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多様体上の微分作用素の随伴

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スピン幾何における解析学
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convention
$E,F:M$上の$\mathbb{K}$ベクトルバンドル
$\langle\cdot,\cdot\rangle_E,\langle\cdot,\cdot\rangle_F:E,F$のファイバー内積
$(u,v):=\int_M\langle u,v\rangle_E$
$D_k(E,F):\Gamma(E)\to\Gamma(F)$$k$階の微分作用素

 まず随伴作用素の存在を保証する次の命題があります。

$P\in D_k(E,F)$に対して、$P^*\in D_k(F,E)$で次を満たすものがただ一つ存在する。
$$ \int_M\langle Pu,v\rangle_F=\int_M\langle u,P^*v\rangle_E,\ u\in\Gamma(E),\ v\in\Gamma(F) $$

 この命題を動機として次のように定義します。  

形式的随伴作用素

$P\in D_k(E,F)$に対して、以下を満たす$P^*\in D_k(F,E)$$P$形式的随伴作用素(formally adjoint operator)という。
$$ \int_M\langle Pu,v\rangle_F=\int_M\langle u,P^*v\rangle_E,\ u\in\Gamma(E),\ v\in\Gamma(F) $$

さらに、$E=F$のとき、$P\in D_k(E)$形式的自己随伴作用素(formally self adjoint operator)であるとは$P=P^*$が成り立つときをいう。

 形式的随伴作用素の表象については次が成り立ちます。

$E,F\to M$をRiemannianまたはHermitianベクトルバンドルとする。$P\in D_k(E,F)$に対して、次が成り立つ。
$$ \sigma_k(P^*,\xi)=(-1)^k\sigma_k(P,\xi)^\dagger $$
ただし、$\dagger$は共役転置を表す。

投稿日:2023711
更新日:20231111
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Submersion
Submersion
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専門は相対論やLorentz幾何です。Einstein系の厳密解の構成や接触幾何の応用などの研究をしています。Ph.D保有者の中ではクソ雑魚の部類です。

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