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積分 bot の積分の若干の一般化

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|r|<1, α>1/2,またβ=α,α+1,2α+1のいずれかに対して,以下が成り立つ。
(1)0πsin2αx(12rcosx+r2)βdx=B(α+1/2,1/2)×{1β=α1/(1r2)β=α+11/(1r2)2α+1β=2α+1

なお,

(2)B(α+1/2,1/2)=Γ(α+1/2)Γ(1/2)Γ(α+1)=Γ(2α+1)Γ(1/2)Γ(α+1)22αΓ(1/2)Γ(α+1)=π22αΓ(2α+1)Γ(α+1)Γ(α+1)=π22α(2αα)if αN

である。αN, β=α+1のケースが 積分botの数式 , 積分botの問題を解いてみた2 , 積分botの数式を漸化式で解く議論 で扱われている。 竹村彰通先生との共著論文 では,α>1/2で (1)においてβ=αのケースを扱った。従って,(1)はこれらを含む統一的な結果である。もともとtwitterに 投稿 したのだが,Mathlog の方が興味を持つ人に直接届く気がして記事を書くことにする。

ところで(2)において,第2の等号はルジャンドルの倍数公式 (5.5.5) ,第3の等号はΓ(1/2)=π (5.4.6) を用いた。以上及び以下で,式番号(.m.n) NIST Digital Library of Mathematical Functions の公式番号である。

以下は(1)の証明である。2倍角の公式,半角の公式より

sinx=2sin(x/2)cos(x/2)1+cosx=2cos2(x/2)

である。従って,

sin2αx=22αsin2α(x/2)cos2α(x/2)12rcosx+r2=1+2r+r22r(1+cosx)=(1+r)24rcos2(x/2)

を得る。よって

0πsin2αx(12rcosx+r2)βdx=22α(1+r)2β0πsin2α(x/2)cos2α(x/2)(14Rcos2(x/2))βdx=22α+1(1+r)2β0π/2sin2αxcos2αx(14Rcos2x)βdx=22α(1+r)2β01tα1/2(1t)α1/2(14Rt)βdt

である。ただし,R=4r/(1+r)2である。ここまでの式変形は, 積分botの問題を解いてみた2 の追記に書かれたアイデアである(ただし,追記には複数のタイポがある)。

さらにこの記事のアイデアに基づき,超幾何関数

F(a,bc;z)=1+abcz+a(a+1)b(b+1)c(c+1)2!z2+

を用いて

(3)22α(1+r)2β01tα1/2(1t)α1/2(14Rt)βdt=22αB(α+1/2,α+1/2)(1+r)2βF(β,α+1/22α+1;4r(1+r)2) (15.1.2) & (15.6.1)=22αB(α+1/2,α+1/2)F(β,βαα+1;r2)(15.8.21)

を得る。第2の等号は Bailey's transformation と呼ばれるらしい。さらに (3) の最右辺で

(4)F(β,βαα+1;r2)={(1r2)αβF(α+1β,βαα+1;r2r21)(1r2)βF(β,2α+1βα+1;r2r21)(15.8.1)

である。(3) の最右辺,及び (4) で超幾何関数の分子の引数が0の場合を考えると,

(5)F(β,βαα+1;r2)={1β=α(1r2)αββ=α+1(1r2)ββ=2α+1

を得る。さらに (3) の最右辺の定数について

(6)22αB(α+1/2,α+1/2)=22αΓ(α+1/2)Γ(α+1/2)Γ(2α+1)=22αΓ(α+1/2)Γ(α+1/2)π1/222αΓ(α+1/2)Γ(α+1)=Γ(α+1/2)Γ(1/2)Γ(α+1)=B(α+1/2,1/2)

である。第2の等号はルジャンドルの倍数公式 (5.5.5) ,第3の等号はΓ(1/2)=π (5.4.6) を用いた。(3), (5), (6)より (1) が得られる。

投稿日:20231028
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