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大学数学基礎解説
文献あり

豊穣圏の導入 第4回: Underlying Category について (後半) (1)

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前回の記事 [ 9 ] では,モノイダル圏VWに対して,lax モノイダル関手F:VWV-圏AからW-圏F(A)を自然に定めることを確認した.
この記事では,モノイダル圏Vに対して,VからSetへの自然な lax モノイダル関手を与えることで,V-圏の「underlying category」とよばれる圏を定義する.

導入

素朴集合論の基礎 (集合と写像,空集合など) に親しみがあり,圏の定義を知っていることを仮定する.

第2回 (前半) の記事 [ 6 ] からは,定義 3,定義 4,命題 1,命題 2,定義 5,定義 7,定義 8,定義 12 を用いており,これらを定義 2.a.3,定義 2.a.4,命題 2.a.1,命題 2.a.2,定義 2.a.5,定義 2.a.7,定義 2.a.8,定義 2.a.12 で表している.

第2回 (後半) の記事 [ 7 ] からは,命題 1,定義 1,定義 2,定義 3,定義 4,命題 2,定義 9 を用いており,これらを命題 2.b.1,定義 2.b.1,定義 2.b.2,定義 2.b.3,定義 2.b.4,命題 2.b.2,定義 2.b.9 で表している.

第3回の記事 [ 7 ] からは,命題 2,命題 3,定義 1,定義 2 を用いており,これらを命題 3.2,命題 3.3,定義 3.1,定義 3.2 で表している.

第4回 (前半) の記事 [ 8 ] からは定義 1,命題 1,定義 2 を用いており,これらを定義 4.a.1,命題 4.a.1,定義 4.a.2 で表している.

V-圏の underlying category について (続き)

Lax モノイダル関手の性質

まず,Vをモノイダル圏とする.

定義 2.a.3 よりVの恒等関手1V:VVが定まる.

定義 2.a.5 より関手1V×1V:V2V2が定まり,各X,YVに対して
(1V×1V)(X,Y)=(1VX,1VY)=(X,Y)=1V2(X,Y)であり,Vでの各射f,gに対して(1V×1V)((f,g))=(1V(f),1V(g))=(f,g)=1V2((f,g))だから,1V×1V=1V2である.
Vのテンソル積:V2V (定義 2.a.12) に対して,命題 2.a.1 より(1V×1V)=1V2=かつ1V=だから,定義 2.a.7 より(1V×1V)から1Vへの自然変換1が定まる.

1VI=Iだから,Iから1VIへのVでの射1Iが定まる.

このとき,以下が成り立つ:

(1V,1,1I)VからVへの lax モノイダル関手である.

Vでの任意の射f:XXg:YYに対して,
(1)X,Y(1V(f)1V(g))=(1)X,Y(fg)(定義 2.a.3)=1XY(fg)(定義 2.a.7)=fg=(fg)1XY=(ff)(1)X,Y(定義 2.a.7)=1V(fg)(1)X,Y,(定義 2.a.3)
であり,任意のX,Y,ZVに対して,
1V(aX,Y,Z)(1)XY,Z((1)X,Y11VZ)=1V(aX,Y,Z)(1)XY,Z((1)X,Y1Z)(定義 2.a.3)=aX,Y,Z(1)XY,Z((1)X,Y1Z)(定義 2.a.3)=aX,Y,Z1(XY)Z(1XY1Z)(定義 2.a.7)=aX,Y,Z1(XY)Z1(XY)Z=aX,Y,Z1(XY)Z=aX,Y,Z=1X(YZ)aX,Y,Z=1X(YZ)1X(YZ)aX,Y,Z=1X(YZ)(1X1YZ)aX,Y,Z=(1)X,YZ(1X(1)Y,Z)aX,Y,Z(定義 2.a.7)=(1)X,YZ(11VX(1)Y,Z)a1VX,1VY,1VZ,(定義 2.a.3)
であり,任意のXVに対して,
1V(lX)(1)I,X(1I11VX)=1V(lX)(1)I,X(1I1X)(定義 2.a.3)=lX(1)I,X(1I1X)(定義 2.a.3)=lX1IX(1I1X)(定義 2.a.7)=lX1IX1IX=lX1IX=lX=l1VX,(定義 2.a.3)
であり,任意のXVに対して,
1V(rX)(1)X,I(11VX1I)=1V(rX)(1)X,I(1X1I)(定義 2.a.3)=rX(1)X,I(1X1I)(定義 2.a.3)=rX1XI(1X1I)(定義 2.a.7)=rX1XI1XI=rX1XI=rX=r1VX,(定義 2.a.3)
である.

ゆえに,命題 1 より(1V,1,1I)VからVへのモノイダル関手である.

(1V,1,1I)1Vで表し,V恒等 lax モノイダル関手 (identity lax monoidal functor) という.

次に,G=(G,μG,eG):VWF=(F,μF,eF):UVを lax モノイダル関手とする.

GVからWへの関手であり,FUからVへの関手だから,定義 2.a.4 よりGFの合成GF:UWが定まる.

μF(F×F):U2VからF:U2Vへの自然変換であり,GVからWへの関手だから,定義 2.b.9, (1) よりG((F×F)):U2WからG(F):U2Wへの自然変換G(μF)が定まる.
μG(G×G):V2WからG:V2Wへの自然変換であり,FUからVへの関手だから,定義 2.a.5 より関手F×F:U2V2が定まり,定義 2.b.9, (2) より((G×G))(F×F):U2Wから(G)(F×F):U2Wへの自然変換(μG)(F×F)が定まる.
X,YUに対して
((G×G)(F×F))(X,Y)=(G×G)((F×F)(X,Y))=(G×G)(FX,FY)=(G(FX),G(FY))=((GF)X,(GF)Y)=((GF)×(GF))(X,Y),
であり,Uでの各射f,gに対して
((G×G)(F×F))((f,g))=(G×G)((F×F)((f,g)))=(G×G)(F(f),F(g))=(G(F(f)),G(F(g)))=((GF)(f),(GF)(g))=((GF)×(GF))((f,g)),
だから,(G×G)(F×F)=(GF)×(GF)であり,命題 2.a.2 より((G×G))(F×F)=((G×G)(F×F))=((GF)×(GF))であり,(G)(F×F)=G((F×F))であり,G(F)=(GF)だから,定義 2.a.8 よりG(μF)(μG)(F×F)の垂直合成G(μF)(μG)(F×F)((GF)×(GF))から(GF)への自然変換として定まる.
これをμGFで表す:
((GF)×(GF))(μG)(F×F)μGFG(F×F)G(μF)(GF)

eFIからFIへのVでの射であり,GVからWへの関手だから,G(eF)GIからG(FI)=(GF)IへのWでの射である.
eGIからGIへのWでの射である.
ゆえに,G(eF)eGの合成G(eF)eGIから(GF)Iへの写像として定まる.
これをeGFで表す:
IeGeGFFIG(eF)(GF)I

(GF,μGF,eGF)UからWへの lax モノイダル関手である.

X,YUに対して,
(μGF)X,Y=(G(μF)(μG)(F×F))X,Y=(G(μF))X,Y((μG)(F×F))X,Y(定義 2.a.8)=G((μF)X,Y)((μG)(F×F))X,Y(定義 2.b.9, (1))=G((μF)X,Y)(μG)(F×F)(X,Y)(定義 2.b.9, (2))=G((μF)X,Y)(μG)FX,FY,(定義 2.a.5)
である.

Uでの射f:XXg:YYを任意に取る.
G=(G,μG,eG)VからWへの lax モノイダル関手だから,定義 4.a.1 よりGVからWへの関手であり,
G((μF)X,Y)G(F(f)F(g))=G((μF)X,Y(F(f)F(g))),
であり,
G(F(fg)(μF)X,Y)=G(F(fg))G((μF)X,Y),
である.また,命題 4.a.1, (1) より
(μG)FX,FY(G(F(f))G(F(g)))=G(F(f)F(g))(μG)FX,FY,
である.
一方で,F=(F,μF,eF)UからVへの lax モノイダル関手だから,命題 4.a.1, (1) より
(μF)X,Y(F(f)F(g))=F(fg)(μF)X,Y,
である.
ゆえに,
(μGF)X,Y((GF)(f)(GF)(g))=G((μF)X,Y)(μG)FX,FY((GF)(f)(GF)(g))=G((μF)X,Y)(μG)FX,FY(G(F(f))G(F(g)))(定義 2.a.4)=G((μF)X,Y)G(F(f)F(g))(μG)FX,FY=G((μF)X,Y(F(f)F(g)))(μG)FX,FY=G(F(fg)(μF)X,Y)(μG)FX,FY=G(F(fg))G((μF)X,Y)(μG)FX,FY=(GF)(fg)G((μF)X,Y)(μG)FX,FY(定義 2.a.4)=(GF)(fg)(μGF)X,Y,
である.

X,Y,ZUを任意に取る.
:W2Wは関手だから,
(G((μF)X,Y)(μG)FX,FY)(1G(FZ)1G(FZ))=(G((μF)X,Y)1G(FZ))((μG)FX,FY1G(FZ)),
である.
G=(G,μG,eG)VからWへの lax モノイダル関手だから,定義 4.a.1 よりGVからWへの関手であり,G(F(aX,Y,Z))G((μF)XY,Z)=G(F(aX,Y,Z)(μF)XY,Z)かつ
G(F(aX,Y,Z)(μF)XY,Z)G((μF)X,Y1FZ)=G(F(aX,Y,Z)(μF)XY,Z((μF)X,Y1FZ)),
かつ
G((μF)X,YZ(1FX(μF)Y,Z)aFX,FY,FZ)=G((μF)X,YZ(1FX(μF)Y,Z))G(aFX,FY,FZ),
かつG((μF)X,YZ(1FX(μF)Y,Z))=G((μF)X,YZ)G(1FX(μF)Y,Z)かつ1G(FZ)=G(1FZ)かつG(1FX)=1G(FX)である.また,命題 4.a.1, (1) より
(μG)F(XY),FZ(G((μF)X,Y)G(1FZ))=G((μF)X,Y1FZ)(μG)FXFY,FZ,
かつ
G(1FX(μF)Y,Z)(μG)FX,FYFZ=(μG)FX,F(YZ)(G(1FX)G((μF)Y,Z)),
であり,命題 4.a.1, (2) より
G(aFX,FY,FZ)(μG)FXFY,FZ((μG)FX,FY1G(FZ))=(μG)FX,FYFZ(1G(FX)(μG)FY,FZ)aG(FX),G(FY),G(FZ),
である.
一方で,F=(F,μF,eF)UからVへの lax モノイダル関手だから,命題 4.a.1, (2) より
F(aX,Y,Z)(μF)XY,Z((μF)X,Y1FZ)=(μF)X,YZ(1FX(μF)Y,Z)aFX,FY,FZ,
である.
ゆえに,
(GF)(aX,Y,Z)(μGF)XY,Z((μGF)X,Y1(GF)Z)=(GF)(aX,Y,Z)G((μF)XY,Z)(μG)F(XY),FZ((G((μF)X,Y)(μG)FX,FY)1(GF)Z)=(GF)(aX,Y,Z)G((μF)XY,Z)(μG)F(XY),FZ((G((μF)X,Y)(μG)FX,FY)1G(FZ))(定義 2.a.4)=G(F(aX,Y,Z))G((μF)XY,Z)(μG)F(XY),FZ((G((μF)X,Y)(μG)FX,FY)1G(FZ))(定義 2.a.4)=G(F(aX,Y,Z))G((μF)XY,Z)(μG)F(XY),FZ((G((μF)X,Y)(μG)FX,FY)(1G(FZ)1G(FZ)))=G(F(aX,Y,Z))G((μF)XY,Z)(μG)F(XY),FZ(G((μF)X,Y)1G(FZ))((μG)FX,FY1G(FZ))=G(F(aX,Y,Z))G((μF)XY,Z)(μG)F(XY),FZ(G((μF)X,Y)G(1FZ))((μG)FX,FY1G(FZ))=G(F(aX,Y,Z))G((μF)XY,Z)G((μF)X,Y1FZ)(μG)FXFY,FZ((μG)FX,FY1G(FZ))=G(F(aX,Y,Z)(μF)XY,Z)G((μF)X,Y1FZ)(μG)FXFY,FZ((μG)FX,FY1G(FZ))=G(F(aX,Y,Z)(μF)XY,Z((μF)X,Y1FZ))(μG)FXFY,FZ((μG)FX,FY1G(FZ))=G((μF)X,YZ(1FX(μF)Y,Z)aFX,FY,FZ)(μG)FXFY,FZ((μG)FX,FY1G(FZ))=G((μF)X,YZ(1FX(μF)Y,Z))G(aFX,FY,FZ)(μG)FXFY,FZ((μG)FX,FY1G(FZ))=G((μF)X,YZ)G(1FX(μF)Y,Z)G(aFX,FY,FZ)(μG)FXFY,FZ((μG)FX,FY1G(FZ))=G((μF)X,YZ)G(1FX(μF)Y,Z)(μG)FX,FYFZ(1G(FX)(μG)FY,FZ)aG(FX),G(FY),G(FZ)=G((μF)X,YZ)(μG)FX,F(YZ)(G(1FX)G((μF)Y,Z))(1G(FX)(μG)FY,FZ)aG(FX),G(FY),G(FZ)=G((μF)X,YZ)(μG)FX,F(YZ)(1G(FX)G((μF)Y,Z))(1G(FX)(μG)FY,FZ)aG(FX),G(FY),G(FZ)=G((μF)X,YZ)(μG)FX,F(YZ)((1G(FX)1G(FX))(G((μF)Y,Z)(μG)FY,FZ))aG(FX),G(FY),G(FZ)=G((μF)X,YZ)(μG)FX,F(YZ)(1G(FX)(G((μF)Y,Z)(μG)FY,FZ))aG(FX),G(FY),G(FZ)=G((μF)X,YZ)(μG)FX,F(YZ)(1(GF)X(G((μF)Y,Z)(μG)FY,FZ))a(GF)X,(GF)Y,(GF)Z(定義 2.a.4)=(μGF)X,YZ(1(GF)X(μGF)Y,Z)a(GF)X,(GF)Y,(GF)Z,
である.

XUを任意に取る.
W2からWへの関手だから,
(G(eF)eG)(1G(FX)1G(FX))=(G(eF)1G(FX))(eG1G(FX)),
である.
G=(G,μG,eG)VからWへの lax モノイダル関手だから,定義 4.a.1 よりGVからWへの関手であり,G(F(lX))G((μF)I,X)=G(F(lX)(μF)I,X)かつ
G(F(lX)(μF)I,X)G(eF1FX)=G(F(lX)(μF)I,X(eF1FX)),
かつ1G(FX)=G(1FX)である.また,命題 4.a.1, (1) より
(μG)FI,FX(G(eF)G(1FX))=G(eF1FX)(μG)I,FX,
であり,命題 4.a.1, (3) より
G(lFX)(μG)I,FX(eG1G(FX))=lG(FX),
である.
一方で,F=(F,μF,eF)UからVへの lax モノイダル関手だから,命題 4.a.1, (3) より
F(lX)(μF)I,X(eF1FX)=lFX,
である.
ゆえに,
(GF)(lX)(μGF)I,X(eGF1(GF)X)=(GF)(lX)G((μF)I,X)(μG)FI,FX(eGF1(GF)X)=(GF)(lX)G((μF)I,X)(μG)FI,FX((G(eF)eG)1(GF)X)=(GF)(lX)G((μF)I,X)(μG)FI,FX((G(eF)eG)1G(FX))(定義 2.a.4)=G(F(lX))G((μF)I,X)(μG)FI,FX((G(eF)eG)1G(FX))(定義 2.a.4)=G(F(lX))G((μF)I,X)(μG)FI,FX((G(eF)eG)(1G(FX)1G(FX)))=G(F(lX))G((μF)I,X)(μG)FI,FX(G(eF)1G(FX))(eG1G(FX))=G(F(lX))G((μF)I,X)(μG)FI,FX(G(eF)G(1FX))(eG1G(FX))=G(F(lX))G((μF)I,X)G(eF1FX)(μG)I,FX(eG1G(FX))=G(F(lX)(μF)I,X)G(eF1FX)(μG)I,FX(eG1G(FX))=G(F(lX)(μF)I,X(eF1FX))(μG)I,FX(eG1G(FX))=G(lFX)(μG)I,FX(eG1G(FX))=lG(FX)=l(GF)X,(定義 2.a.4)
である.

XUを任意に取る.
W2からWへの関手だから,
(1G(FX)1G(FX))(G(eF)eG)=(1G(FX)G(eF))(1G(FX)eG),
である.
G=(G,μG,eG)VからWへの lax モノイダル関手だから,定義 4.a.1 よりGVからWへの関手であり,G(F(rX))G((μF)X,I)=G(F(rX)(μF)X,I)かつ
G(F(rX)(μF)X,I)G(1FXeF)=G(F(rX)(μF)X,I(1FXeF)),
かつ1G(FX)=G(1FX)である.また,命題 4.a.1, (1) より
(μG)FX,FI(G(1FX)G(eF))=G(1FXeF)(μG)FX,I,
であり,命題 4.a.1, (4) より
G(rFX)(μG)FX,I(1G(FX)eG)=rG(FX),
である.
一方で,F=(F,μF,eF)UからVへの lax モノイダル関手だから,命題 4.a.1, (4) より
F(rX)(μF)X,I(1FXeF)=rFX,
である.
ゆえに,
(GF)(rX)(μGF)X,I(1(GF)XeGF)=(GF)(rX)G((μF)X,I)(μG)FX,FI(1(GF)XeGF)=(GF)(rX)G((μF)X,I)(μG)FX,FI(1(GF)X(G(eF)eG))=(GF)(rX)G((μF)X,I)(μG)FX,FI(1G(FX)(G(eF)eG))(定義 2.a.4)=G(F(rX))G((μF)X,I)(μG)FX,FI(1G(FX)(G(eF)eG))(定義 2.a.4)=G(F(rX))G((μF)X,I)(μG)FX,FI((1G(FX)1G(FX))(G(eF)eG))=G(F(rX))G((μF)X,I)(μG)FX,FI(1G(FX)G(eF))(1G(FX)eG)=G(F(rX))G((μF)X,I)(μG)FX,FI(G(1FX)G(eF))(1G(FX)eG)=G(F(rX))G((μF)X,I)G(1FXeF)(μG)FX,I(1G(FX)eG)=G(F(rX)(μF)X,I)G(1FXeF)(μG)FX,I(1G(FX)eG)=G(F(rX)(μF)X,I(1FXeF))(μG)FX,I(1G(FX)eG)=G(rFX)(μG)FX,I(1G(FX)eG)=rG(FX)=r(GF)X,(定義 2.a.4)
である.

ゆえに,命題 1 より(GF,μGF,eGF)UからWへのモノイダル関手である.

(GF,μGF,eGF)=(GF,G(μF)(μG)(F×F),G(eF)eG)GFで表し,GFの (lax モノイダル関手としての) 合成 (composition) という.

Lax モノイダル関手F=(F,μ,e):VWに対して,lax モノイダル関手として1WF=F=F1Vが成り立つ.

1WF=1W(F,μ,e)=(1W,1,1I)(F,μ,e)(命題 1)=(1WF,1Wμ1(F×F),1W(e)1I)(命題 2)=(1WF,1Wμ1(F×F),1W(e))=(1WF,1Wμ1(F×F),e)(定義 2.a.3)=(F,1Wμ1(F×F),e),(命題 2.a.1)
である.
X,YVに対して,命題 2 の証明で述べたように,
(1Wμ1(F×F))X,Y=1W(μX,Y)(1)FX,FY,
であり,
(1Wμ1(F×F))X,Y=1W(μX,Y)(1)FX,FY=1W(μX,Y)1FXFY(定義 2.a.7)=1W(μX,Y)=μX,Y,(定義 2.a.3)
だから,1Wμ1(F×F)=μであり,1WF=(F,μ,e)=Fである.

また,FVからWへの lax モノイダル関手だから,定義 4.a.1 よりFVからWへの関手であり,F(1I)=1FIであり,F(1XY)=1F(XY)である.
ゆえに,
F1V=(F,μ,e)1V=(F,μ,e)(1V,1,1I)(命題 1)=(F1V,F(1)μ(1V×1V),F(1I)e)(命題 2)=(F1V,F(1)μ(1V×1V),1FIe)=(F1V,F(1)μ(1V×1V),e),=(F,F(1)μ(1V×1V),e),(命題 2.a.1)
である.
X,YVに対して,命題 2 の証明で述べたように,
(F(1)μ(1V×1V))X,Y=F((1)X,Y)μ1VX,1VY,
であり,
(F(1)μ(1V×1V))X,Y=F((1)X,Y)μ1VX,1VY=F((1)X,Y)μX,Y(定義 2.a.3)=F(1XY)μX,Y(定義 2.a.7)=1F(XY)μX,Y=μX,Y,
だから,F(1)μ(1V×1V)=μであり,F1V=(F,μ,e)=Fである.

Lax モノイダル関手H=(H,μH,eH):WXG=(G,μG,eG):VWF=(F,μF,eF):UVに対して,lax モノイダル関手としてH(GF)=(HG)Fが成り立つ.

X,YUを取る.命題 2 の証明で述べたように,
(H(μGF)μH((GF)×(GF)))X,Y=H((μGF)X,Y)(μH)(GF)X,(GF)Y,
かつ(μGF)X,Y=G((μF)X,Y)(μG)FX,FYかつH((μG)FX,FY)(μH)G(FX),G(FY)=(μHG)FX,FY
(HG)((μF)X,Y)(μHG)FX,FY=((HG)(μF)μHG(F×F))X,Y,
である.
また,HWからXへの lax モノイダル関手であることから,定義 4.a.1 よりHWからXへの関手であり,
H(G((μF)X,Y)(μG)FX,FY)=H(G((μF)X,Y))H((μG)FX,FY),
である.
ゆえに,
(H(μGF)μH((GF)×(GF)))X,Y=H((μGF)X,Y)(μH)(GF)X,(GF)Y=H(G((μF)X,Y)(μG)FX,FY)(μH)(GF)X,(GF)Y=H(G((μF)X,Y))H((μG)FX,FY)(μH)(GF)X,(GF)Y=H(G((μF)X,Y))H((μG)FX,FY)(μH)G(FX),G(FY)(定義 2.a.4)=(HG)((μF)X,Y)H((μG)FX,FY)(μH)G(FX),G(FY)(定義 2.a.4)=(HG)((μF)X,Y)(μHG)FX,FY=((HG)(μF)μHG(F×F))X,Y,
であり,H(μGF)μH((GF)×(GF))=(HG)(μF)μHG(F×F)である.

また,HWからXへの lax モノイダル関手であることから,定義 4.a.1 よりHWからXへの関手であり,H(G(eF)eG)=H(G(eF))H(eG)であり,
H(eGF)eH=H(G(eF)eG)eH(命題 2)=H(G(eF))H(eG)eH=(HG)(eF)H(eG)eH(定義 2.a.4)=(HG)(eF)eHG,(命題 2)
である.

従って,
H(GF)=(H,μH,eH)((G,μG,eG)(F,μF,eF))=(H,μH,eH)(GF,μGF,eGF)=(H(GF),H(μGF)μH((GF)×(GF)),H(eGF)eH)=((HG)F,H(μGF)μH((GF)×(GF)),H(eGF)eH)(命題 2.a.2)=((HG)F,(HG)(μF)μHG(F×F),H(eGF)eH)=((HG)F,(HG)(μF)μHG(F×F),(HG)(eF)eHG)=(HG,μHG,eHG)(F,μF,eF)=((H,μH,eH)(G,μG,eG))(F,μF,eF)=(HG)F,
である.

豊穣圏の性質

モノイダル圏VV-圏Aに対して,1V(A)=Aが成り立つ.

命題 1 より1V=(1V,1,1I)であることに注意する.
定義 4.a.2, (1) よりob(1V(A))=obAであり,各A,BAに対して,
1V(A)(A,B)=1V(A(A,B))(定義 4.a.2, (2))=A(A,B),(定義 2.a.3)
であり,各A,B,CAに対して,
MA,B,C=1V(MA,B,C)(1)A(B,C),A(A,B)(定義 4.a.2, (3))=MA,B,C(1)A(B,C),A(A,B)(定義 2.a.3)=MA,B,C1A(B,C)A(A,B)(定義 2.a.7)=MA,B,C,
であり,各AAに対して,
jA=1V(jA)1I(定義 4.a.2, (4))=1V(jA)=jA,(定義 2.a.3)
である.ゆえに,1V(A)=Aである.

Lax モノイダル関手G=(G,μG,eG):VW(F,μF,eF):UVU-圏Aに対して,(GF)(A)=G(F(A))が成り立つ.

命題 2 よりGF=(GF,μGF,eGF)であることに注意する.
ob((GF)(A))=obA(定義 4.a.2, (1))=ob(F(A))(定義 4.a.2, (1))=ob(G(F(A))),(定義 4.a.2, (1))
である.
(GF)(A)=(obA,{(GF)(A)(A,B)}A,BA,{MA,B,C}A,B,CA,{jA}AA)
及び
G(F(A))=(obA,{G(F(A))(A,B)}A,BA,{MA,B,C}A,B,CA,{jA}AA)
と定める.

A,BAに対して,
(GF)(A)(A,B)=(GF)(A(A,B))(定義 4.a.2, (2))=G(F(A(A,B)))(定義 2.a.4)=G(F(A)(A,B))(定義 4.a.2, (2))=G(F(A))(A,B),(定義 4.a.2, (2))
である.

A,B,CAを取る.
命題 2 の証明で述べたように,
(μGF)A(B,C),A(A,B)=G((μF)A(B,C),A(A,B))(μG)F(A(B,C)),F(A(A,B)),
である.
また,GVからWへの lax モノイダル関手だから,定義 4.a.1 よりGVからWへの関手であり,
G(F(MA,B,C))G((μF)A(B,C),A(A,B))=G(F(MA,B,C)(μF)A(B,C),A(A,B)),
である.
ゆえに,
MA,B,C=(GF)(MA,B,C)(μGF)A(B,C),A(A,B)(定義 4.a.2, (3))=(GF)(MA,B,C)(μGF)A(B,C),A(A,B)=(GF)(MA,B,C)G((μF)A(B,C),A(A,B))(μG)F(A(B,C)),F(A(A,B))=G(F(MA,B,C))G((μF)A(B,C),A(A,B))(μG)F(A(B,C)),F(A(A,B))(定義 2.a.4)=G(F(MA,B,C)(μF)A(B,C),A(A,B))(μG)F(A(B,C)),F(A(A,B))=G(F(MA,B,C)(μF)A(B,C),A(A,B))(μG)F(A)(B,C),F(A)(A,B)(定義 4.a.2, (2))=G(MA,B,C)(μG)F(A)(B,C),F(A)(A,B)(定義 4.a.2, (3))=MA,B,C,(定義 4.a.2, (3))
である.

AAを取る.GVからWへの lax モノイダル関手だから,定義 4.a.1 よりGVからWへの関手であり,G(F(jA))G(eF)=G(F(jA)eF)だから,
jA=(GF)(jA)eGF(定義 4.a.2, (4))=(GF)(jA)G(eF)eG(命題 2)=G(F(jA))G(eF)eG(定義 2.a.4)=G(F(jA)eF)eG=G(jA)eG(定義 4.a.2, (4))=jA,(定義 4.a.2, (4))
である.

従って,(GF)(A)=G(F(A))である.

これ以降は, 第4回 (後半) (2) の記事 で述べる.

参考文献

投稿日:202232
OptHub AI Competition

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  1. 導入
  2. $\cat{V}$-圏の underlying category について (続き)
  3. Lax モノイダル関手の性質
  4. 豊穣圏の性質
  5. 参考文献