前回まで:
(1)
凸関数がほとんど至るところ2回微分可能であることの証明①
(2)
凸関数がほとんど至るところ2回微分可能であることの証明②
(3)
凸関数がほとんど至るところ2回微分可能であることの証明③
この記事は「$\mathbb{R}$上の凸関数はほとんど至るところ2回微分可能である」ことを示すためのものである。今回は前回の結果を用いて、1つの定理を証明する。
1.準備
2.定理の証明
$\mu$を1次元Lebesgue測度、$\mathscr{L}$を$\mathbb{R}$のLebesgue可測な部分集合全体とする。今回は次の定理を示すことを目標とする。
$(\mathbb{R},\mathscr{L},\mu)$の局所可積分関数$f$を任意にとる。そこで
$$F(x):=\int_0^xf(y)dy(x\in\mathbb{R})$$
と定めると、
$$\lim_{h\to 0}\cfrac{F(x+h)-F(x)}{h}=f(x)$$
が$\mu$-a.e.$x\in\mathbb{R}$で成り立つ。
$f$が連続であるときは、これはよく知られた定理である。証明には前回得た結果を使用する。
$(\mathbb{R},\mathscr{L},\mu)$の局所可積分関数$f$に対して、
$$\lim_{s,t\to +0}\frac{1}{s+t}\int_{x-s}^{x+t}f(y)dy=f(x)$$
が$\mu$-a.e.$x\in\mathbb{R}$で成り立つ。
定理2の証明は 凸関数がほとんど至るところ2回微分可能であることの証明③ を参照。
定理2より
$$x\in \mathbb{R}\setminus N\Longrightarrow\lim_{s,t\to +0}\frac{1}{s+t}\int_{x-s}^{x+t}(f(y)-f(x))dy=0$$
となる零集合$N$が存在する。そこで任意に$x\in\mathbb{R}\setminus N$をとる。
となるので、これは正しい。
今回は終わり。
次回はLipschitz連続な関数$f$がa.e.で微分可能であることや、$$\bar{f_+'}(x)=\limsup_{h\to+0}\frac{f(x+h)-f(x)}{h}\quad(x\in\mathbb{R})$$と定めたときに
$$f(x)-f(0)=\int_{0}^x\bar{f_+'}(y)dy$$
となること等について議論する。
次回:
凸関数がほとんど至るところ2回微分可能であることの証明⑤