以前からたびたび取り上げていた等式について進展があったので、その報告のための記事です。
以前に書いた記事
において、以下の等式を示しました。
また、
さらに、この等式に関連する記事をいくつか書きました。
これまでの記事で、何種類かの証明を見つけたり、分子の指数が
そんな中でずっと気になっていたのが、この等式は今まで知られていなかったのか?ということです。少なくとも私は自力で発見しており、本でもインターネット上でも見たことはありませんでした。
そうして色々と探し回っていたところ、先日ある情報をいただきました。この場を借りて改めてお礼を申し上げます。ありがとうございました。
答えは 岩波 数学入門辞典iwa にありました。以下の内容が載っています。
また、
☆ 完 全 に 一 致 ☆
(複素数か任意の体かという違いはありますが)
ということで、この等式はかのオイラーによって既に発見されていたようです。なんてこったい。証明は、
なお、iwaより以前のソースまで遡ることは今のところできておりません。岩波の辞典に載っているので間違いないとは思うのですが、「オイラーの恒等式」でググっても数件しかヒットせず、「Euler's identity」でも別の式しか出てきません ( まあ、さすがにね )。wikipedia の このリスト にもありませんでした。なんとも謎めいています。
何にせよ、命題1は私の新発見ではありませんでした。少し残念ではありますが、オイラーの名を冠する式に自力でたどり着けたことを喜ぶことにします。
なお、任意の体で成り立つこと、および分子の指数が
ついでに、まだ記事にしていなかった結果を書いておきます。オイラーの恒等式を
で定める。
つまり完全対称式とは、
となります。
証明は こちらの記事 を参照。これを用いて、指数が負の場合を示します。
左辺を変形し、
となり、さらに変形して
を得る。ここで、最後から2番目の等号で命題3を用いた。
これで、オイラーの恒等式を負の指数にまで拡張することができました。
というわけで、今回はここまで。
ではまた。