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現代数学解説
文献あり

n回合成関数の基本的な定理や式【反復合成写像#1】

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概要

最近話題の反復合成写像、関数的平方根について、以前遊んでいたものに一致する部分があった(主に代数関数で遊んでいました。)ので書き留めておこうと思います。関数的平方根を求めるのってロマンありますよね。この記事を書くにあたって甘くないなっぽーさんの記事疑問:2回合成してe^xとなる関数は?cbrtxさんの記事合成関数の逆操作についてsinxの分解にチャレンジが大変参考になり、面白い内容だったので紹介しておきます。

定義

いろいろな記法があると思いますが、個人的には逆関数の記法である$f^{-1}(x)$を包含する次のような記法が好みです。(巨大数の分野でも頻繁に使われるようです。グラハム数とか、急増加関数とか。)

定義

$n\in\mathbb{N}$について、
$$\underbrace{(f\circ\cdots\circ f)}_{n個のf}(x)=\underbrace{f(f(\cdots f(x)))}_{n個のf}=f^{n}(x)$$
とする。

$n\in\mathbb{N}$について、$f(x)$の逆関数が存在し、$g(x)=f^{-1}(x)$のとき、
$$\underbrace{(g\circ\cdots\circ g)}_{n個のg}(x)=\underbrace{g(g(\cdots g(x)))}_{n個のg}=f^{-n}(x)$$
とし、$n=0$のとき、
$$f^{0}(x)=x$$
とすることで、$n\in\mathbb{Z}$についても定義することができる。

$f^{-1}(x)$は通常の逆関数に一致する。

$a,b\in\mathbb{Z},b\neq0$について、
$$h^{b}(x)=f^{a}(x)$$
となるような関数$h(x)$が存在する時、$f^{\frac{a}{b}}(x)$$h(x)$と定義することで、$n\in\mathbb{Q}$について定義することができる。

・とくに、$a=1$のとき、$f^{\frac{1}{a}}(x)$$a$回合成することで$f(x)$となる関数であり、$b=2$のとき「関数的平方根」と呼ぶ。

$f^n(x)$$f(x)$$n$回合成、$n$重合成という。とくに、0回合成は$x$となり、-1回合成は逆関数となる。

あまり厳密ではない定義かもしれませんが、一次関数など$f^n(x)$が存在する関数であれば、$n\in\mathbb{Q}$まではとくに問題なく計算できると思います。なお、以下出てくる関数は全て$f:\mathbb{R}\longrightarrow\mathbb{R}$とします。

基本的な定理

合成→掛け算、反復合成→冪乗と対応し、冪乗に成り立つ指数法則のような法則が成り立ちます。

定理1

$f^{-1}(x)=g(x),n\in\mathbb{Z}$のとき、
$$g^n(x)=f^{-n}(x)$$

定義より明らかに成り立ちます。

定理2-1

$f^{-1}(x)=g(x)$のとき、
$$f(g(x))=x$$

逆関数の定義$x=f(y)\Leftrightarrow y=f^{-1}(x)$より、
$$f(g(x))=f(f^{-1}(x))=f(y)=x$$

定理3-1 (限定的な)関数的交換法則

$f^{-1}(x)=g(x)$のとき、$f(x)$$g(x)$のみを複数個合成して得られる関数は、合成する順番を変えても同じとなる。

$n\in\mathbb{N}$について、
$$f^n(f(x))=f^{n+1}(x)$$は明らかに成り立つ。
$$f^{-n}(f(x))=g^n(f(x))=g^{n-1}(g(f(x)))=g^{n-1}(x)=f^{-n+1}(x)$$
$$f^n(f^{-1}(x))=f^n(g(x))=f^{n-1}(f(g(x)))=f^{n-1}(x)$$
$$f^{-n}(f^{-1}(x))=g^n(g(x))=g^{n+1}(x)=f^{-n-1}(x)$$
も成り立つことがわかる。
したがって、整数回合成した関数に$f(x)$または$f^{-1}(x)$を合成することは、整数を+1または-1することに等しい。よって、和の交換法則より、$f(x)$または$f^{-1}(x)$を合成する順番は交換できる。

定理2-2

$f^{-1}(x)=g(x),n\in\mathbb{Z}$のとき、
$$f^n(g^n(x))=x$$

定理2-1および定理3-1より、
$$f^n(g^n(x))=\underbrace{f(f(f(\cdots}_{n個のf}\underbrace{g(g(\cdots g(x))))))}_{n個のg}=\underbrace{f(g(f(g(\cdots f(g(x))))))}_{n個のf\circ g}=x$$
(nが負のときも、fとgが入れ替わるだけなので同様に成り立つ。)

定理4 関数的指数法則

$a,b\in\mathbb{Z}$について、
$$f^a(f^b(x))=f^{a+b}(x)$$
$$g(x)=f^a(x)\mathrm{のとき}g^b(x)=f^{ab}(x)$$

証明は、指数法則の証明とほとんど同様に、$a,b$を自然数、0、負の数の9通りに場合分けすることでできます。

  • $a,b\in\mathbb{N}$のときは、明らかに成り立つ。
  • $a\in\mathbb{N},b=0$のとき、
    $$f^a(f^b(x))=f^a(x)=f^{a+b}(x)$$
    $$g(x)=f^a(x)\mathrm{のとき}g^b(x)=x=f^0(x)=f^{ab}(x)$$
    より、成り立つ。
  • $a=0,b\in\mathbb{N}$のとき、
    $$f^a(f^b(x))=f^b(x)=f^{a+b}(x)$$
    $$g(x)=f^a(x)=x\mathrm{のとき}g^b(x)=x~=f^0(x)=f^{ab}(x)$$
    より、成り立つ。
  • $a=b=0$のとき、
    $$f^a(f^b(x))=x=f^0(x)=f^{a+b}(x)$$
    $$g(x)=f^a(x)=x\mathrm{のとき}g^b(x)=x=f^0(x)=f^{ab}(x)$$
    より、成り立つ。

ここからは、上記の自然数および0に対する関数的指数法則が成り立つものとして用います。

  • $a,b\in\mathbb{N}$のとき、$f^{-1}(x)=g(x)$とすると、定理1と、定理3-1より、
    $a\gt b$のとき、
    $$f^a(f^{-b}(x))=f^a(g^b(x))=f^{a-b}(g^{b-b}(x))=f^{a+(-b)}(x)$$
    $a=b$のとき、
    $$f^a(f^{-b}(x))=f^a(g^b(x))=x=f^0(x)=f^{a+(-b)}(x)$$
    $a\lt b$のとき、
    $$f^a(f^{-b}(x))=f^a(g^b(x))=f^{a-a}(g^{b-a}(x))=g^{b-a}(x)=f^{a+(-b)}(x)$$
    また、
    $$h(x)=f^a(x), i(x)=h^{-1}(x)=f^{-a}(x)=g^a(x)\mathrm{のとき}h^{-b}(x)=i^b(x)=g^{ab}(x)=f^{-ab}(x)=f^{a×(-b)}(x)$$
    より、成り立つ。
  • $a,b\in\mathbb{N}$のとき、$f^{-1}(x)=g(x)$とすると、定理1と、定理3-1より、
    $a\gt b$のとき、
    $$f^{-a}(f^b(x))=g^a(f^b(x))=g^{a-b}(f^{b-b}(x))=g^{a-b}(x)=f^{(-a)+b}(x)$$
    $a=b$のとき、
    $$f^{-a}(f^b(x))=g^a(f^b(x))=x=f^0(x)=f^{(-a)+b}(x)$$
    $a\lt b$のとき、
    $$f^{-a}(f^b(x))=g^a(f^b(x))=g^{a-a}(f^{b-a}(x))=f^{b-a}(x)=f^{(-a)+b}(x)$$
    また、
    $$h(x)=f^{-a}(x)=g^a(x)\mathrm{のとき}h^b(x)=g^{ab}(x)=f^{-ab}(x)=f^{(-a)×b}(x)$$
    より、成り立つ。
  • $a,b\in\mathbb{N}$のとき、$f^{-1}(x)=g(x)$とすると、定理1より、
    $$f^{-a}(f^{-b}(x))=g^a(g^b(x))=g^{a+b}(x)=f^{(-a)+(-b)}(x)$$
    $$h(x)=f^{-a}(x)=g^a(x), i(x)=h^{-1}(x)=f^a(x)\mathrm{のとき}h^{-b}(x)=i^b(x)=f^{ab}(x)=f^{(-a)×(-b)}(x)$$
    より、成り立つ。
  • $a=0,b\in\mathbb{N}$のとき、$f^{-1}(x)=g(x)$とすると、定理1より、
    $$f^a(f^{-b}(x))=f^a(g^b(x))=g^b(x)=f^{-b}(x)=f^{a+(-b)}(x)$$
    $$h(x)=f^a(x)=x\mathrm{のとき}h^{-b}(x)=x=f^0(x)=f^{a×(-b)}(x)$$
    より、成り立つ。
  • $a\in\mathbb{N},b=0$のとき、$f^{-1}(x)=g(x)$とすると、定理1より、
    $$f^{-a}(f^b(x))=g^a(f^b(x))=g^a(x)=f^{-a}(x)=f^{(-a)+b}(x)$$
    $$h(x)=f^{-a}(x)=g^a(x)\mathrm{のとき}h^b(x)=x=f^0(x)=f^{(-a)×b}(x)$$
    より、成り立つ。

ここからは、上記の整数に対する関数的指数法則を用います。

  • $a,b\in\mathbb{Z},b\neq0$のとき、$h(x)=f^{\frac{a}{b}}(f^{\frac{c}{d}}(x))$とすると、定義$g(x)=f^{\frac{a}{b}}(x), g^b(x)=f^a(x)$より、
    $$h^{bd}(x)=f^{ad}(f^{cb}(x))=f^{ad+cb}(x)=f^{(\frac{a}{b}+\frac{c}{d})bd}(x)$$
    よって、$h(x)=f^{\frac{a}{b}}(f^{\frac{c}{d}}(x))=f^{\frac{a}{b}+\frac{c}{d}}(x)$
    また、$i(x)=f^{\frac{a}{b}}(x),j(x)=i^{\frac{c}{d}}(x)$とすると、定義$g(x)=f^{\frac{a}{b}}(x), g^b(x)=f^a(x)$より、
    $$j^{bd}(x)=i^{bc}(x)=f^{ac}(x)=f^{(\frac{a}{b}×\frac{c}{d})×bd}(x)$$
    よって、$j(x)=i^{\frac{c}{d}}(x)=f^{(\frac{a}{b}×\frac{c}{d})}(x)$
    以上より、$n\in\mathbb{Q}$についても成り立つ。
定理3-2 関数的交換法則

$f^n(x)(n\in\mathbb{Z})$のみを複数個合成して得られる関数は、合成する順番を変えても同じとなる。

定理4より、整数回合成した関数に$f^n(x)(n\in\mathbb{Z})$を合成することは、整数を+nすることに等しい。よって、和の交換法則より、$f^n(x)$を合成する順番は交換できる。

不動点についての定理

前述した、cbrtxさんの記事合成関数の逆操作についてで言及されていた「合成不動点定理」を一般化したものです。なお、$n\in\mathbb{Q}$の証明は、$n=\frac{1}{2}$の場合の証明をお借りさせていただきました。グラフを見ると明らかに$f(\alpha_i)=\alpha_i(i=1,2,\cdots,m)\Leftrightarrow f^n(\alpha_i)=\alpha_i(n\in\mathbb{Q})$が成り立つように見えるんですが、とりあえず$m=1$$f(x)=x$が唯一の解$\alpha$を持つ場合)に限定して証明します。

定理5 一般合成不動点定理(より適当な名前)

$f(x)=x$が唯一の解$\alpha$を持つならば、
$$f^n(\alpha)=\alpha(n\in\mathbb{Q})$$
  • $n\in\mathbb{N}$のとき、
    $n=1$のときは、前提より$f^n(\alpha)=\alpha$
    $n=k$のとき、$f^k(\alpha)=\alpha$が成り立つと仮定すると、
    $n=k+1$のとき、$f^{k+1}(\alpha)=f^k(f(\alpha))=f^k(\alpha)=\alpha$
    よって、成り立つ。
  • $n\in\mathbb{Z}$について、
    $n=0$のとき、明らかに$f^n(\alpha)=\alpha$
    $g(x)=f^{-1}(x),m\in\mathbb{N}$のとき、$g^m(x)$について考えると、
    $m=1$のとき、逆関数の定義$y=f^{-1}(x)\Leftrightarrow x=f(y)$より、$g(\alpha)=\alpha$
    $m=k$のとき、$g^k(\alpha)=\alpha$が成り立つと仮定すると、
    $m=k+1$のとき、$g^{k+1}(\alpha)=g^k(g(\alpha))=g^k(\alpha)=\alpha$
    よって、成り立つ。
  • $n\in\mathbb{Q}$について、
    $a,b\in\mathbb{Z},b\neq0$のとき、まず$f^{\frac{1}{b}}(\alpha)=\alpha$を示す。
    $f^{\frac{1}{b}}(\alpha)=\beta\neq\alpha$と仮定する。
    $$\underbrace{f^{\frac{1}{b}}(f^{\frac{1}{b}}(\cdots f^{\frac{1}{b}}(\alpha)))}_{b個}=f(\alpha)$$
    $$\underbrace{f^{\frac{1}{b}}(f^{\frac{1}{b}}(\cdots f^{\frac{1}{b}}(\alpha)))}_{b個}=\underbrace{f^{\frac{1}{b}}(f^{\frac{1}{b}}(\cdots f^{\frac{1}{b}}(\beta)))}_{b-1個}=f(\alpha)=\alpha$$
    $$\underbrace{f^{\frac{1}{b}}(f^{\frac{1}{b}}(\cdots f^{\frac{1}{b}}(\beta)))}_{b個}=f^{\frac{1}{b}}(\alpha)=\beta$$
    $$\underbrace{f^{\frac{1}{b}}(f^{\frac{1}{b}}(\cdots f^{\frac{1}{b}}(\beta)))}_{b個}=f(\beta)$$
    したがって、$f(\beta)=\beta$となるが、$f(x)=x$の唯一の解が$\alpha$であることに矛盾するため、$f^{\frac{1}{b}}(\alpha)=\alpha$が示された。
    よって、定理4を用いて、$f^{\frac{a}{b}}(\alpha)=f^a(f^{\frac{1}{b}}(\alpha))=f^a(\alpha)=\alpha$より、成り立つ。

唯一の解であることを証明に用いるのは$n\in\mathbb{Q}$の場合のみなので、同様の証明で以下の予想の$n\in\mathbb{Z}$の場合も成り立つことがわかります。多分。

予想 第ニ一般合成不動点定理(さらに適当な名前)

$f(x)=x$$m$個の解$\alpha_i(i=1,2,\cdots ,m)$を持つならば、全ての解について、
$$f^n(\alpha_i)=\alpha_i(n\in\mathbb{Q})$$

例として、$f(x)=a^{x}$について$f^n(x)(n=-2,-1,0,1,2)$のグラフを見てみましょう。

!FORMULA[157][425232429][0]のときのグラフ(赤が濃いほど!FORMULA[158][38042][0]が大きく青が濃いほど!FORMULA[159][38042][0]が小さい) $a=0.5$のときのグラフ(赤が濃いほど$n$が大きく青が濃いほど$n$が小さい)
!FORMULA[160][1422036310][0]のときのグラフ(赤が濃いほど!FORMULA[161][38042][0]が大きく青が濃いほど!FORMULA[162][38042][0]が小さい) $a=1.3\lt\sqrt[e]{e}$のときのグラフ(赤が濃いほど$n$が大きく青が濃いほど$n$が小さい)
!FORMULA[163][539350248][0]のときのグラフ(赤が濃いほど!FORMULA[164][38042][0]が大きく青が濃いほど!FORMULA[165][38042][0]が小さい) $a=\sqrt[e]{e}$のときのグラフ(赤が濃いほど$n$が大きく青が濃いほど$n$が小さい)

$n\in\mathbb{Z}$のとき、第二一般合成不動点定理が成り立っている様子がわかります。ちなみに、この場合の不動点は$\sqrt[x]{x}=a$より、ランベルトのW関数を用いて$x=\frac{W(-\log{a})}{-\log{a}}$と表されるので、$a$によって0~2つあることがわかります。

微分

高校数学で合成関数・逆関数の微分法を学んだと思いますが、同様の方法で反復合成写像、$n$回合成関数の微分を考えることができます。

定理6 $n$回合成関数の微分

$n\in\mathbb{Z}$について、$n\gt0$のとき、
$$\left\{f^n(x)\right\}'=\prod_{k=1}^{n}f'(f^{n-k}(x))=f'(f^{n-1}(x))f'(f^{n-2}(x))\cdots f'(x)$$
$n=0$のとき、
$$\left\{f^n(x)\right\}'=1$$
$n\lt0$のとき、
$$\left\{f^n(x)\right\}'=\frac{1}{\prod_{k=1}^{-n}f'(f^{n+k-1}(x))}=\frac{1}{f'(f^n(x))}\frac{1}{f'(f^{n+1}(x))}\cdots \frac{1}{f'(f^{-1}(x))}$$

$n\gt0$のとき、
合成関数の微分法$y=f(u),u=g(x)$のとき$\frac{dy}{dx}=\frac{dy}{du}\cdot\frac{du}{dx}$より、$n$回合成したときは、$y=f(u_1),u_1=f(u_2),\cdots u_{n-1}=f(x)$のとき$\frac{dy}{dx}=\frac{dy}{du_1}\frac{du_1}{du_2}\cdots\frac{du_{n-1}}{dx}$となる。
合成されるのは同じ関数$f(x)$なので、$\frac{dy}{du}\frac{du}{dx}=f'(f(x))f'(x)$と置き換えられ、同様に、
$$\frac{dy}{du_1}\frac{du_1}{du_2}\cdots\frac{du_{n-1}}{dx}=f'(f^{n-1}(x))f'(f^{n-2}(x))\cdots f'(x)$$
と置き換えられる。したがって、
$$\left\{f^n(x)\right\}'=\prod_{k=1}^{n}f'(f^{n-k}(x))=f'(f^{n-1}(x))f'(f^{n-2}(x))\cdots f'(x)$$
$n=0$のとき、
$f^n(x)=x$より、$\left\{f^n(x)\right\}'=1$
$n\lt0$のとき、
合成関数の微分法より、$n$回合成したときは、$y=f^{-1}(u_1),u_1=f^{-1}(u_2),\cdots u_{n-1}=f^{-1}(x)$のとき$\frac{dy}{dx}=\frac{dy}{du_1}\frac{du_1}{du_2}\cdots\frac{du_{n-1}}{dx}$となる。
合成されるのは同じ関数$f^{-1}(x)$なので、逆関数の微分法$y=f^{-1}(x),x=f(y)$のとき$\frac{dy}{dx}=\frac{1}{\frac{dx}{dy}}=\frac{1}{f'(f^{-1}(x))}$より、
$$\frac{dy}{du_1}\frac{du_1}{du_2}\cdots\frac{du_{n-1}}{dx}=\frac{1}{f'(f^{-1}(f^{n+1}(x)))}\frac{1}{f'(f^{-1}(f^{n+2}(x)))}\cdots \frac{1}{f'(f^{-1}(x))}$$
と置き換えられる。したがって、
$$\left\{f^n(x)\right\}'=\frac{1}{\prod_{k=1}^{-n}f'(f^{-1}(f^{n+k}(x)))}=\frac{1}{\prod_{k=1}^{-n}f'(f^{n+k-1}(x))}=\frac{1}{f'(f^n(x))}\frac{1}{f'(f^{n+1}(x))}\cdots \frac{1}{f'(f^{-1}(x))}$$



$y=x^8$$f(x)=x^2$の3回合成なので、
$$ y'=2(x^4)2(x^2)2x=8x^7$$
$y=2^{2^{x}}$$f(x)=\log_{2}{x}$の-2回合成なので、
$$ y'=\frac{1}{\frac{1}{2^{2^{x}}\log{2}}}\frac{1}{\frac{1}{2^{x}\log{2}}}=2^{2^x+x}\log[2]{x}$$
後書き

次回は単項式、一次関数といった簡単な代数関数について触れたいと思います。
次回:単項式と一次関数のn回合成関数【反復合成写像#2】

参考文献

投稿日:222
更新日:36
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