ずっと気になっていた計算が、いい方法で解けた気がするので、
ちょっとだけ殴り書きしておきます。
あと、最近記事の更新が止まっておりますが、ぼちぼちまた更新します、まぁぼちぼちで。
発端は私の書いた記事「
直交多項式と超幾何関数(1)〜チェビシェフ多項式と三角関数〜
」内において、
私が計算に困っていたところでした。
困っていた主張は次のようなものでした。
ついでにそこまでの計算も端折っていたので、復習がてら背景を書いておきます。
第一種Chebyshev多項式
第一種Chebyshev多項式が満たす三項間漸化式は
のようになっていた。
ここから三項間漸化式を解くことで(ここは普通の定数係数の三項間漸化式と同様)
のようになることがわかった。
次にこれを二項展開して、
まずそれぞれの項を二項展開する。
その後出てくる
となり、この式が導き出される背景の式まで到達することができた。
この式はここで行き詰まってしまい、
別の導出方法で求めた一般項と等号で結んであげることで、二項係数に関する和の予想が立っていたのだ。
その後、当時の記事内でも改めて加筆紹介させていただきましたが、
TKSSさんの記事「
チェビシェフ多項式の係数計算で現れる二項係数の和の計算ついて
」において
この和を
これは見栄えがかっこいい。
本人が書かれていますように確かに和の範囲等気にすると面倒なところは山ほどありそうで
(もちろん正しい手法でしょうが)厳密性はまた別問題の気がしている。という話であった。
改めて、主張を述べようと思う。
元々必要だった式は(2)である(第二種の場合を計算する際には(1)の主張が必要である)。
式の形が一見して違うが、次のようにして一致することはすぐにわかる。
さて、実は(2)の証明は(1)に帰着されることがわかるので、実際(1)を示すだけで良いとなる。
(1)の成立を仮定する。(1)において、
その時
次に左辺の和の変数
次に二項係数の吸収定理
となり(2)式の成立が示された。(証明終わり)
同様にすれば、(2)式を仮定した状態で(1)式の成立も言える。すなわち同値な主張であった。
(1)式の方が見た目が簡単なので、こちらを証明することにする。
証明の方針であるが、
両辺の
なお、ここで言う「母関数」とは通常型母関数のことであり、
数列
まず(1)式の右辺の母関数は次のようになる。
とこのように簡単に母関数が計算できる。
ここで二項係数に関する母関数の式が必要である。簡単に述べておく。
1変数冪級数環
帰納法でパパッと済ませておく。
のように示すことができる。
ここで
また、
最後に(1)式の左辺の母関数を計算する。実は必要な道具は全部もう揃っている。
となり、(1)式の右辺の母関数と一致することがわかる。
よって(1)式の整合性が言えたことになる。(証明終わり)
(Q1) 和の順序の取り替えのところは、無限和のものを順序交換しているが、大丈夫なのか?
(A1) 十分小さい実数
(Q2) 補題2を
(A2) これも実数範囲に限定しての話であるが、
となるので、この領域の
なんか、、、直接(2)式も普通に示せてしまいましたわ。そりゃそうだけど。
やっぱり母関数は偉大だった。以上。
ま、帰納法でも示せるような式ではあるのではあるが、それだと面白みがなくて。
母関数で示したことによる帰結というか、面白いなと思ったのは、
というChebyshev多項式が出てくるのに対して、通常母関数を考えると
という高々有理式になる、みたいなところである。何か背景に別の理論があるのかな。
後々の記事の伏線になっている気もするので。
今回の記事はこの辺りで止めておくことにする。