前回の記事 [
9
] では,モノイダル圏とに対して,lax モノイダル関手が-圏から-圏を自然に定めることを確認した.
この記事では,モノイダル圏に対して,からへの自然な lax モノイダル関手を与えることで,-圏の「underlying category」とよばれる圏を定義する.
導入
素朴集合論の基礎 (集合と写像,空集合など) に親しみがあり,圏の定義を知っていることを仮定する.
第2回 (前半) の記事 [
6
] からは,定義 3,定義 4,命題 1,命題 2,定義 5,定義 7,定義 8,定義 12 を用いており,これらを定義 2.a.3,定義 2.a.4,命題 2.a.1,命題 2.a.2,定義 2.a.5,定義 2.a.7,定義 2.a.8,定義 2.a.12 で表している.
第2回 (後半) の記事 [
7
] からは,命題 1,定義 1,定義 2,定義 3,定義 4,命題 2,定義 9 を用いており,これらを命題 2.b.1,定義 2.b.1,定義 2.b.2,定義 2.b.3,定義 2.b.4,命題 2.b.2,定義 2.b.9 で表している.
第3回の記事 [
7
] からは,命題 2,命題 3,定義 1,定義 2 を用いており,これらを命題 3.2,命題 3.3,定義 3.1,定義 3.2 で表している.
第4回 (前半) の記事 [
8
] からは定義 1,命題 1,定義 2 を用いており,これらを定義 4.a.1,命題 4.a.1,定義 4.a.2 で表している.
-圏の underlying category について (続き)
Lax モノイダル関手の性質
まず,をモノイダル圏とする.
定義 2.a.3 よりの恒等関手が定まる.
定義 2.a.5 より関手が定まり,各に対して
であり,での各射に対してだから,である.
のテンソル積 (定義 2.a.12) に対して,命題 2.a.1 よりかつだから,定義 2.a.7 よりからへの自然変換が定まる.
だから,からへのでの射が定まる.
このとき,以下が成り立つ:
での任意の射とに対して,
であり,任意のに対して,
であり,任意のに対して,
であり,任意のに対して,
である.
ゆえに,命題 1 よりはからへのモノイダル関手である.
をで表し,の恒等 lax モノイダル関手 (identity lax monoidal functor) という.
次に,とを lax モノイダル関手とする.
はからへの関手であり,はからへの関手だから,定義 2.a.4 よりとの合成が定まる.
はからへの自然変換であり,はからへの関手だから,定義 2.b.9, (1) よりからへの自然変換が定まる.
はからへの自然変換であり,はからへの関手だから,定義 2.a.5 より関手が定まり,定義 2.b.9, (2) よりからへの自然変換が定まる.
各に対して
であり,での各射に対して
だから,であり,命題 2.a.2 よりであり,であり,だから,定義 2.a.8 よりとの垂直合成がからへの自然変換として定まる.
これをで表す:
はからへのでの射であり,はからへの関手だから,はからへのでの射である.
はからへのでの射である.
ゆえに,との合成がからへの写像として定まる.
これをで表す:
に対して,
である.
での射とを任意に取る.
はからへの lax モノイダル関手だから,定義 4.a.1 よりはからへの関手であり,
であり,
である.また,命題 4.a.1, (1) より
である.
一方で,はからへの lax モノイダル関手だから,命題 4.a.1, (1) より
である.
ゆえに,
である.
を任意に取る.
は関手だから,
である.
はからへの lax モノイダル関手だから,定義 4.a.1 よりはからへの関手であり,かつ
かつ
かつかつかつである.また,命題 4.a.1, (1) より
かつ
であり,命題 4.a.1, (2) より
である.
一方で,はからへの lax モノイダル関手だから,命題 4.a.1, (2) より
である.
ゆえに,
である.
を任意に取る.
はからへの関手だから,
である.
はからへの lax モノイダル関手だから,定義 4.a.1 よりはからへの関手であり,かつ
かつである.また,命題 4.a.1, (1) より
であり,命題 4.a.1, (3) より
である.
一方で,はからへの lax モノイダル関手だから,命題 4.a.1, (3) より
である.
ゆえに,
である.
を任意に取る.
はからへの関手だから,
である.
はからへの lax モノイダル関手だから,定義 4.a.1 よりはからへの関手であり,かつ
かつである.また,命題 4.a.1, (1) より
であり,命題 4.a.1, (4) より
である.
一方で,はからへの lax モノイダル関手だから,命題 4.a.1, (4) より
である.
ゆえに,
である.
ゆえに,命題 1 よりはからへのモノイダル関手である.
をで表し,との (lax モノイダル関手としての) 合成 (composition) という.
Lax モノイダル関手に対して,lax モノイダル関手としてが成り立つ.
である.
各に対して,命題 2 の証明で述べたように,
であり,
だから,であり,である.
また,はからへの lax モノイダル関手だから,定義 4.a.1 よりはからへの関手であり,であり,である.
ゆえに,
である.
各に対して,命題 2 の証明で述べたように,
であり,
だから,であり,である.
Lax モノイダル関手ととに対して,lax モノイダル関手としてが成り立つ.
を取る.命題 2 の証明で述べたように,
かつかつ
である.
また,がからへの lax モノイダル関手であることから,定義 4.a.1 よりはからへの関手であり,
である.
ゆえに,
であり,である.
また,がからへの lax モノイダル関手であることから,定義 4.a.1 よりはからへの関手であり,であり,
である.
従って,
である.
豊穣圏の性質
命題 1 よりであることに注意する.
定義 4.a.2, (1) よりであり,各に対して,
であり,各に対して,
であり,各に対して,
である.ゆえに,である.
Lax モノイダル関手とと-圏に対して,が成り立つ.
命題 2 よりであることに注意する.
である.
及び
と定める.
各に対して,
である.
を取る.
命題 2 の証明で述べたように,
である.
また,はからへの lax モノイダル関手だから,定義 4.a.1 よりはからへの関手であり,
である.
ゆえに,
である.
を取る.はからへの lax モノイダル関手だから,定義 4.a.1 よりはからへの関手であり,だから,
である.
従って,である.
これ以降は,
第4回 (後半) (2) の記事
で述べる.