この記事では
前回の記事
に引き続き楕円積分の特殊値
前回までの記事では
という級数を考えることで
ラマヌジャンの不変量
や
楕円積分の特殊値
を求めてきましたが、今回は
という級数を考えていきます。
前の記事
では「指標と表現可能性」の項から判別式が
判別式
二次形式の記事
の定理4より
が成り立つ。このとき
が成り立つので
つまり
を得る。
とおく。このとき
を考えると
を誘導する。特に
また
が成り立つ。よって中国剰余定理よりある
が成り立つ、つまり
以上より
前の記事
と同様にして
がわかります。そしてこのことから次の命題が得られます。
そのような
これの最たる例は
(追記)第二種便利数は現在
の
第二種便利数
となるような整数
となる。ただし符号は
という一対一対応があることに注意すると
前の記事
の定理11と同様にして、
を得る。
ちなみに上で挙げた第二種便利数のうち平方因子を持つものは
上での議論より冒頭で挙げた級数は次のように分解できます。
定理4の条件下で
が成り立つ。ただし
とした。
また上の分解は
と簡約化することができます。
特に
が成り立ちます。
いま
前回の記事
での議論より
と表せるのでクロネッカーの極限公式を考えることにより以下の公式が得られます。
クロネッカーの極限公式より
とわかる。
そして類数公式より
特に
が成り立つので次のように
定理4の条件下で
が成り立つ。
これはクロネッカー記号の相互法則(
この記事
の定理12)より
が成り立つことや類数公式から
とおくことで以下のように書き直せます。
さらに
となり、またガンマ関数の倍数公式より
が成り立つので以下のように整理できます。
例えば
と計算できます。
いま楕円積分の特殊値
と表せましたが、さらに
この記事
の定理2
を使うと
と楕円積分の特殊値を求めることができます。
例えば
と計算できます。痛快。