どうも, 色数です.
12/5 に出した論文
https://arxiv.org/pdf/2412.04089
の僕が先生に送った下書きのようなものとちょっとした解説を公開いたします.
簡単に多重ゼータ値について紹介いたします.
多重ゼータ値は Riemann のゼータ関数の一つの一般化として知られています.
まず, Riemann のゼータ関数がどのようなものか?
Riemann のゼータ関数は 1644年に提起された「平方数の逆数全ての和は収束するか?仮に収束するとしてそれは幾らの数値に収束するか?」という問い (1735年に Euler により解決) を一般化したものです.
Riemann のゼータ関数は, 実部が
次のように定義される.
その後, Riemann のゼータ関数は様々な方法で拡張されてきました.
そのうちの一つの方法として次に述べる「多重ゼータ値」が導入され, 近年急速に発展していっています.
多重ゼータ値は次のように定義されます.
このような多重化をすることにより多重ゼータ値には関係式族と呼ばれる多種多様な関係式が発見されていきました.
最も有名で, 魅力的な関係式の一つとして次の「双対性」を紹介しておきます.
が成り立つ.
具体例として
証明は
余余余さんの記事
か
NKSさんの記事
を参照してください.
多重ゼータ値の関係式には上の双対性以外にも次の巡回和公式が知られています.
長くなってしまうので詳しくは
NKSさんの記事
を参照してください.
この公式にパラメータを付けるというのが本研究の大まかな内容です.
具体的には Igarashi.M によって
という形の多重級数においても巡回和公式が成り立つことが2011年に証明されました.
さらには
その
論文
において
今回出した論文はその問題に対する一つのアンサーを与えました.
とすると
が成り立つ.
(横に長くなってしまったので折り曲げる)
両辺に
今度は
以上より示せた.
右辺の第一項を補題を用いて,
となり示せた.
インデックスを
多重ゼータ値そのものを研究するというのは非常に難しいこと(だと僕は思っています)ですが, 今回のように既出の結果にパラメータをつけて拡張していく研究というのはまだまだ未発展だと思うので今後も取り組んでいく価値があると思います.
とりあえず, 今までのことが形になって世に出たことは嬉しい限りです.