以前 こちらの記事 で紹介させていただいた通り, 平均曲率の制限はしばしば曲面のサイズに制限を与えます. 今回は超曲面に対して成り立つ, 平均曲率と曲面のサイズの間の素朴な関係を示す幾何学的不等式であるHasanis-Koutroufiotisの不等式について紹介しようと思います.
今回は平均曲率
となるので「
これは次の図ような状況をイメージするとわかりやすいかと思います.
強く曲がった部分に接する球体
一方で上記の考察から, この半径の評価は非常にラフだということがわかります(冒頭ではこの意味で「素朴な関係」という紹介をしました). このことは次の図からもすぐにわかります.
角の生えた曲面とそれを包む球体
HasanisとKoutroufiotisによるオリジナルの論文[1]では, 最大値原理という楕円型偏微分方程式論の道具を用いて不等式が示されています. これ自体も幾何解析において(息をするように)用いられる重要なテクニックのひとつですが, 今回は偏微分方程式論の知識を仮定せず, 最低限の幾何学と関数解析の知識で理解できるよう, Hsiung-Minkowskiの公式と呼ばれる関係式を用いた証明を紹介します.
第一変分公式
を用いて示す. はめ込み
で定義する(相似拡大).
一方,
以上より,
証明に入る前に, 今回用いる記号の準備をします.
で定義する.
また, 見やすさのため,
とおく.
はめ込み
で表される点
重心をこのように定義するのには, これが剛体の重心の定義と同一なことに気づけば腑に落ちるかと思います.
超曲面の重心は, 超曲面
閉超曲面
関数
となるので,
いま, 関数
以上より,
前節で導いた重心の性質を使って, まず
が成り立つ.
等号成立は,
Hsiung-Minkowskiの公式およびCauchy-Schwarzの不等式により
特に,
よって, 等号が成立するとき,
さらに, Cauchy-Schwarzの不等式の等号成立条件から,
となるので,
また,
となるので, 補題4より
となる.
また, 補題4の等号成立条件から, 等号成立は