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大学数学基礎解説
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先行研究は全然調べてないのでオカシな言葉遣いをしているかもです

記号

  • エピ射をxy, モノ射をax, 強モノ射をa+xで表す.
  • ex の連結対象の節の注意の下に述べたような記号の濫用を行う.

仮定

記事を通して,圏Cは以下の条件をみたすとする:

仮定A: C
(A1) 有限完備,有限余完備
(A2) 広範圏
(A3) 余正則圏
(A4) well-powered
であるとする.

  • 位相空間と連続写像の圏Top
  • (単位的結合的)可換環と環準同型の圏CRingの反対圏(あるいはアフィンスキームの圏)CRingop
  • トポス

強部分対象のなす有界束

xCとする.
(イ) xの部分対象であって,強モノ射で表されるものをx強部分対象といい,その全体の集合をEbd(x)で表す.
(ロ) Ebd(x)の要素で,ドメインが連結であるもの全体をConn(x)で表す.

(ex, 定義2, 命題4)によりSumm(x)Ebd(x)である.

(イ) Topにおける強モノ射とは位相的埋め込みのこととである(なのでEbd(x)と書くことにした).よって位相空間Xに対し半順序集合としてEbd(X)2Xである.Conn(X)Xの連結部分空間全体である.
(ロ) CRingにおける強エピ射とは全射準同型のことである.可換環Rに対し,核をとる写像によりEbd(R)Rのイデアル全体の集合と1対1に対応する(逆写像はI[RR/I]).

任意のxCに対し,Ebd(x)は有界束である.さらにCが完備あるいは余完備であれば,Ebd(x)は完備束である.

任意のa,bEbd(x)をとる.
a,b(を表す射)の引き戻しがabの交わりabを与える.
余ペアリングa+bxの正則像が結びabを与える.実際,cEbd(x)a,bcをみたすとすると,仲介射の一意性から
(a+bc+x)=(a+bx)=(a+bab+x)
であるが,正則像であることからabcが従う.
最小限は0(ex, 命題4, 命題5参照),最大元はxである.
(ai)iIEbd(x)の(小さい)族とする.Cが完備であれば広い引き戻しがaiたちの交わりを与え,Cが余完備であれば余ペアリングaixの正則像が結びを与える.

(イ) Topにおいて,A,BEbd(X)の命題1の意味での交わり,結びは通常のそれと一致する.つまり,完備束としてEbd(X)2Xである.
(ロ) CRingopにおいて,例2の対応の元,イデアルI,JEbd(R)の交わりはI+J, 結びはIJに対応する.つまり,CRingにおいて
R/(I+J)R/IR/JR
が押し出しであり,R(R/I)(R/J)の核がIJである(は直積環).Ebd(R)の最小元0=R/RはイデアルRに対応し,最大元R=R/0はイデアル0に対応することに注意.

(イ) Ebd(x+y)Ebd(x)×Ebd(y)
(ロ) Conn(x+y)Conn(x)+Conn(y)

(イ) cEbd(x+y)に対し,強モノは引き戻しで保たれるから,入射x,y+x+yに沿った引き戻しはcxEbd(x), cyEbd(y)である.また広範条件からc=(cx)+(cy)である.
(1)cx+ccy+x+x+yy+
逆にaEbd(x), bEbd(y)が与えられたとき,(reg, 系3(ハ))(の双対)によりa+bEbd(x+y)が得られる.これらは互いに逆の写像を与える.
(ロ) cConn(x+y)のとき,(1)においてcx,cy=c,0 or 0,cである.

ΣEbd(x)を部分集合とする.任意のa,bΣに対し,ab=0であるときいつでもab=a+bが成り立つとき,ΣにおいてCRTが成り立つという.

(ロ) CRingopについては,Ebd(R)全体でCRTが成り立つ.イデアルI,JRに対し,”ab=0”はI+J=Rに対応し,”ab=a+b”はR/(IJ)=R/IR/Jに対応する.これは通常のCRTである.
(イ) Topについては,Ebd(X)全体でCRTが成り立つとは限らない.例えば,RにおいてA=(,0), B=[0,)は交わらないが,ABA+Bである(左辺=Rは連結,右辺は非連結なので).開集合系O(X)においてはCRTが成り立つ.

Summ(x)Ebd(x)においてCRTが成り立つ.

a,bSumm(x), ab=0とする.aaの割符(ex, 定義2)として引き戻し
0+bba+a+xa+
をとると,広範条件によりb=ba, すなわちbaである.よって命題2によりa+b+xであるから,その正則像であるaba+bに一致する.

順像と逆像

f:xyCの射とする.
(イ) aEbd(x)に対し,f[a]Ebd(y)を合成a+xfyの正則像として定める.
(ロ) bEbd(y)に対し,f[b]Ebd(x)fに沿ったb+yの引き戻しにより定める.

f:Ebd(x)Ebd(y), f:Ebd(y)Ebd(x)は関手であり,随伴ffが成り立つ.

a,bEbd(x), abとする.このとき可換四角形
af[a]bf[b]+y
を得るから,充填が存在してf[a]f[b]と分かる.fの関手性は引き戻しの普遍性により従う.
ffを示すため,任意のaEbd(x), bEbd(y)に対して
(2)f[a]baf[b]
を示す.
[] fの定義とf[a]bから可換四角形
af[a]+×bxfy
を得る.よって引き戻しf[b]の普遍性からaf[b]を得る.
[] af[b]のとき,
(af[a]+y)=(a+xfy)=(a+f[b]+xfy)=(a+f[b]b+y)
であるから,可換四角形
af[a]f[b]b+y
を得る.よって充填が存在して,f[a]bを得る.
以上で(2)が示された.

(イ) Topにおいて,f,fは通常の順像,逆像と一致する.
(ロ) CRingopの射fop:SR, イデアルIS, JRについて,fop,[J]f(J)S(生成するSのイデアル)に対応し,fop[I]はイデアルの(集合論的な)逆像f1(I)に対応する.

連結成分

xCとし,Ebd(x)が完備束であるとする.このとき空でない任意の部分集合ΣConn(x)に対し,Σのどの2元も交わる(交わりが0でない)ならば,Σは連結である.とくに,Conn(x)は(空でなければ)極大元を持つ.

任意のΣの直和因子uをとる.任意のpΣに対し,p=(pu)+(pu)であるから,pの連結性によりpuまたはpuが成り立つ.もしpu, quなる組p,qΣが存在すれば,余積が非交和であることからpquu=0を得,Σのとり方に矛盾する.よってすべてのpΣに対し(例えば)puであり,Σuを得る.従ってΣは非自明な直和因子を持たず,連結である.

Conn(x)の極大元をx連結成分という.

積の強部分対象

強モノ射i:a+x, j:b+yに対し,i×j:a×bx×yは強モノである.これによりaEbd(x), bEbd(y)に対しa×bEbd(x×y)が定まる.

強モノが合成と引き戻しで保たれることから,(reg, 系3(ハ))と同じ議論がうまくいく.

任意のa,bEbd(x)に対し,Ebd(x×x)において(a×x)(x×b)=a×bが成り立つ.

a×b+x×ba×x+x×x
が引き戻しを与えることが容易に示される.

Δ=Δx:xx×xを対角射とする.

任意のa,bEbd(x)に対し,ab=Δx[a×b]である.

Δは右随伴であったから,補題7により
Δ[a×b]=Δ[(a×x)(x×b)]=Δ[a×x]Δ[x×b]
である.よってΔ[a×x]=a, Δ[x×b]=bを示せばよい.前者のため引き戻し
Δ[a×x]a×xpr1axΔidx×xpr1x
を考えると,引き戻しが同型を保つことからΔ[a×x]=aを得る.後者についても同様である.

a,bEbd(x)に対し,ab:=Δx[(a×x)(x×b)]Ebd(x)と定める.

(イ) Topにおいて,
AB=Δ[(A×X)(X×B)]=Δ[A×X]Δ[X×B]=AB
である.
(ロ) CRingopにおいて,はイデアルの積に対応する.

開部分対象

仮定B: 各対象xCに対し,部分集合O(x)Ebd(x)が定まっていて,以下の条件をみたすとする.ただしO(x)の要素を開部分対象と呼び,aO(x)が表す射をabで表している:
(B1) Summ(x)O(x)である.
(B2) vO(x), uO(v)であれば,合成(uvx)O(x)である.
(B3) 任意のCの射f:xyuO(x)に対しf[u]O(x)である.
(B4) 任意の開部分対象を分類する,終対象を開部分対象として含む対象sが存在する; 任意のxC, uO(x)に対し,χu:xsがただ一つ存在して,
u1xχus
を引き戻しにする.
(B5) O(x)においてCRTが成り立つ.


  • グロタンディーク位相で定式化すべき?
  • 開集合っぽさのためにCRTを課してみたけど,今のところ使っていない.

  • Topにおいて,開集合系O(X)は仮定Bをみたす.(B4)のsはシェルピンスキー空間である.
  • すべてのxについてO(x)=Summ(x)を選ぶと,これは仮定Bをみたす((ex, 補題10, 命題7), 命題3).

xCが(O-)既約であるとは,任意のu,vO(x)に対し,u,v0であればいつでもuv0であることをいう.

Summ-既約性は連結性に一致する.実際,xが連結であればu0u=xを意味するから,uv=x0である.xが非連結であれば非自明なuSumm(x)が存在し,uu=0であるからSumm-既約でない.

O-既約対象は連結である.

xが非連結であるとき,非自明なuSumm(x)(O(x))が存在し,uu=0であるから既約でない.

f:xyがエピでxが既約であれば,yは既約である.とくに,(エピとは限らない)任意の射f:xyxの既約強部分対象aEbd(x)に対し,そのfによる順像f[a]は既約である.

(ex, 補題12)と同じ議論によりf:O(y)O(x)が単射であることが示せる.任意のu,vO(y)をとる.もしuv=0であれば,
0=f[uv]=f[u]f[v]
であるから,xの既約性によりf[u]=0またはf[v]=0である.よってfの単射性によりu=0またはv=0を得,yは既約であることが示された.

点的対象と素対象

(イ) C点的対象kとは,k0であり,Ebd(k)={0,k}であることをいう.
(ロ) C素対象pとは,ある点的対象からのエピ射が存在することをいう.

点的対象は素である.

idkがエピなので.

kEbd(x)について,kEbd(x){0}の極小元であるとき,またそのときに限りkは点的である.

明らか.

Ebd(x){0}の極小元を単にEbd(x)の極小元と略称する.

点的対象,素対象は既約である.

点的対象kについて,
{0,k}Summ(k)O(k)Ebd(k)={0,k}
なのでO(k)={0,k}である.このことからkが既約と分かる.よって命題10と素対象の定義により素対象も既約である.

kCを点的対象,f:xkを射とするとき,x=0またはfはエピである.

fの正則像分解ximf+kを考える.kは点的であるから,imf=0またはimf=kである.前者であれば,0は厳密ゆえx=0であり,後者であればfはエピである.

Spec(x):={pEbd(x)|pは素}{kEbd(x)|kは極小}=:Spm(x)

(イ) Topにおいて,点的対象および素対象とはシングルトンのことである.
(ロ) CRingopにおいて,点的対象は体,素対象は整域のことである.Spec(R)Rの素イデアル全体の集合,Spm(R)は極大イデアル全体の集合に対応する.

f:xyがエピで,xが素であればyも素である.とくに,任意の(エピとは限らない)射f:xyf:Spec(x)Spec(y)を導く.

点的対象kからのエピ射kxをとるとき,合成kxfyはエピである.

Spec(x+y)Spec(x)+Spec(y)である.

命題2(ロ)による.

平坦局所化

仮定C: すべてのxCに対し,Ebd(x)は極小元を持つとする.

xC局所対象であるとは,xがただ一つの極小元を持つことをいう.

pSpec(x)とする.xpにおける局所化とは,次をみたすxの部分対象φ:xpxのことをいう:
(イ) xpは局所対象である(唯一の極小元をk(p)とする).
(ロ) φ[k(p)]=pである.

φ:xyCの射とし,その基底変換関手をφ:C/yC/xとする(slice, 定義4参照).
(イ) φがエピを保つとき,φ平坦であるという.
(ロ) φが忠実関手であるとき,φ忠実であるという.

平坦性の条件は具体的には次のようになる.任意のg:byおよびβ:abに対し,引き戻し
x×yaφ[β]aβx×ybφ[g]bgxφy
において,βがエピならばいつでもφ[β]もエピである.忠実性は,(slice, 命題3,(ハ))により,φ[β]のエピ性がβのエピ性を含意することと同値である.

φi:xiy, i=1,2, が平坦であるとき,余ペアリング(φ1φ2):x1+x2yも平坦である.

任意の射zyとエピ射wzをとり,引き戻し
xi×yw(x1+x2)×ywwxi×yz(x1+x2)×yzzxiinj.φix1+x2(φ1φ2)y
を考える.φiの平坦性から1列目の射xi×ywxi×yzはエピである.よってそのi=1,2についての和
(x1×yw)+(x2×yw)(x1×yz)+(x2×yz)
もエピである.従って(ex, 命題9)により,2列目の射
(x1+x2)×yw(x1+x2)×yz
はエピである.

忠実性,平坦性は引き戻しで保たれる.

忠実性については(slice, 命題3, (ロ))による.平坦性については引き戻しの貼り合わせ原理による.

φ:xyを平坦モノ射とする.このとき任意のaEbd(x)に対し,正則像分解により得られる可換四角形
(3)aφ|aφ[a]xφy
は引き戻しを与える.つまり,φ[φ[a]]=aである.とくに,φ:Ebd(x)Ebd(y)およびその制限φ:Spec(x)Spec(y)は単射である.

b:=φ[a]とおく.(3)が可換であるから,引き戻しφ[b]の普遍性によりφ|a:abφb:φ[b]bを経由する:
aφ|a/×φ[b]φbbxφy
引き戻しはモノを保つのでφbはモノであるから,
aaφ|aφ[b]φbb
は引き戻しである.また補題17によりφbは平坦でもあるから,a+φ[b]はエピでもあり,同型である.

kを点的対象,m0とし, φ:mkが平坦モノ(かつエピ)であるとする.このときmは点的である.

aEbd(m), a0とする.命題14により合成a+mkはエピであり,
aamφk
は引き戻しであるから,a+mはエピであり,同型である.従ってmは自明な強部分対象しか持たず,点的である.

lSpec(x)とし, φ:xlxを平坦局所化とする.このとき
(4)φ:Spec(xl){pSpec(x)|lp}
は同型を与える.

qSpec(xl)に対し,仮定Cによりk(l)qであるから,l=φ[k(l)]φ[q]である.よってφSpec(xl){pSpec(x)|lp}に写す.
φが逆写像を与えることを示す.lpSpec(x)とし,点的対象kとエピ射kpをとる.命題18によりk(l)=φ[l]φ[p]であるからφ[p]0である.引き戻し
(5)k×xxlφ[p]+φpxlφkp+x
を考える.φが平坦ゆえk×xxlφ[p]はエピである.φ[p]0であったから,0からのエピ射が同型しかないことからk×xxl0である.補題17によりk×xxlkは平坦モノであるから,補題19によりk×xxlは点的であり,φ[p]Spec(xl)を得る.
(5)において,命題14によりk×xxlkはエピであるから,合成(k×xxlkp)も,従ってφpもエピである.これはφ[φ[p]]=pを示している.とくにφは全射である.命題18によりφは単射であるから,(4)が同型であることが示された.

φ:xyを忠実とする.このとき任意のbEbd(y)に対し,
b=φ[φ[b]]
である.とくに,φ:Ebd(x)Ebd(y)は全射である.

(slice, 命題3, (ロ))により,引き戻し
φ[b]bxφy
が正則像分解を与える.

φ:xyを忠実平坦モノ射とする.このときφは同型φ:Ebd(x)Ebd(y)およびφ:Spec(x)Spec(y)を導く.

命題18, 21により前者の同型がわかる.後者のため,φの制限が写像φ:Spec(y)Spec(x)を導くことを示す.そのため,任意のqSpec(y)と点的対象からのエピ射kqをとる.このとき引き戻し
x×ykkφ[q]qxφy
において,φの忠実性からx×ykkはエピであるからx×yk0である.またこの射は補題17により平坦モノであるから,補題19によりx×ykは点的である.φの平坦性によりx×ykφ[q]はエピであるから,φ[q]Spec(x)が示された.

考えていること

  • Ebd(x)はモジュラー束か?
  • (適当な完備性のもとで)xの連結成分すべての結びはxか?
  • Ebd(x),,は半環か?つまり,(ab)c=(ac)(bc)か?
  • CRingopにおいて,いい感じの開部分対象系Oが定まって,”RO-既約R/0が整域”が成り立つ?
  • 平坦局所化は存在すれば一意?
  • Top, CRingop以外の面白い例?

更新履歴

  • 2025/04/06: 平坦局所化の節を大幅に改編した.

参考文献

投稿日:3月3日
更新日:30日前
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  1. 記号
  2. 仮定
  3. 強部分対象のなす有界束
  4. 順像と逆像
  5. 連結成分
  6. 積の強部分対象
  7. 開部分対象
  8. 点的対象と素対象
  9. 平坦局所化
  10. 考えていること
  11. 更新履歴
  12. 参考文献