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大学数学基礎解説
文献あり

関係合成の結合律と正則圏

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(原本: https://mtfuji3776.github.io/Assiciative-RegularCat/main.pdf )

概要

本稿では、二項関係の合成が結合律を満たすための条件を検証する。

  • これまでの記事で、二項積、引き戻し、像を持つ圏では二項関係の合成を定義できることを示した。しかしこの合成は必ずしも結合律を満たさない。

  • 特に、引き戻しがcoverを引き戻さないときには、結合律を満たさない二項関係の合成の例を提示できる。対偶より、二項関係が結合律を満たすときには、引き戻しは常にcoverを引き戻す。

  • 逆に、引き戻しがcoverを引き戻すと仮定すると、任意の二項関係の合成は結合律を満たすことを証明できる。(参考文献では正則圏の表現定理を用いて非常にエレガントかつ簡潔な証明を与えていたが、本稿では構成的に正面から示すことにした。)

  • これらの証明から、有限完備で像を持つ圏で二項関係の結合律が成り立つことは、その圏が正則圏であることと同値であることが言える。

基本事項の再確認

列挙する命題は過去の記事で既に示してあるので、証明が気になる方はそちらを参照していただきたい。

n-table、n項関係

https://mathlog.info/articles/vzYaB1kj0PB0ChQkkLfU

n-span,n-table,n項関係

対象と射の列の組$(X;x_1,x_2,\cdots,x_n)$がn-spanとは、$\bigwedge_{i=1}^n X = \mathrm{dom}(x_i)$が成り立つもののことをいう。
$(T;f_1,f_2,\cdots,f_n)$がn-tableとは、n-spanかつ$(f_i)_{i=1}^n$がjointly monic familyを成すことをいう。つまり
任意の$x,y \colon X \to T$に対し、$\bigwedge_{i=1}^n f_i \circ x = f_i \circ y$ならば$x = y$が従うことをいう。
二つのn-table$(T;f_1,f_2,\cdots,f_n),(T';g_1,g_2,\cdots,g_n)$が同型であるとは、ある同型射$\theta \colon T \to T'$が存在して、$\bigwedge_{i=1}^n f_i = g_i \circ \theta$が成り立つことをいう。
対象$A_1,A_2,\cdots,A_n$上のn項関係とは、$A_1,A_2,\cdots,A_n$を足にもつn-tableの同型類のことをいう。

spanの射

n-span$(X;x_1,x_2,\cdots,x_n),(Y;y_1,y_2,\cdots,y_n)$が与えられているとする。
射$f \colon X \to Y$がn-spanの射であるとは、$\bigwedge_{i=1}^n x_i = y_i \circ f$が成り立つことをいう。
2-spanの射は次のように描ける。
2-spanの射 2-spanの射

特にn-table間のspanの射はmonicになる。証明はn-table(jointly monic family)の定義から直ちに従う。

n項関係間の包含順序

n-table$(T;f_1,f_2,\cdots,f_n),(T';g_1,g_2,\cdots,g_n)$にspanの射$\theta \colon T \to T'$が存在するとき、前順序関係$(T;f_1,f_2,\cdots,f_n)\sqsubseteq (T';g_1,g_2,\cdots,g_n)$が定まる。
n-tableの同型類を取ると、この前順序関係はn項関係の間に順序関係を誘導する。これをn項関係の包含順序と呼ぶ。

https://mathlog.info/articles/0b02EV0SJMQal8HLLaTh

射のグラフ

射を有する任意の圏で、各射$f \colon A \to B$に対し、$f$のグラフという$A,B$上の二項関係$[(A;1_A,f)]$が標準的に定まる。

map

$A,B$上の2-table$(T;f_1,f_2)$が、ある射$x$のグラフの表示であるとき、二項関係$[(T;f_1,f_2)]$はmapであるという。

2-table$(T;f_1,f_2)$がある射$x$のグラフを表示することは、$f_1$が同型射かつ$x = f_2 \circ f_1^{-1}$が成り立つことと同値。

reciprocation

対象$A,B$上の二項関係$R$と、その表示である2-table$(T;f_1,f_2)$が与えられているとする。
このとき、$R$のreciprocation$R^\circ$とは、2-table$(T;f_2,f_1)$によって表示される対象$B,A$上の二項関係のことをいう。

coverと像

https://mathlog.info/articles/N2nuPLKgqlJHWpaBPMmE

cover

射$c$がcoverとは、$c = m \circ c'$と任意に分解したとき、$m$がmonicならば常に同型射であることをいう。
本稿ではcoverを白抜き鏃の矢印で描く。

引き戻しを持つ圏では、cover同士の合成は再びcoverになる。またイコライザを持つ圏では、coverはepicである。

射$f$が同型射であることは、$f$がmonicかつcoverであることと同値。

射の像

射$f \colon A \to B$が与えられたとき、$B$の部分対象$[(M;i)]$が$f$を許容する(allow)とは、ある$f' \colon A \to M$が存在して$f = i \circ f'$が成り立つことをいう。
また$f$の像とは、$f$を許容する$B$の部分対象のうち包含順序で最小であるもののことをいう。$f\colon A \to B$の像の表示の頂点を$\exists f A$と書くことにする。

射$f \colon A \to B$は像$[(\exists f A;i)]$を持ち、$f = i \circ \overline f$と書かれるとする。このとき$\overline f$はcoverである。

射$f \colon A \to B$が像$[(\exists f A;i)]$を持ち、$f = i \circ \overline f$と像分解されるものとする。
この$f$が$f = m \circ c$と分解されて、$c \colon A \to M$がcoverかつ$m\colon M \to B$がmonicであるとき、$[(M;m)]$は$f$の像に等しい。
つまり、1-tableとして$(\exists f A ; i) \simeq (M;m)$が成立する。

仮定のように$f$は像を持ち、かつ$f = m \circ c$とcover,monicの合成の形で書かれるとする。
像の最小性より、$[(\exists f A ; i)] \subseteq [(M;m)]$、則ち、あるmonic$\theta \colon \exists f A \to M$が存在して、$i = m \circ \theta$が成り立つ。
すると$f = m \circ c = m \circ \theta \circ \overline f$であり、$m$はmonicであるから、$c = \theta \circ \overline f$が従う。
$c$はcoverだったから、coverの定義より$\theta$は同型射でなければならない。よって$\theta$は1-table間の同型$(\exists f A;i) \simeq (M;m)$を与える。
これは$[(M;m)]$が$f$の像であることを示している。

二項関係の合成

https://mathlog.info/articles/N4rEfnxknQPT80mVF4XD

二項関係の合成

二項積、引き戻し、像を持つ圏にて、
$A,B$上の二項関係$R$と$B,C$上の二項関係$S$が任意に与えられて、それぞれ$(T;f_1,f_2),(T';g_1,g_2)$によって表示されているとき、
関係の合成$S \circ R$は$(\exists\langle \pi_A,\pi_C \rangle P ; \pi_A \circ m,\pi_C \circ m)$によって与えられる。
ただし$(P;l,r)$を$f_2,g_1$の引き戻しとし、$m\colon \exists \langle \pi_A,\pi_C \rangle P \to A \times C$はmonicで以下を満たすものとする。
二項関係の合成 二項関係の合成

合成した関係を表示する2-tableの頂点を$\exists \langle \pi_A,\pi_C \rangle P$と書くのは、
引き戻しによって構成された3-table$(P;f_1 \circ l,f_2 \circ l,g_2 \circ r)$を積の普遍性によって$A \times B \times C$に向かうmonicと見做し、
射影$\langle \pi_A,\pi_C \rangle$の順像によって$m \colon \exists \langle \pi_A,\pi_C \rangle P \to A \times C$へと写したことに由来する。
詳細は以下の記事を参照してもらいたい。

https://mathlog.info/articles/snFtu52KTOZw6CzMfGkz

射の合成と二項関係の合成

任意の射$f\colon A \to B$に対し、$A,B$上の二項関係$G_f$を$[(A;1_A,f)]$として定義できるのであった。これを射のグラフと呼んだ。
圏論では射に対する合成を公理で与えているが、射の合成と二項関係の合成には整合性の取れた関係が成り立つことを示そう。以下、二項積、引き戻し、像を持つ圏で考える。

射$f \colon A \to B,g \colon B \to C$が任意に与えられたとする。
このとき合成射$g \circ f \colon A \to C$のグラフ$G_{g \circ f}$は、各グラフの関係合成$G_g \circ G_f$と一致する。

定義に従って、$G_g\circ G_f$を計算する。
射のグラフの合成 射のグラフの合成

図式より、$1_A = m_1 \circ c$であるから、$c$はmonic。($g \circ f$がmonicならば$f$はmonic。)
よって$c$はmonicかつcoverであるから同型射になり、spanとして$(A;1_A,g\circ f)\simeq (\exists \langle \pi_A,\pi_C \rangle A;m_1,m_2)$が成立。
したがって、$G_g \circ G_f = [(A;1_A,g\circ f)] = G_{g\circ f}$が成立する。

恒等律に関しても整合性が取れる。恒等射のグラフは、二項関係の合成に於いて恒等射のように振る舞う。

対象$A$上の恒等射のグラフ$G_{1_A}=[(A;1_A,1_A)]$のことを、$1_A$と書くことにする。
任意の二項関係$R \in \mathrm{Rel}(X,A),S \in \mathrm{Rel}(A,Y)$に対し、関係合成は次の等式を満たす。

$$ 1_A \circ R = R,\quad S \circ 1_A = S $$

$R,S$の表示をそれぞれ$(T;f_1,f_2),(T';g_1,g_2)$とすると、次の図が成り立つ。
恒等射のグラフの関係合成 恒等射のグラフの関係合成

図中の$c,d$は2-table間のspanの射であるからmonicである。よって$c,d$はmonicかつcoverであるから、monic-coverより$c,d$は同型射。
よって$(\exists \langle \pi_X,\pi_A \rangle T;m_1,m_2) \simeq (T;f_1,f_2)$かつ$(\exists \langle \pi_A,\pi_Y \rangle T' ; n_1,n_2) \simeq (T';g_1,g_2)$が従うので、
$1_A \circ R = [(T;f_1,f_2)] = R,\ S \circ 1_A = [(T';g_1,g_2)] = S$が成り立つ。

関係合成の結合律はいつ成り立たないか

二項積、引き戻し、像を持つ圏では、二項関係の合成が定義できて、しかも射の合成や恒等律と整合性を保つことを確かめた。
ところで、圏の公理は射の合成が結合的であることを定めている。

$$ h\circ (g \circ f) = (h \circ g) \circ f $$

二項関係の合成で、結合律は成り立つのだろうか?答えは「追加の条件が必要になる」である。
追加の条件がない場合、二項関係の合成で結合律を満たさない例で非常に端的なものが構成できるので、今節ではそれを見ていく。

以下、射$f$のグラフは二項関係としても敢えて小文字$f$のままで書くことにする。
また圏は二項積、引き戻し、像を持つものとする。

射$c \colon A \to B$がcoverであることは、$c$のグラフが二項関係の方程式$c \circ c^\circ = 1_B$を満たすことと同値。
ただし左辺は二項関係の合成であり、$c^\circ$は$c$のreciprocationで、右辺の$1_B$は恒等射のグラフ$G_{1_B} = [(B;1_B,1_B)]$を表している。

定義に従って、関係合成$c \circ c^\circ$を構成する。
二項関係によるcoverの特徴付け 二項関係によるcoverの特徴付け

$(\Longrightarrow)$
射として$c = m_1 \circ d = m_2 \circ d$である。圏は二項積と引き戻しを持つと仮定したから、圏はイコライザを持つ。よって$d$はcoverなのでepicであるから、$m_1 = m_2$が従う。(以後、$m_1,m_2$は$m$で統一する。)
今$(\exists \langle \pi_B,\pi_B \rangle A;m,m)$は2-tableであるから、$\langle m,m \rangle \colon \exists \langle \pi_B,\pi_B \rangle A \to B \times B$はmonicである。そして$\langle m,m \rangle = \langle 1_B,1_B \rangle \circ m$であるから、$m$はmonicでなければならない。
$c = m \circ d$かつ$c$はcoverで$m$はmonicだから、定義より$m$は同型射である。
則ち、$(\exists \langle \pi_B,\pi_B \rangle A; m,m) \simeq (B;1_B,1_B)$が成り立ち、二項関係として$c\circ c^{\circ} = [(B;1_B,1_B)] = 1_B$が従う。
2-tableの同型 2-tableの同型

$(\Longleftarrow)c \circ c^\circ= [(B;1_B,1_B)]$と仮定する。射$c$を$c = m \circ \overline c$と像分解し、$\overline c$はcover、$m$はmonicと仮定する。
射!FORMULA[157][37701][0]の像分解 射$c$の像分解

このとき次が成り立つ。
像由来の2-table 像由来の2-table

よって$(\exists c A;m,m)$は$c \circ c^\circ$を表示する。一方仮定より、$c \circ c^\circ = [(B;1_B,1_B)]$であったから、$(\exists c A;m,m) \simeq (B;1_B,1_B)$でなければならない。
則ち、ある同型射$\theta \colon \exists c A \to B$で次を満たすものが存在する。
像と終域の同型 像と終域の同型

図式より$\theta = m$であるから、$m$は同型射である。
像が終域と同型なので、$c$はcoverである。

この命題を踏まえた上で、引き戻しがcoverを引き戻さない場合には、二項関係の合成が結合律を満たさない例を構成できることを示す。

二項積、引き戻し、像を持つ圏で、終域の相等しい射$y,x$の引き戻し$(P;z,w)$を考え、$x$はcoverだが$z$はcoverではないと仮定する。
このとき、$(x \circ x^\circ)\circ y \neq x \circ (x^\circ \circ y)$である。

まず$(x \circ x^\circ)\circ y$について。
cover-entireより、$x \circ x^\circ = 1_C$であるから、$(x \circ x^\circ) \circ y = 1_C \circ y$である。
identity-relより$1_C \circ y = y$が従う。

次に$x \circ (x^\circ \circ y)$について。
まず$x^\circ \circ y$は次のように合成される。
関係合成!FORMULA[177][1970480431][0] 関係合成$x^\circ \circ y$

図中で引き戻し$(P;z,w)$が2-tableであることに注意を払うと、$c$はjointly monic spanの間の射であるから、$c$はmonicである。
つまり$c$はmonicかつcoverなので同型射であるから、$(\exists \langle \pi_B,\pi_A \rangle P;m_1,m_2) \sim (P;z,w)$。
よって$(P;z,w)$は二項関係$x^\circ \circ y$の表示を与えるので、以後これを採用する。

すると、$x \circ (x^\circ \circ y)$は次のように合成される。
関係合成!FORMULA[186][-670864243][0] 関係合成$x\circ (x^\circ \circ y)$

図式およびcover-basicpropertyより、$n_1$がcoverならば、$n_1 \circ d$はcoverであるから、$z$はcoverになる。
対偶より、$z$がcoverでなければ、$n_1$はcoverではない。
今、仮定より$z$はcoverではないから、$n_1$はcoverではない。よってmonic-coverより、$n_1$は同型射足り得ない。したがってsimple-entireより、$(\exists \langle \pi_B,\pi_C \rangle P;n_1,n_2)$はmap足り得ない。

以上より、$(x\circ x^\circ)\circ y$は射$y$のグラフであるのに対し、$x \circ (x^\circ \circ y)$はどの射のグラフにもならない。則ち、$(x \circ x^\circ) \circ y \neq x \circ (x^\circ \circ y)$である。

関係合成の結合律はいつ成り立つか

前節で、引き戻しがcoverを引き戻さなければ、結合律を満たさない関係合成が現れることを確かめた。
今節では、その裏を確かめる。つまり、引き戻しがcoverを引き戻すならば、任意の関係合成が結合律を満たすことを確かめる。
引き戻しがcoverを引き戻すことの定義は、次のように描かれる。
引き戻しがcoverを引き戻す 引き戻しがcoverを引き戻す

事前に、重要となる命題を一つ示しておく。

像を持つ圏にて、任意の射$f,g$に関して、$f = g \circ \theta$かつ$\theta$が同型射ならば、$f,g$は同一の像を持つ。

$g = i \circ \overline g$を$g$のcover-monic分解として、次の図式が成り立つ。
共通の像を持つ 共通の像を持つ

$f = i \circ (\overline g \circ \theta)$が成り立ち、$\overline g \circ \theta$はcoverかつ$i$はmonicである。
cover-monic-factorizationより、$[(\exists g B;i)]$は$f$の像であるから、$f,g$は共通の像を持つ。

二項積、引き戻し、像を持つ圏で、さらに引き戻しがcoverを引き戻すものとする。
このとき、この圏の二項関係の合成は結合律を満たす。

証明の方針

$T \circ (S \circ R)$と$(T \circ S)\circ R$それぞれの表示を構成し、$A \times D$の部分対象として一致することを示す。
対象$A,B$上の二項関係$R$、$B,C$上の二項関係$S$、$C,D$上の二項関係$T$を任意に取る。
これらの表示を順番に、$(M_1;a_1,a_2),(M_2;b_1,b_2),(M_3;c_1,c_2)$として、
$T \circ (S \circ R) = (T \circ S) \circ R$が成り立つことを証明していく。

$T \circ (S \circ R)$の表示の構成

$T \circ (S \circ R)$の表示は次のように構成できる。
関係合成!FORMULA[225][-168682744][0] 関係合成$T \circ (S \circ R)$

図中の$(P_2;g_1,g_2)$は、$f_2,c_1$の引き戻しである。この図式の中から、次の図式が読み取れる。
さっきの図式から取り出した引き戻し さっきの図式から取り出した引き戻し

ここで$e,g_1$の引き戻しを考える。
引き戻しがcoverを引き戻す 引き戻しがcoverを引き戻す

仮定より引き戻しがcoverを引き戻すので、$e$がcoverであるから$j_2$もcoverであることに注目。

図式を読み解くと$f_2 \circ e = b_2 \circ d_2$であるから、引き戻しのpasting lemmaより大外の四角形図式は$b_2 \circ d_2,c_1$の引き戻しである。

$\langle a_1 \circ d_1 \circ j_1,c_2 \circ g_2 \circ j_2 \rangle\colon P_3 \to A \times D$の像分解

次の図式が成立している。
像分解その1 像分解その1

diagram chase及び積の普遍性により、$\langle a_1 \circ d_1 \circ j_1,c_2 \circ g_2 \circ j_2 \rangle = \langle i_1,i_2 \rangle \circ h \circ j_2$が成り立つ。
像分解の様子 像分解の様子

仮定より圏は像を持つので、cover-monic-factorizationより、coverとmonicの合成の形で書かれたこれは$\langle a_1 \circ d_1 \circ j_1,c_2 \circ g_2 \circ j_2 \rangle$の像分解を与えている。
つまり$[(\exists \langle \pi_A,\pi_D \rangle P_2;\langle i_1,i_2 \rangle)]$は$\langle a_1\circ d_1 \circ j_1,c_2 \circ g_2 \circ j_2 \rangle$の像である。

$(T\circ S)\circ R$の表示の構成

次に関係合成$(T \circ S)\circ R$の構成を図式化する。
関係合成!FORMULA[240][1377062796][0] 関係合成$(T \circ S) \circ R$

図中の$(P_5;n_1,n_2)$は$a_2,m_1$の引き戻しである。
この図式の中から、次の図式が読み取れる。
さっきの図式の中の引き戻し さっきの図式の中の引き戻し

$l,n_2$の引き戻し$(P_6;q_1,q_2)$を取る。
![引き戻しがcoverを引き戻す](/uploads/mathdown/w8CBqeusmeoVrshri7sk.png 460)

引き戻しがcoverを引き戻すと仮定したので、$l$がcoverであるから$q_2$もcoverであることに注目。

$m_1 \circ l = b_1 \circ k_1$なので、引き戻しのpasting lemmaより大外の四角形図式は$b_1 \circ k_1,a_2$の引き戻しである。

$\langle a_1 \circ n_1 \circ q_2,c_2 \circ k_2 \circ q_1 \rangle \colon P_6 \to A \times D$の像分解

次が成り立っている。
像分解その2 像分解その2

diagram chase及び積の普遍性により、$\langle a_1 \circ n_1 \circ q_2 , c_2 \circ k_2 \circ q_1 \rangle = \langle p_1,p_2 \rangle \circ o \circ q_2$が成立。
像分解の様子 像分解の様子

今、圏は像を持つと仮定したので、cover-monic-factorizationより$[(\exists \langle \pi_A,\pi_D\rangle P_5; \langle p_1,p_2 \rangle)]$は$\langle a_1\circ n_1 \circ q_2,c_2 \circ k_2 \circ q_1 \rangle$の像である。

二つの像の一致

ここでさらに次の構成を考えてみる。
引き戻しのピラミッド 引き戻しのピラミッド

引き戻しのpasting lemmaより、$(P_7;r_1,k_2 \circ r_2)$は$b_2 \circ d_2,c_1$の、$(P_7;d_1\circ r_1,r_2)$は$a_2,b_1 \circ k_1$の、それぞれ引き戻しである。
既に確かめたように、$(P_3;j_1,g_2\circ j_2)$は$b_2 \circ d_2,c_1$の引き戻しであり、$(P_6;q_1,n_1 \circ q_2)$は$b_1 \circ k_1,a_2$の引き戻しであったから、
spanの同型$(P_7;r_1,k_2 \circ r_2) \simeq (P_3; j_1,g_2 \circ j_2),(P_7; r_2,d_1 \circ r_1) \simeq (P_6;q_1,n_1 \circ q_2)$がそれぞれ成り立つ。
したがって、ある同型射$\theta_1 \colon P_7 \to P_3,\theta_2 \colon P_7 \to P_6$が存在して、次が成り立つ。
像の比較その1 像の比較その1
像の比較その2 像の比較その2

commonimageより、$[(\exists \langle \pi_A,\pi_D \rangle P_2 ; \langle i_1,i_2 \rangle)],[(\exists\langle \pi_A,\pi_D \rangle P_5;\langle p_1,p_2 \rangle)]$はいずれも$\langle a_1 \circ d_1 \circ r_1,c_2 \circ k_2 \circ r_2 \rangle$の像ということになる。
像の最小性より、両者は一致しなければならない。
前者は$T \circ (S \circ R)$を、後者は$(T \circ S)\circ R$を、積の部分対象の形式でそれぞれ表したものだから、$T \circ (S \circ R) = (T \circ S) \circ R$が示された。

notassociativeの対偶とassociativeより、次の系が成り立つ。

二項積、引き戻し、像を持つ圏に於いて、引き戻しがcoverを引き戻すことは、任意の二項関係の合成が結合律を満たすことと同値。

正則圏

condition-associativeより、有限完備かつ像を持つ圏で二項関係の結合的な合成が定義されるための必要十分条件は、引き戻しがcoverを引き戻すことである。
これを満たす圏には特別な名前が与えられている。

正則圏

有限完備な圏が像を持ち、かつ引き戻しがcoverを引き戻すとき、これを正則圏(regular category)という。

参考文献

[1]
Freyd, Peter J. and Scedrov, Andre, Categories, Allegories, North-Holland Mathematical Library, North-Holland, 1990
投稿日:11日前
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