この記事では超幾何関数
また最近より発展的な内容の記事も書きましたので、こちらもご参照ください。
・
超幾何関数の変換公式の導出
・
超幾何関数の変換
まず超幾何関数とは以下のような関数のことを言うのでした。
複素数
と定める。ただし
とした。
超幾何関数は(例えばダランベールの判定法などにより)収束半径が
なお
ちなみに
の
先にこの記事で紹介する公式を書き並べておきます。
とおくと
および
ベータ関数の性質
と
そしてポッホハマー記号とガンマ関数の関係
に注意すると
とわかる。
ちなみにこの積分公式は
と表すこともできる。
上の積分表示において
とわかる。
とおくと
が成り立つ。
(ただし
のように変形できるので
が成り立つ(
したがって
つまり
と展開できることに注意すると
を得る。
Clausenの公式を示すにあたって
とおくと
が成り立つ。
上と同様にして
がわかるので
つまり
と展開できることに注意すると主張を得る。
超幾何関数の公式を示していくにあたって超幾何微分方程式の解の一意性が重要な役割を果たすこととなる。
微分方程式の解の一意性と言えば
ピカール・リンデレーフの定理
が保証する次のような命題
このとき関数
および微分方程式
を満たすならば(
が成り立つ。
が有名であるが超幾何微分方程式
の係数は
しかし超幾何微分方程式は
を満たすとき(
が成り立つ。
とおく。いま超幾何微分方程式は
と表せたのでこの両辺における
つまり漸化式
が成り立つので
を満たすとき(
が成り立つ。
上と同様に
とおくと
が成り立つことから主張を得る。
超幾何関数の二次変換公式にはかなりの数のバリエーションがある。詳しくは
冒頭でも紹介した記事
を参照されたい。
本記事では後の記事で必要になる以下の公式だけ紹介する。
とおく。このとき
を満たすことに注意する。
ここで
とおくと
が成り立つので
つまり
また超幾何関数の定義から
が成り立つので超幾何微分方程式の解の一意性により
を得る。
とおく。このとき
を満たすことに注意する。このままだと少し煩雑なので
と書き直しておこう。
いま
に
について、下線部の各番号ごとの和を計算すると
となる。
ここで
が成り立つので上での議論より
つまり
そして超幾何関数の定義から
が成り立つので超幾何微分方程式の解の一意性により
を得る。
ちなみにこのClausenさん、ベルヌーイ数の分母を決定する定理として有名なvon Staudt-Clausenの定理でおなじみのClausenさんと同じ人らしいです。
実はこれは既に
前の記事
で一般化ルジャンドル関係式として示してある。ここでは一般化ルジャンドル関係式とElliottの恒等式が等価であることを確かめていこう。
まず一般化ルジャンドル関係式とは次の公式のことを言うのであった。
一般化楕円積分と一般化円周率
および写像
が成り立つ。ただし
いま
によって
がわかる。
また同様の変数変換および超幾何関数の積分表示から
もわかる(
あとは
とおいたとき
が成り立つことに注意して
の両辺を
が得られる。
ちなみにElliottの恒等式において
とすることで以下の系が得られる。
および
が成り立つ。
これはロンスキアンというものを考えることで示すことができる。
微分方程式
の解
と定めると
が成り立つ。
が成り立つことを示せばよい。
いま
が成り立つので、それぞれ
がわかる。また
に注意すると主張を得る。
を満たすのでそのロンスキアン
を考えるとある定数
が成り立つ。
いま二次変換公式と超幾何定理より
が成り立つので倍数公式
および
つまり
を得る。
ちなみに相反公式
に注意して
および
が成り立つ。