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大学数学基礎解説
文献あり

(fg)'=f'g'となる例

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ごあいさつ

こんにちは!はっぴーたーんです!

今回は$(fg)' = f'g'$となる関数の例を見ていきたいと思います!元ネタの記事 Ohrui(削除済みなのでアーカイブです)が削除されてしまったので、元記事では解説されていなかった内容も補完したものとなります〜 happy_turn happy_turn2 もぜひチェックしてみて下さい!

それでは、やっていきましょ〜

本題

まず、今回の問題を改めて正確に述べると次の形になります。

次の関係式を満たす関数$f$$g$の組を求めよ:

$$(fg)' = f'g'\ .$$

では、早速この問題を解いていきましょ〜

まず、左辺を積の微分を用いて書き換えると、次の形に直すことが出来ます。

$$f'g + fg' = f'g'$$

ここで、関数$g$を固定することで、この関係式を$f$に関する微分方程式だと思うことにします。すると、この方程式は次のように解くことが出来ます〜

まず、元の方程式を$f$について整理することで、次の形に直すことが出来ます。

$$\frac{f'}{f} = \frac{g'}{g' - g}$$

この式の両辺を積分することで、次の式が得られます。(以降、断りがなければ、$C$は適当な定数を表すこととします)

$$\log f(x) + C = \int\frac{g'(y)}{g'(y) - g(y)}\,dy$$

よって、次の結論が得られます〜

解答

$$f(x) = C \exp \left(\int\frac{g'(y)}{g'(y) - g(y)}\,dy \right)$$

商のときに比べて元からシンプルですね!

それでは、早速$g(x)$に具体的な関数を代入していきましょ〜!(ただし、以降は簡単のために$C = 1$で考えます)

$g(x) = x^a\ (a \in \mathbb R)$ の場合

このとき,

$$\int\frac{g'(y)}{g'(y) - g(y)}\,dy = \int \frac{a y^{a-1}}{a y^{a-1} - y^a}\, dy = \int \frac{a}{a - y}\, dy = - a\log(a-x)$$

となるので,

$$f(x) = \exp(-a\log(a-x)) = (a-x)^{-a}$$

が解となる. 実際,

\begin{align} (f(x)g(x))' &= \left((a-x)^{-a}x^a\right)' \\ &= a (a-x)^{-a-1} x^{a} + a(a-x)^{-a} x^{a-1} \\ &= a x^{a-1}(a-x)^{-a-1}\left(x + (a-x)\right) \\ &= a^2 x^{a-1}(a-x)^{-a-1} \end{align}

であり,

$$f'(x)g'(x) = (a (a-x)^{-a-1})(a x^{a-1}) = a^2x^{a-1}(a-x)^{-a-1}$$

となるので, この$f(x), g(x)$は元の関係式を満たしている.

それでは、次の例も見ていきましょ〜

$g(x) = e^{ax}\ (a \in \mathbb R \setminus \{1\})$ の場合

このとき,

$$\int\frac{g'(y)}{g'(y) - g(y)}\,dy = \int \frac{a}{a-1}\, dy = \frac{a}{a-1}x$$

なので,

$$f(x) = e^{\frac{a}{a-1}x}$$

が解となる. 実際,

$$(f(x)g(x))' = \left( e^{\left(\frac{a}{a-1} + a\right)x} \right)' = \left( e^{\frac{a+(a^2-a)}{a-1}x} \right)' = \left( e^{\frac{a^2}{a-1}x} \right)' = \frac{a^2}{a-1}e^{\frac{a^2}{a-1}x}$$

であり,

$$f'(x)g'(x) = \left(\frac{a}{a-1}e^{\frac{a}{a-1}x}\right) \left(ae^{ax}\right) = \frac{a^2}{a-1}e^{\frac{a^2}{a-1}x}$$

となるので, この$f(x), g(x)$は元の関係式を満たしている.

$a = 0$(つまり、$g(x) = 1$)の場合は、先ほど同様に$f(x)$は定数関数になります〜

また、$g(x) = 0$の場合は全ての$f(x)$が解を満たします〜

$(f/g)' = f'/g'$の解との関係

今回の$f(x)$$g(x)$による表示と happy_turn$f(x)$$g(x)$による表示をよ〜く見比べて見ると、実は指数部分が全く同じ形をしていることが分かります!

このことは、($g(x)$による表示を用いなくても)次のように確認することが出来ます〜

関数$f(x)$$g(x)$が関係式$(f(x)g(x))' = f'(x) g'(x)$を満たすとき, $h(x) := f(x)g(x)$とすると

$$\left(\frac{h(x)}{g(x)}\right)' = \frac{h'(x)}{g'(x)}$$

が成り立つ.

まず, $h(x)/g(x) = f(x)$であることから次が得られる.

$$h'(x) = \left(\frac{h(x)}{g(x)}\right)' g'(x)\ .$$

あとは, 両辺を$g'(x)$で割れば良い.

(証明終)

もちろん、逆も成り立ちます!

関数$f(x)$$g(x)$が関係式$(f(x)/g(x))' = f'(x)/g'(x)$を満たすとき, $h(x) := f(x)/g(x)$とすると

$$\left(h(x)g(x)\right)' = h'(x)g'(x)$$

が成り立つ.

まず, $h(x)g(x) = f(x)$であることから次が得られる.

$$h'(x) = \frac{(h(x)g(x))'}{g'(x)}\ .$$

あとは, 両辺に$g'(x)$をかければ良い.

(証明終)

つまり、一方の例を見つけることが出来れば、そこからもう一方の例も容易に作れる、ということですね〜

おわりに

いかがでしたか?微分方程式を考えることで、いくらでも具体的を作ることが出来るので嬉しいですね〜

それでは、平和で楽しいMathlogライフを〜

参考文献

投稿日:2023119
更新日:20231125

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投稿者

北田均・現代数学社『数理解析学概論』新訂版序文の「ほぼ独学と思われる熱心な読者」(通称:序文の人)こと、大類昌俊 (おおるい まさとし, Masatoshi OHRUI) さんと彼のサイト「序文とあとがきの人のブログ」に関する話題をメインに記事を投稿しています! 誹謗中傷や低評価による嫌がらせはお止め下さい。 🍺類憐憫令

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