どうも、らららです。
今回は$\log$がある積分の解法についてまとめてみました。
わたしが知ってる$\log$がある積分はわたしが知る限りは5つあって、部分積分,置換積分,級数展開,微分,留数定理の5つです。
それぞれ書いていきます。
$\displaystyle\frac{d}{dx}\log x=\frac{1}{x}$と部分積分を使って積分が解けることがあります。
$$\int f(x)g(x)dx=f(x)G(x)-\int f'(x)G(x)dx$$
$\log x$を$f$の方にすれば$\log x$が$\displaystyle\frac{1}{x}$になって解けることがあります。
\begin{align}
I&=\int_{0}^{1}x\log x dx
\\&=\left[\frac{x^2}{2}\log x\right]^{1}_{0}-\frac{1}{2}\int_{0}^{1}xdx
\\&=\frac{1}{2}\lim_{x\to0}x^2\log x-\frac{1}4
\\&=-\frac{1}{4}
\end{align}
\begin{align}
\lim_{x\to0}x^2\log x
&=\lim_{x\to0}\frac{\log x}{\frac{1}{x^2}}
\\&=\lim_{x\to0}\frac{\frac{1}{x}}{-\frac{2}{x^3 }}
\\&=-\frac{1}{2}\lim_{x\to0}x^2
\\&=0
\end{align}
こんな感じで部分積分で解けることがあったりします。
極限でも$\log x$の微分が$\displaystyle\frac{1}{x}$であることを使ってますね。
$\log x=t$で置換することで解けることがあります。
逆関数は$e^t=x$です。
$dx$と$dt$の関係は$\displaystyle dt=\frac{dx}{x}$です。
もしくは$\displaystyle dx=e^t\ dt$です。
\begin{align} I&=\int_{1}^{e}\frac{\log x}{x}dx \\&=\int_{0}^{1}t\ dt\qquad(\log x\mapsto t) \\&=1 \end{align}
とりあえず分母に$x$があれば$\log x=t$で置換していいと思います。
あとは$\mathrm{King Property}$を使う方法もあったりします。
この記事
で$\mathrm{King Property}$を使う積分を解いています。
書きたいのはここからです。
級数展開をして積分と級数を交換して積分を解けることがあります。
わたしが知っている$\log$関連の級数展開をまとめてみます。
$$\log(1-x)=-\sum_{n=1}^{\infty}\frac{x^n}{n}\quad(|x|<1)$$
$$\log(1+x)=-\sum_{n=1}^{\infty}\frac{(-1)^n\ x^n}{n}\quad(|x|<1)$$
$$\log\left(2\sin\frac{x}{2}\right)=-\sum_{n=1}^{\infty}\frac{\cos nx}{n}\quad\left(0< x<\frac{\pi}{2}\right)$$
$$\log\left(2\cos\frac{x}{2}\right)=-\sum_{n=1}^{\infty}\frac{(-1)^n\ \cos nx}{n}\quad\left(0< x<\frac{\pi}{2}\right)$$
$$\log\tan\frac{x}{2}=-2\sum_{n=1}^{\infty}\frac{\cos(2n+1)x}{2n+1}\quad\left(0< x<\frac{\pi}{2}\right)$$
級数展開を使って解いて見ましょう。
\begin{align} I&=\int_{0}^{1}\frac{\log(1+x)}{\sqrt{x}}dx \\&=-\int_{0}^{1}\sum_{n=1}^{\infty}\frac{(-1)^n\ x^n}{n\ \sqrt{x}}dx \\&=-\sum_{n=1}^{\infty}\frac{(-1)^n}{n}\int_{0}^{1}x^{n-\frac{1}{2}}\ dx \\&=-2\sum_{n=1}^{\infty}\frac{(-1)^n}{n(2n+1)} \\&=-2\left(\sum_{n=1}^{\infty}\frac{(-1)^n}{n}-2\sum_{n=1}^{\infty}\frac{(-1)^n}{2n+1}\right) \\&=-2\left(\log2+\frac{\pi}{2}-2\right) \\&=-2\log2-\pi+4 \end{align}
普通に部分積分でも解けます。
\begin{align} I&=\int_{0}^{\frac{\pi}{2}}\log\left(2\sin\frac{x}{2}\right)\log\left(2\cos\frac{x}{2}\right)dx \\&=\frac{1}{2}\int_{0}^{\pi}\log\left(2\sin\frac{x}{2}\right)\log\left(2\cos\frac{x}{2}\right)dx \\&=\frac{1}{2}\sum_{n,m>0}\frac{(-1)^n}{nm}\int_{0}^{\pi}\cos mx\cos nx dx \\&=\frac{\pi}{4}\sum_{n=1}^{\infty}\frac{(-1)^n}{n^2} \\&=-\frac{\pi^3}{48} \end{align}
雑ですが許してください。
前の記事
で別の方法で解いてます。
$\displaystyle\frac{d}{ds}x^s=x^s\log x$を使って積分が解けることがあります。
\begin{align} I&=\int_{0}^{\infty}e^{-x}\log xdx \\&=\left.\frac{d}{ds}\int_{0}^{\infty}x^s e^{-x}dx\right|_{s=1} \\&=\Gamma'(1) \\&=\Gamma(1)\psi(1) \\&=-\gamma \end{align}
微分と積分の交換を使いました。
$$I=\int_{0}^{1}\frac{x^2-x}{\log x}dx$$
$$f(t)=\int_{0}^{1}\frac{x^t}{\log x}$$
\begin{align}
f'(t)&=\int_{0}^{1}x^t
\\&=\frac{1}{t+1}
\end{align}
\begin{align}
f(2)-f(1)&=\int_{1}^{2}f'(t)dt
\\&=\int_{1}^{2}\frac{1}{t+1}dt
\\&=\log\frac{3}{2}
\end{align}
この解法、かなり好きです。
複素積分で解けることがあったりする。
わたしが書いてる複素積分の2つの記事はどっちも$\log$があるのでそちらもみてほしい。(
これ
と
これ
)
被積分関数に$\log x$だったらバームクーヘンのような経路で解いていくことが多い気がします。
バームクーヘンのような経路は前の記事でやっている。
$$I=\int_{0}^{\infty}\frac{x\log x}{x^4+1}dx$$
$$f(z)=\frac{z\log z}{z^4+1}$$
積分経路
$\log0$を回避するために$0$は避けています。
$\displaystyle C_2,C_4$は評価して極限とばすと$0$になります。
確認してみてください。
全体の積分を$C$としておきます。
それぞれ計算していきます。
\begin{align}
\int_{C_1}&=\int_{\varepsilon}^{R}f(z)dz
\\&=I\qquad(\ip\to0,R\to\infty)
\end{align}
\begin{align}
\int_{C_3}&=\int_{iR}^{i\ip}f(z)dz
\\&=-i\int_{\ip}^{R}f(ix)dx
\\&=\int_{\ip}^{R}\frac{x\log ix}{x^4+1}dx
\\&=\int_{\ip}^{R}\frac{x\log x}{x^4+1}dx+\frac{i\pi}{2}\int_{\ip}^{R}\frac{x}{x^4+1}dx
\\&=I+\frac{\pi^2}{8}i\qquad(\ip\to0,R\to\infty)
\end{align}
\begin{align}
\oint_{C}&=2\pi i\underset{z=e^{\frac{i\pi}{4}}}{\mathrm{Res}}\frac{z\log z}{z^4+1}
\\&=2\pi i\lim_{z\to e^{\frac{i\pi}{4}}}\frac{z\log z(z-e^{\frac{i\pi}{4}})}{z^4+1}
\\&=2\pi i\lim_{z\to e^{\frac{i\pi}{4}}}\frac{(2z-e^{\frac{i\pi}{4}})\log z-e^{\frac{i\pi}{4}}+z}{4z^3}
\\&=\frac{\pi^2}{8}i
\end{align}
$$\oint_{C}=\int_{C_{1}}+\int_{C_{2}}+\int_{C_{3}}+\int_{C_{4}}$$
$$\frac{\pi^2}{8}i=I+I+\frac{\pi^2}{8}i$$
$$I=0$$
微分を使っても解けます。
被積分関数の$\log x$の指数に$1$を足して$f(z)$を設定することもあります。
おしまーい