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大学数学基礎解説
文献あり

一般線型群の位相について

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$$\newcommand{id}[0]{\mathrm{id}} \newcommand{supp}[1]{\mathrm{supp}(#1)} $$

$\mathbb{K} \in \{\mathbb{R},\mathbb{C}\}$とし,$G = GL(n;\mathbb{K})$とおく.このとき,$G \subset \mathbb{K}^{n^{2}}$とも$G \subset C(\mathbb{K}^{n})$とも見做せる(cf. 補題1).したがって(少なくとも)以下の3つの位相空間が考えられる:

  • $G_{\mathrm{euclid}} \subset \mathbb{K}^{n^{2}}$;
  • $G_{co} \subset C_{co}(\mathbb{K}^{n})$;
  • $G_{p} \subset C_{p}(\mathbb{K}^{n})$.

([1, 命題4]より,Euclid空間上のノルムは互いに同値であることを注意しておく.)

  1. 作用$G \times \mathbb{K}^{n} \to \mathbb{K}^{n};\ (g,x) \mapsto gx$は効果的である;
  2. $G_{\mathrm{euclid}}$は位相群である.
  1. $g \in \bigcap_{x} G_{x}$とする.$(e_{j})_{j}$$\mathbb{K}^{n}$の標準基底とすると,各$j \in [n]$について$g_{j} = ge_{j} = e_{j}$となるので,$g = I_{n}$を得る.
    • $(i,j) \in [n] \times [n]$に対して$(gh)_{ij} = \sum_{k} g_{ik}h_{kj}$$(g,h)$の連続函数なので,$(g,h) \mapsto gh$は連続である.
    • 行列$g$の余因子行列を$\tilde{g}$とすると,$g^{-1} = \tilde{g}/\det{g}$であるから,$g \mapsto g^{-1}$は連続である.

$\id_{G} \colon G_{\mathrm{euclid}} \to G_{co}$は連続である.

$i \in [n]$に対して$(gx)_{i} = \sum_{j}g_{ij}x_{j}$$(g,x)$の連続函数なので,$G_{\mathrm{euclid}} \times \mathbb{K}^{n} \to \mathbb{K}^{n};\ (g,x) \mapsto gx$は連続である.したがって,補題1と[2, 命題20]より
$$ G_{\mathrm{euclid}} \to C_{co}(\mathbb{K}^{n})$$
は単射連続写像である.よって$\id_{G} \colon G_{\mathrm{euclid}} \to G_{co}$は連続である.

$\id_{G} \colon G_{co} \to G_{p}$は連続である.

$\id \colon C_{co}(\mathbb{K}^{n}) \to C_{p}(\mathbb{K}^{n})$が連続であることからしたがう.

$\id_{G} \colon G_{p} \to G_{\mathrm{euclid}}$は連続である.

$g \in G, \varepsilon > 0$とする.このとき
$$ \bigcap_{j} [e_{j},B^{n}(ge_{j};\varepsilon/\sqrt{n})] \cap G \subset B^{n^{2}}(g;\varepsilon) \cap G$$
が成り立つことを示せばよい.そこで$f \in \mathrm{LHS}$とすると,各$j \in [n]$に対して
$$ \sum_{i} |f_{ij} - g_{ij}|^{2} < \frac{\varepsilon^{2}}{n}$$
となるので,
$$ \sum_{i,j} |f_{ij} - g_{ij}|^{2} < \varepsilon^{2}$$
が成り立つ.

参考文献

投稿日:2023112
更新日:22

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うすい
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