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大学数学基礎解説
文献あり

位相群の距離化定理

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単位元の近傍

Gを群とする.G上の位相τに関して写像
μ:G×GG; (x,y)x1y
が連続であるとき,(G,τ)位相群という.

(G,τ)を位相群としH<Gを部分群とすると,Hは相対位相τ|Hに関して位相群をなす.

(G,τ),(G,τ)を位相群とする.連続写像f:(G,τ)(G,τ)であってf:GGが群準同型であるものを,位相群の間の準同型という.

以下,“位相群G”,“準同型f:GG”などと略記する.

Gが位相群であるとき
x(x,e)x1e=x1
は連続なので,
(x,y)(x1,y)(x1)1y=xy
も連続である.

対称開近傍

Gを位相群としaGとする.このとき次が成り立つ:

  1. Uτ(e,G)aU,Uaτ(a,G);
  2. 任意のUτ(e,G)に対して,Vτ(e,G)であってV1VUなるものが存在する;
  3. 単位元の対称開近傍全体のなす集合,すなわちσ(e):={Sτ(e,G)S1=S}eGの基本近傍系をなす;
  4. 任意の正整数nZ>0Uτ(e,G)に対して,対称開近傍Sσ(e)であってSnUなるものが存在する;
  5. 任意のUτ(e,G)に対して,Vτ(e,G)であってaVa1Uなるものが存在する.
  1. 左移動
    La:GG; xax,
    および右移動
    Ra:GG; xxa
    がともに同相写像であることからしたがう.
  2. 写像
    μ:G×GG; (x,y)x1y
    (e,e)G×Gにおける連続性からしたがう.
  3. Uτ(e,G)とする.このとき,写像
    GG; xx1
    eGにおける連続性より,Vτ(e,G)であってV1Uなるものが存在する.そこでS:=VV1τ(e,G)とおくとS1=SであってSUが成り立つ.
  4. nZ>0に関する数学的帰納法で示す.
    1. 任意のUτ(e,G)に対して,(3) より,対称開近傍Sσ(e)であってSUなるものが存在する.
    2. Uτ(e,G)とする.(2),(3) より,対称開近傍Sσ(e)であってSSUなるものが存在する.このSτ(e,G)に対して,数学的帰納法の仮定より,対称開近傍Sσ(e)であってSnSなるものが存在するので,
      Sn+1=SnSSnSnSSU
      が成り立つ.
  5. (同相)写像
    GG; xaxa1
    eGにおける連続性よりしたがう.

Gを位相群としAGとする.このとき
Cl(A)={AUUτ(e,G)}={UAUτ(e,G)}
が成り立つ.

  1. xCl(A)とし,Uτ(e,G)とする.補題1より,対称開近傍Sσ(e)であってSUなるものが存在する.いま
    xSA
    よりsS,aAであってxs=aなるものが存在するので,
    x=as1AS1=ASAU
    が成り立つ.よって
    x{AUUτ(e,G)}
    が成り立つ.同様に
    x{UAUτ(e,G)}
    も成り立つ.
  2. xCl(A)とする.このときUτ(x,G)であって
    UA=
    となるものが存在する.そこでU:=x1Uτ(e,G)とおき,対称開近傍Sσ(e)であってSUなるものを取ると,
    xSAxUA=UA=
    より
    xAS1=ASAU
    となるので,
    x{AUUτ(e,G)}
    が成り立つ.同様に
    x{UAUτ(e,G)}
    も成り立つ.

附:単位元の局所基底

[3] 1.15

Gを群とし,L(e)Filter0(G)G上のフィルター基とする.このとき

  1. L(e)e;
  2. UL(e), aU, VL(e), VaU;
  3. UL(e), VL(e), V1VU;
  4. UL(e), aG, VL(e), aVa1U;

が成り立つならば,
L:GFilter0(G); a{UaUL(e)}
G上の局所基底族であり,(G,τν(L))は位相群である.

LG上の局所基底族であること

Lがフィルター基族であることは明らか.

  1. 任意のaGに対して,L(a)aが成り立つ.
  2. aG,UaL(a)とする.このとき
    UaIntL(Ua):={xGVL(e), VxUa}
    が成り立つことを示せばよい.ところで,xUaとすると,xa1UL(e)に対して,(2)より,VL(e)であって
    Vxa1U,
    すなわち
    VxUa
    を満たすものが存在する.

よってLG上の局所基底族であるから,(G,τν(L))は位相空間であり,
B:=aG{UaUL(e)}
(G,τν(L))の開基である(cf. [6]命題13周辺).

(G,τν(L))が位相群であること

写像
μ:G×GG; (x,y)x1y
が連続であることを示せばよい.そこでUaBとし,(x,y)μ(Ua)とする.このとき,

  • (2)より,VL(e), Vx1ya1U;
  • (4)より,WL(e), x1WxV;
  • (3)より,OL(e), O1OW;

となる.よって
x1yx1O1Oyx1Wy=x1Wxx1yVx1yUa,
すなわち
(x,y)Ox×Oyμ(Ua)
が成り立つ.

等高線様開被覆の構成

以下の構成は [3]1.17 に拠る.(定理1および定理3の証明で必要になる.ここを越えればあとは割と straightforward である.)

Gを位相群とし,その単位元eGの開近傍列(On)nNが与えられたとする.

対称開近傍列(Un)nNであって
Un+1Un+1UnOn
を満たすものが存在する.

  1. O0τ(e,G)に対して,補題1より,U0σ(e)であってU0O0なるものが存在する.
  2. (Ui)i[n]まで定まったとする.このときUnOnτ(e,G)に対して,補題1より,Un+1σ(e)であって
    Un+1Un+1UnOn
    を満たすものが存在する.

Un+1=Un+1eUn+1Un+1UnOnUn
より,(Un)nNは減少列である.

nN=Z0に対して
Dn:={r[0,1]2nrN}
とおき,D:=nDnとおく.

上で定めた対称開近傍列(Un)nNに対して,eGの開近傍族(G(r))rDを次のようにして定める:

  1. G(0)=G(1):=U0とおく.
  2. (G(r))rDnまで定まったとする.まづ
    G(12n+1):=Un+1
    とおき,(2i+1)2(n+1)Dn+1Dn,i{1,,2n1},に対しては
    G(2i+12n+1):=G(i2n)G(12n+1)
    とおく.

任意のnN1に対して次が成り立つ:
G(i2n)G(12n)G(i+12n), i{1,,2n1}.

  1. n=1のとき,
    G(12)G(12)=U1U1U0=G(1)
    が成り立つ.
  2. i{1,,2n+11}とする.
  1. i=2j,j>0,のとき,
    G(i2n+1)G(12n+1)=G(2j2n+1)G(12n+1)=G(j2n)G(12n+1)=G(2j+12n+1)=G(i+12n+1)
    が成り立つ.
  2. i=2j+1,j0,のとき,
    G(i2n+1)G(12n+1)=G(2j+12n+1)G(12n+1)=G(j2n)G(12n+1)G(12n+1)=G(j2n)Un+1Un+1G(j2n)Un=G(j2n)G(12n)G(j+12n)=G(i+12n+1)
    が成り立つ.

開集合族(G(r))rDについて,
0<r<sG(r)G(s)
が成り立つ.とくに任意のrDに対して
G(r)G(1)=U0
が成り立つ.

  1. r,sD1のとき,
    G(r)=G(21)=U1U0=G(1)=G(s)
    が成り立つ.
  2. r,sDn+1とする.
    1. r,sDnのとき,G(r)G(s)が成り立つ.
    2. rDn,sDnのとき,r=(2i+1)2(n+1)とおくと,
      r+12n+1=i+12ns
      であるから,補題4より,
      G(r)=G(i2n)Un+1G(i2n)UnG(i+12n)G(s)
      が成り立つ.
    3. rDn,sDnのとき,s=(2j+1)2(n+1)とおくと,
      rs12n+1=j2n
      であるから,
      G(r)G(j2n)G(j2n)Un+1=G(s)
      が成り立つ.
    4. r,sDnのとき,r=(2i+1)2(n+1),s=(2j+1)2(n+1)とおくと,i<jより
      G(r)=G(i2n)Un+1G(j2n)Un+1=G(s)
      が成り立つ.

改めて
G(0):=, G(1):=G
とおく.

開集合族(G(r))rDについて,
r<sCl(G(r))G(s)
が成り立つ.

0<rとしてよい.nN1であってr,sDnなるものを取ると,
12nr<2ns2n
であるから,補題2と前段より,
Cl(G(r))G(r)Un=G(2nr2n)G(12n)G(2nr+12n)G(2ns2n)=G(s)
が成り立つ.

こうして得られたGの開被覆(G(r))rDを,対称開近傍列(Un)nNから定まる等高線様開被覆という(ことにする).(cf. [7]

nNとする.このとき任意のrDに対して
G(r)G(12n)G(r+12n2)
が成り立つ.ただし,s>1に対してはG(s):=Gとおく.

r+2(n2)<1としてよい.

  1. rDnのとき,補題4補題6より,
    G(r)G(12n)G(r+12n)G(r+12n2)
    が成り立つ.
  2. m>nとしrDmDnとする.このとき2n1rNより
    2n1r2n1<r<2n1r+12n1
    であるから,
    r:=2n1r2n1+12n1
    とおくと
    0<r<r<r+12n1<r+12n2<1
    が成り立つ.よってrDn1であるから,補題6より,
    G(r)G(12n)G(r)G(12(n1)+1)=G(r+12n)G(r+12n1+12n)G(r+12n2)
    が成り立つ.

位相群と分離公理

Hausdorff性

Gを位相群とする.このとき次は同値である:

  1. GT0空間である;
  2. GT1空間である;
  3. GT2空間である.

(iii)(ii)(i) であるから,(i)(iii)を示せばよい.そこでx,yG,xy,とする.このとき,xy1eであり,もしUτ(e,G)であってUxy1U=なるものが存在すれば,
UxUy=
となるので,初めからy=eとしてよい.

仮定より,Oτ(G)であって
[eO, xO][eO, xO]
を満たすものが存在する.後者の場合,O:=xO1τ(G)とおくと
e=xx1O, x=xe1O
となるので,いづれにしろ開集合Uτ(G)であって
eU, xU
なるものが存在する.このUτ(e,G)に対して,補題1より,対称開近傍Vσ(e)であってVVUを満たすものが存在する.このとき
VxV=
が成り立つ.実際,VxVとすると,y,zVであってyx=zなるものが存在するが,このとき
x=y1zV1V=VVU
となり不合理である.

正則性

位相群は正則空間である.

Gを位相群とし,aG,Uτ(a,G)とする.このときUa1τ(e,G)であり,Vτ(e,G)であって
Cl(V)Ua1
なるものが存在したとすると,Vaτ(a,G)に対して
Cl(Va)=Cl(V)aU
が成り立つので,初めからa=eとしてよい.

さて,Uτ(e,G)に対して,補題1より,Vσ(e)であって
VVU
を満たすものが存在する.したがって補題2より
Cl(V)VVU
が成り立つ.

完全正則性

[3] 1.18

位相群は完全正則空間である.

Gを位相群とし,aG,Uτ(a,G)とする.もし連続写像f:G[0,1]であって
f(e)=0, f(GUa1){1}
を満たすものが存在すれば,連続写像fa:=fRa1:G[0,1]に対して
fa(a)=0, fa(GU){1}
が成り立つので,初めからa=eとしてよい.

単位元の開近傍列(On)nN:=(U)nNから定まる対称開近傍列(Un)nNを取る.このとき(Un)nNから定まる等高線様開被覆(G(r))rDに対して,連続写像
f:G[0,1]; xinf{rDxG(r)}
が定まる(cf. [7]補題2).

  1. enUn=nG(2n)より
    0f(e)12n0 (n)
    となるので,f(e)=0が成り立つ.
  2. 任意のrD,r<1,に対してG(r)U0Uが成り立つのだった.よってxGUのとき,
    {rDxG(r)}={1}
    より,f(x)=1が成り立つ.

T0位相群はTychonoff空間である.

位相群のKolmogorov商

Gを位相群とする.このとき次が成り立つ:

  1. H<GCl(H)<G;
  2. NGCl(N)G.
  1. H<Gとする.連続写像
    μ:G×GG; (x,y)x1y
    についてμ(H×H)Hが成り立つので,
    μ(Cl(H)×Cl(H))=μ(Cl(H×H))Cl(μ(H×H))Cl(H)
    が成り立つ.よってCl(H)<Gである.
  2. NGとする.このとき,前段よりCl(N)<Gである.また,任意のaGに対して
    aCl(N)a1=Cl(aNa1)=Cl(N)
    が成り立つ.よってCl(N)Gである.

Gを位相群としNGを正規部分群とする.このとき,剰余群G/Nは商位相に関して位相群となる.

π:GG/Nを射影とする.任意の開集合Uτ(G)に対して,
π(π(U))=UN=nNUnτ(G)
より,π(U)τ(G/N)が成り立つので,πは開写像である.よって,全射開写像π×πは等化写像であるから,
(π×π)(x,y)=(π×π)(x,y)πμ(x,y)=πμ(x,y)
が成り立つことと合わせて,連続写像μ¯:(G/N)×(G/N)G/Nであってπμ=μ¯(π×π)を満たすものがただ一つ存在することがわかる:
G×Gμπ×πGπ(G/N)×(G/N)μ¯G/N

ところで
μ¯(π(x),π(y))=π(x1y)=π(x)1π(y)
であるから,G/Nは位相群である.

Gを位相群としNGを正規部分群とする.このとき次は同値である:

  1. G/NはHausdorff空間である;
  2. NGは閉集合である.

π:GG/Nを射影とする.このとき,単集合{π(e)}G/Nについて
N=π({π(e)})G
が成り立つ.

(i)(ii)

{π(e)}G/Nは閉集合なので,NGは閉集合である.

(ii)(i)

NGが閉集合なので,{π(e)}G/Nは閉集合である.ところでπ(e)G/Nは単位元であったから,G/NT1空間である.よって命題2より,G/NはHausdorff空間である.

位相群Gに対して,そのKolmogorov商Kol(G)はTychonoff位相群である.

剰余群G/Cl({e})はHausdorff位相群,したがってTychonoff空間であるから,あとは
Kol(G)=G/Cl({e})
が成り立つことを示せばよい.ところで
Cl({x})=Cl({y})Cl({e})=x1yCl({e})x1yCl({e})
が成り立つので,結論を得る.

Gを位相群,GT0位相群とし,f:GGを準同型とする.このとき,準同型f¯:Kol(G)Gであってf¯q=fを満たすものがただ一つ存在する:
GqfGKol(G)f¯

[8]定理36より,連続写像f¯:Kol(G)Gであってf¯q=fを満たすものがただ一つ存在する.いまq,fは群準同型なので,f¯も群準同型である.

位相群の距離づけ可能性

Gを位相群としd:G×GRG上の距離函数とする.任意のaGに対して
d(ax,ay)=d(x,y)
が成り立つとき,d左不変な距離(函数)という.右不変な距離についても同様に定める.

d:G×GRを左不変な距離函数とする.

  • 写像d:G×GR
    d(x,y):=d(x1,y1)
    で定めると,これはG上の距離函数であり,
    d(xa,ya)=d(a1x1,a1y1)=d(x1,y1)=d(x,y)
    より右不変である.
  • dが右不変でもあれば
    d(x,y)=d(x1xy1,x1yy1)=d(y1,x1)=d(x1,y1)
    が成り立つ.
Birkhoff–Kakutani ( [3] 1.22 )

Gを位相群とする.このとき次は同値である:

  1. Gは第一可算T0空間である;
  2. GT0空間であって,eGは可算局所開基を持つ;
  3. G距離化可能である,すなわちG上の(左不変(resp. 右不変)な)距離函数dであってτ(d)=τ(G)を満たすものが存在する.

(ii)(iii) のみ示せばよい.

Step. 0

{OnnN}τ(e,G)を可算局所開基とする.補題2命題2より,
nNOn=τ(e,G)={{e}UUτ(e,G)}=Cl({e})={e}
が成り立つことに注意する.

Step. 1

(On)nNから定まる対称開近傍列(Un)nNを取る.任意のnNに対して
Un+1Un+1Un+1UnOnOn
が成り立つので,{Unτ(e,G)nN}eGの局所開基であり,
{e}nNUnnNOn={e}
が成り立つ.

Step. 2

(Un)nNから定まる等高線様開被覆(G(r))rDに対して,連続写像
f:G[0,1]; xinf{rDxG(r)}
が定まる(cf. [7]補題2).また,[7]補題1より
{xGf(x)=0}={G(r)rD, 0<r}=nNUn={e}
が成り立つ.

Step. 3

写像d:G×GR
d(x,y):=supaG|f(ax)f(ay)|
で定める.

  1. d(x,x)=0が成り立つ.
  2. d(x,y)=0とすると,f(e)=0より
    |f(y1x)|=|f(y1x)f(y1y)|d(x,y)=0
    であるから,f(y1x)=0,したがってx=yが成り立つ.
  3. 明らかにd(x,y)=d(y,x)が成り立つ.
  4. x,y,zGとする.このとき,任意のaGに対して
    |f(ax)f(az)||f(ax)f(ay)|+|f(ay)f(az)|d(x,y)+d(y,z)
    が成り立つので,
    d(x,z)d(x,y)+d(y,z)
    を得る.
  5. 任意のaGに対して,
    d(ax,ay)=supaG|f(aax)f(aay)|=supbG|f(bx)f(by)|=d(x,y)
    が成り立つ.

よってdG上の左不変な距離函数である.

Step. 4-1

(a,ε)G×R>0に対して
B(a;ε):={xGd(x,a)<ε}
とおく.

任意のnNに対して
Un+3B(e;2n)
が成り立つことを示す.そこでxUn+3=G(2(n+3))とし,aGとする.

  1. 補題7より,
    aG(r)axG(r)G(12n+3)G(r+12n+1)f(ax)r+12n+1
    が成り立つので,
    f(ax)12n+1inf{rDaG(r)}=f(a)
    となる.
  2. 同様に,補題7より,
    axG(r)a=(ax)x1G(r)Un+31=G(r)Un+3G(r+12n+1)f(a)r+12n+1
    が成り立つので,
    f(a)12n+1inf{rDaxG(r)}=f(ax)
    となる.

以上より
d(x,e)=supaG|f(ax)f(a)|12n+1<12n
が成り立つ.

Step. 4-2

任意のε>0に対して,n(ε)Nであって
Un(ε)B(e;ε)
を満たすものが存在する.実際,ε>0とすると,nNであって2n<εなるものが存在するので,
n(ε):=min{nN2n<ε}+3N
が定まり,前段より
Un(ε)B(e;2(n(ε)3))B(e;ε)
が成り立つ.

Step. 5

距離位相τ(d){B(a;ε)(a,ε)G×R>0}を基底として生成される位相であった.

  1. Uτ(G)とし,aUとする.このときa1Uτ(e,G)より,nNであってUna1Uなるものが存在する.まづ
    B(e;2n)Un
    が成り立つことを示す.そこでxB(e;2n)とすると,
    f(x)=|f(ex)f(ee)|d(x,e)<12n
    よりrDであってr<2n,xG(r)なるものが存在するので,
    xG(r)G(2n)=Un
    が成り立つ.したがって,dの左不変性より,
    B(a;2n)={xGd(x,a)<2n}={xGd(a1x,e)<2n}={axGd(x,e)<2n}=aB(e;2n)aUnU
    が成り立つ.よってUτ(d)が成り立つ.
  2. 前段で見たようにB(a;s)=aB(e;s)であるから,τ(d)τ(G)を示すには,任意のs>0に対してB(e;s)τ(G)が成り立つことを示せばよい.そこでxB(e;s)とする.このとき,Uτ(G)であってxUB(e;s)なるものが存在することを示せばよい.
    1. x=eのとき,
      xUn(s)B(e;s)
      が成り立つ.
    2. xeのとき,
      ε:=min{d(x,e),sd(x,e)}>0
      とおくと,
      xxUn(ε)xB(e;ε)=B(x;ε)B(e;s)
      が成り立つ.
  • Un+3B(e;2n)Unが成り立つ.
  • GT0性は
    d(x,y)=0x=y
    を示すところでしか使っていない.

第一可算空間の開連続像はまた第一可算であるから,距離化可能位相群の閉正規部分群による剰余群もまた距離化可能である.より詳しく次が成り立つ:

Gを距離化可能位相群,NGを閉正規部分群とし,π:GG/Nを射影とする.このとき,dG上の左不変な距離であってτ(d)=τ(G)なるものとすると,
d¯:(G/N)×(G/N)R; (π(x),π(y))dist(Nx,Ny)
G/N上の左不変な距離であり,τ(d¯)=τ(G/N)が成り立つ.

Step. 1

まづ,dの左不変性より
d¯(π(x),π(y))=inf{d(nx,my)n,mN}=inf{d(x,ny)nN}=d(x,Ny)
と書けることに注意する.

  1. 明らかにd¯(π(x),π(x))=0が成り立つ.
  2. d¯(π(x),π(y))=d(x,Ny)=0とすると,NyGが閉集合であることから,
    xNy=yN
    を得るので,π(x)=π(y)が成り立つ.
  3. 明らかにd¯(π(x),π(y))=d¯(π(y),π(x))が成り立つ.
  4. x,y,zGとする.このとき,任意のnNに対して
    |d¯(π(x),π(z))d¯(π(y),π(z))|=|d(x,Nz)d(ny,Nz)|d(x,ny)
    が成り立つので,
    |d¯(π(x),π(z))d¯(π(y),π(z))|d(x,Ny)=d¯(π(x),π(y)),
    したがって
    d¯(π(x),π(z))d¯(π(x),π(y))+d¯(π(y),π(z))
    が成り立つ.
  5. x,yGとする.このとき,任意のaGに対して
    d¯(π(a)π(x),π(a)π(y))=d¯(π(ax),π(ay))=d(ax,Nay)=d(ax,aNy)=d(x,Ny)=d¯(π(x),π(y))
    が成り立つ.

よってd¯G/N上の左不変な距離函数である.

Step. 2

任意のε>0に対して
π(Bd(e;ε))=Bd¯(π(e);ε)
が成り立つことを示す.

  1. xBd(e;ε)とすると
    d¯(π(x),π(e))=d(x,Ne)d(x,e)<ε
    が成り立つ.
  2. π(x)Bd¯(π(e);ε)とする.このときd(x,N)<εより,nNであって
    d(n1x,e)=d(x,n)<ε
    を満たすものが存在する.したがって,
    n1xBd(e;ε)Nx=Bd(e;ε)xN
    より,nNであって
    xn=n1xBd(e;ε)
    を満たすものが存在する.よって
    π(x)=π(xn)π(Bd(e;ε))
    が成り立つ.

Step. 3-1

任意のε>0に対して,
Bd(e;ε)τ(d)=τ(G)
より
Bd¯(π(e);ε)=π(Bd(e;ε))τ(G/N)
が成り立つ.よってτ(d¯)τ(G/N)が成り立つ.

Step. 3-2

Vτ(G/N)とし,π(a)Vとする.このとき
eπ(π(a)1V)τ(G)=τ(d)
より,ε>0であって
Bd(e;ε)π(π(a)1V)
を満たすものが存在する.したがって,
Bd¯(π(e);ε)=π(Bd(e;ε))π(a)1V
より,
Bd¯(π(a);ε)=π(a)Bd¯(π(e);ε)V
が成り立つ.よってVτ(d)が成り立つ.

参考文献

投稿日:2024112
更新日:20241111
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うすい
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位相空間論に興味があります.

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  5. 位相群と分離公理
  6. Hausdorff性
  7. 正則性
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  9. 位相群のKolmogorov商
  10. 位相群の距離づけ可能性
  11. 参考文献