$X$を集合とする.写像$d = d_{X} \colon X \times X \to \mathbb{R}$が
を満たすとき,$d$を$X$上の距離(函数)といい,組$(X,d)$を距離空間という.
$X$上の距離函数$d$について,
$$
0 = d(x,x) \leq d(x,y) + d(y,x) = 2d(x,y)\ \leadsto\ 0 \leq d(x,y)$$
が成り立つ.
写像
$$
d_{e} \colon \mathbb{R} \times \mathbb{R} \to \mathbb{R};\ (x,y) \mapsto |x-y|$$
は実数体$\mathbb{R}$上の距離函数である(cf. real命題4).距離空間$(\mathbb{R},d_{e})$を($1$次元)Euclid空間という.
$(X,d)$を距離空間とする.各$(c,r) \in X \times \mathbb{R}_{>0}$に対して,
$$
B(c;r) = B_{X}(c;r) := \{x \in X \mid d(x,c) < r\}$$
を(中心$c$,半径$r$の)開球といい,
$$
B[c;r] = B_{X}[c;r] := \{x \in X \mid d(x,c) \leq r\}$$
を(中心$c$,半径$r$の)閉球という.
$(X,d)$を距離空間とする.このとき開球全体のなす集合
$$
\beta(d) := \{B(c;r) \subset X \mid (c,r) \in X \times \mathbb{R}_{>0}\}$$
を開基とする$X$上の位相が定まる.この位相を($d$から定まる)距離位相といい$\tau(d)$で表わす:
\begin{align}
U \in \tau(d)
&\iff \forall x \in U,\ \exists\, (c,r) \in X \times \mathbb{R}_{>0},\ x \in B(c;r) \subset U\\
&\iff \forall x \in U,\ \exists\, s \in \mathbb{R}_{>0},\ B(x;s) \subset U.
\end{align}
以下,距離空間は距離位相により位相空間と見做す.
$\beta(d)$が$X$上の基底であることを示せばよい(cf. top定義9周辺).
距離空間の閉球は(距離位相に関して)閉集合である.
$(X,d)$を距離空間とし$(c,r) \in X \times \mathbb{R}_{>0}$とする.このとき$X \smallsetminus B[c;r] \in \tau(d)$なることを示せばよい.ところで,任意の$x \in X \smallsetminus B[c;r]$に対して,$s:= d(x,c) - r \in \mathbb{R}_{>0}$とおくと,
\begin{align}
y \in B(x;s) \implies d(y,c)
&\geq d(x,c) - d(x,y)\\
&> d(x,c) - s\\
&= r
\end{align}
より,$B(x;s) \subset X \smallsetminus B[c;r]$が成り立つ.
距離空間は(距離位相に関して)ハウスドルフである.実際,距離空間$(X,d)$の$2$点$x,y \in X,x\neq y,$に対して,$r := d(x,y)/2 \in \mathbb{R}_{>0}$とおくと,$B(x;r),B(y;r)$はそれぞれ$x,y$の開近傍であって,
$$
z \in B(x;r) \cap B(y;r) \implies d(x,y) \leq d(x,z) + d(z,y) < r + r = d(x,y)$$
より,
$$
B(x;r) \cap B(y;r) = \varnothing$$
が成り立つ.
距離空間は第1可算空間である.実際,距離空間$(X,d)$に対して
$$
X \to \mathsf{Filter}_{0}(X);\ x \mapsto \{B(x;n^{-1}) \mid n \in \mathbb{N}_{>0}\}$$
が$(X,\tau(d))$の局所開基族を与える(cf. top命題14).
$(X,d)$を距離空間とし,$A \subset X$をその部分集合とする.このとき,写像$d|_{A} := d|(A \times A)$は$A$上の距離函数である.距離空間$(A,d|_{A})$を距離空間$(X,d)$の部分空間という.
$(X,d)$を距離空間,$(A,d|_{A})$をその部分空間とする.このとき,$A$上のふたつの位相,すなわち距離位相$\tau(d|_{A})$と相対位相$\tau(d)|A$とは一致する.
$\beta(d|_{A}) \subset \beta(d)|A \subset \tau(d|_{A})$が成り立つことを示せばよい.
$(X,d_{X}),(Y,d_{Y})$を距離空間とし$f \colon X \to Y$を写像とする.任意の$(x_{0},\varepsilon) \in X \times \mathbb{R}_{>0}$に対して,$\delta = \delta(x_{0},\varepsilon) \in \mathbb{R}_{>0}$であって
$$
\forall x \in X,\ d_{X}(x,x_{0}) < \delta \implies d_{Y}(f(x),f(x_{0})) < \varepsilon$$
が成り立つものが存在するとき,$f \colon (X,d_{X}) \to (Y,d_{Y})$は連続であるという.
$(X,d_{X}),(Y,d_{Y})$を距離空間とし$f \colon X \to Y$を写像とする.このとき次は同値である:
以下,単に“$f \colon X \to Y$は連続である”などという.
$V \in \tau(d_{Y})$とし$x_{0} \in f^{\leftarrow}(V)$とする.このとき$\varepsilon \in \mathbb{R}_{>0}$であって$B_{Y}(f(x_{0});\varepsilon) \subset V$なるものが存在する.よって仮定より$\delta \in \mathbb{R}_{>0}$であって
$$
B_{X}(x_{0};\delta) \subset f^{\leftarrow}(B_{Y}(f(x_{0});\varepsilon)) \subset f^{\leftarrow}(V)$$
を満たすものが存在する.
$(x_{0},\varepsilon) \in X \times \mathbb{R}_{>0}$とする.このとき,$x_{0} \in f^{\leftarrow}(B_{Y}(f(x_{0});\varepsilon)) \in \tau(d_{X})$に対して,$\delta \in \mathbb{R}_{>0}$であって
$$
B_{X}(x_{0};\delta) \subset f^{\leftarrow}(B_{Y}(f(x_{0});\varepsilon))$$
を満たすものが存在する.
$(X,d)$を距離空間とする.このとき次が成り立つ:
$(X,d)$を距離空間とする.$((x_{n})_{n},x_{\infty}) \in X^{\mathbb{N}} \times X$について
$$
\lim\limits_{n\to\infty} d(x_{n},x_{\infty}) = 0$$
が成り立つとき(cf. real定義13),点列$(x_{n})_{n}$は$x_{\infty}$に収束するといい,
$$
\lim_{n\to\infty} x_{n} = x_{\infty},\ x_{n} \to x_{\infty}\ (n \to \infty)$$
などで表わす.しばしば記号$\lim\limits_{n\to\infty} x_{n}$で以て$x_{\infty} \in X$のことを表わす(cf. lim-unique).
$x_{\infty}' \in X$についても
$$
\lim_{n\to\infty} d(x_{n},x_{\infty}') = 0$$
が成り立つとすると,
$$
0 \leq d(x_{\infty},x_{\infty}') \leq d(x_{\infty},x_{n}) + d(x_{n},x_{\infty}') \to 0\ (n\to\infty)$$
より,$x_{\infty} = x_{\infty}'$となる.
$(X,d_{X}),(Y,d_{Y})$を距離空間とし$f \colon X \to Y$を写像とする.このとき次は同値である:
$\varepsilon \in \mathbb{R}_{>0}$とする.仮定より$\delta \in \mathbb{R}_{>0}$であって
$$
B_{X}(x_{\infty};\delta) \subset f^{\leftarrow}(B_{Y}(f(x_{\infty});\varepsilon))$$
を満たすものが存在する.この$\delta \in \mathbb{R}_{>0}$に対して,$n_{0} \in \mathbb{N}$であって
$$
\forall n \in \mathbb{N},\ n \geq n_{0} \implies d_{X}(x_{n},x_{\infty}) < \delta$$
が成り立つものが存在する.よって
$$
\forall n \in \mathbb{N},\ n \geq n_{0} \implies d_{Y}(f(x_{n}),f(x_{\infty})) < \varepsilon$$
が成り立つ.
$f \colon X \to Y$が連続でない,すなわち$(x_{\infty},\varepsilon_{\infty}) \in X \times \mathbb{R}_{>0}$であって
$$
\forall \delta \in \mathbb{R}_{>0},\ B_{X}(x_{\infty};\delta) \not\subset f^{\leftarrow}(B_{Y}(f(x_{\infty});\varepsilon_{\infty}))$$
を満たすものが存在したと仮定すると,点列$(x_{n})_{n} \in X^{\mathbb{N}_{>0}}$であって
$$
\forall n \in \mathbb{N}_{>0},\ d_{X}(x_{n},x_{\infty}) < \frac{1}{n},\ d_{Y}(f(x_{n}),f(x_{\infty})) \geq \varepsilon_{\infty}$$
を満たすものが得られるが,これは不合理である.
$(X,d)$を距離空間とする.(非空)部分集合$A,A' \subset X$に対して,
$$
\dist(A,A') := \inf\{d(a,a') \mid a\in A,\ a' \in A'\}$$
を$A$と$A'$との距離といい,
$$
\diam(A) := \sup\{d(x,y) \mid x,y \in A\}$$
を$A$の直径という.$\diam(A) < \infty$なるとき,$A$を有界集合という.
$\exists\, a \in A \cap A' \neq \varnothing$ならば
$$
0 \leq \dist(A,A') \leq d(a,a) = 0\ \leadsto\ \dist(A,A') = 0$$
が成り立つ.
$(X,d)$を距離空間とし$A,A' \subset X$とする.このとき次が成り立つ:
$(X,d)$を距離空間とし$(x_{n})_{n} \in X^{\mathbb{N}}$とする.任意の$\varepsilon \in \mathbb{R}_{>0}$に対して,$n_{0} \in \mathbb{N}$であって
$$
\forall n,m \in \mathbb{N},\ n,m \geq n_{0} \implies d(x_{n},x_{m}) < \varepsilon$$
が成り立つものが存在するとき,点列$(x_{n})_{n}$を$d$-Cauchy列(または単にCauchy列)という.
$(X,d)$を距離空間とする.このとき次が成り立つ:
任意のCauchy列が収束するような距離空間を完備距離空間という.
Euclid空間$(\mathbb{R},d_{e})$は完備距離空間である(cf. real定理28).
$(X,d)$を距離空間とし$A \subset X$とする.このとき次が成り立つ:
$(X,d)$を距離空間とする.このとき次は同値である:
$\bigcap_{n} F_{n}$は高々$1$点しか含まない.実際,$\bigcap_{n} F_{n}$が$2$点$x,y$を含むとすると,
$$
0 < d(x,y) \leq \diam(F_{n}) \to 0\ (n \to \infty)$$
となって不合理である.
$(X,d)$を距離空間とする.このとき次は同値である:
nestより明らか.
$(X,d)$を距離空間とする.任意の$\varepsilon \in \mathbb{R}_{>0}$に対して,開被覆$(B(x;\varepsilon))_{x} \in \tau(d)^{X}$が有限部分被覆を持つとき,$(X,d)$を全有界距離空間という.
$(X,d)$を距離空間とし$A \subset X$とする.このとき次は同値である:
以下,単に“$A \subset X$は全有界である”などという.
$\varepsilon \in \mathbb{R}_{>0}$とする.仮定より,有限集合$A_{0} \subset A$であって
$$
A = \bigcup_{a\in A_{0}} B_{A}(a;\varepsilon)$$
を満たすものが存在する.よって,有限集合$A_{0} \subset X$について
$$
A \subset \bigcup_{x \in A_{0}} B(x;\varepsilon)$$
が成り立つ.
$\varepsilon \in \mathbb{R}_{>0}$とする.仮定より,有限個の点$x_{0},\ldots,x_{n} \in X$であって
$$
A \subset \bigcup_{i\in[n]} B(x_{i};\varepsilon/2)$$
を満たすものが存在する.任意の$i \in [n]$に対して$B(x_{i};\varepsilon/2) \cap A \neq \varnothing$が成り立つとしてよい.そこで各$i \in [n]$に対して$a_{i} \in B(x_{i};\varepsilon/2) \cap A$を取ると,
$$
A = \bigcup_{i\in[n]} B_{A}(a_{i};\varepsilon)$$
が成り立つ.実際,$a \in A$とすると,$i\in[n]$であって$a \in B(x_{i};\varepsilon/2)$なるものが存在するので,
$$
d|_{A}(a,a_{i}) = d(a,a_{i}) \leq d(a,x_{i}) + d(x_{i},a_{i}) < \frac{\varepsilon}{2} + \frac{\varepsilon}{2} = \varepsilon$$
より,$a \in B_{A}(a_{i};\varepsilon)$が成り立つ.
$(X,d)$を距離空間とし$A \subset X$とする.このとき次が成り立つ:
$(X,d)$を距離空間とする.このとき次は同値である:
$\varepsilon \in \mathbb{R}_{>0}$とする.このとき仮定より有限個の点$x_{0},\ldots,x_{n} \in X$であって
$$
X = \bigcup_{i\in[n]} B(x_{i};\varepsilon/2)$$
を満たすものが存在する.そこで$X_{i} := B(x_{i};\varepsilon/2)$とおくと,$(X_{i})_{i\in[n]}$は$X$の有限被覆であって,
$$
\forall x,y \in X_{i},\ d(x,y) \leq d(x,x_{i}) + d(x_{i},y) < \frac{\varepsilon}{2} + \frac{\varepsilon}{2} = \varepsilon$$
より,$\diam(X_{i}) \leq \varepsilon$が成り立つ.
$\varepsilon \in \mathbb{R}_{>0}$とする.仮定より,非空部分集合からなる有限被覆$(X_{i})_{i\in[n]}$であって
$$
\diam(X_{i}) \leq \frac{\varepsilon}{2}$$
を満たすものが存在する.各$i \in [n]$に対して$x_{i} \in X_{i}$を取り,
$$
X_{\mathrm{fin}} := \{x_{0},\ldots,x_{n}\}$$
とおく.このとき,任意の$x \in X$に対して,$i \in [n]$であって$x \in X_{i}$なるものが存在するので,
$$
\dist(X_{\mathrm{fin}},x) \leq d(x_{i},x) \leq \diam(X_{i}) \leq \frac{\varepsilon}{2} < \varepsilon$$
が成り立つ.
$\varepsilon \in \mathbb{R}_{>0}$とする.このとき
$$
X = \bigcup_{x \in X_{\mathrm{fin}}} B(x;\varepsilon)$$
が成り立つことを示せばよい.ところで,$x \in X$とすると,$X_{\mathrm{fin}}$の有限性より$x_{0} \in X_{\mathrm{fin}}$であって$\dist(X_{\mathrm{fin}},x) = d(x_{0},x)$なるものが存在するので,
$$
d(x,x_{0}) = \dist(X_{\mathrm{fin}},x) < \varepsilon,$$
すなわち$x \in B(x_{0};\varepsilon)$が成り立つ.
全有界距離空間は可算開基を持つ.
$(X,d)$を全有界距離空間とする.
非可算無限集合に離散距離
$$
d_{0}(x,y) := \begin{cases}
0 & x = y\\
1 & x \neq y
\end{cases}$$
を入れた空間は,有界だが全有界ではない.
$(X,d)$を全有界距離空間とする.このとき,任意の$(x_{\bullet},\varepsilon)\in X^{\mathbb{N}} \times \mathbb{R}_{>0}$に対して
$$
I(x_{\bullet},\varepsilon) := \{\varphi \in \mathbb{N}^{\mathbb{N}}\mid \varphi:\text{increasing},\ \diam((x_{\bullet}\circ\varphi)^{\rightarrow}(\mathbb{N})) \leq \varepsilon\} \neq \varnothing$$
が成り立つ.したがって写像$\Psi \colon X^{\mathbb{N}} \times \mathbb{R}_{>0} \to \mathbb{N}^{\mathbb{N}}$であって
$$
\Psi(x_{\bullet},\varepsilon) \in I(x_{\bullet},\varepsilon)$$
なるものが存在する.
$(x_{\bullet},\varepsilon) \in X^{\mathbb{N}} \times \mathbb{R}_{>0}$とする.$(X,d)$の全有界性より,有限集合$A \subset X$であって
$$
X = \bigcup_{a \in A} B(a;\varepsilon/2)$$
を満たすものが存在する.このとき
$$
\mathbb{N} = \bigcup_{a \in A} x_{\bullet}^{\leftarrow}(B(a;\varepsilon/2))$$
より,$a_{\infty} \in A$であって$\# x_{\bullet}^{\leftarrow}(B(a_{\infty};\varepsilon/2)) = \infty$なるものが存在する.よって,app-incrより,単調増加写像$\varphi \colon \mathbb{N} \to \mathbb{N}$であって$\varphi^{\rightarrow}(\mathbb{N}) = x_{\bullet}^{\leftarrow}(B(a_{\infty};\varepsilon/2))$なるものが存在する.この$\varphi$について
$$
\diam((x_{\bullet}\circ\varphi)^{\rightarrow}(\mathbb{N})) \leq \diam(B(a_{\infty};\varepsilon/2)) \leq \varepsilon$$
が成り立つ.
$(X,d)$を距離空間とする.このとき次は同値である:
$x_{\bullet} \in X^{\mathbb{N}}$とする.
対偶を示す.そこで$(X,d)$が全有界でないとすると,$\varepsilon_{0} \in \mathbb{R}_{>0}$であって$(B(x;\varepsilon_{0}))_{x} \in \tau(d)^{X}$が有限部分被覆を持たないようなものが存在する.このとき$(X\smallsetminus B(x;\varepsilon_{0}))_{x} \in \tau^{c}(d)^{X}$は有限交叉性を持つ部分集合族なので,app-fipより,点列$(x_{n})_{n} \in X^{\mathbb{N}}$であって
$$
\forall n \in \mathbb{N},\ x_{n+1} \in \bigcap_{i\in[n]} X \smallsetminus B(x_{i};\varepsilon_{0}) = X \smallsetminus \bigcup_{i\in[n]} B(x_{i};\varepsilon_{0})$$
を満たすものが存在する.ところで任意の$n,m \in \mathbb{N}$に対して
$$
n > m \implies x_{n} \notin B(x_{m};\varepsilon_{0}) \implies d(x_{n},x_{m}) \geq \varepsilon_{0}$$
が成り立つので,点列$(x_{n})_{n}$はCauchy部分列を持ち得ない.
コンパクト距離空間は完備かつ全有界である.
$(X,d)$をコンパクト距離空間とすると,nest-fipより$(X,d)$は完備であり,定義より$(X,d)$は全有界である.
$(X,d)$を距離空間とする.このとき次は同値である:
$(x_{n})_{n} \in X^{\mathbb{N}}$とする.いま$(X,d)$は全有界なのでtot-bdd-sub-cauchyより$(x_{n})_{n}$はCauchy部分列を持つが,$(X,d)$の完備性よりこの部分列は収束する.
$(X,d)$を点列コンパクト距離空間とする.このとき,任意の開被覆$(U_{\lambda})_{\lambda} \in \tau(d)^{\Lambda}$に対して,$\varepsilon \in \mathbb{R}_{>0}$であって$(B(x;\varepsilon))_{x} \in \tau(d)^{X}$が$(U_{\lambda})_{\lambda}$の細分となるようなものが存在する.
$(U_{\lambda})_{\lambda} \in \tau(d)^{\Lambda}$とする.補題の主張が成り立たないとすると,各$n \in \mathbb{N}_{>0}$に対して,$x_{n} \in X$であって
$$
\forall \lambda \in \Lambda,\ B(x_{n};n^{-1}) \not\subset U_{\lambda}$$
を満たすものが存在する.仮定より,点列$(x_{n})_{n} \in X^{\mathbb{N}_{>0}}$は収束部分列を$(x_{\varphi(n)})_{n}$持つ.そこで$x_{\infty} := \lim x_{\varphi(n)}$とおくと,$(U_{\lambda})_{\lambda}$が$X$の開被覆であることおよび距離位相の定義より$\lambda_{\infty}\in \Lambda$および$\varepsilon_{\infty} \in \mathbb{R}_{>0}$であって$B(x_{\infty};\varepsilon_{\infty}) \subset U_{\lambda_{\infty}}$なるものが存在する.このとき$n_{0} \in \mathbb{N}_{>0}$であって
$$
\forall n \in \mathbb{N},\ n \geq n_{0} \implies d(x_{\varphi(n)},x_{\infty}) < \frac{\varepsilon_{\infty}}{2}$$
が成り立つものを取り$n_{1} := \max\{n_{0},\lfloor 2/\varepsilon_{\infty} \rfloor+1\} \in \mathbb{N}_{>0}$とおくと,
\begin{align}
d(x,x_{\varphi(n_{1})}) < \frac{1}{\varphi(n_{1})} \implies
d(x,x_{\infty})
&\leq d(x,x_{\varphi(n_{1})}) + d(x_{\varphi(n_{1})},x_{\infty})\\
&< \frac{1}{\varphi(n_{1})} + \frac{\varepsilon_{\infty}}{2}\\
&\leq \frac{1}{n_{1}} + \frac{\varepsilon_{\infty}}{2} \\
&\leq \frac{\varepsilon_{\infty}}{2} + \frac{\varepsilon_{\infty}}{2}\\
&= \varepsilon_{\infty}
\end{align}
より
$$
B(x_{\varphi(n_{1})};\varphi(n_{1})^{-1}) \subset B(x_{\infty};\varepsilon_{\infty}) \subset U_{\lambda_{\infty}}$$
となるが,これは$x_{\varphi(n_{1})}$の取り方に反する.
点列コンパクト距離空間はコンパクトである.
$(X,d)$を点列コンパクト距離空間とし,$(U_{\lambda})_{\lambda} \in \tau(d)^{\Lambda}$をその開被覆とする.このとき,refineより,$\varepsilon \in \mathbb{R}_{>0}$であって
$$
\forall x \in X,\ \exists\,\lambda_{x} \in\Lambda,\ B(x;\varepsilon) \subset U_{\lambda_{x}}$$
を満たすものが存在する.いまcompl-tot-bdd-seq-cptより$(X,d)$は全有界なので,その開被覆$(B(x;\varepsilon))_{x} \in \tau(d)^{X}$に対して,有限個の点$x_{0},\ldots,x_{n} \in X$であって
$$
X = \bigcup_{i\in[n]} B(x_{i};\varepsilon) \subset \bigcup_{i\in[n]} U_{\lambda_{x_{i}}} \subset X$$
を満たすものが存在する.よって$(U_{\lambda})_{\lambda}$は有限部分被覆を持つ.
任意の有界閉集合がコンパクトとなるような距離空間を固有距離空間という.
固有距離空間は完備である.
$(x_{n})_{n}$を固有距離空間のCauchy列とする.このとき,conv-cauchy-bdd,dist-diamより$A := \cl(\{x_{n} \mid n \in \mathbb{N}\})$は有界閉集合ゆえコンパクト,したがって点列コンパクトであるから,$A$の点列$(x_{n})_{n}$は収束部分列を持つ.よってconv-cauchy-bddより$(x_{n})_{n}$は収束する.
$(X,d)$を距離空間とし,部分集合$A \subset X$についての以下の4条件を考える:
このとき,
ハウスドルフ空間のコンパクト集合は閉集合なので
$$
\cl(A) = A \subset X$$
はコンパクトである.
コンパクト距離空間$(\cl(A),d|_{\cl(A)})$は全有界なので,tot-bdd-subより$A \subset \cl(A)$は全有界である.よって$A \subset X$は全有界である.
$A$は有限個の有界集合で覆えるので有界である.
$A \subset X$が全有界ならば,compl-cl,tot-bdd-subより$\cl(A)$は完備かつ全有界であるから,コンパクトである.
$A \subset X$が有界ならば,dist-diamより$\cl(A) \subset X$は有界閉集合ゆえコンパクトである.
$(X,d)$を完備距離空間とし$A \subset X$とする.このとき次は同値である:
$(X,d)$を固有距離空間とし$A \subset X$とする.このとき次は同値である:
$(X,d_{X}),(Y,d_{Y})$を距離空間とし$f \colon X \to Y$を写像とする.任意の$\varepsilon \in \mathbb{R}_{>0}$に対して,$\delta \in \mathbb{R}_{>0}$であって
$$
d_{X}(x,x') < \delta \implies d_{Y}(f(x),f(x')) < \varepsilon$$
が成り立つものが存在するとき,$f$を一様連続写像という.さらに,一様連続写像$g \colon Y \to X$であって$g \circ f = \id_{X},f \circ g = \id_{Y}$を満たすものが存在するとき,$f$を一様同相写像という.
$(X,d_{X}),(Y,d_{Y})$を距離空間,$A \subset X$とし,$f \colon X \to Y$を一様連続写像とする.このとき次が成り立つ:
有界集合の一様連続像は有界とは限らない.実際,離散距離空間$(\mathbb{Z},d_{0})$からEuclid空間の部分空間$(\mathbb{Z},d_{e}|_{\mathbb{Z}})$への連続写像$\id_{\mathbb{Z}}$は一様連続であるが($\delta := 2^{-1}$と取ればよい),有界集合$\mathbb{Z}$の像は有界ではない.
$(X,d_{X}),(Y,d_{Y})$を距離空間,$A \subset X$とし,$f \colon X \to Y$を連続写像とする.このとき次が成り立つ:
$(X,d_{X}),(Y,d_{Y})$を距離空間とし,$f \colon X \to Y$を一様連続写像とする.このとき次が成り立つ:
$(X,d_{X})$を距離空間,$A \subset X$をその稠密部分集合とし,$(Y,d_{Y})$を完備距離空間とする.このとき,任意の一様連続写像$f \colon A \to Y$に対して,一様連続写像$\bar{f} \colon X \to Y$であって$\bar{f}|A = f$を満たすものがただひとつ存在する.
dist-diam,unif-conti-cauchyより,写像$\bar{f} \colon X = \cl(A) \to Y$を
$$
\bar{f}\left(\lim_{n\to\infty} a_{n}\right) := \lim_{n\to\infty} f(a_{n})$$
で定めることができる.明らかに$\bar{f}|A = f$が成り立つ.
unif-conti-subより$\bar{f}$が連続であることを示せば十分である.そこで$(x_{0},\varepsilon) \in X \times \mathbb{R}_{>0}$とし,点列$(a_{n})_{n} \in A^{\mathbb{N}}$であって$\lim a_{n} = x_{0}$なるものを取る.
一様連続写像$\bar{f}' \colon X \to Y$が$\bar{f}'|A = f$を満たすとすると,$Y$のハウスドルフ性より
$$
\{x \in X \mid \bar{f}(x) = \bar{f}'(x)\} = (\bar{f}\Delta\bar{f}')^{\leftarrow}(\Delta_{Y}) \subset X$$
は稠密部分集合$A \subset X$を含む閉集合であるから,
$$
X = \{x \in X \mid \bar{f}(x) = \bar{f}'(x)\}\ \leadsto\ \bar{f} = \bar{f}'$$
が成り立つ.
$(X,d_{X}),(Y,d_{Y})$を距離空間とし,$f \colon X \to Y$を写像とする.任意の$x,x' \in X$に対して
$$
d_{X}(x,x') = d_{Y}(f(x),f(x'))$$
が成り立つとき,$f$を等長埋め込みという.さらに,等長埋め込み$g \colon Y \to X$であって$g \circ f = \id_{X},f \circ g = \id_{Y}$を満たすものが存在するとき,$f$を等長(同型)写像という.
$(X,d_{X}),(Y,d_{Y})$を完備距離空間とし,$A \subset X, B \subset Y$をそれぞれの稠密部分集合とする.このとき,任意の一様同相写像(resp. 等長埋め込み;等長同型写像)$f \colon A \to B$に対して,一様同相写像(resp. 等長埋め込み;等長同型写像)$\bar{f} \colon X \to Y$であって$\bar{f} \circ \id_{A}^{X} = \id_{B}^{Y} \circ f$を満たすものがただひとつ存在する:
$$
\xymatrix{
{X} \ar@{.>}[r]^{\bar{f}} & {Y} \\
{A} \ar[u]^{\id_{A}^{X}} \ar[r]_{f} & {B} \ar[u]_{\id_{B}^{Y}}
}$$
(いづれの場合も)$\id_{B}^{Y} \circ f \colon A \to Y$は一様連続写像であるから,unif-conti-extより,一様連続写像$\bar{f} \colon X \to Y$であって$\bar{f}|A = \id_{B}^{Y} \circ f$を満たすものがただひとつ存在する.
$X$を位相空間,$(Y,d)$を距離空間とし,$X$から$Y$への有界連続写像全体のなす集合を$C_{b}(X,Y)$とおく:
$$
C_{b}(X,Y) := \{f \colon X \to Y \mid f:\text{continuous},\ \diam(f^{\rightarrow}(X)) < \infty\}.$$
このとき,写像$d^{\infty} \colon C_{b}(X,Y) \times C_{b}(X,Y) \to \mathbb{R}$を
$$
d^{\infty}(f,g) := \sup\{d(f(x),g(x)) \mid x \in X\}$$
で定めると,これは距離函数である.
$x_{0} \in X$を固定する.$f,g \in C_{b}(X,Y)$とすると,任意の$x \in X$に対して
\begin{align}
d(f(x),g(x))
&\leq d(f(x),f(x_{0})) + d(f(x_{0}),g(x_{0})) + d(g(x_{0}),g(x)) \\
&\leq \diam(f^{\rightarrow}(X)) + d(f(x_{0}),g(x_{0})) + \diam(g^{\rightarrow}(X))\\
\end{align}
が成り立つので,写像$d^{\infty}$が定まる.
$X$を位相空間とし$(Y,d)$を完備距離空間とする.このとき$(C_{b}(X,Y),d^{\infty})$は完備距離空間である.
$(f_{n})_{n} \in C_{b}(X,Y)^{\mathbb{N}}$を$d^{\infty}$-Cauchy列とする.各$x \in X$に対して,
$$
d(f_{n}(x),f_{m}(x)) \leq d^{\infty}(f_{n},f_{m})$$
より,$(f_{n}(x))_{n} \in Y^{\mathbb{N}}$は$d$-Cauchy列であるから,$(Y,d)$の完備性より
$$
f(x) := \lim_{n\to\infty} f_{n}(x) \in Y$$
が定まる.
$V \in \tau(d)$とし,$x_{0} \in f^{\leftarrow}(V)$とする.このとき,開近傍$U \in \tau(x_{0},X)$であって$U \subset f^{\leftarrow}(V)$なるものが存在することを示せばよい.
上記[2]と同様にして,$n \in \mathbb{N}$であって
$$
\forall x \in X,\ d(f(x),f_{n}(x)) \leq 1$$
を満たすものが存在することがわかる.したがって,任意の$x,x' \in X$に対して
\begin{align}
d(f(x),f(x'))
&\leq d(f(x),f_{n}(x)) + d(f_{n}(x),f_{n}(x')) + d(f_{n}(x'),f(x'))\\
&\leq 1 + \diam(f_{n}^{\rightarrow}(X)) + 1
\end{align}
が成り立つので,
$$
\diam(f^{\rightarrow}(X)) \leq \diam(f_{n}^{\rightarrow}(X)) + 2 < \infty$$
を得る.よって$f \in C_{b}(X,Y)$となる.
任意の$\varepsilon \in \mathbb{R}_{>0}$に対して,上記[2]と同様にして,$n_{0} \in \mathbb{N}$であって
$$
\forall n \in \mathbb{N},\ n \geq n_{0} \implies 0\leq d^{\infty}(f_{n},f) \leq \frac{\varepsilon}{2} < \varepsilon$$
が成り立つものが存在することがわかる.
任意の位相空間$X$に対して,$C_{b}(X) := C_{b}(X,\mathbb{R})$は距離$d_{e}^{\infty}$に関して完備である.
$(X,d)$を距離空間とする.完備距離空間$(\mathsf{c}(X),d_{\mathsf{c}(X)})$と等長埋め込み$\iota_{X} \colon X \to \mathsf{c}(X)$であって$\cl(\iota_{X}^{\rightarrow}(X)) = \mathsf{c}(X)$なるものとの組$((\mathsf{c}(X),d_{\mathsf{c}(X)}),\iota_{X})$を,距離空間$(X,d)$の完備化という.
任意の距離空間に対して,その完備化が等長同型なものを除いてただひとつ存在する.
$(X,d)$を距離空間とする.
$((X_{i},d_{i}),\iota_{i}),i\in\{1,2\},$が$(X,d)$の完備化であるとする.このとき
$$
f:= \iota_{2}^{\iota_{2}^{\rightarrow}(X)} \circ (\iota_{1}^{\iota_{1}^{\rightarrow}(X)})^{-1} \colon \iota_{1}^{\rightarrow}(X) \to \iota_{2}^{\rightarrow}(X)$$
は完備距離空間の稠密部分集合のあいだの等長同型写像であるから,isometry-extより,等長同型写像$\bar{f} \colon X_{1} \to X_{2}$であって$\bar{f} \circ \id_{\iota_{1}^{\rightarrow}(X)}^{X_{1}} = \id_{\iota_{2}^{\rightarrow}(X)}^{X_{2}} \circ f$を満たすものがただひとつ存在する.この$\bar{f}$について,明らかに$\bar{f} \circ \iota_{1} = \iota_{2}$が成り立つ:
$$
\xymatrix{
{X_{1}} \ar@{.>}[r]^{\bar{f}} & {X_{2}} \\
{\iota_{1}^{\rightarrow}(X)} \ar[u] \ar[r]^{f} & {\iota_{2}^{\rightarrow}(X)} \ar[u]\\
{X} \ar@/^2pc/[uu]^{\iota_{1}} \ar[u] \ar[r]_{\id_{X}} & {X} \ar@/_2pc/[uu]_{\iota_{2}} \ar[u]
}$$
$(X,d_{X}),(Y,d_{Y})$を距離空間とし,$f \colon X \to Y$を一様連続写像(resp. 等長埋め込み)とする.このとき,一様連続写像(resp. 等長埋め込み)$\mathsf{c}(f) \colon \mathsf{c}(X) \to \mathsf{c}(Y)$であって,$\mathsf{c}(f) \circ \iota_{X} = \iota_{Y} \circ f$を満たすものがただひとつ存在する:
$$
\xymatrix{
{\mathsf{c}(X)} \ar@{.>}[r]^{\mathsf{c}(f)} & {\mathsf{c}(Y)} \\
{X} \ar[u]^{\iota_{X}} \ar[r]_{f} & {Y} \ar[u]_{\iota_{Y}}
}$$
仮定より
$$
\iota_{Y} \circ f \circ (\iota_{X}^{\iota_{X}^{\rightarrow}(X)})^{-1} \colon \iota_{X}^{\rightarrow}(X) \to \mathsf{c}(Y)$$
は一様連続写像(resp. 等長埋め込み)である.よって,unif-conti-ext(resp. isometry-ext)より,一様連続写像(resp. 等長埋め込み)$\mathsf{c}(f) \colon \mathsf{c}(X) \to \mathsf{c}(Y)$であって
$$
\mathsf{c}(f) \circ \id_{\iota_{X}^{\rightarrow}(X)}^{\mathsf{c}(X)} = \iota_{Y} \circ f \circ (\iota_{X}^{\iota_{X}^{\rightarrow}(X)})^{-1},$$
すなわち
$$
\mathsf{c}(f) \circ \iota_{X} = \iota_{Y} \circ f$$
を満たすものがただひとつ存在する.
$(X,d)$を距離空間とする.このとき次は同値である:
unif-conti-img,rel-cpt-iff-tot-bddより$\mathsf{c}(X) = \cl(\iota_{X}^{\rightarrow}(X))$はコンパクトである.
仮定より$(\mathsf{c}(X),d_{\mathsf{c}(X)})$は全有界であるから,その部分集合と等長同型な$(X,d)$も全有界である(cf. tot-bdd-sub,unif-conti-img).
任意の無限部分集合$X \subset \mathbb{N}$に対して,単調増加写像$\varphi \colon \mathbb{N} \to \mathbb{N}$であって$\varphi^{\rightarrow}(\mathbb{N}) = X$なるものが存在する.
写像$\varphi \colon \mathbb{N} \to \mathbb{N}$を
\begin{align}
\varphi(0) &:= \min X;\\
\varphi(n+1) &:= \min(X \smallsetminus \{\varphi(0),\ldots,\varphi(n)\});
\end{align}
で“定めればよい”.
空集合$\varnothing \in \mathrm{Fin}(X) := \{A \subset X \mid \#A < \infty\}$と写像
$$
\widetilde{\min} \colon \mathrm{Fin}(X) \to \mathrm{Fin}(X);\ A \mapsto A \cup \{\min(X\smallsetminus A)\}$$
とに対して,写像$\widetilde{\min}_{\varnothing} \colon \mathbb{N} \to \mathrm{Fin}(X)$であって
\begin{align}
\widetilde{\min}_{\varnothing}(0) &= \varnothing;\\
\widetilde{\min}_{\varnothing}(n+1) &= \widetilde{\min}(\widetilde{\min}_{\varnothing}(n));
\end{align}
を満たすものがただひとつ存在する(cf. real定理7).そこで写像$\varphi \colon \mathbb{N} \to \mathbb{N}$を
$$
\varphi(n) := \min(X \smallsetminus \widetilde{\min}_{\varnothing}(n))$$
で定める.
$n \in \mathbb{N}$とする.このとき,任意の$k \in \mathbb{N}_{>0}$に対して
$$
\widetilde{\min}_{\varnothing}(n+k) = \widetilde{\min}_{\varnothing}(n) \cup \{\varphi(n),\ldots,\varphi(n+k-1)\}$$
が成り立つことを示す.
写像$\varphi$は単調増加である.実際,$n,m \in \mathbb{N},n < m,$とすると
$$
\widetilde{\min}_{\varnothing}(n) \subset \widetilde{\min}_{\varnothing}(n) \cup \{\varphi(n),\ldots,\varphi(m-1)\} = \widetilde{\min}_{\varnothing}(m)$$
より
$$
\varphi(n) = \min(X \smallsetminus \widetilde{\min}_{\varnothing}(n)) < \min(X \smallsetminus \widetilde{\min}_{\varnothing}(m)) = \varphi(m)$$
が成り立つ.
$X$を非空集合とし$(A_{x})_{x \in X}$を有限交叉性を持つ$X$の部分集合族とする.このとき点列$(x_{n})_{n} \in X^{\mathbb{N}}$であって
$$
\forall n \in \mathbb{N},\ x_{n+1} \in A_{x_{0}} \cap \cdots \cap A_{x_{n}}$$
を満たすものが存在する.
仮定より
$$
\forall F \in \mathrm{Fin}(X),\ \bigcap_{x \in F} A_{x} \neq \varnothing$$
が成り立つので,写像$\Psi \colon \mathrm{Fin}(X) \to X$であって
$$
\forall F \in \mathrm{Fin}(X),\ \Psi(F) \in \bigcap_{x\in F} A_{x}$$
なるものが存在する.そこで写像$\Phi \colon \bigcup_{n} X^{\mathbb{N}_{< n}} \to X$を
$$
\Phi(\xi \colon \mathbb{N}_{< n} \to X) := \Psi(\{\xi_{0},\ldots,\xi_{n-1}\})$$
で定めると,real定理8より,点列$(x_{n})_{n} \in X^{\mathbb{N}}$であって
$$
\forall n \in \mathbb{N},\ x_{n+1} = \Phi((x_{0},\ldots,x_{n})) = \Psi(\{x_{0},\ldots,x_{n}\}) \in A_{x_{0}} \cap\cdots\cap A_{x_{n}}$$
を満たすものが(ただひとつ)存在する.