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フィボナッチ数を一般化したk-ナッチ数の一般項

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はじめに

先にこんな記事を書きました。
フィボナッチ数列を拡張したk-ナッチ数列の一般項についての予想

上記記事では四捨五入を使った表現についての予想について書きましたが、この四捨五入を使わない表現について、予想ではなくちゃんと一般項を導出します。四捨五入を使った表現は未証明ですが、今回導出する表現は確認済です。

また、導出方法は過去記事と同じ流れですのでそちらも参照してください。
フィボナッチ数の一般項の四捨五入による表現の導出
トリボナッチ数の一般項の四捨五入による表現の導出
テトラナッチ数列の一般項を求める

k-ナッチ数列について

フィボナッチ数列を一般化した数列で、漸化式が先行k項の和で定義される次のような数列をこの記事ではk-ナッチ数列と呼び、 {ak(n)} と表記することにします。

k-ナッチ数列

0,0,0,1,k個1,2,4,

漸化式による定義はこんな感じです。

k-ナッチ数列の漸化式

{ak(0)=ak(1)==ak(k2)=0,ak(k1)=1,ak(n+k)=ak(n)+ak(n+1)+ak(n+2)++ak(n+k1)(n0).

母関数を閉じた式にする

k-ナッチ数の母関数をこの記事では G[k](x) と表記します。

G[k](x)=ak(0)x0+ak(1)x1+ak(2)x2+ak(3)x3+ak(4)x4+ak(5)x5+T6x6+T7x7+T8x8+=ak(k1)xk1+ak(k)xk+ak(k+1)xk+1+ak(k+2)xk+2+

次のように並べてから辺々引いて閉じた式を作ります。
    G[k](x)=ak(k1)xk1+ak(k)xk++ak(2k1)x2k1+xG[k](x)=ak(k1)xk++ak(2k2)x2k1+xkG[k](x)=ak(k1)x2k1+

    (1xx2x3xk)G[k](x)=xk1

    G[k](x)=xk11xx2x3xk

部分分数分解して無限級数化する

  xの方程式 1xx2x3xk=0kつの解を α1,α2,,αk として、
    G[k](x)=xk11xx2x3xk=xk1(xα1)(xα2)(xαk)=i=1kxk1xαi1j=1ijk(αiαj)=i=1kxk11xαi1αij=1ijk(αiαj)=n=0(xn+k1i=1k1αin+1j=1ijk(αiαj))

ここで G[k](x)=n=0ak(n)xn だったことを思い出して上記の式と係数比較すると、

    ak(n)=i=1k1αink+2j=1ijk(αiαj)

ここまでxの方程式 1xx2x3xk=0k つの解を α1,α2,,αk として計算してきましたが、x=1tと置換した tの方程式 tktk1t2t1=0の解を t=β1,β2,,βk とすると、αi=1βi と書き換えることができます。

すると、
    ak(n)=i=1kβink+2j=1ijk(1βi1βj)=i=1kβink+2βik2β1β2βkj=1ijk(βjβi)=i=1kβinj=1ijk(βiβj)β1β2βk=(1)k+1

これで、k-ナッチ数の一般項を表す式ができました!

k-ナッチ数の一般項

    ak(n)=i=1kβinj=1ijk(βiβj)

ただし、β1,β2,,βktの方程式 tktk1t2t1=0k個の解

別表現を作る

ところで、f(x)=xkxk1x2x1 とするとf(x)=(xβ1)(xβ2)(xβk) と因数分解できることと、ロピタルの定理を使うと、

        j=1ijk(βiβj)=limxβif(x)xβi=f(βi)
と書き換えることができます。

k-ナッチ数の一般項(別表現)

    ak(n)=i=1kβinf(βi)

ただし、f(x)=xkxk1x2x1 として β1,β2,,βkxの方程式 f(x)=0k個の解を表し、f(x)f(x) の導関数である。

k=2 、つまりフィボナッチ数で検算してみましょう。
x2x1=0 の解は 1±52 で、導関数は 2x1 ですから、
    a2(n)=(1+52)n2(1+52)1+(152)n2(152)1=15{(1+52)n(152)n}

確かにビネの公式と一致しました!

予想との関係

最後に私の予想との関係を説明したいと思います。
フィボナッチ数列を拡張したk-ナッチ数列の一般項についての予想

私の予想では xkxk1x2x1=0kにかかわらず 1<x<2 の範囲に実数解を1つもち、残りの k1 個の(複素数範囲の)解の絶対値は1未満となり、上記の一般項の式では絶対値1未満の解は計算結果にほとんど影響を与えない結果、1つの実数解を用いた四捨五入による表現がkによらず可能なのではないか、と考えています。k=2,3の場合は正しいことがわかりましたが、k4の場合は未証明です。何か情報等ありましたらコメント欄等へご連絡お願いします!

投稿日:20201115
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  3. 母関数を閉じた式にする
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  6. 予想との関係