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大学数学基礎解説
文献あり

Chudnovskyの円周率公式の証明

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$$\newcommand{a}[0]{\alpha} \newcommand{b}[0]{\beta} \newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{d}[0]{\delta} \newcommand{D}[0]{\Delta} \newcommand{dis}[0]{\displaystyle} \newcommand{E}[0]{\eta} \newcommand{e}[0]{\varepsilon} \newcommand{ee}[0]{\tilde{\eta}} \newcommand{F}[4]{{}_2F_1\left(\begin{array}{c}#1,#2\\#3\end{array};#4\right)} \newcommand{farc}[2]{\frac{#1}{#2}} \newcommand{G}[0]{\Gamma} \newcommand{g}[0]{\gamma} \newcommand{Gal}[0]{\mathrm{Gal}} \newcommand{id}[0]{\mathrm{id}} \newcommand{Im}[0]{\operatorname{Im}} \newcommand{Ker}[0]{\mathrm{Ker}} \newcommand{l}[0]{\left} \newcommand{ndiv}[0]{\nmid} \newcommand{O}[0]{\Omega} \newcommand{o}[0]{\omega} \newcommand{ol}[1]{\overline{#1}} \newcommand{oo}[0]{\tilde{\omega}} \newcommand{ord}[0]{\mathrm{ord}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{r}[0]{\right} \newcommand{Re}[0]{\mathrm{Re}} \newcommand{s}[0]{\sigma} \newcommand{t}[0]{\tau} \newcommand{ul}[1]{\underline{#1}} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} \newcommand{z}[0]{\zeta} \newcommand{ZZ}[1]{\mathbb{Z}/{#1}\mathbb{Z}} \newcommand{ZZt}[1]{(\mathbb{Z}/{#1}\mathbb{Z})^\times} $$

はじめに

 この記事では 前の記事 でラマヌジャンの円周率公式を理解しきれなかった代わりにChudnovskyの公式については理解できていたので、その証明について解説していきたいと思います。

主定理

 Chudnovskyの公式とは円周率公式
$$\frac1\pi=12\sum^\infty_{n=0}(-1)^n\frac{(6n)!}{(3n)!(n!)^3}\frac{545140134n+13591409}{640320^{3n+\frac32}}$$
のことを言うのでした。この記事ではより一般的な以下の公式を示していきます。

 $\Im(\t)>1.25$なる複素数$\t$に対して
$$\frac1{2\pi\Im\t}\sqrt{\frac{J(\t)}{J(\t)-1}}=\sum^\infty_{n=0}\l(\frac{1-s_2(\t)}{6}+n\r)\frac{(6n)!}{(3n)!(n!)^3}\frac1{(1728J(\t))^n}$$
が成り立つ。ただし
\begin{align} J(\t)&=\frac{E_4(\t)^3}{E_4(\t)^3-E_6(\t)^2}\\ s_2(\t)&=\frac{E_4(\t)}{E_6(\t)}\l(E_2(\t)-\frac{3}{\pi\Im\t}\r) \end{align}
とした($E_{2k}(\t)$は正規化アイゼンシュタイン級数)。

 Chudnovskyの公式はこの$\t=\t_{163}=\farc{1+\sqrt{163}i}{2}$の場合であり、このとき
$$1728J(\t_{163})=-640320^3$$
および
$$s_2(\t_{163})=\frac{77265280}{90856689},\quad \frac{1-s_2(\t_{163})}{6}=\farc{13591409}{545140134}$$
と計算できることから上の公式が導かれます。別の数値例については 参考文献 のp.40やp.44で見ることができます。
 ちなみに公式の右辺は$|J(\t)|>1$において収束し、その十分条件として$\Im(\t)>1.25$が仮定されています。
$$\Im(\t)>1.25\Longrightarrow|J(\t)|>1$$
であることについてはこの記事では扱いませんので詳しくは 参考文献 のTheorem5.1 (p.17以降)を参照してください。

$J(\t),s_2(\t)$の計算について

 今回証明する上の公式(定理1)は具体的に$J(\t)$$s_2(\t)$の値が計算できないと実用的に意味がありません。$J(\t),s_2(\t)$はアイゼンシュタイン級数によって定義されており、一見無理数や超越数までもが出てきそうな見た目をしていますが、$\t$が特殊な性質を満たすときは有理数や整数となることが知られています。ただしそのことの証明ついてはこの記事では扱いません。あくまでこの記事で示すのは上の主定理のみです。
 というのもその事実について書かれた文献を(すぐ手に入る範囲で)まだ見つけていないのでそもそも私がその証明を知らない、といった状態なのです。然るべき文献を見つけ、その証明を理解した暁には別途記事を書くつもりなのでそれまでお待ちください。
 一応 参考文献 のp.40以降に書かれている$J(\t),s_2(\t)$の計算の手順についてこの記事の最後に記しておきます。

証明

 まず定理1の証明において重要となる$3$つの格子を以下のように定めておきます。
$$\begin{array}{l|l|l} &\text{基本周期}&\mbox{基本擬周期} \\\hline L_\t&(\o_1,\o_2)=(1,\t)&(\E_1,\E_2)=(\E_1(L_\t),\E_2(L_\t)) \\L_J&\dis(\O_1,\O_2)=\sqrt{\farc{g_3(\t)}{g_2(\t)}}(1,\t) &\dis(H_1,H_2)=\sqrt{\frac{g_2(\t)}{g_3(\t)}}(\E_1,\E_2) \\\tilde{L}_\t&(\oo_1,\oo_2)=\D(\t)^{\frac1{12}}(1,\t) &(\ee_1,\ee_2)=\D(\t)^{-\frac1{12}}(\E_1,\E_2) \end{array}$$
ここで
$$g_2(\t)=60G_4(\t),\quad g_3(\t)=140G_6(\t),\quad \D(\t)=g_2(\t)^3-27g_3(\t)^2$$
としました(なお 前回の記事 で説明したように$\D$はラマヌジャンのデルタ$\D_\G$とは若干異なることに注意)。

$$\ee_k=-\sqrt{12(J-1)}J^{\frac23}\frac{d\oo_k}{dJ}\quad(k=1,2)$$
が成り立つ。

$$A(J)=J^{-\frac16}\l(\frac{J-1}{27}\r)^{\farc14}$$
とおいたとき
$$J=\frac{g_2^3}{\D},\quad J-1=\frac{27g_3^2}{\D}$$
から
$$\sqrt{\frac{g_3}{g_2}}=A(J)\D^{\frac1{12}}$$
つまり$L_J$$\tilde{L}_\tau$の間に
$$(\O_1,\O_2)=A(J)(\oo_1,\oo_2),\quad(H_1,H_2)=A(J)^{-1}(\ee_1,\ee_2)$$
という関係が成り立つこと、および
$$A'(J)=\l(-\farc{1}{6J}+\frac1{4(J-1)}\r)A(J)=\frac{J+2}{12J(J-1)}A(J)$$
に注意すると 前回の記事 の補題7
$$36J(J-1)\frac{d\O}{dJ}=3(J+2)\O-2(J-1)H$$
から
$$36J(J-1)\l(\frac{d\oo}{dJ}+\frac{J+2}{12J(J-1)}\oo\r)A(J) =3(J+2)A(J)\oo-\frac{2(J-1)}{A(J)}\ee$$
つまり
\begin{align} \ee &=-18JA(J)^2\frac{d\oo}{dJ}\\ &=-18J\cdot J^{-\farc13}\l(\frac{J-1}{27}\r)^{\farc12}\frac{d\oo}{dJ}\\ &=-\sqrt{12(J-1)}J^{\frac23}\frac{d\oo}{dJ} \end{align}
を得る。

$$\E_1-\farc{3g_3}{2g_2}s_2(\t)=\frac{\pi}{\Im\t}$$
が成り立つ。

  楕円関数の記事 の定理16および 前回の記事 から
$$\E_1=\frac{\pi^2}3E_2(\t),\quad g_2=\frac{4\pi^4}{3}E_4(\t),\quad g_3=\farc{8\pi^6}{27}E_6(\t)$$
であったので
\begin{align} s_2(\tau) &=\frac{E_4(\tau)}{E_6(\tau)}\l(E_2(\tau)-\frac3{\pi\Im\tau}\r)\\ &=\frac{2\pi^2g_2}{9g_3}\l(\frac3{\pi^2}\eta_1-\frac3{\pi\Im\tau}\r)\\ &=\frac{2g_2}{3g_3}\bigg(\eta_1-\frac\pi{\Im\tau}\bigg)\\ \end{align}
を得る。

$$F(J)=\F{\frac1{12}}{\farc5{12}}1{\frac1J}$$
とおいたとき
$$\farc{1}{2\pi\Im(\t)}\sqrt{\frac J{J-1}}=\farc{1-s_2(\t)}6F^2-J\frac d{dJ}F^2$$
が成り立つ。

  前回の記事 の定理11
$$(\oo_1=)\D^{\frac1{12}}=\farc{2\pi}{\sqrt[4]{12}}J^{-\frac1{12}}F$$
から
\begin{align} \E_1&=\D^{\frac1{12}}\ee_1\\ &=\oo_1\cdot\l(-\sqrt{12(J-1)}J^{\frac23}\frac{d\oo_1}{dJ}\r)\\ &=-\sqrt{3(J-1)}J^{\frac23}\frac{d}{dJ}\oo_1^2\\ &=-\sqrt{3(J-1)}J^{\frac23}\cdot\farc{2\pi^2}{\sqrt3}J^{-\frac16}\l(-\frac1{6J}F^2+\farc{d}{dJ}F^2\r)\\ &=\farc{\pi^2}{3}\sqrt{\frac{J-1}{J}}\l(F^2-6J\farc{d}{dJ}F^2\r)\\ \frac{3g_3}{2g_2} &=\farc32(A(J)\D^{\farc1{12}})^2\\ &=\frac32J^{-\frac13}\l(\farc{J-1}{27}\r)^{\frac12}\cdot\farc{4\pi^2}{\sqrt{12}}J^{-\frac16}F^2\\ &=\farc{\pi^2}{3}\sqrt{\frac{J-1}{J}}F^2 \end{align}
と表せるので、補題3から
\begin{eqnarray} \frac{\pi}{\Im(\t)}&=&\E_1-\farc{3g_3}{2g_2}s_2(\t) \\&=&\farc{\pi^2}{3}\sqrt{\frac{J-1}{J}}\l((F^2-6J\farc{d}{dJ}F^2)-s_2(\t)F^2\r) \\&=&\farc{\pi^2}{3}\sqrt{\frac{J-1}{J}}\l((1-s_2(\t))F^2-6J\farc{d}{dJ}F^2\r) \end{eqnarray}
がわかり、これを適当に整理することで主張を得る。

定理1の証明

 ここまで来ればあとは Ramanujanの円周率公式の記事 と似たようなことをするだけである。
 いまClausenの公式
$$\F ab{a+b+\frac12}z^2= {}_3F_2\l(\begin{array}{c}2a,2b,a+b\\2a+2b,a+b+\frac12\end{array};z\r)$$
から
\begin{eqnarray} F^2&=&\F{\frac1{12}}{\farc5{12}}1{\frac1J}^2 ={}_3F_2\l(\begin{array}{c}\frac16,\frac56,\frac12\\1,1\end{array};\frac1J\r) \\&=&\sum^\infty_{n=0}\farc{(\farc16)_n(\farc56)_n(\frac12)_n}{(1)_n(1)_n(1)_n}\frac1{J^n} =\sum^\infty_{n=0}\frac{(6n)!}{(3n)!(n!)^3}\frac{z^n}{(1728J)^n} \end{eqnarray}
(最後の等号については この記事 参照)と表せるので、定理4から
\begin{eqnarray} \dis\farc{1}{2\pi\Im(\t)}\sqrt{\frac J{J-1}} &=&\farc{1-s_2(\t)}6F^2-J\frac1{dJ}F^2 \\&=&\sum^\infty_{n=0}\l(\frac{1-s_2(\t)}{6}+n\r)\frac{(6n)!}{(3n)!(n!)^3}\frac1{(1728J)^n} \end{eqnarray}
を得る。

$J(\t),s_2(\t)$の計算について

$J(\t)$の計算

 ある互いに素($\gcd(A,B,C)=1$)な三整数$A,B,C$に対して二次方程式$Az^2+Bz+C=0$を満たすような複素数$z$で虚部が正のもの全体の集合を
$$CM=\{\t\in\mathbb{H}\mid A+B\t+C\t^2=0\quad(\exists A,B,C)\}$$
とおく。
 このとき任意の$\t\in CM$に対し虚二次体$\Q(\t)$の類数を$h$とおくと、$j(\t)=1728J(\t)$は次数$h$の代数的整数となることが知られている。特に類数が$1$となるような$\t\in CM$を持ってくれば$j(\t)$は次数$1$の代数的整数、つまり整数となる。
 また$\Im(\t)>1.25$において$j(\t)$
$$\tilde{j\,}(\t)=\frac{(1+240(q+9q^2))^3}{q(1-q-q^2)^{24}}\quad(q=e^{2\pi i\t})$$
によって
$$|j(\t)-\tilde{j\,}(\t)|<0.2$$
とよく近似されるので機械計算によって$\tilde{j\,}(\t)$を概算することでその四捨五入として$j(\t)$の具体的な値が求められる(ちなみに$\tilde{j\,}(\t)$の分母・分子はそれぞれデデキントのイータ関数$\eta(\t)$・アイゼンシュタイン級数$E_4(\t)$$q$-展開を途中で打ち切ったものとなっている)。

 類数が$1$のときに$j(\t)$が整数となるのはラマヌジャン定数$e^{\pi\sqrt{163}}$がほとんど整数であることのトリックとしてもよく知られていますね(参考:自由研究:ラマヌジャン定数のナゾ (1) , (2) - tsujimotterのノートブック)。
 また虚二次体$\Q(\sqrt{-d})\;$($d$は平方因子を持たない正整数)の類数が$1$となるのは
$$d=1,2,3,7,11,19,43,67,163$$
の場合に限ることが知られており、Chudnovskyの公式に使われている$\t_{163}\in\Q(\sqrt{-163})$はその中でも最大のもの$d=163$の場合となっています。$j(\t)$$q$-展開
$$j(\t)=\frac1q+744+196884q+\cdots$$
を見てもわかる通り$j(\t)$$\Im(\t)$の増大によって$|q^{-1}|=e^{2\pi\Im(\t)}$のオーダーで増大することになります。$j(\t)=1728J(\t)$の値が大きければ大きいほど円周率公式(定理1)の収束が速くなるのでそういう意味でChudnovskyの公式は最良の$\t$を持ってきたと言えるでしょう。

$s_2(\t)$の計算

 $\t\in CM$に対して$s_2(\t)\in\Q(j(\t))$が成り立つことが知られており、特に上で言及したように$\Q(\t)$の類数が$1$であるときは$s_2(\t)\in\Q(j(\t))=\Q$となる。
 また
\begin{align} \eta(\t) &=q^{\frac1{24}}\prod^\infty_{n=1}(1-q^n) =\l(\frac{E_4(\t)^3-E_6(\t)^2}{1728}\r)^{\frac1{24}}\\ E_2^*(\t)&=E_2(\t)-\frac{3}{\pi\Im(\t)} \end{align}
とおいたとき、$\t$の満たす二次方程式$A\t^2+B\t+C=0$とその判別式$D=B^2-4AC$に対して
$$\sqrt{D}(AC)^2\frac{E_2^*(\t)}{\eta(\t)^4}$$
は代数的整数となることが示せ、特に$j(\t)$は整数であったことから
$$\frac{E_4(\t)}{\eta(\t)^8}=j(\t)^{\frac13},\quad \frac{E_6(\t)}{\eta(\t)^{12}}=(j(\t)-1728)^{\frac12}$$
も代数的整数であることに注意すると
$$b_\t=\sqrt{c_\t D(j(\t)-1728)}(AC)^2$$
が整数となるような整数$c_\t$を任意にとることで
\begin{eqnarray} a_\t&=&b_\t s_2(\t)&\in&\Q \\&=&\sqrt{c_\t D}\farc{E_6(\t)}{\eta(\t)^{12}}\cdot\frac{E_4(\t)}{E_6(\t)}E_2^*(\t) \\&=&\sqrt{c_\t}\cdot\frac{E_4(\t)}{\eta(\t)^8}\cdot\sqrt{D}(AC)^2\frac{E_2^*(\t)}{\eta(\t)^4}&\in&\ol\Z \end{eqnarray}
つまり$a_\t\in\Q\cap\ol\Z=\Z$となるので$s_2(\t)$は二つの整数$a_\t,b_\t$の商$\frac{a_\t}{b_\t}$として求めることができる。
 $j(\t)$の値がわかれば$b_\t$は構成できるのであとは$a_\t$の値を求める必要があるが、$\Im(\t)>1.25$において$s_2(\t)$
$$\tilde{s}_2(\t)=\frac{1+240(q+9q^2)}{1-504(q+33q^2)}\l(1-24(q+3q^2)-\frac{3}{\pi\Im(\t)}\r)$$
によって
$$|s_2(\t)-\tilde{s}_2(\t)|<222000|q|^3$$
とよく近似されるので$\tilde{a}_\t=b_\t\tilde{s}_2(\t)$とおいたとき
$$|a_\t-\tilde{a}_\t|<222000|q|^3|b_\t|<0.5$$
と評価できるように$c_\t$が取れれば機械計算によって$b_\t\tilde{s}_2(\t)$を概算することでその四捨五入として$a_\t$の具体的な値が求められる。

追記:別証明

 ちなみに定理1は楕円関数を用いたややこしい議論を介さずとも
$$E_4(\tau)^\frac14=\F{\frac1{12}}{\frac5{12}}1{\frac1J}$$
および ラマヌジャンの恒等式
$$q\frac{dE_4}{dq}=\frac{E_2E_4-E_6}3\quad(q=e^{2\pi i\tau})$$
を用いれば簡単に導出することができます。

$$q\frac{dJ}{dq}=-\frac{E_6}{E_4}J$$
が成り立つ。

 $J(\tau)$はラマヌジャンのデルタ$\D_\G(\tau)$を用いて
$$1729J(\tau)=\frac{E_4(\tau)^3}{\D_\G(\tau)}$$
と表せたのでこれを対数微分すると
\begin{align} \frac1J\cdot q\frac{dJ}{dq} &=\frac3{E_4}\cdot q\frac{dE_4}{dq}-q\frac d{dq}\log\D_\G\\ &=\frac3{E_4}\frac{E_2E_4-E_6}3-E_2\\ &=-\frac{E_6}{E_4} \end{align}
を得る。

$$F(J)=\F{\frac1{12}}{\farc5{12}}1{\frac1J}$$
とおいたとき
$$\farc{1}{2\pi\Im(\t)}\sqrt{\frac J{J-1}}=\farc{1-s_2(\t)}6F^2-J\frac d{dJ}F^2$$
が成り立つ。

 $F^2=\sqrt{E_4(\tau)}$であったことに注意すると
\begin{align} J\frac d{dJ}F^2 &=J\l(q\frac{dJ}{dq}\r)^{-1}q\frac{d}{dq}\sqrt{E_4}\\ &=-\frac{E_4}{E_6}\cdot\frac{E_2E_4-E_6}{6\sqrt{E_4}}\\ &=\frac16\l(1-\frac{E_4}{E_6}E_2\r)F^2 \end{align}
が成り立つので、この両辺に
\begin{align} \farc1{2\pi\Im(\t)}\sqrt{\frac J{J-1}} &=\farc1{2\pi\Im(\t)}\sqrt{\frac{E_4^3}{E_6^2}}\\ &=\frac16\cdot\farc3{\pi\Im(\t)}\cdot\frac{E_4}{E_6}F^2 \end{align}
を足し合わせることで主張を得る。

参考文献

投稿日:202148
更新日:520
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投稿者

子葉
子葉
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主に複素解析、代数学、数論を学んでおります。 私の経験上、その証明が簡単に探しても見つからない、英語の文献を漁らないと載ってない、なんて定理の解説を主にやっていきます。 同じ経験をしている人の助けになれば。最近は自分用のノートになっている節があります。

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