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現代数学議論
文献あり

接冪について

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はじめに

接冪とは、 Lagu 氏の「 超微分で微分っぽいことをする 」で出てきた、
超微分による関数のプライマリーな近似のことです。
この接冪をもっと近似するものについての記事です。
ただし、超微分による近似ではないのでそこはご了承を願います。(超微分との関連性については書きます。)

本題

まず接冪の参考元記事の定義について確認しておきます。

接冪

$f$$a>0$で超微分可能であるとき、以下の関数を$f$$a$における接冪と呼ぶ。
$$f(x)=f(a)\left(\dfrac{x}{a}\right)^{f^{`}(a)}$$

これをもっと近似していきます。
まず、$\ln (f(e^x))$$x=a$でTaylor展開します。
$$\ln(f(e^x)) = \ln(f(e^a))+\sum_{n=1}^\infty \dfrac{1}{n!}(x-a)^n\left.\left(\dfrac{d^n}{dx^n}\ln (f(e^x))\right|_{x=a}\right)$$
$e$の肩に乗せて
$$f(e^x) = f(e^a)\prod_{n=1}^\infty \exp\left[\dfrac{1}{n!}(x-a)^n\left.\left(\dfrac{d^n}{dx^n}\ln (f(e^x))\right|_{x=a}\right)\right]$$
$e^x\rightarrow X$$e^a\rightarrow A$$\left.\dfrac{d^n}{dx^n}\ln (f(e^x))\right|_{x=a}=f^{(n)}_L(e^a)$と置いて整理すると、
$$f(X) = f(A)\prod_{n=1}^{\infty}\exp \left[\dfrac{1}{n!}(\ln(X)-\ln(A))^n\left.\left(\dfrac{d^n}{dx^n}\ln (f(X))\right|_{X=A}\right)\right]$$
$$\qquad\ = f(A)\prod_{n=1}^\infty\exp\left[\dfrac{1}{n!}{f_L^{(n)}(A)\left(\ln\left(\dfrac{X}{A}\right)\right)^n}\right]$$

ものすごく分かりにくくなったので一旦纏めます。

指数的対数冪$(\text{Ex-Log})$展開 (勝手に造った言葉です。)

$f$$a>0$で解析的かつ常に正であるとき、$f$は以下のような指数的対数冪展開を行うことが出来る
$$f(x)=f(a)\prod_{n=1}^\infty \exp \left[\dfrac{1}{n!}f^{(n)}_L(a)\ln^n\left(\dfrac{x}{a}\right)\right]$$

$$f^{(n)}_L(e^x) := \dfrac{d^n}{dx^n}\ln (f(e^x))$$

ここで、$f^{(n)}_L(x)$$n$が小さい順に例示すると
$$f^{(1)}_L(x) = \dfrac{xf'(x)}{f(x)}$$
$$f^{(2)}_L(x) = \dfrac{x^2f(x)f''(x)+xf(x)f'(x)-x^2f'(x)^2}{f(x)^2}$$
$$f^{(3)}_L(x) = \dfrac{2 x^3 f'(x)^3 - 3 x^3 f(x) f'(x) f''(x) -3x^2f(x) f'(x)^2 + xf(x)^2 f'(x) + x^3f(x)^2 f'''(x) + 3x^2f(x)^2 f''(x)}{f(x)^3}$$
となります。
確かに$n=1$では超微分の定義に等しいことが分かります。
($e^{c\log(t)}= t^c$であることに留意すると、$n=1$では接冪の定義に等しいことが確認できます。)
$n=2$以降では$n$階超微分とは合致しません。

超微分と何が違うのか

$f^{`(n)}(e^x)$($f(e^x)$$n$階超微分)
$f^{(n)}_L(e^x)$の定義の式に似せて書くとこのようになります。
$$f^{`(n)}(e^x) =\underbrace{\dfrac{d}{dx}\ln\left(\cdots\dfrac{d}{dx}\ln \left(\dfrac{d}{dx}\ln\left(\right.\right.\right.}_{n}f(e^x)\underbrace{\biggl.\biggl.\bigl.\bigr)\biggr)\cdots\biggr)}_{n}$$
つまり、$f(e^x)$に対して対数とって微分、を$n$回繰り返して得られるものということです。
なぜ$n=1$だけあって、$n=2$以降から挙動が異なるのかはこれで分かると思います。

小ネタ:$f^{(n)}_{L}(e^x)$$f^{`(k)}(e^x)\:(k=1,2,\cdots ,n)$を用いて表す

この公式を使います。

$x>0$で超微分可能な関数$g(x)$に対して
$$g'(e^x) = g^{`}(e^x)g(e^x)$$

(対数微分法を使えば簡単に示せます。)
よって、$f^{(n)}_L(e^x)$をこのように再帰的に定義できます。
$f^{(1)}_L (e^x)= f^{`}(e^x)$
$f^{(n)}_L(e^x) = \left(f^{(n-1)}_L(e^x)\right)^{`}f^{(n-1)}_L(e^x)$
具体的に表すと
$$f^{(2)}_L(e^x) = f^{`(1)}(e^x)f^{`(2)}(e^x)$$
$$f^{(3)}_L(e^x) = f^{`(1)}(e^x)f^{`(2)}(e^x)\:\bigl(f^{`(2)}(e^x)+f^{`(3)}(e^x)\bigr)$$
$$f^{(4)}_L(e^x) = f^{`(1)}(e^x)f^{`(2)}(e^x)\:\bigl(f^{`(2)}(e^x)^2+f^{`(3)}(e^x)^2+3f^{`(2)}(e^x)f^{`(3)}(e^x)+f^{`(3)}(e^x)f^{`(4)}(e^x)\bigr)$$
となり、確かに表せていることが分かります。

では超Taylorの定理とは?

先ほどの指数的対数冪展開は、単なるTaylor展開の延長線上に過ぎません。また、冪級数の一意性から、超Taylor展開は少なくともこのような総乗の展開ではないものと分かります。
ではどのような展開なのでしょうか。対数を取る回数に着目すると、次のことが予想されます。

超Taylorの定理について

もし超Taylor展開が存在するならば、それは総冪、またはそれに準ずる、テトレーションレベルの展開になるであろう。

総冪とは、 ぬるのぬ 氏が定義した概念であり、数列$\{a_n\}$に対して
$$a_1^{a_2^{a_3^{\cdot^{\cdot^{\cdot^{{a_n}}}}}}}$$
とする演算です。参照は この記事 です。(記事の内容、とても面白いので見てください)
総冪の形になるかは分かりませんが、このようなテトレーションレベルの展開になるのではと、勝手ながら予想させていただきます。

また、これらのことを考える上で、$2$階超導関数以降にどのような意味があるのかが非常に気になります。

おわりに

あとこれはただの独り言なのですが、
$$f(x)=f(a)\left(\frac{x}{a}\right)^{f^{`}(a)g(x)}$$
を満たす$g(x)$と、
$$h(x) = \left(\frac{x}{a}\right)^{\frac{1}{2}f^{``}(a)}$$
なる$h(x)$を考えたときに、
$g(x)$$h(x)$$x=a$における微分係数が云々...
(ちょっと厳密な議論が必要で面倒なので誰かやってくださると助かります。)

間違いやミスなどあれば指摘をお願いいたします。

参考文献

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更新日:1111
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