1

多産数列(仮称)と算術三角形・算術四面体

36
1

算術三角形から多産数列を作る

上の記事で述べたように算術三角形からフィボナッチ数列を作ることができました。多産数列もフィボナッチ数列の拡張ですから、算術三角形から作れそうです。

(Fk(n))を子と親に分け、表を書いてみましょう(一般項から計算してもいいんですが、このくらいなら足し算したほうが楽なので)。
n110120113k11+1k4k1+k1+2k5k+k21+2k1+3k+1k26k+2k21+3k+k21+4k+3k27k+3k2+k31+4k+3k21+5k+6k2+1k38k+4k2+3k31+5k+6k2+k31+6k+10k2+4k39k+5k2+6k3+k41+6k+10k2+4k31+7k+15k2+10k3+1k410k+6k2+10k3+4k41+7k+15k2+10k3+k41+8k+21k2+20k3+5k4
さすがフィボナッチ数列から拡張しただけあって子、親、計の形はそっくりですね。さて、この表を見ると、係数が算術三角形の項になっていることがわかります。これを利用すると以下の定理が導けます。

多産数列(Fk(n))は組合せの数nCrを用いて以下のように表せる。ただし[x]xを超えない最大の整数を表す。
Fk(n)=r=0[n12]nr1Crkr

この式が多産数列の漸化式を満たすことが示せれば証明することができます。大筋は最初に挙げた記事と同じです。

r=0[n12]nr1Crkrが多産数列の漸化式を満たせばよい。
Fk(1), Fk(2)について
r=0[112]1r1Crk0=0C01=1r=0[212]2r1Crk0=1C01=1
nが偶数のときn=2mなる整数mが在って
r=0[n2]nrCrkr+kr=0[n12]nr1Crkr=r=0m2mrCrkr+kr=0m12mr1Crkr=r=1m2mrCrkr+r=1m2mrCr1kr+2mC0=r=1m(2mrCr+2mrCr1)kr+2m+1C0=r=0m2mr+1Crkr=r=0[n+12]nr+1Crkr
nが奇数のときn=2m+1なる整数mが在って
r=0[n2]nrCrkr+kr=0[n12]nr1Crkr=r=0m2mr+1Crkr+kr=0m2mrCrkr=2m1C0+r=1m2mr+1Crkr+kr=0m12mrCrkr+mCm=2mC0+r=1m2mr+1Crkr+r=1m2mr+1Cr1kr+m+1Cm+1=r=0m+12mr+2Crkr=r=0[n+12]nr+1Crkr

以上よりr=0[n12]nr1Crkrは多産数列の漸化式を満たす。

k=2の場合と算術四面体

さて、今度は多産数列のk=2の場合と算術四面体との関わりを見ていきましょう。

まず、算術四面体を以下のように並べ直します。そして、縦の列で足してあげると以下のようにk=2の場合が現れます。

1111122121133363133146124121214641052015106161113511214385

図に描くのが難しいので描きませんが、算術四面体をある平行な平面で切ったときの切り口にある数字を足したものになります。

算術四面体の項はn!p!q!r!と表せますから、上の図は次のように表せます。

F2(n)=i=0[n12]j=0i(ni1)!j!(ij)!(n2i1)!

これが成り立つことを確かめましょう。

i=0[n12]j=0i(ni1)!j!(ij)!(n2i1)!=i=0[n12]j=0ii!j!(i1)!(ni1)!i!(n2i1)!=i=0[n12]ni1Cij=0iiCj=i=0[n12]ni1Ci2i

よって定理1よりF2(n)=i=0[n12]j=0i(ni1)!j!(ij)!(n2i1)!が成り立ちます。

投稿日:2021122
OptHub AI Competition

この記事を高評価した人

高評価したユーザはいません

この記事に送られたバッジ

バッジはありません。
バッチを贈って投稿者を応援しよう

バッチを贈ると投稿者に現金やAmazonのギフトカードが還元されます。

投稿者

三星聯
三星聯
36
6210
主にフィボナッチ数列とパスカルの三角形の関係について書いていくと思います。

コメント

他の人のコメント

コメントはありません。
読み込み中...
読み込み中
  1. 算術三角形から多産数列を作る
  2. k=2の場合と算術四面体