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コネクターと級数

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0.目次

1.はじめに
2.コネクターと輸送関係式
3.級数の双対性
4.おまけ
5.終わりに

1.はじめに

コネクターについて最近考えたことを書きます。
表記などはWataruさんのこちらの記事を参考にしています。
多重ゼータ値の双対性と連結和

2.コネクターと輸送関係式

G(n,m):=(x)n(y)m(x+y)n+m1

これが今回用いるコネクターです。

連結和

Z(k;l)=0<n1<n2<<na0<m1<m2<<mb1(n+x1)k(m+y1)lG(na,mb)

(n+x1)k=(n1+x1)k1(n2+x1)k2(na+x1)ka

という略記です。まあ、なんとなく察してください

輸送関係式1

Z(k;l)=Z(k;l)

n0<n1n+x1G(n,m)=1m+y1G(n0,m)を示せばよい。

n0<n1n+x1G(n,m)=n0<n1n+x1(x)n(y)m(x+y)n+m1=n0<n1(n+x1)(m+y1)(x)n(y)m(x+y)n+m1{(n+m+x+y2)(n+x1)}=n0<n1m+y1{(x)n1(y)m(x+y)n+m2(x)n(y)m(x+y)n+m1}=n0<n1m+y1(G(n1,m)G(n,m))=1m+y1G(n0,m)

輸送関係式2

Z(k;l)=Z(k;l)

1n+x1G(n,m0)=m0<m1m+y1G(n,m)

を示せばよいが、これは対称性から定理1と同様に成り立つことが確認できる。
(右辺を定理1と同様の手法で計算すればよいです。)

3.級数の双対性

用語の意味とかは過去記事を見てください 多重ゼータ値の双対性1

双対性を持つ級数

許容インデックスk=(k1,k2,,kr)に対して
U(k;x,y):=0<n1<n2<<nr1(n1+x1)k1(n2+x1)k2(nr+x1)kr(x)nr(x+y)nr1
kの双対インデックスをkと表したとき
U(k;x,y)=U(k;y,x)
が成り立つ。

定理1と定理2を順に用いていきます。
また、正整数a1,a2,,as,b1,b2,,bsを用いて
k=({1}a11,b1+1,,{1}as1,bs+1)
とします。
(kが許容インデックスならば必ずこの形で一意的に書ける)

U(k;x,y)=Z(k;)=Z(a1b1a2b2asbs;)=Z(;bsasbs1as1b1a1)=Z(;k)=U(k;y,x)

最後xyが入れ替わることに注意してください。

(例)
U(3;x,y)=0<n1(n+x1)3(x)n(x+y)n1=0<n1(n+x1)3G(n,0)=0<n1(n+x1)2(1n+x1G(n,0))=0<n1(n+x1)20<m11m1+y1G(n,m1)(2)=0<n0<m11n+x11m1+y1(1n+x1G(n,m1))=0<n0<m1<m21n+x11(m1+y1)(m2+y1)G(n,m2)(2)=0<m1<m21(m1+y1)(m2+y1)0<n1n+x1G(n,m2)=0<m1<m21(m1+y1)(m2+y1)2G(0,m2)(1)=0<m1<m21(m1+y1)(m2+y1)2(y)m2(x+y)m21=U(1,2;y,x)

x=y=1とすると多重ゼータ値の双対関係式になります。

ζ(k)=ζ(k)

x=y=12とすることにより以下を得ます。

U(k)=U(k)

U(k):=0<n1<n2<<nrnr(n112)k1(n212)k2(nr12)kr(2nrnr)22nr

x=α+1 y=1とすることにより次を得ます。

k=(k1,k2,kr),0<α
ζ(k;α):=0n1<<nr1(n1+α)k1(n2+α)k2(nr+α)kr
ξα(k):=0<n1<n2<<nrnr!n1k1n2k2nrkr(α)nr
としたときに
ζ(k;α)=ξα(k)

4.おまけ

今までの結果から、次のような等式が成り立つことも分かります。

級数

n=1m=11(n12)(m12)n!m!(n+m1)!(2nn)(2mm)22n+2m=π

(省略気味)

U(2;x,y)=0<n1(n+x1)2G(n,0)=0<m1m+y10<n1n+x1G(n,m)

なので、
U(2;x,y)=0<m1m+y10<n1n+x1G(n,m)が成り立つ。
ここでx=y=12とすると
U(2;12,12)=n=1m=11(n12)(m12)n!m!(n+m1)!(2nn)(2mm)22n+2m
となる。


一方で、過去記事 メモ(随時更新予定) に書いたように(証明はまだ書いてない)
0<n1<n2<<nrnr(n112)2(n212)2(nr12)2(2nn)22n=π2r1(2r1)!

が成り立つので、r=1として
U(2;12,12)=π
が分かります。
以上より
n=1m=11(n12)(m12)n!m!(n+m1)!(2nn)(2mm)22n+2m=π

5.終わりに

書きたかったことをいろいろ書けたので満足しました。
ここまで読んでいただきありがとうございました(^_-)-☆

投稿日:20231026
更新日:2023123
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よよよよよよよよよよよよ

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