スピン幾何における解析学
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convention
コンパクトリーマンスピン多様体
スピノル束
のSpin不変内積
の滑らかな切断
の級の切断
からへの階の微分作用素
の切断が作るHilbert空間
の切断が作る次のSobolev空間
Dirac作用素に対して、その拡張は自己随伴作用素です。ここではの固有空間によるの直交直和分解を論じます。
随伴作用素についてのいくつかの基本事項
に述べた事項を適宜使います。
なので、
は可逆であり、
は有界作用素となります。このとき次の補題が成り立ちます。
は有界作用素であるから、となる。よって楕円型評価を使うと
となる。
よってRellich埋め込み定理より、はコンパクト作用素である。
またが自己随伴であることからも自己随伴である。
はコンパクト自己随伴作用素であるから、直交直和分解
が成り立ちます。さらに
であることと、
より、は上に制限すれば、直交直和分解
を与えることが分かります。従って次の定理が得られました。
をコンパクトリーマンスピン多様体とする。拡張されたDirac作用素はコンパクト自己随伴作用素であり、そのスペクトルは全て固有値である。また固有値はである。そして各は有限次元であり、直交直和分解
が成り立つ。
上の証明において、と分解しましたが、のどちらかがである可能性があります。従って、あるがあってに対して、常にあるいはが成り立っている可能性は排除しきれていないため、の固有値が上下に非有界であることは示せてません。しかし実はコンパクト多様体上のDirac作用素の固有値は上下に非有界であることが知られています。エータ関数を使う証明が知られてるようですが私はよく理解していません。もっと簡単に示せるといいのですが。