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前提知識 : Lucas 数列, Fibonacci 数列
Lucas 数列, Fibonacci 数列 :
https://mathlog.info/articles/191
(2) の記事 :
https://mathlog.info/articles/1469
(3) の記事 : (準備中)
最新版 :
https://yu200489144.hatenablog.com/entry/2021/01/05/232023
準備
整数列であって, 漸化式およびの値
によって定められるものそれぞれ Lucas 数列, Fibonacci 数列と呼ぶ.
のときは正しい. それぞれの等式について, あるについて等式が成りたつならば, それらを辺々足しわせることでの場合が得られ. また辺々を引けばの場合が得られるので, 再帰的に命題は示された.
黄金比
二次方程式の二つの解のうち正なるものを黄金比, 負なるものを共役黄金比と呼んで, それぞれと表す.
これに従えば
が成りたつ.
母関数
数列およびの収束範囲における母関数を, それぞれ
という記号で表し, 右辺の級数の収束するの領域をと置く.
ならば
からが判り, 同様にしてならばであることが得られる. これらを部分分数分解し, を適用すると
となるため, 収束条件は何れもかつである. であったから, これは
と書くことができる.
この命題から
などが判る. 因みに,
であり, 循環節の前半部にを足した数は
を充たす.
母関数の収束値の部分分数分解の式は, を用いて
と更に変形することができ, 両辺での係数を比較すればの場合の得られる. のときは, 符号の反転公式から
のように拡張されるため, 全ての整数について証明が完了した.
後ろの二式は, 漸化式を繰りかえし用いて得られる等式類
の一般化であり, このような再帰性を用いて帰納的に等号の成立を確かめるほうが簡明であるが, ここでは一般項および母関数を用いた証明を記す.
一般項からが導出されることを確かめておく. 指数の等式にこれを代入して展開すると
と同値変形され, の無理数性から, 有理数部分と無理数部分を比較して加法定理を得る.
閉区間上で母関数の収束値から等式を確かめる. 先ず左辺について,
と分数式として表しなおすことができる. また右辺については
となり, 上記二つは相等しいので等式は正しい. 等式についても同様であるので, その詳細は省略する. 最後に, 両辺にをそれぞれ乗じれば非負なる整数に対する加法定理が導かれる.
参考 :
https://mathlog.info/articles/320
符号の反転公式と加法定理から,
と変形でき, ここにを代入すれば
と命題の式に達する.
参考 :
https://mathlog.info/articles/223
この手法を一般化して, 等式
あるいは
があらゆる整数について成立することを証明することができ, Catalan の等式と呼ばれるこれらの式が, の形を含む無限級数の収束値の計算において大いに役立つということを後の記事にて見る.
Catalan の等式と同様にして証明することができる (省略).
おまけ
の区間において
が成立し, の項の係数から命題の式が得られる.
この命題は, 下のようなPascalの三角形において右上がりの斜め和がFibonacci数列の項になることを主張しており, 実際に計算して確かめることができる.
Lucas 数の母関数の収束値からを引くと
のようになり, 両辺をで割って積分すれば
すなわち
が得られる. の場合の成立からが判り, であったことを用いれば
という等式に変形され, 両辺をによって飛ばせば命題の式になる.