位相群が位相空間に作用している状況に於けるそれぞれの位相的性質(ハウスドルフ性及び(局所)コンパクト性)と作用の固有性との間の関係について主に考える.
復習:完全写像と固有写像
を位相空間,を(連続)写像とする.
- が閉写像であって,任意のに対してがコンパクトであるときを完全写像(perfect map)という.
- 任意のコンパクト集合に対してがコンパクトであるときを固有写像(proper map)という.
( [9, 命題7] )
写像に対してつぎは同値である:
- は完全写像である;
- は固有写像かつ閉写像である.
とくに完全写像は固有写像である.
2点集合に離散位相を入れた空間を,により位相を入れた空間をとおく(をSierpinski空間という).恒等写像が誘導する連続写像について,これは固有写像であるが閉写像ではない.したがってとくに完全写像ではない.
( [3, Theorem 4.95] )
コンパクト生成ハウスドルフ空間(たとえば局所コンパクトハウスドルフ空間や距離空間)への固有連続写像は完全写像である.
- をコンパクト生成ハウスドルフ空間への固有連続写像とする.
- このときが閉写像であることを示せばよい.
- そこでを閉集合とする.
- をコンパクト集合とする.
- 仮定よりはコンパクトであるから,はコンパクト集合の閉集合ゆえコンパクトである.
- したがっての連続性より
はハウスドルフ空間のコンパクト集合ゆえ閉集合である.
- よっては閉集合である.
( [8, 命題7], cf. 補題28 )
をコンパクト空間とする.このとき任意の位相空間に対してへの射影は閉写像,したがって完全写像である.
位相群の連続作用
を位相空間,を位相群とする.連続写像であって2条件
を満たすものを(の/によるへの連続右)作用という.
を作用とする.
- 任意のに対しては同相写像である;
- が空間ならば,任意のに対してその安定化群は閉部分群である.
- とする.
よりが成り立つ. - とし,連続写像をで定める.このときは閉集合の連続写像による逆像ゆえ閉集合である.
を作用とする.
- 部分集合に対して
とおく.また,をと略記する. - 部分集合に対して
とおく.また,をと,をと略記する.
- はの安定化群に他ならない.
- よりが成り立つので,が空かどうか,或いはの位相的性質はの順序に依らない.
を作用とする.
- 任意の開集合と部分集合に対しては開集合である.
- 任意のコンパクト集合に対してはコンパクトである.
- 各に対して,命題4よりは開集合であるから
は開集合である. - はコンパクト集合の連続像なのでコンパクトである.
( cf. 命題15 )
を作用とする.
- 任意のコンパクト集合に対しては完全写像である.
- 任意の閉集合とコンパクト集合に対しては閉集合である.
- は同相写像
(逆写像は)と完全写像の合成ゆえ完全写像である. - は閉集合なのでは閉集合である.
を作用とする.
- 任意のに対して
が成り立つ. - 任意の閉集合とコンパクト集合に対しては閉集合である.
- とくにがハウスドルフ空間ならば,任意のコンパクト集合に対しては閉集合である.
- を閉集合,をコンパクト集合とする.このときは閉集合,は閉写像なので
は閉集合である. - (ii)より明らか.
を作用とする.このとき
により,上の同値関係が定まるのだった.商空間をと書く.また,商写像をとおく.
を開集合とする.補題5よりは開集合であるからは開集合である.
ハウスドルフ作用
を作用とする.このとき次は同値である:
- はハウスドルフ空間である;
- は閉集合である;
- 任意のに対して,の開近傍との開近傍であってとなるものが存在する.
証明は
に注意すればできる.
ココンパクト作用
を局所コンパクト空間,を作用とする.
- は局所コンパクトである.
- がハウスドルフならば,はコンパクト被覆写像(compact-covering map)である:任意のコンパクト集合に対して,コンパクト集合であってとなるものが存在する.
- とする.としそのコンパクト近傍をとする.このとき,はコンパクトであり,命題8より
が成り立つ.よってはのコンパクト近傍である. - コンパクト集合の各点に対して,の点をひとつ取りそのコンパクト近傍をとすると,(i)(の証明)よりはのコンパクト近傍である.いまはの開被覆であるから,有限個の点であってとなるものが存在する.仮定よりが閉集合であることに注意すると
はコンパクト空間の閉集合ゆえコンパクトでありが成り立つ.
を作用とする.
- コンパクト集合であってとなるものが存在するときをココンパクト作用(cocompact action)という;
- がコンパクトであるときを商コンパクト作用(``quocompact'' action)という(ことにする).
- ココンパクト作用は商コンパクト作用である.
- が局所コンパクトかつがハウスドルフであれば逆も成り立つ.
- が局所相対コンパクトであれば逆も成り立つ.
- よりはコンパクトである.
- 命題10よりコンパクト集合であってとなるものが存在する.
- 各に対してその相対コンパクト近傍を取りとおく.このときはの開被覆であるから,有限個の点であってとなるものが存在する.そこでとおくと,これはコンパクトであってが成り立つ.
固有作用と完全作用
作用に対して連続写像
が定まる.
- が完全写像であるとき,を完全作用という(ことにする);
- が固有写像であるとき,を固有作用という.
完全作用は固有作用であり,局所コンパクトハウスドルフ空間や距離空間への固有作用は完全作用である(命題1,命題2).
固有作用とコンパクト性
を固有作用とする.
- 任意のに対しては固有写像である.
- 任意のに対してその安定化群はコンパクトである.
- 仮定よりは固有写像なので,
は固有写像である. - はコンパクト集合の逆像ゆえコンパクトである.
をハウスドルフ空間,を作用とする.このとき次は同値である:
- は固有作用である;
- 任意のコンパクト集合に対してはコンパクトである;
- 任意のコンパクト集合に対してはコンパクトである.
(i)(ii)
コンパクト集合の固有写像による逆像
はコンパクトである.したがってその連続像はコンパクトである.
(ii)(iii)
明らか.
(iii)(i)
をコンパクト集合とする.仮定よりは閉集合である.第成分への射影をとし,とおく.このとき,はコンパクトでありが成り立つ.また
が成り立つ.よってはコンパクト空間の閉集合ゆえコンパクトである.
完全作用とハウスドルフ性
を完全作用とする.
- はハウスドルフである;
- がならばはハウスドルフである.
- 仮定よりは閉写像なのでは閉集合である.よって命題9よりはハウスドルフである.
- 仮定よりは閉集合なのでは閉写像である.したがって完全写像との合成も閉写像であるから,その像であるは閉集合である.
命題14の
局所コンパクトハウスドルフ空間への固有作用について,その軌道空間は局所コンパクトハウスドルフである.
(cf. 命題6)
を完全作用とする.
- 任意のコンパクト集合に対しては完全写像である;
- 任意のコンパクト集合と閉集合に対しては閉集合である.とくにの軌道は閉集合である.
- は完全写像と完全写像との合成であるから完全写像である.
- は閉集合なのでは閉集合である.
コンパクト群の作用
をコンパクト群,を作用とする.
命題6においてコンパクト集合として自身を取ればよい.
がハウスドルフ空間であるとき以下が成り立つ:
- は固有作用である;
- もハウスドルフならは完全作用である;
- は完全写像である.
- をコンパクト集合とする.補題7よりはコンパクト空間の閉集合ゆえコンパクトである.よって命題13よりは固有作用である.
- 仮定よりは閉集合なのでは完全写像である.よって
は完全写像である. - 各に対して連続写像は全単射連続写像を誘導する.仮定よりはコンパクトでありはハウスドルフであるからこれは同相写像である.あとはが閉写像であることを示せばよい.を閉集合とする.補題16よりはとくに閉写像なので
は閉集合,したがっては閉集合である.
命題17の
をハウスドルフ空間とする.
- がハウスドルフならばもハウスドルフである;
- がコンパクトならばもコンパクトである;
- が局所コンパクトならばも局所コンパクトである.
- 仮定よりは完全作用なので命題14より結論を得る.
- はとくに固有写像なのではコンパクトである.
- とする.のコンパクト近傍を取る.はとくに固有写像なのではコンパクトであり,
が成り立つ,すなわちはのコンパクト近傍である.
実射影空間及び複素射影空間はコンパクトハウスドルフ空間である.
局所コンパクトハウスドルフ群の作用
本節の内容は主に Biller [5] に拠る.
を作用とする.このとき次は同値である:
- は完全作用である;
-
- はハウスドルフである;
- 任意のに対して,はコンパクトであり,
- の任意の開近傍に対して,の開近傍であってとなるものが存在する;
- 任意のに対して
- はコンパクトであり,
- の任意の開近傍に対して,の開近傍であってとなるものが存在する.
(iii) := (vi)
が成り立つことに注意する.
(i)(ii)
とする.
- はとくに固有作用なので,命題12よりはコンパクトである.
- をの開近傍とする.いまは閉写像なので,の開近傍に対して,の開近傍であってとなるものが存在する([8, 命題5]).よって
が成り立つ.
(ii)(iii)
とする.
のとき.
- はコンパクトである.
- いまはハウスドルフなので,命題9よりの開近傍であってとなるものが存在する.
のとき.
- であってとなるものが存在する.このときとなることがわかるのではコンパクトである.
- をの開近傍とする.このときはの開近傍であるからの開近傍であってとなるものが存在する.そこでとおくと,これはの開近傍であって
よりが成り立つ.
(iii)(i)
とする.
- はコンパクトである.
- をの開近傍とする.いまはコンパクトなのでの開近傍との開近傍であってとなるものが存在する([7, 補題1]).このに対して,仮定よりの開近傍であってとなるものが存在する.そこでとおくと,これはの開近傍であって
が成り立つ.よっては閉写像である([8, 命題5]).
をハウスドルフ空間,を作用とする.このとき,任意のとその開近傍に対して
が成り立つ.
- ならばとなるのでが成り立つ.
- ,すなわちとする.いまはハウスドルフなので,の開近傍との開近傍であって
となるものが存在する.このときの連続性より,の開近傍に対して,の開近傍との開近傍であって
となるものが存在する.そこでとおくと,これはの開近傍であって
よりが成り立つのでを得る.よってが成り立つ.
を局所コンパクトハウスドルフ群,を作用とする.このとき次は同値である:
- は完全作用である;
-
- はハウスドルフである;
- はハウスドルフである;
- 任意のに対して,の開近傍であってがコンパクトとなるものが存在する;
-
- はハウスドルフである;
- 任意のに対して,それぞれの開近傍であってがコンパクトとなるものが存在する.
(iii) := (vi).
(i)(ii)
- 命題14よりはハウスドルフである.
- とする.命題18よりはコンパクトである.いまは局所コンパクトハウスドルフ空間なのでの相対コンパクト開近傍が存在する.このとき命題18より,の開近傍であってとなるものが存在する.よってはコンパクト空間の閉集合ゆえコンパクトである.
(ii)(iii)
- がハウスドルフであることはよい.
- とする.いまはハウスドルフなので,命題9よりとしてよい.したがってであってとなるものが存在する.仮定よりの開近傍であってが相対コンパクトとなるものが存在する.そこでとおくと,これはの開近傍であってが成り立つ.よってはコンパクトである.
(iii)(i)
とする.仮定よりの開近傍であってが相対コンパクトとなるものが存在する.
- いまはハウスドルフなので,補題19より,はコンパクト空間の閉集合ゆえコンパクトである.
- をの開近傍とする.このとき補題19より
となるので,はコンパクト集合の開被覆である.よっての有限個の開近傍であって
となるものが存在する.そこでとおくと,これらはの開近傍であって
が成り立つ.
よって命題18よりは完全作用である.
を局所コンパクトハウスドルフ群,を作用とする.このとき次は同値である:
- は完全作用である;
-
- はハウスドルフである;
- はハウスドルフである;
- 任意のコンパクト集合に対して,の開近傍であってがコンパクトとなるものが存在する;
-
- はハウスドルフである;
- 任意のコンパクト集合に対して,それぞれの開近傍であってがコンパクトとなるものが存在する.
(iii) := (vi)
(iii)(ii)(i)
明らか.
(i)(iii)
- 命題14よりはハウスドルフである.
- 各に対して,定理20よりの開近傍であってがコンパクトとなるものが存在する.
- 各に対して,はの開被覆なので,有限個の点であってとなるものが存在する.そこで
とおくと,これらはそれぞれの開近傍であって
よりが成り立つ.したがってはコンパクト空間の閉集合ゆえコンパクトである. - いまはの開被覆であるから,有限個の点であってとなるものが存在する.そこで
とおくと,これらはそれぞれの開近傍であってが成り立つ.したがってはコンパクトである.
条件(iii)において,ならばそれぞれの開近傍としてとなるものが取れる(cf. [7, 命題2]).
を局所コンパクトハウスドルフ群,を作用とする.このとき次は同値である:
- は完全作用である;
-
- はハウスドルフである;
- はハウスドルフである;
- 任意のに対してその安定化群はコンパクトである;
- 任意のに対して,の不変な開近傍であってとなるものが存在する.
- (i)(ii)が証明できていない.
- が離散群のときは証明できている(命題24).
(i)(ii)
命題14よりはハウスドルフであり,命題18よりはコンパクトである.あとは最後の条件が成り立つことを示せばよい.そこでとする.定理20よりの開近傍であってが相対コンパクトとなるものが存在する.各に対して,より,の開近傍であってとなるものが存在する.とおく.このとき
が成り立つ.
以下,が開集合であると仮定する.
とおく.いまはコンパクトゆえは閉写像なので,開集合に対して
はの開集合である([8, 命題4]).また,任意のに対してが成り立つのでとなる.このが条件を満たすことを示す.
- よりとなるので,任意のに対してが成り立つ.
- より,任意のに対してが成り立つ.
したがって
が成り立つので,を得る.また,任意のに対して,は全単射なので,が成り立つ.
(ii)(i)
- 仮定よりはハウスドルフである.
- とする.仮定よりの開近傍であってとなるものが存在する.いまはハウスドルフなので,そのコンパクト集合は閉集合である.したがってはコンパクトである.よって定理20よりは完全作用である.
附:Lie群の作用
を作用とする.任意のに対してが成り立つときを自由な作用という.
次が知られている:
( [2, 16.10.3, 16.14.1] )
を多様体,をLie群,を作用とする.このとき次は同値である:
- の多様体構造であってが沈め込みとなるようなものが(ただ一つ)存在する;
-
この同値な条件のもとで,さらにが自由であるとき,は主束の構造を持つ.
を多様体,をLie群,を自由かつ固有な作用とする.このとき定理21の(ii)が成り立つ.
- は完全作用なのではハウスドルフである(命題14).
- 仮定よりは単射連続閉写像であるからが成り立つ.あとはがはめ込みであることを示せばよい.
- とする.同一視
の下で,任意のに対して
が成り立つ.一般には階数一定であり,が自由であることからは単射である.したがってははめ込みであるので,が単射であることがわかる.よってははめ込みである.
離散群の“固有不連続作用”について
被覆空間作用
を作用とする.このとき次は同値である:
- 任意のに対して,の開近傍であってとなるものが存在する;
-
(i)(ii)
とする.仮定よりの開近傍であってとなるものが存在する.
- よりとなるのでは自由である.
- とおくとこれはの開近傍であり,となる.各に対しては全射連続開写像である.あとはが単射であることを示せばよい.ところでとすると,であってとなるものが存在するが,よりを得る.
(ii)(i)
とする.仮定よりの開近傍との開集合族であって
となるものが存在する.いまであるからであってとなるものが存在する.以下,が条件を満たすことを示す.そこでとすると,であってとなるものが存在する.このとき
となるのでの単射性よりが成り立つ.よって作用が自由であることからを得る.
命題23の同値な条件を満たすような群は離散群に限る.実際,
は開集合である.
離散群の作用
離散空間の部分集合について,それが(相対)コンパクトであることと有限集合であることとが同値であることに注意する.
以下,を離散群としを作用とする.
命題13より次を得る:
命題13の
がハウスドルフ空間であるとき以下は同値である:
- は固有作用である;
- 任意のコンパクト集合に対しては有限集合である;
- 任意のコンパクト集合に対しては有限集合である.
命題18より次を得る:
命題18の
以下は同値である:
- は完全作用である;
-
- はハウスドルフである;
- 任意のに対して,は有限集合であり,
- の任意の近傍に対して,の開近傍であってとなるものが存在する;
- 任意のに対して
- は有限集合であり,
- の任意の近傍に対して,の開近傍であってとなるものが存在する.
定理20より次を得る:
定理20の
以下は同値である:
- は完全作用である;
-
- はハウスドルフである;
- はハウスドルフである;
- 任意の(resp. コンパクト集合)に対して,(resp. )の開近傍であってが有限集合となるものが存在する;
-
- はハウスドルフである;
- 任意の(resp. コンパクト集合)に対して,それぞれの開近傍であってが有限集合となるものが存在する.
予想に対応する命題は次のようになる:
(cf. Kobayashi-Nomizu)
以下は同値である:
- は完全作用である;
-
- はハウスドルフである;
- はハウスドルフである;
- 任意のに対してその安定化群は有限集合である;
- 任意のに対して,の不変な開近傍であってとなるものが存在する.
予想の(i)(ii)の“証明”においては有限集合なのでは開集合になる.
命題18,命題24の
以下は同値である:
- は自由な完全作用である;
-
- はハウスドルフである;
- 単位元の任意の近傍に対しての開近傍であってとなるものが存在する;
-
- はハウスドルフである;
- はハウスドルフである;
- 任意のに対しての開近傍であってとなるものが存在する.
(cf. 命題22)
が局所コンパクトハウスドルフ空間,が自由な固有作用ならばは局所コンパクトハウスドルフ空間への被覆写像である.
上で挙げた諸性質のいづれかを以て(離散群による)“固有不連続作用”(一名真性不連続作用,properly discontinuous action)の定義とすることが多いようであるが,大体の場合はコンパクト生成ハウスドルフ空間であろうから結局(自由かつ)固有と同値と思って差支えなさそう.“固有不連続作用”という用語については,(多様体論の教科書で有名な)John M. Lee の次の言葉に尽きる:
I sincerely hope the term properly discontinuous will eventually die out.
(
https://math.stackexchange.com/questions/1082834/properly-discontinuous-action-equivalent-definitions
より)
補遺:完全写像とBourbaki固有写像
Bourbaki [1] にもproper mapという概念が出てくるが,これは上で定義した固有写像(proper map)とは違うものなので注意が必要である.
を位相空間,を(連続)写像とする. 任意の位相空間に対して写像
が閉写像となるとき,をBourbaki固有写像という.
以下,完全写像とBourbaki固有写像が同等な概念であることを示す.
を完全写像とする.
を位相空間とする.としの開近傍を取る.いまはコンパクトなのでの開近傍との開近傍であってとなるものが存在する([7, 補題1]).は閉写像なので,このに対しての開近傍であってとなるものが存在する([8, 命題5]).したがって
が成り立つ.よっては閉写像である([8, 命題5]).
をBourbaki固有写像とする.
仮定よりは閉写像なので
は閉写像である.
をBourbaki固有写像とする.このとき,任意のに対してもBourbaki固有写像である.
を位相空間とする.仮定よりは閉写像であるから
も閉写像である.
( cf. 命題3 )
を位相空間とする.単空間への写像がBourbaki固有写像ならば,すなわち任意の位相空間に対してへの射影が閉写像ならば,はコンパクトである.
( [4, 命題6.4.1の証明] )
をの開被覆とする.
とおく.任意の部分集合に対してをで定める.
をで定める.各に対してとおくと,これはの開近傍であるから
はの開近傍である.仮定よりは閉写像なのでの開近傍であってとなるものが存在する([8, 命題5]).
の位相がを準開基とするものであることに注意すると,有限集合であってとなるものが存在することがわかる.ここでを
で定める.このとき
が成り立つ.前者よりとなるのでとなる.したがって
が成り立つ.よってを得る.
をBourbaki固有写像とする.
- 補題26よりは閉写像である.
- とする.補題27よりはBourbaki固有写像であるから,補題28よりはコンパクトである.
更新履歴
- 2023/09/12:命題18に条件(ii)を追加しました.それに伴い関係する箇所に加筆しました.
- 2023/09/13:[7]の思想に基づき定理20 系を追加しました(あれもこれもは悪い癖だと思いつつ).
- 2023/10/19:命題23のあとの注意を追記しました.
- 2023/11/05:命題2の証明を追加しました.