この記事では素数公式
から素数定理
を導出していきます。
リーマン予想の記事
の「リーマンの夢」の項でも触れたように素数定理はゼータ関数が
を用いると素数公式は
と即座に導かれます。しかしこの証明だと
が条件収束だったために厳密性を欠いているのでした。
またこのような解析的な議論においてはチェビシェフ関数の素数公式
を考えた方が扱いやすいのでした。ただこれもまた条件収束なので正確にはこれを積分した素数公式
を考えることになります。
この素数公式は
が正当化されます。
あとはこの漸近公式
から素数公式
が導かれることとなります。
ゼータ関数
ある実数
このとき
と表せることに注意すると
が成り立つ。
また
から
に矛盾。よって主張を得る。
とおいたとき
が成り立つ。
素数公式の記事
で示した式
を積分することで
が成り立つ。
また同記事で示した部分分数展開公式
を
がわかるのでこれを
に注意して逆メリン変換することで
を得る。
ちなみに
と表せる。
が成り立つ。
任意の
が成り立つので任意に
と評価できる。
また
が成り立つのでこれを
を得る。
したがって
が成り立ち、また
を得る。
この記事
の命題6として示したように
が成り立つことからわかる。
ちなみに一般的な証明では
の右辺が
が収束することがわかり、そのことから
そのためには次のような補題が必要となります(この記事では証明しません)。
と定められる関数
が成り立つ。
単調増加関数
が収束するとき、
ちなみに今回の記事における定理4の証明から一般に次のような事実が成り立つことがわかります。
単調増加関数
が成り立つとき、
似ているような似て非なるような...。