クリフォード代数は、ベクトル空間上で定義される代数構造であり、幾何学的な意味を持つ強力な数学的ツールです。クリフォード代数は、幾何積と呼ばれる積によって、幾何学的操作を代数的に表現することを可能にします。
本記事では、ベクトルの幾何積が2次元の操作に帰着され、その内積と外積の構造が指数関数によって表現されることを説明します。
クリフォード代数において、ユークリッド空間の基底ベクトル$e_i,e_j$の積は以下のように定義されます:
$$ e_ie_j=\begin{cases} 1 & (i = j) \\ -e_je_i & (i \ne j) \end{cases} $$
このように定義されるクリフォード代数の積を幾何積と呼びます。この定義は以下の2つの重要な性質を示しています:
この代数構造は、ベクトル空間の幾何学的性質を代数的に表現します。例えば、ベクトルの回転や鏡映などの操作を、この代数を用いて簡潔に表現できます。7shi-clrt7shi-vo
同じ基底ベクトルの積の値は計量に依存します。ミンコフスキー空間では一部の基底で$-1$となります。本記事ではユークリッド空間に限定して、計量がすべて$1$のケースだけを扱います。
2次元のクリフォード代数において、基底ベクトル$e_1,e_2$は以下の性質を持ちます:
$$ e_1^2 = e_2^2 = 1,\quad e_1e_2 = -e_2e_1 $$
クリフォード代数の元$a = a_1e_1 + a_2e_2$と$b = b_1e_1 + b_2e_2$の幾何積は次のように計算されます:
$$ \begin{aligned} ab &=(a_1e_1+a_2e_2)(b_1e_1+b_2e_2) \\ &= a_1b_1\underbrace{e_1e_1}_1 + a_1b_2e_1e_2 + a_2b_1\underbrace{e_2e_1}_{-e_1e_2} + a_2b_2\underbrace{e_2e_2}_1 \\ &= a_1b_1 + a_1b_2e_1e_2 - a_2b_1e_1e_2 + a_2b_2 \\ &= (a_1b_1 + a_2b_2) + (a_1b_2 - a_2b_1)e_1e_2 \end{aligned} $$
上記の結果から、クリフォード代数における内積と外積(ウェッジ積)を以下のように定義します:
内積:$a \cdot b = a_1b_1 + a_2b_2$
外積:$a \wedge b = (a_1b_2 - a_2b_1)e_1e_2$
ベクトルの幾何積は、内積と外積の和として表現されます:
$$ ab = a \cdot b + a \wedge b $$
$a$と$b$の相対的な位置関係を確認します。$a$を基準として座標を表すため、$a$を$x$軸上に移動させる回転を考えます。
考え方としては基底の変換ですが、説明を単純化するため成分の変換として進めます。
ここではクリフォード代数での回転はまだ導入していないため、通常の回転行列で考えます:
$$ R(\theta) = \begin{pmatrix} \cos\theta & -\sin\theta \\ \sin\theta & \cos\theta \end{pmatrix} $$
$a$の偏角を$\phi$として極座標表示します:
$$ \begin{pmatrix}a_1 \\ a_2\end{pmatrix} =|a|\begin{pmatrix}\cos\phi \\ \sin\phi\end{pmatrix} $$
ここで:
$$ |a| = \sqrt{a_1^2+a_2^2}, \quad \cos\phi = \frac{a_1}{|a|}, \quad \sin\phi = \frac{a_2}{|a|} $$
$a$を$x$軸上に移動させる回転は角度$-\phi$で行われます:
$$ \begin{aligned} R(-\phi)\begin{pmatrix}a_1 \\ a_2\end{pmatrix} &=\begin{pmatrix}\cos\phi & \sin\phi \\ -\sin\phi & \cos\phi\end{pmatrix} \begin{pmatrix}a_1 \\ a_2\end{pmatrix} \\ &=\begin{pmatrix}\frac{a_1}{|a|} & \frac{a_2}{|a|} \\ -\frac{a_2}{|a|} & \frac{a_1}{|a|}\end{pmatrix} \begin{pmatrix}a_1 \\ a_2\end{pmatrix} \\ &=\frac1{|a|} \begin{pmatrix}a_1 & a_2 \\ -a_2 & a_1\end{pmatrix} \begin{pmatrix}a_1 \\ a_2\end{pmatrix} \\ &=\frac1{|a|} \begin{pmatrix}a_1^2+a_2^2 \\ -a_2a_1+a_1a_2\end{pmatrix} \\ &=\begin{pmatrix}|a| \\ 0\end{pmatrix} \end{aligned} $$
この回転を$b$にも適用します:
$$ \begin{aligned} R(-\phi)\begin{pmatrix}b_1 \\ b_2\end{pmatrix} &=\frac1{|a|} \begin{pmatrix}a_1 & a_2 \\ -a_2 & a_1\end{pmatrix} \begin{pmatrix}b_1 \\ b_2\end{pmatrix} \\ &=\frac1{|a|}\begin{pmatrix}a_1b_1+a_2b_2 \\ -a_2b_1+a_1b_2\end{pmatrix} \end{aligned} $$
回転後の$b$の偏角を$\theta$とすれば、これは$a$と$b$の間の角度となります。$b$を極座標表示すれば、回転は長さを保存することより:
$$ |b|\begin{pmatrix}\cos\theta \\ \sin\theta\end{pmatrix} =\frac1{|a|}\begin{pmatrix}a_1b_1+a_2b_2 \\ a_1b_2-a_2b_1\end{pmatrix} $$
両辺に$|a|$を掛ければ:
$$ \begin{aligned} |a||b|\cos\theta &= a_1b_1 + a_2b_2 \\ |a||b|\sin\theta &= a_1b_2 - a_2b_1 \end{aligned} $$
これらの式は、内積と外積の幾何学的意味を明確に示します。
$$ |a||b|\cos\theta = a_1b_1 + a_2b_2 = a \cdot b $$
これは内積の定義そのものです。幾何学的には、ベクトル$b$からベクトル$a$方向へ垂線を下ろして射影することで方向を揃え、$a$と$b$の射影の長さを掛けたものを表します。
$$ |a||b|\sin\theta = a_1b_2 - a_2b_1 = |a \wedge b| $$
これは外積の大きさを表します。幾何学的には、$a$と$b$が張る平行四辺形の面積を表します。
$|a \wedge b| \ge 0$のため、この対応付けには $\sin\theta \ge 0$という制限があります。
外積の大きさと対応付けずに、$|a||b|\sin\theta = a_1b_2 - a_2b_1$の関係を認めるだけであれば、特に制限はありません。
$$ \begin{aligned} ab &= a \cdot b + a \wedge b \\ &= (a_1b_1 + a_2b_2) + (a_1b_2 - a_2b_1)e_1e_2 \\ &= |a||b|(\cos\theta + \sin\theta\,e_1e_2) \end{aligned} $$
幾何積には内積と外積の両方が含まれることから、幾何学的な問題を代数的に扱うことができ、より高次元の空間や複雑な幾何学的操作を扱う際に有用です。
外積に現れる2次の基底$e_1e_2$の2乗を計算します。交換によって同じ基底を並べることで相殺させます:
$$ (e_1e_2)^2=e_1\underbrace{e_2e_1}_{-e_1e_2}e_2=-\underbrace{e_1e_1}_1\underbrace{e_2e_2}_1=-1 $$
このように2乗が$-1$になることから、$e_1e_2$は$i$と同一視されます。
複素数におけるオイラーの公式はクリフォード代数でも成り立ちます:
\begin{aligned} e^{i\theta} &= \cos\theta + i\sin\theta \\ e^{\theta\,e_1e_2} &= \cos\theta + \sin\theta\,e_1e_2 \end{aligned}
ベクトルの幾何積も、指数関数でまとめることが可能です:
\begin{aligned} ab &= |a||b|(\cos\theta + \sin\theta\,e_1e_2) \\ &= |a||b|e^{\theta\,e_1e_2} \end{aligned}
$i \cong e_1e_2$
この対応付けにより、$i$を因数分解したのが$e_1e_2$だと解釈できます。
ベクトルの幾何積は、間に$e_1e_1(=1)$を挟むことで、複素数の計算に変換できます。複素共役を${}^*$で表せば:
$$ \begin{aligned} (a_1e_1+a_2e_2)(b_1e_1+b_2e_2) &=(a_1e_1+a_2e_2)e_1e_1(b_1e_1+b_2e_2) \\ &=(a_1e_1e_1+a_2e_2e_1)(b_1e_1e_1+b_2e_1e_2) \\ &=(a_1-a_2e_1e_2)(b_1+b_2e_1e_2) \\ &\cong(a_1-ia_2)(b_1+ib_2) \\ &=(a_1+ia_2)^*(b_1+ib_2) \end{aligned} $$
よって、複素数での左側の因子を複素共役とすれば、幾何積と同一の結果が得られます。
また、計算の途中でオイラーの公式を使うことにより、偏角の差が得られることも確認できます。$a,b$の偏角を$\alpha,\beta$とすれば:
$$ \begin{aligned} (a_1+ia_2)^*(b_1+ib_2) &=(a_1-ia_2)(b_1+ib_2) \\ &=|a|e^{-i\alpha}|b|e^{i\beta} \\ &=|a||b|e^{i(\beta-\alpha)} \end{aligned} $$
このように2次元では、幾何積と同じ計算が複素数でも可能です。ただし、複素数とは異なり、クリフォード代数は基底を追加するだけで次元を上げることができます。
クリフォード代数は次元が上がっても幾何積の性質が変わらないことを、3次元を例に確認します。
3次元のクリフォード代数において、基底ベクトル$e_1,e_2,e_3$は以下の性質を持ちます:
$e_1^2 = e_2^2 = e_3^2 = 1$
$e_1e_2 = -e_2e_1,\quad e_2e_3 = -e_3e_2,\quad e_3e_1 = -e_1e_3$
$a = a_1e_1 + a_2e_2 + a_3e_3$と$b = b_1e_1 + b_2e_2 + b_3e_3$の幾何積は次のように計算されます:
$$ \begin{aligned} &(a_1e_1 + a_2e_2 + a_3e_3)(b_1e_1 + b_2e_2 + b_3e_3) \\ &=(a_1b_1 + a_2b_2 + a_3b_3) + (a_1b_2 - a_2b_1)e_1e_2 + (a_2b_3 - a_3b_2)e_2e_3 + (a_3b_1 - a_1b_3)e_3e_1 \end{aligned} $$
この結果から、3次元クリフォード代数における内積と外積を以下のように定義できます:
内積:$a \cdot b = a_1b_1 + a_2b_2 + a_3b_3$
外積:$a \wedge b = (a_1b_2 - a_2b_1)e_1e_2 + (a_2b_3 - a_3b_2)e_2e_3 + (a_3b_1 - a_1b_3)e_3e_1$
クリフォード代数の積は、この内積と外積の和として表現されます:
$$ ab = a \cdot b + a \wedge b $$
ベクトル空間の次元に関わらず、平行でない2本のベクトルは2次元の部分空間を張ります。回転によって2本のベクトル$a,b$を$xy$平面上に乗せることで、成分を確認します。
次元を削減するため、次のような順番で回転させます:
2次元に帰着させるには$a,b$の$z$成分を$0$にすれば良いのですが、3番目の回転によって$a$の$z$成分が影響を受けないように、2番目の回転で$y$成分を$0$にします。
必要な回転行列を定義します:
$$ R_{xy}(\theta) = \begin{pmatrix} \cos\theta & -\sin\theta & 0 \\ \sin\theta & \cos\theta & 0 \\ 0 & 0 & 1 \end{pmatrix}, \quad R_{yz}(\theta) = \begin{pmatrix} 1 & 0 & 0 \\ 0 & \cos\theta & -\sin\theta \\ 0 & \sin\theta & \cos\theta \end{pmatrix} $$
$a$の$y,z$成分を極座標で表現します:
$$ r_1 = \sqrt{a_2^2 + a_3^2}, \quad \cos\theta_1 = \frac{a_2}{r_1}, \quad \sin\theta_1 = \frac{a_3}{r_1} $$
回転結果$\vec{a}',\vec{b}'$を計算します:
$$ \begin{alignedat}{2} \vec{a}' &= R_{yz}(-\theta_1)\vec{a} &&= \begin{pmatrix} a_1 \\ r_1 \\ 0 \end{pmatrix}\\ \vec{b}' &= R_{yz}(-\theta_1)\vec{b} &&= \begin{pmatrix} b_1 \\ \frac{a_2b_2 + a_3b_3}{r_1} \\ \frac{a_2b_3 - a_3b_2}{r_1} \end{pmatrix} \end{alignedat} $$
$\vec{a}'$の$x,y$成分を極座標で表現します:
$$ r_2 = \sqrt{a_1^2 + r_1^2}, \quad \cos\theta_2 = \frac{a_1}{r_2}, \quad \sin\theta_2 = \frac{r_1}{r_2} $$
回転結果$\vec{a}'',\vec{b}''$を計算します:
$$ \begin{alignedat}{2} \vec{a}'' &= R_{xy}(-\theta_2)\vec{a}' &&= \begin{pmatrix} r_2 \\ 0 \\ 0 \end{pmatrix} \\ \vec{b}'' &= R_{xy}(-\theta_2)\vec{b}' &&= \begin{pmatrix} \frac{a_1b_1 + a_2b_2 + a_3b_3}{r_2} \\ \frac{a_1(a_2b_2 + a_3b_3) - r_1b_1}{r_1r_2} \\ \frac{a_2b_3 - a_3b_2}{r_1} \end{pmatrix} \end{alignedat} $$
$\vec{a}''$の$y,z$成分が$0$であることから、$\vec{a}'''=\vec{a}''$となります。
$\vec{b}''$の$y,z$成分を極座標で表現します:
$$ r_3 = \sqrt{(b''_2)^2 + (b''_3)^2}, \quad \cos\theta_3 = \frac{b''_2}{r_3}, \quad \sin\theta_3 = \frac{b''_3}{r_3} $$
回転結果$\vec{b}'''$を計算します:
$$ \vec{b}''' = R_{yz}(-\theta_3)\vec{b}'' = \begin{pmatrix} \frac{a_1b_1 + a_2b_2 + a_3b_3}{r_2} \\ r_3 \\ 0 \end{pmatrix} $$
以上で、$\vec{a}''',\vec{b}'''$は$xy$平面上のベクトルとなり、2次元の関係に帰着しました。
$r_1,r_2,r_3$を展開して整理した結果を示します:
$$ \begin{aligned} \vec{a}''' &= \begin{pmatrix} |a| \\ 0 \\ 0 \end{pmatrix} \\ \vec{b}''' &= \frac1{|a|}\begin{pmatrix} a_1b_1 + a_2b_2 + a_3b_3 \\ \sqrt{(a_1b_2 - a_2b_1)^2 + (a_2b_3 - a_3b_2)^2 + (a_3b_1 - a_1b_3)^2} \\ 0 \end{pmatrix} \end{aligned} $$
次元を上げても同様の手順で2次元の関係に帰着できます。$n$次元において、2つの基底が張る平面上での回転を、$a$を基準に$n-1$回、$b$を基準に$n-2$回行います。
$\vec{b}'''$を極座標表示すれば、偏角$\theta$は$a,b$間の角度となります。これによって3次元のクリフォード代数で計算した内積・外積が、2次元と同じ関係になることが確認できます(成分は異なります):
内積:$a \cdot b = |a||b|\cos\theta = a_1b_1 + a_2b_2 + a_3b_3$
外積:$|a \wedge b| = |a||b|\sin\theta = \sqrt{(a_1b_2 - a_2b_1)^2 + (a_2b_3 - a_3b_2)^2 + (a_3b_1 - a_1b_3)^2}$
この結果は、3次元のクリフォード代数における内積と外積の幾何学的解釈が、2次元の場合と同様であることを示しています。
$|a \wedge b| \ge 0$より、$\sin\theta \ge 0$という制限があります。これは$b'''_2$が正となるように回転させたことを反映しています。
なお、$a \wedge b$が3項あるのは、$a$と$b$が張る平行四辺形を$xy,yz,zx$の各平面上に射影した面積に対応しています:
$$ a \wedge b = (a_1b_2 - a_2b_1)e_1e_2 + (a_2b_3 - a_3b_2)e_2e_3 + (a_3b_1 - a_1b_3)e_3e_1 $$
基底を$a$と$b$が張る平面上に取れば、1項で表現できます。そのような基底$p$は、外積の規格化(サイズを1にすること)で得られます:
\begin{aligned} a \wedge b &= |a||b|\sin\theta\,p \\ p &= \frac{a \wedge b}{|a \wedge b|} \quad (p^2=-1) \end{aligned}
$p$によって幾何積を表現すれば、指数関数でも表現できます:
\begin{aligned} ab &= a \cdot b + a \wedge b \\ &= |a||b|(\cos\theta + \sin\theta\,p) \\ &= |a||b|e^{\theta\,p} \end{aligned}
2次元のクリフォード代数が複素数に対応したように、3次元では四元数に対応します:
$$ i \cong e_3e_2,\quad j \cong e_1e_3,\quad k \cong e_2e_1 $$
対応関係は、幾何積の間に$-e_3e_2e_1e_3e_2e_1(=1)$を挟むことで得られます:
$$ \begin{aligned} &(a_1e_1 + a_2e_2 + a_3e_3)(b_1e_1 + b_2e_2 + b_3e_3) \\ &=(a_1e_1 + a_2e_2 + a_3e_3)(-e_3e_2e_1e_3e_2e_1)(b_1e_1 + b_2e_2 + b_3e_3) \\ &=-(a_1e_3e_2 + a_2e_1e_3 + a_3e_2e_1)(b_1e_3e_2 + b_2e_1e_3 + b_3e_2e_1) \\ &\cong-(a_1i+a_2j+a_3k)(b_1i+b_2j+b_3k) \\ &=(a_1b_1 + a_2b_2 + a_3b_3) - (a_1b_2 - a_2b_1)k - (a_2b_3 - a_3b_2)i - (a_3b_1 - a_1b_3)j \\ &\cong(a_1b_1 + a_2b_2 + a_3b_3) - (a_1b_2 - a_2b_1)e_2e_1 - (a_2b_3 - a_3b_2)e_3e_2 - (a_3b_1 - a_1b_3)e_1e_3 \\ &=(a_1b_1 + a_2b_2 + a_3b_3) + (a_1b_2 - a_2b_1)e_1e_2 + (a_2b_3 - a_3b_2)e_2e_3 + (a_3b_1 - a_1b_3)e_3e_1 \end{aligned} $$
挟んだ部分に由来するマイナスは、虚部のみの四元数の積から得られる内積が符号反転することに関連します:
\begin{aligned} ab &= -(a \cdot b) + a \times b \\ &=-(a_1b_1 + a_2b_2 + a_3b_3) + (a_2b_3 - a_3b_2)i + (a_3b_1 - a_1b_3)j + (a_1b_2 - a_2b_1)k \\ \end{aligned}
四元数の外積はウェッジ積ではなくベクトル積(クロス積)です。四元数の基底は反交換性を持つため、対応付けに複素数のような共役は現れません。
3次元のクリフォード代数を行列で表現したのがパウリ行列です。また、四元数の係数を複素化した双四元数によっても、対応付けが得られます。7shi-pdq
クリフォード代数は、ベクトル空間上の幾何学的操作を代数的に扱う数学的フレームワークです。本稿では、2次元および3次元のクリフォード代数を中心に、その基本的な概念と性質について解説しました。以下に、主要なポイントをまとめます。
本記事で紹介した内容は、クリフォード代数の入り口に過ぎません。クリフォード代数は、単に数学的な興味にとどまらず、様々な分野で実践的な価値を持ちます。例えば、コンピュータグラフィックスにおける3D物体の回転、量子力学におけるスピン演算子の表現、ロボット工学における姿勢制御など、クリフォード代数の概念が応用されています。