本記事はM-推定量の漸近正規性に関する備忘録です. もし間違い等があればコメントいただけますと幸いです.
を満たす
M-推定の"M"は"Maximum likelihood like"を意味し, その名の通りM-推定は最尤推定の一般化です. M-推定を念頭に置く際,
本記事では, M-推定量
次の命題は大前提となるM-推定量
このとき,
が成り立つ.
命題1の証明は記事「 M-推定量の可測性について 」を参照してください.
次の命題は確率変数列の確率収束を概収束として扱うテクニックとして有名です.
次の5つの条件を仮定する.
このとき, 次の2つが成り立つ.
(ii)の証明はNewey and McFadden[2]のTheorem 3.1および清水[3]の補題3.1.23を参考にしています.
仮定[1] - [3]より命題1 (可測選択定理) が適用できて, (i)が成り立つ.
となり, この左辺に平均値の定理を適用することにより
となる (
とおき, 先ほどの両辺に
を得る (
が成り立つならば, この右辺第1項は仮定[4]より
となり, 右辺第2項は
より
となるから, 結論が得られる.
となるから, 命題2より
さて,
となる. 任意に
となるから,
となり, 特に
となり, すなわち,