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大学数学基礎解説
文献あり

Fibonacci 数を含む基礎的な無限級数 (3) F_(n+k) F_n の逆数和

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20210105 20210105
前提知識 : Lucas 数列, Fibonacci 数列
Lucas 数列, Fibonacci 数列 : https://mathlog.info/articles/191
(1) の記事 : https://mathlog.info/articles/1468
(2) の記事 : https://mathlog.info/articles/1469
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最新版 : https://yu200489144.hatenablog.com/entry/2021/01/05/232023
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今回の記事ではFn+kFnの逆数和を一般的に扱い, その具体的な計算手法を与える. これらの手法に由れば, 幾つかの単純な無限和は機械的に計算することができるように成るであろう.

1/Fn+2kFnの無限和

任意の正の整数kに対して, 無限級数n1n1Fn+kFnの収束値をSkと置く.

1/Fn+2Fnの無限和を再掲する.

S2=1が成りたつ.

相殺法

Fn+1=Fn+2Fnであることを用いれば
S2=n1nFn+2FnFn+2Fn+1Fn=n1n(1Fn+1Fn1Fn+2Fn+1)=1F1F2=1と計算できる.

S4=718が成りたつ.

相殺法

Fn+4=Fn+3+Fn+2=2Fn+2+Fn+1=3Fn+2Fnであること, および先の命題を用いれば
S4=n1nFn+4Fn3Fn+4Fn+2Fn=13n1n(1Fn+2Fn+1Fn+4Fn+2)=13(1+11F1F31F2F4)=718と計算できる.

一般化を考えるために, 正整数kを任意に取って
Fn+2k=akFn+2+bkFnなる数列(ak)k>0,(bk)k>0を構成する. kを固定すれば, n=0およびn=1において成立していれば, 辺々を足しあわせるか, あるいは引く操作を繰りかえすことで一般のnについての等式の成立が判るので, 帰納的にn{0,1}として計算して構わない. 由って
(F2k=akF1+2k=2ak+bkなる連立方程式を解くのみであり,
ak=F2kbk=F2k+12F2k=F2k1F2k=F2k2が要求を充たす.

任意の正整数k,nに対して, Fn+2k=F2kFn+2F2k2Fnが成りたつ.

kを固定して考える. n{0,1}のときに成立することは既知である. それぞれの等式について, あるn+1,nについて等式が成りたつならば, それらを辺々足しあわせることでn+2の場合が得られ. また辺々を引けばn1の場合が得られるので, 再帰的に命題は示された.

任意の2以上の整数kに対して, S2k=1F2kn=1n=k1F2nF2n1が成りたつ.

漸化式

F2kFn+2=Fn+2k+F2k2Fnであることを用いて
S2k=1F2kn1nFn+2k+F2k2FnFn+2kFn+2Fn=1F2kn1n(1Fn+2Fn+F2k2Fn+2kFn+2)=1F2k(1+F2k2(S2k21F2k11F2k))と式変形し, 両辺にF2kを掛けて右辺の括弧を展開すれば(S2kF2k)k>0の漸化式が得られることが判る. 実際には
F2kS2k=F2k2S2k2+1+F2k2(1F2k11F2k)=F2k2S2k2+F2kF2k1F2kF2k2F2k1F2k2F2kF2k1=F2k2S2k2+F2k1F2k1F2kF2k2F2kF2k1=F2k2S2k2+1F2kF2k1と階差1/F2k+2F2k+1の数列になるため,
F2kS2k=F2S2+n=2n=k1F2nF2n1=n=1n=k1F2nF2n1が成立し, 両辺をF2kで割れば命題の式となる.

12n1n|LnFn5|=n1n1ϕnFn=n1n1F2nF2n1が成りたつ.

第一の等号は, 一般項および等式ϕ¯=1/ϕを代入して
n1n|LnFn5|=n1n|Ln5FnFn|=n1n|(ϕn+ϕ¯n)(ϕnϕ¯n)Fn|=n1n|2ϕ¯nFn|=2n1n1ϕnFn
と計算することで証明される. また先の命題の極限の式
n1n1Fn+2kFn=1F2kn=1n=k1F2nF2n1
において, 両辺にF2kを掛けてkなる極限を取り,
limkFn+2kFnF2k=limkFn+2kFn1+2kFn1+2kFn2+2kF2+2kF1+2kF1+2kF2kFn=ϕnFnを代入すれば第二の等号が得られる.

別の方向への一般化として, 次は
Fn+2k=akFn+k+bkFnの形の等式を構成して, それに基づいた計算結果を示す. 先ほどと同じく, 帰納的にn{0,1}の場合のみを考えて
(F2k=akFkF1+2k=akF1+k+bkを解けば, そのak,bkはあらゆる(k,n)にも通用するはずである. Lucas 数および相互関係式Lk=Fk+1+Fk1 (証明略), 二倍公式F2k=LkFk (加法定理から) を用いることで
ak=F2kFk=Lk,bk=Fk+k+1LkFk+1=Fk+1Fk+1+FkFk(Fk+1+Fk1)Fk+1=(1)kと解を表現できるため, 求めていた等式とは
Fn+2k=LkFk(1)kFn
である.

任意の正整数k,nに対して, Fn+2k=LkFn+k(1)kFnが成りたつ.

kを固定して考える. n{0,1}のときに成立することは既知である. それぞれの等式について, あるn+1,nについて等式が成りたつならば, それらを辺々足しあわせることでn+2の場合が得られ. また辺々を引けばn1の場合が得られるので, 再帰的に命題は示された.

任意の正奇数kに対して, S2k=1Lkn=1n=k1Fn+kFnが成りたつ.

相殺法

LkFn+k=Fn+2kFkであることを用いれば
n1n1Fn+2kFn=1Lkn1nFn+2kFkFn+2kFn+kFn=1Lkn1n(1Fn+kFn1Fn+2kFn+k)=1Lkn=1n=k1Fn+kFnと計算できる.

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1/Fn+2k1Fnの無限和

S3=12S114が成りたつ.

S12S3を考えると
S12S3=n1n(1Fn+1Fn2Fn+3Fn)=n1nFn+32Fn+1Fn+3Fn+1Fn=n1nFn+2Fn+1Fn+3Fn+1Fn=n1n1Fn+3Fn+1=S21F3F1=112=12のように計算することができ, これをS3について観ればS3=12S114が得られる.

S5=25S1175が成りたつ.

2S35S5を考えると
2S35S5=n1n(2Fn+3Fn5Fn+5Fn)=n1n2Fn+55Fn+3Fn+5Fn+3Fn=n1n2Fn+43Fn+3Fn+5Fn+3Fn=n1n2Fn+2Fn+3Fn+5Fn+3Fn=n1nFn+2Fn+1Fn+5Fn+3Fn=n1n1Fn+5Fn+3=S21F3F11F4F21F5F3=11213110=115のように計算することができ, これをS5について観ればS5=25S1175が得られる.

より一般のS2k1も同様に計算することができる.

任意の正の整数kに対して, F2k+1S2k+1F2k1S2k1=1n=1n+1=2k11Fn+2Fnが成りたつ.

左辺を総和の中で通分すると
F2k1S2k1F2k+1S2k+1=n1n(F2k1Fn+2k1FnF2k+1Fn+2k+1Fn)=n1nFn+2k+1F2k1Fn+2k1F2k+1Fn+2k+1Fn+2k1Fn
のようになるので, 加法定理を用いて分子を
Fn+2k+1F2k1Fn+2k1F2k+1=(Fn+1F2k+1+FnF2k)F2k1(FnF2k+Fn1F2k1)F2k+1=FnF2k+1F2k1FnF2k2=Fn×(1)2k=Fnを展開すれば, 元の式に代入して
F2k1S2k1F2k+1S2k+1=n1n1Fn+2k+1Fn+2k1=S2n=1n+1=2k11Fn+2Fn=1n=1n+1=2k11Fn+2Fnなる結果を得ることができる.

以上から, 再帰的に次の事実が判る.

任意の正の整数kに対して, S2kQかつS2k1{aS1+ba,bQ}が成りたつ.

但し, Qとは有理数の全体の集合であり, {aS1+ba,bQ}は実数の全体の部分集合として扱っている.

(S1が無理数であるか否かは判りません... 何かご存じの方がいらっしゃればコメントなどでご教授いただけると嬉しいです. )

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参考文献 (リンク付き)

1( https://www.fq.math.ca/Scanned/7-2/brousseau1.pdf ) Brother Alfred Brousseau, "Summation of Infinite Fibonacci Series," The Fibonacci Quarterly, Vol.7 (1969), No.2; pp.143-168.
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参考文献

[1]
Brother Alfred Brousseau, Summation of Infinite Fibonacci Series, The Fibonacci Quarterly, 1969, pp.143-168
投稿日:202115
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投稿者

ゆう
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好きな整数は 0, 1, 1, φ, 2, 5, 6, 12, 89 など. || フィボナッチ数列 bot (@Aureus_N) 管理人. || hatena blog || indeterminate equations involving Fibonacci numbers || Disquisitiones Arithmeticae...

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