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二項関係 ⑨

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$$$$
お詫び (変更日:$2026.05.09$)

今回、 二項関係⑥ 二項関係⑦ について大幅な書き直しを行った。
なお、元の命題のいずれも誤りであったという意味ではない。主な変更内容は以下の$2$点である。

  1. これまで $A$ 上の二項関係として書いていた公式を、
    始集合、中間集合、終集合を分けた $A,B,C$ の間の二項関係に対する一般形へ改めた。
    $ $
    【例】変更前: $A$ を集合とし、$R,S,T\subseteq A\times A$$A$ 上の二項関係として
    $$T\circ(R\cup S)=(T\circ R)\cup(T\circ S)$$
       を示した。
       変更後: $R_1,R_2\subseteq A\times B,\ S\subseteq B\times C$ として、次の一般形に改め
    $$S\circ(R_1\cup R_2)=(S\circ R_1)\cup(S\circ R_2)$$
       を示した。
    $ $
  2. 二項関係⑦ で取り上げていた下記命題を、下記の通り一般化した形で本稿で取り上げる事とした。
    【変更前(削除済み)】$A$ を集合とし、$R,S,T,U\subseteq A\times A$$A$ 上の二項関係とするとき、
    $$ R\subseteq S,\quad T\subseteq U \Longrightarrow T\circ R\subseteq U\circ S $$
    【本稿】$A,B,C$ を集合とし、$R_1,R_2\subseteq A\times B,\ S_1,S_2\subseteq B\times C$ を二項関係とするとき
    $$ R_1\subseteq R_2\land S_1\subseteq S_2 \ \Rightarrow\ S_1\circ R_1\subseteq S_2\circ R_2 $$
    ※当然ながら、二項関係⑧で取り上げた 空関係 を含む場合にも、本命題は成り立つ。

-以上より、一般的な形に合わせて記号と仮定を整理し直した。
途中で記号や命題の形を変更したため、読みにくさや混乱を招いてしまった点をお詫びする。

Prop&Proof.

合成関係の単調性①

$A,B,C$ を集合とし、$R_1,R_2\subseteq A\times B,\ S\subseteq B\times C$ を二項関係とする。
このとき
$$ R_1\subseteq R_2\ \Rightarrow\ S\circ R_1\subseteq S\circ R_2 $$
が成り立つ。

$R_1\subseteq R_2$ と仮定する。
$$ S\circ R_1\subseteq S\circ R_2 $$
を示す。
$ $
任意に $z\in S\circ R_1$ をとる。
合成関係の定義より、ある $a\in A$$b\in B$$c\in C$ が存在して
$$ z=(a,c)\land (a,b)\in R_1\land (b,c)\in S $$
が成り立つ。ここで、仮定
$$ R_1\subseteq R_2 $$
より、
$$ (a,b)\in R_2 $$
が成り立つ。したがって、
$$ z=(a,c)\land (a,b)\in R_2\land (b,c)\in S $$
である。
ゆえに、合成関係の定義より
$$ z\in S\circ R_2 $$
が成り立つ。
以上より、任意の $z\in S\circ R_1$ に対して $z\in S\circ R_2$ が成り立つので、
$$ S\circ R_1\subseteq S\circ R_2 $$
である。したがって、
$$ R_1\subseteq R_2\ \Rightarrow\ S\circ R_1\subseteq S\circ R_2 $$
が成り立つ。
$$ \Box$$

合成関係の単調性②

$A,\ B,\ C$ を集合とし、$R\subseteq A\times B,\ S_1,S_2\subseteq B\times C$ を二項関係とする。
このとき
$$ S_1\subseteq S_2\ \Rightarrow\ S_1\circ R\subseteq S_2\circ R $$
が成り立つ。

$S_1\subseteq S_2$ と仮定する。
$$ S_1\circ R\subseteq S_2\circ R $$
を示す。
$ $
任意に $z\in S_1\circ R$ をとる。
合成関係の定義より、ある $a\in A$$b\in B$$c\in C$ が存在して
$$ z=(a,c)\land (a,b)\in R\land (b,c)\in S_1 $$
が成り立つ。ここで、仮定
$$ S_1\subseteq S_2 $$
より、
$$ (b,c)\in S_2 $$
が成り立つ。したがって、
$$ z=(a,c)\land (a,b)\in R\land (b,c)\in S_2 $$
である。
ゆえに、合成関係の定義より
$$ z\in S_2\circ R $$
が成り立つ。
以上より、任意の $z\in S_1\circ R$ に対して $z\in S_2\circ R$ が成り立つので、
$$ S_1\circ R\subseteq S_2\circ R $$
である。したがって、
$$ S_1\subseteq S_2\ \Rightarrow\ S_1\circ R\subseteq S_2\circ R $$
が成り立つ。
$$ \Box$$

合成関係の単調性③

$A,B,C$ を集合とし、$R_1,R_2\subseteq A\times B,\ S_1,S_2\subseteq B\times C$ を二項関係とする。
このとき、
$$ R_1\subseteq R_2\land S_1\subseteq S_2 \Rightarrow S_1\circ R_1\subseteq S_2\circ R_2 $$
が成り立つ。

既に示した単調性からの別証明

この命題は、既に示した次の $2$ つの命題からも導ける。
$1$ つ目は、右側の関係に関する単調性
$$ R_1\subseteq R_2 \ \Rightarrow\ S_1\circ R_1\subseteq S_1\circ R_2 $$
$2$ つ目は、左側の関係に関する単調性
$$ S_1\subseteq S_2 \ \Rightarrow\ S_1\circ R_2\subseteq S_2\circ R_2 $$
したがって、
$$ S_1\circ R_1\subseteq S_1\circ R_2\subseteq S_2\circ R_2 $$
が成り立つ。
ゆえに、包含関係の推移性より
$$ S_1\circ R_1\subseteq S_2\circ R_2 $$
である。

$R_1\subseteq R_2\land S_1\subseteq S_2$ と仮定する。すなわち、
$$ R_1\subseteq R_2 $$
かつ
$$ S_1\subseteq S_2 $$
である。そこから
$$ S_1\circ R_1\subseteq S_2\circ R_2 $$
を示す。そこで、任意に
$$ z\in S_1\circ R_1 $$
をとる。合成関係の定義より、ある $a\in A,\ b\in B,\ c\in C$ が存在して、
$$ z=(a,c) $$
かつ
$$ (a,b)\in R_1\land (b,c)\in S_1 $$
が成り立つ。

  1. 仮定 $R_1\subseteq R_2$ より、
    $$ (a,b)\in R_2 $$
    である。
    $ $
  2. また、仮定 $S_1\subseteq S_2$ より、
    $$ (b,c)\in S_2 $$
    である。

-したがって、
$$ (a,b)\in R_2\land (b,c)\in S_2 $$
が成り立つ。合成関係の定義より、
$$ (a,c)\in S_2\circ R_2 $$
である。$z=(a,c)$ であるから、
$$ z\in S_2\circ R_2 $$
である。$z\in S_1\circ R_1$ は任意であったから、
$$ S_1\circ R_1\subseteq S_2\circ R_2 $$
が成り立つ。
$$ \Box$$

合成関係の単調性

この命題は、合成関係が包含関係に関して単調であることを表している。
すなわち、
$$ R_1\subseteq R_2 $$
により、前半に使う関係を $R_1$ からより大きい関係 $R_2$ に広げる。
また、
$$ S_1\subseteq S_2 $$
により、後半に使う関係を $S_1$ からより大きい関係 $S_2$ に広げる。
このとき、$R_1$ のあとに $S_1$ をたどって得られる順序対は、すべて $R_2$ のあとに $S_2$ をたどって得られる順序対にも含まれる。
したがって、
$$ S_1\circ R_1\subseteq S_2\circ R_2 $$
が成り立つ。

空関係を含む場合

空関係 $\varnothing$ も直積の部分集合である( 証明はコチラ )ため、二項関係として扱える。
したがって、この命題は $R_1,R_2,S_1,S_2$ のいずれかが空関係である場合にも成り立つ。
たとえば、$R_1=\varnothing$ または $S_1=\varnothing$ であれば、
$$ S_1\circ R_1=\varnothing $$
である( 証明はコチラ )から、
$$ S_1\circ R_1\subseteq S_2\circ R_2 $$
は自明に成り立つ。
ただし、$R_2=\varnothing$ の場合は、仮定 $R_1\subseteq R_2$ より $R_1=\varnothing$ である。同様に、$S_2=\varnothing$ の場合は、仮定 $S_1\subseteq S_2$ より $S_1=\varnothing$ である。

投稿日:9日前
更新日:9日前
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投稿者

Kagura
Kagura
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■ 分野を問わず数学の証明が好きです。あとで自分が読み返したときに、きちんと理解できるノートを作ることを心がけています。不定期に過去のノートを確認し、修正&更新 (追加&削除) しています。定義、命題、証明などに誤りや不正確な点がございましたら、ご指摘いただけますと幸いです(2025年12月28日)。

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