンパクトハウスドルフ空間とする.このとき$\hat{\alpha} \colon X \to C_{co}(Y,Z)$が連続ならば$\alpha \colon X \times Y \to Z;\ (x,y) \mapsto \hat{\alpha}(x)(y)$は連続である.
  1. $x \in X,\ \hat{\alpha}(x) \in [K,W]$とする.このとき$\alpha^{-1}(W) \subset X \times Y$$\{x\} \times K$の開近傍なので$x$の開近傍$U \subset X$であって$U \times K \subset \alpha^{-1}(W)$となるものが存在する.したがって$U \subset \hat{\alpha}^{-1}([K,W])$が成り立つ.
  2. 仮定より$\ev \colon C_{co}(Y,Z) \times Y \to Z$は連続なので
    $$ \alpha \colon X \times Y \xrightarrow{\hat{\alpha} \times \id_{Y}} C_{co}(Y,Z) \times Y \xrightarrow{\ev} Z$$
    は連続である.

$X$が局所コンパクトハウスドルフ第2可算空間,$Y$が第2可算空間ならば,$C_{co}(X,Y)$は第2可算空間である.

( [Deo-Varadarajan, Proposition 16] )
  • $\{U_{n}\ |\ n \in \mathbb{N}\}$を相対コンパクト開集合からなる$X$の開基,$\{V_{m}\ |\ m \in \mathbb{N}\}$$Y$の開基とする.このとき$\mathcal{S} := \left\{\left[\overline{U_{n}}, V_ {m}\right]\ |\ n,m \in \mathbb{N}\right\}$$C_{co}(X,Y)$の準開基となることを示す.
  • $f \in [K,V]$とする.
  • $x \in K$に対して,$f(x) \in V$より$m(x) \in \mathbb{N}$であって
    $$ f(x) \in V_{m(x)} \subset V$$
    となるものが存在する.いま$X$は局所コンパクトハウスドルフなので,$x$の開近傍$f^{-1}(V_{m(x)})$に対して,$x$の相対コンパクト開近傍$U(x) \subset X$であって
    $$ \overline{U(x)} \subset f^{-1}(V_{m(x)})$$
    となるものが存在する.$\{U_{n}\ |\ n \in \mathbb{N}\}$$X$の開基であるから,$n(x) \in \mathbb{N}$であって
    $$ x \in U_{n(x)} \subset U(x)$$
    となるものが存在する.
  • $(U_{n(x)})_{x \in K}$$K$の開被覆であるから$x_{1},\ldots,x_{k} \in K$であって$K \subset \bigcup U_{n(x_{i})}$となるものが存在する.
  • $i \in [k]$に対して
    $$ \overline{U_{n(x_{i})}} \subset \overline{U(x_{i})} \subset f^{-1}(V_{m(x_{i})})$$
    となるので,$f \in \bigcap \left[\overline{U_{n(x_{i})}},V_{m(x_{i})}\right]$が成り立つ.また,任意の$g \in \bigcap \left[\overline{U_{n(x_{i})}},V_{m(x_{i})}\right]$に対して
    $$ g(K) \subset \bigcup g\left(\overline{U_{n(x_{i})}}\right) \subset \bigcup V_{m(x_{i})} \subset V$$
    より$g \in [K,V]$が成り立つ.
  • 以上より
    $$ f \in \bigcap \left[\overline{U_{n(x_{i})}},V_{m(x_{i})}\right] \subset [K,V]$$
    が成り立つ.
  • 可算集合$\mathcal{S}$の有限部分集合全体のなす集合は可算集合なので結論を得る.

コンパクト収束と各点収束

$X$を位相空間,$Y$を距離空間とする.
$(f_{n})_{n}$$C(X,Y)$の点列とし,$f \colon X \to Y$を写像とする.任意のコンパクト集合$K \subset X$と正数$\varepsilon > 0$に対して正整数$N = N(K,\varepsilon)$であって
$$ \forall n > N, \forall x \in K,\ d(f(x),f_{n}(x)) < \varepsilon$$
が成り立つようなものが存在するとき,$(f_{n})_{n}$$f$コンパクト収束するといい$f_{n} \xrightarrow[cpt]{} f$で表わす.

$f_{n} \xrightarrow[cpt]{} f$とする.このとき任意のコンパクト集合$K \subset X$に対して$f|K$は連続である.とくに$X$がコンパクト生成ハウスドルフ空間ならば$f$は連続である.

$x_{0} \in K, \varepsilon > 0$とする.仮定より$n_{0} \in \mathbb{N}$であって
$$ \forall x \in K,\ d(f(x),f_{n_{0}}(x)) < \frac{\varepsilon}{3}$$
となるものが存在する.このとき任意の$x \in f_{n_{0}}^{-1}(B(f_{n_{0}}(x_{0});\varepsilon/3)) \cap K$に対して
\begin{align} d(f(x),f(x_{0})) &\leq d(f(x),f_{n_{0}}(x)) + d(f_{n_{0}}(x),f_{n_{0}}(x_{0})) + d(f_{n_{0}}(x_{0}),f(x_{0}))\\ &< \frac{\varepsilon}{3} + \frac{\varepsilon}{3} + \frac{\varepsilon}{3} = \varepsilon \end{align}
が成り立つ.

$X$をコンパクトハウスドルフ空間とする.このとき任意の有限開被覆$(U_{i})_{i}$に対して有限開被覆$(V_{i})_{i}$であって$\overline{V_{i}} \subset U_{i}$となるものが存在する.

$U_{1} \subset X$はコンパクト集合$X \smallsetminus (U_{2} \cup \cdots \cup U_{n}) \subset X$の開近傍であるから,開集合$V_{1} \subset X$であって
$$ X \smallsetminus (U_{2} \cup \cdots \cup U_{n}) \subset V_{1} \subset \overline{V_{1}} \subset U_{1}$$
となるものが存在する.このとき$(V_{1},U_{2},\ldots,U_{n})$はまた$X$の開被覆であるから,$i = 2,\ldots,n$に対しても同様に$U_{i}$$V_{i}$で置き換えていけばよい.

$X$をハウスドルフ空間,$Y$を距離空間とする.$f_{n}, f \in C(X,Y)$について次は同値である:

  1. 点列$(f_{n})_{n}$がコンパクト開位相に関して$f$に収束する;
  2. $f_{n} \xrightarrow[cpt]{} f$となる.

(i)$\Rightarrow$(ii)

$K \subset X$をコンパクト集合とし$\varepsilon > 0$とする.各$x \in K$に対してその開近傍$U(x) \subset X$であって$U(x) \subset f^{-1}(B(f(x);\varepsilon/2))$となるものが存在する.$(U(x))_{x \in K}$$K$の開被覆であるから$x_{1},\ldots,x_{n} \in K$であって$K \subset \bigcup U(x_{i})$となるものが存在する.コンパクトハウスドルフ空間$K$の有限開被覆$(U(x_{i}) \cap K)_{i}$に対して補題23を適用することでコンパクト集合$K_{i} \subset K$であって$K = \bigcup K_{i}$となるものを得る.このとき$f \in \bigcap [K_{i},B(f(x_{i});\varepsilon/2)] =: W$であるから,正整数$N$であって
$$ \forall n > N, f_{n} \in W$$
となるものが存在する.$n > N, x \in K_{i}$とすると$f_{n}(x) \in B(f(x_{i});\varepsilon/2)$より
$$ d(f(x),f_{n}(x)) \leq d(f(x),f(x_{i})) + d(f(x_{i}),f_{n}(x)) < \frac{\varepsilon}{2} + \frac{\varepsilon}{2} = \varepsilon$$
となる.

(ii)$\Rightarrow$(i)

$f \in [K,V]$とする.$K \subset X$はコンパクト,$Y \smallsetminus V \subset Y$は閉集合であり$f(K) \cap (Y \smallsetminus V) = \varnothing$であるから正数$\varepsilon := \mathrm{dist}(f(K),Y \smallsetminus V) > 0$が定まる.したがって正整数$N = N(K,\varepsilon)$が存在する.$n > N$とする.このとき各$x \in K$に対して$d(f(x),f_{n}(x)) < \varepsilon$より$f_{n}(x) \in V$を得る.したがって$f_{n} \in [K,V]$が成り立つ.

$X,Y$を位相空間とする.

  • $C(X,Y)$を直積$\prod_{x \in X} Y$の部分集合と見做して相対位相を与えたものを$C_{p}(X,Y)$と書く.
  • $x \in X$と開集合$V \subset Y$に対して$p_{x}^{-1}(V) = \{f \in \prod Y\ |\ f(x) \in V\}$であるから$C_{p}(X,Y)$の位相は$\{[x,V]\ |\ x \in X,\ V \subset Y:\text{open}\}$を準開基とする位相である.
    • したがって$C(X,Y)$の点列$(f_{n})_{n}$$f \in C(X,Y)$にこの位相に関して収束することは,任意の$x \in X$に対して$p_{x}(f_{n}) \to p_{x}(f)$すなわち$f_{n}(x) \to f(x)$となることに他ならない.
    • そこでこの位相を各点収束位相という.
  • とくに各$\{x\} \subset X$はコンパクトであるから
    $$ \id \colon C_{co}(X,Y) \to C_{p}(X,Y)$$
    は連続である.

Arzela-Ascoliの定理

$X$を位相空間,$Y$を距離空間とし,$\mathcal{F} \subset C(X,Y)$とする.任意の$x \in X$$\varepsilon > 0$に対して,$x$の開近傍$U \subset X$であって
$$ \forall f \in \mathcal{F},\ f(U) \subset B(f(x);\varepsilon)$$
が成り立つものが存在するとき,$\mathcal{F}$同程度連続(equicontinuous)であるという.

(Arzela-Ascoli)

$X$を位相空間,$Y$を距離空間とし,$\mathcal{F} \subset C(X,Y)$とする.

  • $\mathcal{F}$が同程度連続であり,
  • 任意の$x \in X$に対して,$\ev_{x}(\mathcal{F}) = \{f(x) \in Y\ |\ f \in \mathcal{F}\} \subset Y$が相対コンパクトであるとする.

このとき$\mathcal{F}_{co} \subset C_{co}(X,Y)$は相対コンパクトである.

( [Munkres, Theorem 47.1] )

$\mathcal{F}' = \mathrm{cl}_{\prod_{x} Y}(\mathcal{F}) \subset \prod_{x \in X} Y$とおく.

  • $\mathcal{F} \subset \prod_{x \in X} \ev_{x}(\mathcal{F})$より$\mathcal{F}'$はコンパクト空間$\prod_{x \in X} \overline{\ev_{x}(\mathcal{F})}$の閉部分集合であるからコンパクトである.
  • つぎに$\mathcal{F}' \subset C(X,Y)$を示す.
    • $f' \in \mathcal{F}'$とする.
    • $x_{0} \in X, \varepsilon > 0$とする.仮定より$x_{0}$の開近傍$U(x_{0}) \subset X$であって
      $$ \forall f \in \mathcal{F},\ f(U(x_{0})) \subset B(f(x_{0});\varepsilon/3)$$
      となるものが存在する.このとき$f'(U(x_{0})) \subset B(f'(x_{0});\varepsilon)$が成り立つことを示す.
    • $x \in U(x_{0})$とする.
      $$ V_{x} = p_{x}^{-1}(B(f'(x);\varepsilon/3)) \cap p_{x_{0}}^{-1}(B(f'(x_{0});\varepsilon/3)) \subset \prod Y$$
      とおくと,これは$f'$の開近傍であるから$f \in \mathcal{F} \cap V_{x}$が取れる.したがって
      \begin{align} d(f'(x),f'(x_{0})) &\leq d(f'(x),f(x)) + d(f(x),f(x_{0})) + d(f(x_{0}),f'(x_{0}))\\ &< \frac{\varepsilon}{3} + \frac{\varepsilon}{3} + \frac{\varepsilon}{3} = \varepsilon \end{align}
      が成り立つ.
    • よって$f' \in C(X,Y)$となる.
    • $U(x_{0})$$f'$に依らずに取れていたことに注意すると,$\mathcal{F}' \subset C(X,Y)$が同程度連続であることがわかる.
  • 最後に$\id \colon \mathcal{F}'_{co} \approx \mathcal{F}'_{p}$を示す.
    • $f' \in [K,V] \cap \mathcal{F}'$とする.$\varepsilon = \mathrm{dist}(f'(K),Y \smallsetminus V) > 0$とおく.
    • $\mathcal{F}'$の同等連続性より,各$x \in K$に対してその開近傍$U(x) \subset X$であって
      $$ \forall g' \in \mathcal{F}',\ g'(U(x)) \subset B(g'(x);\varepsilon/3)$$
      となるものが存在する.$(U(x))_{x \in K}$$K$の開被覆であるから$x_{1},\ldots,x_{n} \in K$であって$K \subset \bigcup U(x_{i})$となるものが存在する.
    • このとき$\bigcap [x_{i},B(f'(x_{i});\varepsilon/3)] \cap \mathcal{F}' \subset [K,V] \cap \mathcal{F}'$となることを示す.
    • $g' \in \mathrm{LHS}$とする.任意の$x \in U(x_{i}) \cap K$に対して
      \begin{align} d(f'(x),g'(x)) &\leq d(f'(x),f'(x_{i})) + d(f'(x_{i}),g'(x_{i})) + d(g'(x_{i}),g'(x))\\ &< \frac{\varepsilon}{3} + \frac{\varepsilon}{3} + \frac{\varepsilon}{3} = \varepsilon \\ &= \mathrm{dist}(f'(K),Y \smallsetminus V) \end{align}
      より$g'(x) \in V$が成り立つ.
    • よって$g'(K) \subset V$が成り立つ.
  • 以上より,コンパクト集合$\mathcal{F}'_{co} \subset C_{co}(X,Y)$の部分集合$\mathcal{F}_{co} \subset C_{co}(X,Y)$は相対コンパクトである($C_{co}(X,Y)$がハウスドルフであることに注意する).

$X$を第2可算空間とする.このとき次は同値である:

  1. $X$はコンパクトである;
  2. $X$は点列コンパクトである.

(i)$\Rightarrow$(ii)

$(x_{n})_{n}$$X$の点列とする.各$n \in \mathbb{N}$に対して
$$ F_{n} = \overline{\{x_{m}\ |\ m \geq n\}}$$
とおく.これらは空でない$X$の閉集合であり$F_{n+1} \subset F_{n}$を満たす.したがって$\bigcap F_{n} \neq \varnothing$が成り立つ.そこで$x \in \bigcap F_{n}$を取る.いま$X$は第1可算空間なので$x$の可算近傍基$\{U_{n}\ |\ n \in \mathbb{N}\}$が取れる.必要なら$U_{n}$$U_{1} \cap \cdots \cap U_{n}$で置き換えることで$U_{n+1} \subset U_{n}$としてよい.このとき次のようにして$x$に収束する部分列$(x_{n_{k}})_{k}$が得られる:

  • $n_{0} = 0$とおく;
  • $k > 0$のとき,$x \in F_{n_{k-1}+1}$より$U_{k} \cap \{x_{m}\ |\ m > n_{k-1}\} \neq \varnothing$であるから$n_{k} := \min \{m \in \mathbb{N} \ |\ m > n_{k-1}, x_{m} \in U_{k}\}$が定まる.

(ii)$\Rightarrow$(i)

第2可算空間はLindelöfなので,$X$が可算コンパクトであることを示せばよい.そこで$X$が可算コンパクトでないと仮定する.このとき$X$の可算開被覆$(U_{n})_{n}$であって有限部分被覆を持たないものが存在する.したがって各$n \in \mathbb{N}$に対して
$$ x_{n} \in X \smallsetminus \bigcup_{i=1}^{n} U_{i}$$
が取れる.ところで任意の$x \in X$に対して,$n \in \mathbb{N}$であって$x \in U_{n}$となるものが存在するので
$$ U_{n} \cap \{x_{m}\ |\ m \geq n\} = \varnothing$$
が成り立つことになり,点列$(x_{n})_{n}$は収束部分列を持ち得ない.

$X$を固有距離空間とする.$\Isom_{co}(X)$の点列$(f_{n})_{n}$
$$ \forall x \in X,\ \overline{\{f_{n}(x)\ |\ n \in \mathbb{N}\}} \subset X:\text{compact}$$
を満たすならば,点列$(f_{n})_{n}$は収束部分列$(f_{n_{k}})_{k}$を持つ(写像族$\mathcal{F} := \{f_{n}\ |\ n \in \mathbb{N}\}$に対してArzela-Ascoliの定理を適用すればよい).極限写像を$f$とすると
$$ f_{n_{k}} \xrightarrow[cpt]{} f \in \overline{\mathcal{F}} \subset \overline{\Isom_{co}(X)} = \Isom_{co}(X)$$
となる.

参考文献

[1]
N. Bourbaki, General Topology Chapter 1--4
[2]
Satya Deo and K. Varadarajan, Discrete Groups and Discontinuous Actions, Rocky Mt. J. Math.
[3]
J. Dugundji, Topology
[5]
John G. Ratcliffe, Foundations of Hyperbolic Manifolds Third Edition
投稿日:20231018
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うすい
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