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超Taylor展開を導出する(3次までできた)

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そういえば前の記事がTeylor展開になっていたのをTaylor展開に直しました。

超微分について

超微分、超微分積分学についてはこちら
7777777: 超微分の記事まとめ

超Taylor展開を導く

導きます。
そもそも、Taylor展開がどのような発想で生まれたのでしょうか。
そこに焦点を当てれば簡単に解決します。


超微分積分学の基本定理

7777777: 超積分の簡単な定義・レベルとオーダーの関係 より

超微分積分学の基本定理

{Pf(x)dx}=f(x)
ただしPf(x)dxf(x)の超積分とし、常に正とする。

超積分の変換公式

Pf(x)dx=ef(x)xdx

こういうものがあります。
ここで思い出してほしいのですが、もともとのTaylor展開の1次のやつはどんなんだったでしょうか。

f(x)f(0)+f(0)x

こういうやつでしたね。しかし、これはそもそもどこから出てきたのでしょうか。
それは、

f(x)=f(0)+0xf(t)dt

これです。これはほぼ微分積分学の第二基本定理みたいなものですね。
ここで、f(x)f(0)で近似することで上の1次近似が生まれるのです。
ということは、これをそのまんま超積分にあてはめたらいいんじゃないかという発想は極めて自然に生まれます。
そのために必要な、超微分積分学バージョンの第二基本定理を考えます。
そもそもの微分積分学の第二基本定理はこういうものでした。 (Wikipedia)

微分積分学の第二基本定理

区間I上で微分可能な関数Fについて、その導関数f=dFdxが積分可能であるとき、任意のa,bIに対して
abf(x)dx=F(b)F(a)
が成り立つ。

こいつに微分積分学の第一基本定理を使う。
abf(t)dt=F(b)F(a)0xf(t)dt=F(x)F(0)
ここで改めて関数Ffと書けば、dFdx=fだったのでdfdx、つまりffの代わりになって、
0xf(t)dt=f(x)f(0)f(x)=f(0)+0xf(t)dt
が導かれる。
ということは超微分でするために、超微分積分学の第二基本定理がいるということですね。


超微分積分学の第二基本定理

ここで一番悩んだのはどんな記号を使うべきかです。Texにあるやつじゃないと。

出来ました。コードは\:\cancel{^{}}\!\!\!\:\:\:\llap{\int}です。マクロにでもぶち込んでおきましょう。私は\sintにしました。
abf(x)qx
これは\sint_a^b f(x) \:\mathrm{q}xになります。qx
アレクサンダー鷹觜氏の記事 超微分における接線,高次導関数 で使われていたものを使っています。
まぁ、超定積分といっても超積分の変換公式の不定積分を定積分に変えればいいのでしょう。多分。

超定積分

f(x)qx=exp(f(x)xdx)abf(x)qx=exp(abf(x)xdx)

それともこう書いたほうがいいでしょうか

超定積分

f(x)qx=exp(f(x)xdx)abf(x)qx=exp(abf(x)xdx)

超Taylor展開(1次)

じゃぁやってみましょうか

普通に0からやる

0xf(t)qt=exp(0xf(t)tdt)=exp(f(t)tdt|xf(t)tdt|0)=F(x)F(0)1
こうなりました。ただしf=Fとしています。
ここで改めてFfと書きなおすことにすると、もともとfだったものはfとなります。
0xf(t)qt=f(x)f(0)1f(x)=f(0)0xf(t)qt
まぁ、思ってた通りの形になりましたね。


ここで、Taylor展開の1次のやつを思い出してf(t)f(0)で近似しましょう。
f(x)f(0)0xf(0)qt=f(0)exp(0xf(0)tdt)=f(0)exp(f(0)(ln(x)ln(0)))形式的なもの。数学的な意味はない=f(0)(x0)f(0)
途中で0除算が出てきたので数学的な意味は無いですが、めちゃくちゃなんか見たことある形が出てきましたね、、、

接冪

fa>0で超微分可能であるとき、以下の関数をfaにおける接冪という
y=f(a)(xa)f(a)

ラグ / Lagu氏の記事 超微分で微分っぽいことをする で出てきた接冪です。
ここではa>0となっていますので、それでもう一度考え直してみます。


aから始めてみる

じゃぁやりなおしてみます。
axf(t)qt=exp(axf(t)tdt)=exp(f(t)tdt|xf(t)tdt|a)=F(x)F(a)1
こうなりました。ただし先ほどと同じくf=Fとしています。
ここで改めてFfと書きなおすことにすると、もともとfだったものはfとなるので、
axf(t)qt=f(x)f(a)1f(x)=f(a)axf(t)qt
こうなります。


Taylor展開の1次のやつを思い出してf(t)f(a)で近似します。(積分の左端)
f(x)f(a)axf(a)qt=f(a)exp(axf(a)tdt)=f(a)exp(f(a)(ln(x)ln(a)))形式的なものじゃなくなった=f(a)(xa)f(a)
はい。完全に接冪が出てきます。(当たり前)

超Taylor展開(2次)

つぎ、2次の超Taylor展開を考えるにあたって、2次のTaylor展開はどのような発想で生まれるのでしょうか。
それはいたって簡単。非常に簡単です。
一番上の普通の1次のTaylor展開ではf(t)f(a)で近似しましたが、f(x)
f(x)=f(0)+0xf(t)dt
というのが成り立っています。つまり、2次ではこのf(x)をまた1次のTaylor展開で近似するだけということです。簡単ですね。
同じことを超微分でしましょう


分かりやすく書くとこうです。
f(x)f(a)f(x)f(a)axf(a)qt=f(a)(xa)f(a)f(x)f(a)axf(a)(xa)f(a)qt
嫌な予感がします。超積分できるんかこれ
f(x)f(a)exp(axf(a)(ta)f(a)tdt)=f(a)exp(f(a)axtf(a)1af(a)dt)=f(a)exp(f(a)af(a)(xf(a)f(a)af(a)f(a)))=f(a)exp(f(a)xf(a)f(a)af(a)f(a)f(a))=f(a)exp(f(a)f(a)(xf(a)af(a)1))
これでいいのか?今後の超積分のためにもなるべくきれいな形をしておいてほしいものですが。
f(a)exp(f(a)(ln(x)ln(a)))f(a)exp(f(a)f(a)af(a)(xf(a)af(a)))
こう見るとちゃんとしている?と言えるのかこれほんとに。
怪しい。もはや原点を通るものですらなくなっている。

逆にただの積分をしてみる

つまり、
f(t)f(a)f(x)f(a)axf(t)qtf(x)f(a)+axf(t)dt
こうします。
すると、
f(x)f(a)(xa)f(a)f(x)f(a)+axf(a)(ta)f(a)dt=f(a)+f(a)af(a)(x1+f(a)a1+f(a)1+f(a))
こんな風になります。


次はこれ
f(t)f(a)f(x)f(a)+axf(t)dtf(x)f(a)axf(t)qt
ちなみにff^`{'}と書かないとエラーになります。
f(x)f(a)+f(a)(xa)f(x)f(a)axf(a)+f(a)(ta)qt=f(a)exp(axf(a)+f(a)(ta)tdt)=f(a)exp((f(a)af(a))(ln(x)ln(a))+f(a)(xa))=f(a)(xa)f(a)af(a)(exp(x)exp(a))f(a)
こんな風になります。

3次

計算しやすくしたいので2次を何とかします。
f(a)exp(f(a)f(a)af(a)(xf(a)af(a)))=f(a)exp(f(a)xf(a)f(a)af(a)f(a)af(a)f(a)af(a))=f(a)exp(f(a)f(a))exp(f(a)xf(a)f(a)af(a))
いけるか?これ...
f(x)f(a)exp(f(a)f(a))exp(f(a)xf(a)f(a)af(a))
ffとしました。ここに
f(x)=f(a)axf(t)qt
をつかって、
f(x)f(a)exp(axf(a)exp(f(a)f(a))exp(f(a)tf(a)f(a)af(a))1tdt)=f(a)exp(f(a)exp(f(a)f(a))axexp(f(a)tf(a)f(a)af(a))t1dt)
おいおいだいじょうぶかこれ
axexp(f(a)tf(a)f(a)af(a))t1dt=acxc(cs)1exp(f(a)(cs)f(a)f(a)af(a))cds(tcs)=acxcs1exp(f(a)cf(a)f(a)af(a)sf(a))ds
ここで
f(a)cf(a)f(a)af(a)=1
となるような都合の良い定数cを選びます。すると
acxcs1exp(sf(a))ds=(ac)f(a)(xc)f(a)u1f(a)eu1f(a)u1f(a)1du(su1f(a))=1f(a)(ac)f(a)(xc)f(a)u1eudu
ああ~~~~~~ダメですこれ
指数積分が出てきてしまいます。( Wikipedia(日) , Wikipedia(英) )
Ei(x)=xettdt=xettdt
これが指数積分です。この関数は初等関数でないことがリッシュのアルゴリズムによって示されています。
f(a)cf(a)f(a)af(a)=1cf(a)=f(a)af(a)f(a)(ac)f(a)=af(a)f(a)af(a)f(a)=f(a)f(a)(xc)f(a)=xf(a)f(a)af(a)f(a)=f(a)xf(a)f(a)af(a)
なので、
1f(a)(ac)f(a)(xc)f(a)u1eudu=1f(a)(Ei(f(a)xf(a)f(a)af(a))Ei(f(a)f(a)))
あーもう最悪ですね
f(a)exp(f(a)f(a)exp(f(a)f(a))(Ei(f(a)xf(a)f(a)af(a))Ei(f(a)f(a))))
ということで答えは「3次の超Taylor展開は初等関数で表されない」でした。
えぐ
f(a)exp(f(a)ln(x)f(a)ln(a))f(a)exp(f(a)xf(a)f(a)af(a)f(a)f(a))f(a)exp(f(a)f(a)exp(f(a)f(a))(Ei(f(a)xf(a)f(a)af(a))Ei(f(a)f(a))))
何か見えるか?
そういえば指数積分って
Ei(x)=xettdt
なので
Ei(x)=exx1Ei(x)=xex
ですよね。
f(a)f(a)exp(f(a)f(a))=f(a)f(a)1Ei(f(a)f(a))
って書けますね。
f(a)exp(f(a)f(a)Ei(f(a)f(a))1(Ei(f(a)xf(a)f(a)af(a))Ei(f(a)f(a))))

おわり

残念でした。早く規則性見つけたいです。

おまけ

下の図を右クリックでtexをコピーできます。
右クリック->Show Math As->Tex Commands
1.2.8.3.4.10.6.5.7.9.17.11.12.14.13.15.16.

投稿日:2024121
更新日:2024121
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Y.K.
Y.K.
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掛け算が苦手

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  1. 超微分について
  2. 超Taylor展開を導く
  3. 超微分積分学の基本定理
  4. 超微分積分学の第二基本定理
  5. 超Taylor展開(1次)
  6. 超Taylor展開(2次)
  7. 逆にただの積分をしてみる
  8. 3次
  9. おわり
  10. おまけ