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NKSさんの級数について

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はじめに

 この記事ではNKSさんが予想した等式
n=0(2nn)224neπin3=eπi12(1627)14πΓ(23)Γ(56)
について簡単に解説していきます。

補題

 以下Kを楕円積分
K(k)=01dx(1x2)(1k2x2),K(k):=K(k)=K(1k2)
とし、θ2,θ3,θ4をテータ関数
θ2(τ)=n=q(n+12)2,θ3(τ)=n=qn2,θ4(τ)=n=(1)nqn2
とします(q=eπiτ)。

n=0(2nn)224nk2n=2πK(k)

 超幾何関数のオイラー積分表示などからわかる。

k=θ2(τ)2θ3(τ)2
とおいたとき
K=π2θ3(τ)2,k=k(1τ),τ=iKK
が成り立つ。

  この記事 で示した。

 τ=3において
k=624=sinπ12,K=314Γ(13)3273π
が成り立つ。

k3=624
については この記事
K(k3)=314Γ(13)3273π
については この記事 で示した。

K(k)=11+kK(2k1+k),K(1k)=(1+τ)kK(k)

 前者については 超幾何関数の変換公式 や算術幾何平均の性質
M(1+x,1x)=M((1+x)+(1x)2,(1x)(1+x))=M(1,1x2)=(1+x)M(1,1x1+x)=(1+x)M(1,14x(1+x)2)
からわかる。
 後者についてはテータ関数の変換公式より
θ3(ττ+1)2=i(11τ)θ3(11τ)2=i(1+1τ)θ4(1τ)2=iτi(1+1τ)θ2(τ)2=(1+τ)θ2(τ)2θ3(τ)2θ3(τ)2
同様に
θ2(ττ+1)2=(1+τ)θ3(τ)2
が成り立つことに注意するとわかる。

証明

n=0(2nn)224neπin3=eπi12314Γ(13)3243π2

K(eπi6)=11+eπi6K(2eπi121+eπi6)=eπi122cosπ12K(1cosπ12)=eπi122(113)K(k3)(k=k(1τ))=eπi123+i2K(k3)(K=iτK)=eπi12314Γ(13)3273π(eπi6=3+i2)
なので
n=0(2nn)224neπin3=2πK(eπi6)=eπi12314Γ(13)3243π2
を得る。

Γ関数の変形について

倍数公式

k=0n1Γ(z+kn)=(2π)n12nnz12Γ(nz)

 因数分解公式や フーリエ級数展開 からわかる。

314Γ(13)3243π2=(1627)14πΓ(23)Γ(56)

 倍数公式のz=1/3,n=2,3の場合を考えることで
Γ(13)Γ(56)=Γ(13)Γ(13+12)=2π22312Γ(23)Γ(13)Γ(23)=2π3112
がわかるので
Γ(13)3Γ(23)Γ(56)=213π(2π3)2
つまり
314Γ(13)3243π2=2334πΓ(23)Γ(56)
を得る。

投稿日:20231127
更新日:20231127
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投稿者

子葉
子葉
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主に複素解析、代数学、数論を学んでおります。 私の経験上、その証明が簡単に探しても見つからない、英語の文献を漁らないと載ってない、なんて定理の解説を主にやっていきます。 同じ経験をしている人の助けになれば。最近は自分用のノートになっている節があります。

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